ら、それこそえれえことよ。話の通じんただの恨みの塊いうんは、
いがんで目も耳もないんじゃ。お経あげても聞こえんし、お札貼っ
ても見えんのんじゃけえ、ほうなったらもうどがあもならんのんよ。
人の手には負えんのんじゃけ、本物の神さんがおられることを信じ
て一心に祈るしかないんじゃ。
運良くええがにいったら、村のひとつかふたつ消えて、それで収
まるじゃろ。あとは滅多に人の来んような山の奥でわだかまって、
熊じゃの鹿じゃの食うて、そのまま仏さんになってくれる。わしら
にはどうもできんのんじゃけえ、そう思うとくしかないんじゃ。触
らぬ神に祟りなし言うんはほんまよ。