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どしゃぶり - 2015年分

選出作品 (投稿日時順 / 全1作)

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連祷:farewell

  どしゃぶり

1
「わたしはここにいる」そういい残して、おまえがコンテンポラリーなコンテンツになっていく。おれはおまえを美しいと思えず、さりとて勃起もできないからコンドームもつけられやしない。おまえは身体を分解していってレイヤーに剥離していって、おれはそれを見て何を思えばいいのか。さよなら。おまえが地表に燃え広がっていくさまをおれは見送る。さよなら。おれの身体はおまえほどばらばらになりやしない(なんでだ)。降り注ぐ流星雨をのみこむ冷たいおまえ。さよなら。

2
おれは祈る。おれはおまえが巧妙にデザインされコーディングされたゆらめきに過ぎないと知っていたし、つまるところ、おまえには死んでほしい。だが祈らずにはいられない。おまえのしあわせを。性欲はせせこましく、舐めては吐き出し、手の中で空想になったおまえの最後の骨。が転がっていくその指先の向こうにこそしおからい原野。に佇む人。はおれの肩に手を置き、ただ頷いた。瀑布のように。許された。御御堂に満ちる蜂蜜は涙だった。おれの。

3
針葉樹林から逆巻くおまえのさみしさが幾つものたて看板をなぎ倒して人々の鼻腔を砂漠化する。ぷちぷちとした食感と形容されるほど解されたおまえもおまえもおまえも省みられない誰からも。「何でも質問してください。一粍だけでもこの都市から浮き上がるために。」ハイキーに焼き付けられたおまえは陰毛の上半分を剃り上げて叫ぶ。シアンの残照と送電線が交差する空に向かって叫ぶ。落下しながら。落花。しながら。その先は男たちと男たちと男たちが浸透した性欲の海。

4
男が打ち寄せる渚。早朝、性欲が砂をさらう波打ち際。おれは待つ。待った。待った後。おまえは砂洲に降り立つ。おれはおまえの目の前で、おまえの彫像を建ててやる。おまえという偶発性に胚胎されたおまえ、おまえが胚胎する偶発性というおまえの像を。おれとおまえ、二本の細い線分に記された稗史の結び目に足を取られて、おまえは砂の上にばったりと倒れ込み、砂だらけの顔をあげるだろう。そして、おれはもう一度おまえにいう。おはよう。

文学極道

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