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泥棒 - 2017年分

選出作品 (投稿日時順 / 全7作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


コピペの街で、

  泥棒


パピプペポみたいな
そんな感じの街に住みたい。
楽しそうだもんっ!
僕は
コピペの街に生まれ育ち
ここにいる。
みんな似ているけれど
同じ人はどこにもいない
みんなでみんなを
ずっと無視したりされたりしながら
ずっとずっとこの街にいる
コピペの街には
存在しないものがない
いや
ひとつだけある

そう
絆だけが存在しない
昨日
僕は人助けをしたけれど
そこに
絆はなかった
風だけが吹いていたよ
そこに、

ガギグゲゴみたいな
そんな街には住みたくない。
ガラが悪そうだものっ!
やあ、
みんな元気かい
それとも死んでいるのかい
僕は相変わらずだよ
今日も
僕と君に絆なんて存在しない
そうやって
いつも心に
僕は砂漠をつくってきた
それなのに
そこには君の足跡だけがある
消えないんだなこれが
今も
そこに、

なにぬねのみたいな
そんな街は嫌だね。
きっと理屈っぽいからねっ!
わざわざ立ち止まって
いちいち感じていられない
コピペの街で、
何かひとつ理解しても
新しい謎がふえるだけ
いろいろな街から
さまざまな話題が無題のまま
つぎつぎに消えてゆく
海の向こうでは
透けて見えるらしいよ
感情のない表現とか
そこに
何か込めないとね
そこに、

さしすせそ
料理のさしすせそ
それを知っていても意味はないよっ
コピペの街
食料はすべてレトルト
蛇口から水がでる
それを当たり前だと思うなよ
道にヒビが入った
草よ
お前は踏まれて何を思うか
皮肉な比喩が
やがて雨になり
コピペの街も
どしゃ降りになるだろう
さよなら
僕もそこに行くよ
そこに、


ピピピピピピピピ
何かをしらせる音がする
鼓膜の奥で
それが潰れる音にかわる
コピペの街で、
毎日のように
新しい悩みができるから
僕には
もう悩みがないのかもしれない
もはや
悩みが僕に追いつかないのさ
君が
どこか遠く
らりるれろみたいな国から
ここへ来るなら
僕が案内してあげるっ
言葉が通じなくても大丈夫だよ
コピペの街で、
君が孤独を語るなら
朝も夜も
ずっと好きなだけ語ればいい
僕が
最初から最後まで無視してあげる
何も聞かなかったことにして
コピペだけしてあげる
感情まで汚染されたら
個性が邪魔をする行間から
君が見える
今日も君だけはきれいだよ
この街には絆がないから
君の孤独が
もしかしたら永遠に続くよ
ここに、


天使の羽根をちぎる仕事

  泥棒


・天使

風俗やめたんよ。うち、鬱になってもうてな。自分だけは大丈夫やと思っとったんやけどなあ。不動産屋の社長さんにえらい気に入られてな。しょっちゅう指名してくれてな。優しい人やったわ。せやから優しすぎて辛くなんねん。普通がええねん。まあ、普通が何なのか、もうわからへんけどな。うちがフェラしとる間にも世界は動いてんねんなあ。とか考えはじめたら終わりやん。ちんちんに集中でけへん。ほんでなあ、今な、うちな、知り合いの知り合いに頼んで違う仕事しとるんよ。二週間前から天使の羽根をちぎる仕事しとるんよ。街でな、天使を見つけたら声かけんねん。気ぃつけなあかんのはな、たまにな、悪魔おんねん。見た目は天使やねんけど。最初はわからへん。何回も悪魔に声かけてもうてな。しんどいわ。死ぬ思いしたわ。どんな仕事もそりゃしんどいわな。今はちょいと慣れてきてな。天使を見つけたらな、しばらく様子見んねん。歩き方とか表情とか、よう見んねん。ほんで間違いなく天使やったら声かけんねん。ほんでな、バレへんように羽根をちぎんねん。ほんでな、それな、募金すんねん。天使の羽根な、未来に役立つねん。どう役立つんかは、うちにはわからへんけどな。ちなみにな、うち悪魔やけど、羽根あんねんで。ま、誰もいらんやろうけど。役に立たへんし。ただの飾りやからな。

・羽根

風俗やめた
鬱になった
自分だけは大丈夫だと思った
不動産屋の社長に気に入られた
何回も指名してくれた
優しい人だった
優しすぎた
優しすぎて辛かった
普通がいい
普通がわからない
フェラしてる間にも世界は動いていた
そう考えた
終わった
ちんちんに集中できない

違う仕事している
二週間前から
天使の羽根をちぎる仕事
街で
天使に声をかける
気をつける
悪魔がいる
最初はわからない
何回も悪魔に声をかけた
しんどい
死ぬかと思った
慣れてきた
天使の様子を見る
歩き方
表情
よく見る
間違いなく天使だった
バレないように羽根をちぎる
募金する
未来に役立つ
悪魔にも羽根はある
役に立たない飾りの羽根

・ちぎる

風俗、
鬱、
大丈夫、
社長、
指名、
優しい、
辛い、
普通、
フェラ、
世界、
考える、
終わる、
ちんちん、
集中、
今、
仕事、
二週間前、
天使、
羽根、
ちぎる、
仕事、
街、
天使、
悪魔、
最初、
悪魔、
死ぬ、
慣れる、
天使、
様子、
見る、
天使、
募金、
未来、
悪魔、
羽根、
飾り、

・仕事

三年くらい前にな、雑誌かネットか、ま、ようおぼえてないんやけどな、
なんや、コラムっちゅうんかな、そんなんで読んだんよ。
ゴッホが耳を切り落とした日な、その日は雨やったとか書いてあってな。
ま、嘘かもしれんけどな、ま、なんちゅうか、うちな、ゴッホとかよう知らんし。
でな、今な、思い出すとな、あれ、コラムとかちゃうくて、
詩だったんかなあって。そう思うんよ。ちなみにな、うちな、風俗やめたんよ。鬱になってもうてな。
ま、自己判断やけど。
ほんでな、風俗やめた日な、雨でな、急にな、思い出したんよ、ゴッホの詩。
いや、コラムか詩かわからんけど。ほんでな、不動産屋の社長さん、確かな、詩とか好きや言うてたからな。
なんとなく聞いたんよ。ほんならな、そのコラム書いたん自分や言うて。
そうなん?ほんまに?社長さん、いつも冗談ばっかりやから信じられへん。
耳ちぎったら、あかんやん。
うちの耳な、飾りちゃうで。ちぎらんよ。そんなんしたら社長さんの優しい声、もう聞かれへんもん。
ちゅうか、あれ、コラムなん?詩とちゃうん?
ほああ。疲れてきたわ。なんもしとらんのに。なんでやろ。ほああ。
オランダ行こかな。天気予報だとオランダ、今日も雨らしいんよ。ネットでなんとなく調べたんよ。
暇やし、することないねん。ほああ。
そや、うちもな、弟おんねん。まあ、関係ない話しやわ。ほあ。
どっか行きたいわあ。天使も悪魔もおらん場所へ行きたいわ。ほんま。
知らん人に会いたい。ほああ。ちゅうか、あんた誰やっけ?


すみれ

  泥棒















あ、

今日は風が強いな

もう一枚

なにか着てくればよかったな

うんっ

残念なことに

僕が知っている眺めは

その辺りまでだよ

向こうまでは

とてもわからないな

コンクリートに耳をあてると

なつかしい歌がきこえるんだ

この景色の中で

君のために咲く花があるだろうか

あるとして

その花のために降る雨はどうだ

君に名前がなかったとして

誰が君の名前を呼べる

詩なんてものがあるから

君と僕は隣りにいてもひとつになれない

それは本当だろうか

本当ならば

とても気持ち悪い

いっ

線路沿い

ただ咲いている花になって

風にはならない

君の隣りで

雨にうたれて死にたいと

誰が言うのか

優劣のついた風が強く吹き抜ける

そんな午後を

すべて笑いとばすアプリがあるとして

いらねっ

猫にアプリ

君にサプリメント

世界をコンプリート

わおっ

その辺りの世界

メメントッ

うっ、

心臓麻痺しそう

誰よりも深く傷つく才能がない

芸術なんて口にするから

浅い川のほとりで

意味もなく

石を数えてしまう

その石を並べるように

誰よりも正確に

感傷的になってろよ

あほんだらっ

共感なんてされたら

そこは地獄になる

反感なら

それはアクセサリー

ひかり

耳鳴り

寒っ

夕暮れ

深くなってしまう夕暮れっ

本当にそうなのか

闇って

そんなに単純なのか

優しい言葉って

どんな言葉なんだろう

優しさのかけらもない

そんな言葉も必要だとして

いつ使うんだ

だっ

何を読んでも理解できない

見ても聞いても信じられない

すべての直感は

見事っ

的を外す

いったい何をしたら

経験したことになる

君を見ても

君ではない気がする

なんじゃこりゃっ

悩んだ順に

みんな

きれいに終わる

みんなみんな

主人公

脇役

お姉さん

社長

雑魚キャラ

ラスボス

みんなみんなみんな

いつか死ぬよ

それは本当らしいよ

この胸の景色

最初から自分のいない景色

いないから

死ねない

いない人は

死なない

七色の

狂気っ

玄関開けたら

無知っ

誰もが一度は使う

比喩っ

すぐ潰されるメンタル

弱っ

そんな君にホイミ

間違って

メガンテ

きれいな悲しみに

汚れなかった

とってもきれいな悲しみに

ぶつからない

君と僕

あちゃー(棒読み

じゃ何っ

いったい何にぶつかって倒れたのか

わっからない

わっ

頭が悪いわけではないのです

頭がないのです

なっ

心臓の上を電車が通る

ガタンゴトンッ

孤独という名のもとに

君の痛みがすりかえられて

一瞬だけでも

世界中の詩が全滅する

そんな日がいつかくると信じているのか

君よ

確かにいるはずの君よ

そこからの眺めはどうだ

何が見える

言葉で叩き

叩かれ

風のない日に揺れる花を見たか

すみれ

アスファルトのヒビを行間として

そこから何を感じたらいい

こんにゃろっ

背景のない夜に

置き去りにされた未来

詩っ

だまらっしゃい

うっ、

心臓が痛い朝

春を告げる雨が

ただ降っている

誰のためでもなく

その辺り一面に降っているよ。


軽蔑くん。微熱さん。世界ちゃん。

  泥棒



軽蔑くんは
誰も軽蔑していないのに
毎日みんなに軽蔑されている
ある雨の日
あえて洗濯物を外に干し
部屋で自分を殴り倒す
痛っ
倒れたら
天井には青い空
死んだら
虹が出る部屋
グッジョブ!
想像してごらんよ
世界中の人たちが
みんな個性的になったら
とりあえず
戦争が終わる
終わって
またいつかはじまる
平凡な戦争
明日から
みんなを軽蔑するために
濡れた洋服に着替え
今夜は眠る
軽蔑くん
グッナイ!


微熱さんは
いつも微熱で笑っている
高熱をだした夜こそ
微熱の笑顔を大切にしている
例えばこんな感じ
(^_^;)
微熱さんは走る
電車よりはやく
自転車よりおそく
夜の街をひたすら走る
街は
意味もなく輝いているので
街路樹が
たまに化け物に見える
幻聴だって
もはや
ひとつのジャンル
小鳥のさえずり
それも音楽として
熱っ
生きているものは
みんな
微熱
寒いのに
空は八月のようだね
もう帰ろう
微熱さんの後ろには
ロキソニンの雨
しかも
どしゃ降り


世界ちゃんには
未来がない
友達もいない
誰が誰を傷つけても
どんなに他人事でも
世界ちゃんは
胸が苦しくなる
綺麗事で終わる午後に
おそらく
世界ちゃんは悲しくて悲しくて
いつか自殺するだろう
どうか
死なないでほしい
世界ちゃんが死んだら
みんな
あれだから
なんか
こう
あれだから


中学生はみんなバカ。

  泥棒


馬と鹿にかこまれて
校舎に激突した思想が
さらさら血を流しているよ
先生の眼鏡はきっと
ブラジャーが透けて見えているのに
未来はまるで見えないんだね
夏だもの
中学生はみんなバカ。

女の子たちは
スカートの短かさで
男の子たち
皆殺しにするよ
夏だもの
中学生はみんなバカ。

日本語が空に溶けて
月がきれい
世界中のブラウスが揺れて
夏が終わる
比喩が飛躍しすぎると
花火が落ちる仕組み
つまり
半殺しです
今。
教科書に
二次元の友達がいて
放課後
四次元に消える
夏だもの
中学生はみんなバカ。

自転車を盗まれて
傘も盗まれて
液晶にヒビが入って
泣いている子がいるよ
テニスコートに転がっている
小さな青春
にわか雨
黒く
死んだふり
夏だもの
中学生はみんなバカ。

教室の窓から宇宙が見える
ミサイルが
ピンポイントで心臓に命中
優しい他人の言葉に
共感したことは一度もないです
夏だもの
中学生はみんなバカ。

あの子はあの子に影響受けて
あの子があの子になったのです
あの子にあの子が影響与えて
理科室
暗い廊下の前で
爆発したよ
夏だもの
中学生はみんなバカ。

非常階段で
月の光に刺されては
文学から
どんどん離れていく
白紙をひたすら読むような体験
芸術の秋なんて
どこにもないのか
なっ
冬がきたら
もっとバカになれるのに
大人だって
子供だって
みんな黙る季節
英語で喋れ
飛行機が止まって見えるならね
夏だもの
中学生はみんなバカ。

花壇に水をやり
方程式を解いても
人並みがわからない
選挙権より
10ギガ欲しい
今だけ
中学生は
校庭三週まわって
いつか
みんな
頭の中だけ
天才になってしまうんだね
馬も鹿もいなくなる
卒業するまで
君が君を束縛し続けるだろう
よく見ろよ
鉄棒が錆びている
戦闘機は
青い空を飛んでいる


おっぱいの揉み方がかっこいい奴

  泥棒

彼女が
Bまでしか駄目だと言う
今は
絶対にBまでしか駄目だと言う
受験が終わるまで
何があっても駄目だと言う
僕は
もうっ待てない
僕は
はやくCまでいきたいっ
もしも
この世に
めっちゃかっこいい、
おっぱいの揉み方があるならば
誰か教えてほしい
僕は
おっぱいの揉み方がかっこいい
そんな奴になりたいんだ
かっこよく
それが出来たら
彼女も
きっと今すぐっ
Cまで許してくれるだろう
そして
受験が終われば
ついに
Dまでいける
僕にとって
Cは通過点にすぎない
誰か
はやく教えてほしい
僕に
かっこいい、
おっぱいの揉み方を。

僕には
もうイメージできているんだ
DやEやFも
はっきり言って
QやWのあたりまで
もう
完璧にイメージできているんだ
参った
勉強が頭に入らない
なんで
Bは
こんなにも難しいんだ
高い高い壁
その向こうへ僕は生きたい
誰も見たことがない
Zの風景
そこに咲く花々は
きっと
おっぱいよりも
おっぱいだと思うんだ
誰もいない空地で
おっぱいに挟まれながら
イメージだけが
炸裂して
誰にも届かない
すべての共感はまぼろしだ
押忍!
僕の悩みは
文学にならないから
世界よ、
ありがとう
すでに
見渡す限りのおっぱいが
風に揺れているではないか。


みらい

  泥棒

思わせぶりな詩が好きだ
窓の向こうに
基地が見えるラブホテルで
不意に
君がそんなこと言うから
いや、
言った気がしたから
もう何も
返す言葉はない
今までおぼえた言葉では
君に伝えることができないなんて
なんだか
誇らしい気がするよ
まだ出会っていない言葉たち
未来に吠える
私は
思わせぶりな詩が嫌いだ
思えば
この部屋に
窓なんてなかった
冷蔵庫に君の頭蓋骨を入れて
目を閉じる
不意に
戦闘機の音がする

文学極道

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