第2回 21世紀新鋭詩文学グランド・チャンピオン決定戦


  葉桜彰


それは
判決のようにやってくる
迎えた初潮は
穢れを染付け
血で満たされた子宮は
粘つき 黒く濁ることで
腐敗を呼び起こした

ただ
女であるというだけで
臓腑が苛まれる
裁きを受けるかのように
鈍痛が自身を欺瞞する
乳房が役立たずに終わることは
敗訴なのだと
頭の裏側が輪唱している

脅かすものは
当然のように蔓延っている
皮膚を貫いて
臓腑に達するまで
緩慢に蝕んでゆくのを
止められずに
見送るだけだ

純潔なのは
男であることが前提なのだ

酸化物の皮膜が覆い
薬匙で削り落としながら
錆の臭いを薬包紙に包んで
女は
今月も死を纏う


第2回 21世紀新鋭詩文学グランド・チャンピオン決定戦
月刊 未詳24 × 文学極道