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ちんぽけーす

選出作品 (投稿日時順 / 全1作)

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あやまち多き人生ですけど

  ちんぽけーす

わたしは妻に先立たれ――というのはうそで、先に妻の方から離婚状を、ええ、三下り半を突きつけられまして、ようやく自由の身になりましたもので、それからというもの職はすでに32回変わっとります。人生バラ色――、というのはですね、わたし、これでもけっこうモテまして、はい、つまらなさそうな子でも良いところはあるものです。わたしもつまらない人間ですから。そういった子の気持ちはよく分かります。で、そのつまらない所にですね、合わせてみるとこれが不思議でありまして、みるみるつまらない子がその秘めた空っぽの心をわたしに見せてくれるんですね。わたしはおまんこを見るよりもそっちの方がムラムラ来るんです。もちろんおまんこも見ますけどね。わたしはもう結婚はしませんから関係としてはとってもドライに見えるんですけどね、本当はそうじゃないんですよ。わたしは思いますけど、結婚っていうのはしばりだと思いますね。なにやらギムやら金やらが絡んできて、もうこの年ですから、わたしも何の野心もありませんから、はっきりいってそういうことを考えることもないからいらないんですよ、そんなしばりは。女の子にとってもその辺の余裕が心地いいんでしょうか。何の将来性もないわたしにですね、近づいて来るようなんです。つまらないんですよ。なにもかもね。わたしの知らないところで大儲けしている人もいる。その人はたぶん、美人で聡明な子をたくさん引きつれてトリコにしているでしょう。でもね、その人の知らないところでわたしはどう見てもパッとしないつまらない子たちと楽しんでいるんです。草野満代なんかより100倍かわいいとわたしは思ってますけどね…

次の日は仕事は休みだったから最近家に来るようになった子の手と足を彼女が眠っている間に縛っておいたんです。目と口ももちろんテープで固定しましたよ。彼女が朝、目が覚めるでしょう。そのときどうなるか見たくってさ。最初はただそれだけだったんだけど、いや、もちろん「興奮しました」よ。とても恐ろしかったんでしょ。叫ぼうにもね、できない訳だから。だんだんエスカレートしていってね、次の子は車のトランクに入れました。夜中中、ずっととばしてね(金がないから下道だけどさ)朝、着いたらトランクを開けてさ裸で縛ったままの彼女を捨てたんですよ。寒いから凍えてたよな。ちゃんと2時間後には迎えに行ったけどさ。でもやっぱり彼女はそこにはいなかった。30分ぐらい探したかな。見つけたらさ、かなり遠くまで行っててさ、草むらで目隠しのまんま芋虫みたいに必死にもがいてさ、やっと助けが来たと思ったんだろ、必死にわたしにすがりつくんだよ。わたしはね、そのときの彼女の顔が忘れられなくて、今でも女の顔に射精するときは必ずその顔を思い浮かべるようにしてる。泥まみれの顔でさ、言うんだよ「助けて、助けて」ってさ。口は拘束されてるからさ「はっけへー、はっけへー」ってしか聞こえないんだけどさ。

わたしはたぶん夢を見ていたんじゃないかと思うことがよくあるよ。軍用ヘリで女が吊るされていく夢さ。女はどんどん上昇していって上空5000Mで犯される快感を味わっていたんだ。「わたしはこんなに空気が薄くて、全身が串刺しになるようなところでないと感じないの。もっと愛して。不感症なんだからもっと責めて。もっとイかせて」女はたぶんそう言ってたんだ。本当にそう言った気がしたんだよ。そのとき彼女にはやさしく言ってあげたさ「感じることができたかい?」ってね。

・・・っていうのは当然わたしの妄想でね、本当は土下座して謝りましたけど、当然、赦してくれませんよね。あたりまえなんですけど。でも、この女のつまらないところはね、あそこで味わった快感を必死に隠そうとするところなんですね。本当は信じられないぐらいの体験をして体は興奮して、またしたいって思ってるくせに、本人はそれが実に自分のプライドをずたずたにされたと思うんでしょうね、そういうのが許せないんですね。「アンタなんか死ねばいいのに」とか「下衆」とかね、わたしに必死に言う訳ですよ。それでも毎日わたしの家には来るんですけどね。残業で遅くなったから帰るのがきついとかね、課長にセクハラされたとかいろいろ理由をつけてね。かわいいですよね。コーヒーを入れてやったら頭からこぼされるしね。なんとかわたしを怒らせようと必死なんですね。わたしを怒らせて今度は冷蔵庫の中とかに放置されたいんでしょ。素直にそう言えばいいのに。バカですよね。一度「バカ」って言ってやったらカンカンに怒っちゃいましたね。気持ちよかったですよ。ドツボにはまっていく女の姿を見ているとわたしは興奮して目が冴えて、また、やりたくなってくるんです。こんなにかわいい女はいないからまた喜ばせてやりたいなって。

こういうわたしがいちばん不感症なのかもしれないな。あやまち多き人生ですけど生きてる価値はありますよ?なにせ彼女はたぶん幸せだから。

文学極道

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