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こひもともひこ

選出作品 (投稿日時順 / 全1作)

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なにか

  こひもともひこ


私はできるだけそっと触れようと思う
いつか抱いたことのある赤子のように
そのものに慈しみをもって対面する
夜毎悩ます
  恨みなど忘れて

丸くもあり角ばりや尖った鋭さもあり
触れると凍てついた氷の温度に驚かされ
反射的に手を離そうとする指先を今
熱い温度を持つ
  液体が流れていく

脈を打っているのか命を持つものなのか
それとも触れた私に感化されたのか
影響が状況を変化させて
血を流させる 
  あるいはそれは涙か

本能に従ってそれを味わってみたく感じて
爪を立て傷口を開き侵入する私の利き手が
内部に潜む本質というものを掴み出そうとすると
激しい悲鳴が
   聞き覚えのある激しい悲鳴が聞こえる

文学極道

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