手鏡の百花錯綜
三面鏡
臼時計の三姉妹
褪せるまで
歳月と錆びた釘そのつかの間の死へ
塑像に接吻を受け
青年の
昏く微睡める部屋より
落葉を模し
蔭の樹は孤絶のみに聳えるものを
肉体像 半円
やがて朽ち塵となり
今際を知る縁なき
単純機械そのかなしみへ副うもの
そを
希望と名づけ
麗麗たる
地下納骨所と告解室の涯てが
由縁を置く
不確実の磔丘さえも、塵
叶わなき約束 その
稔りなき死の結実
孰れも自が汚濁‐純潔を誇り
余命無き狂奔より
数知れぬ虐殺を逃れゆく
一家族は在を置く
曠野を踏み
瓦礫を棲処として
揉み千切られた柱時計が
風を砕く
檸檬の銅線を積み
折りしも飢饉の日曜に存在を患いやまぬ
物象‐精神
係る関係を欺瞞する饒舌に
躊躇わず死を告げ
丘陵を割き、聖霊機構の葬管は撓む
石膏の胸板より固く
選出作品
作品 - 20190923_161_11467p
- [優] 処女懐胎 - 鷹枕可 (2019-09)
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処女懐胎
鷹枕可