第2回 21世紀新鋭詩文学グランド・チャンピオン決定戦


きれい
  藤崎原子


芝生がきれいです。
太陽はやさしくてっぺんにあります。
風がそよいで、僕の帽子がころがります。

とっても時間がたった。そんな気がします。
たくさんのことから
いろんなことを
忘れてしまった。そんな気もします。
しゃがんで、芝をにぎってあなたが考えます。
遠くに考えます。それから、まとめた髪からはみ出したうぶげが風にそよいでいます。
とってもきれいです。
僕は、今日は、空が青いねって雲も白いねって言いません。
言ってはいけないことだ。そう思います。
あなたが考えているのは
言葉についてです。
難しい単語のうしろにそっとedをつければ
それらしくなります。

芝をたたけば、小さな虫がピョンととびます。
あなたは気づいていないでしょう。
それでいいんだと思います。
ときおり、ふりむいてください。ゆっくりうなずいてください。
いま見つけています。
とっても、とっても。
微笑んで、きれいです。


第2回 21世紀新鋭詩文学グランド・チャンピオン決定戦
月刊 未詳24 × 文学極道