第2回 21世紀新鋭詩文学グランド・チャンピオン決定戦


ひからせるひからせる
  he


足元は透明だった。飲み水にはブルーギルが
いるが無視する。ブルーギルは震えていたが
それも無視する。時間がないのだった。何の

この名前は捨てていい。そして飲み水を飲む。
ブルーギルは青い。光の色だ。反射している
のか吸収しているのかわからないけど、いま、
本を読んで調べている。(二時間で移動する)
泳ぐのは三時間だ。そのうち歩くのは五時間
半。砂が動くんだ。砂が動くわけはない。久
しぶりに宇宙で泳ぐふり。黒い。青い。赤い。
黄色い。信号機はどうして。どうして?
(人が生きてる)時間も生きている。背表紙
の取れた本を太ももにはさんでおく。ボール
ペンで書いた絵のにおい。水か。草とかのよ
だれか。水じゃなきゃ水の中で立体に似てい
る。まどろんでってんの。草の血を飲み水に
変えてんの。次の日が朝。それから千年くら
いはたったよ。目がボロボロになったよ。ブ
ルーギルが水に溶けたよ。目を直しに行った。
目がボロボロになったので目医者に行け。

雨が降るので、降った方向にいます
長いこと冷えて覚えたての足の中は嬉しい
水密からこぼれた種のカルキ水を盗んだとき
や(いいさ、
(もう終わったこと―歯、歯、
すくすくとひろがった古苦いジュース
死んだらどうなるかっていう問いに答えられ
ることはただひとつ死んだらわかってあげら
れるってことだけの足を褒めてください(う
るさい)死なないと
うるさい)いって、うる
)足の裏を舐めるとうわ唇を間違えて手の傷
を荒らさせて見えるものを愛してここまでは
来ないでくださいそれをはやく仕舞えば全部
どうなるからいい全部どうしたらいいは全部
どうしたらよくなるのかはもういいもうこの
話を絶滅しているの眠りたいのかもしれない。
あるいはしみだらけの手に深まりを湛えて足
から目を落とす卵殻のむねで生まれたい身体
が忙しく透明かもしれないし知らないのと楓
は鞄から成長ホルモンに電話をかける。

虹に繋がる
虹(この番号は現在使われてお
―とろけんでいけるとは何か?
小さな絵文字の写真を嫌う雲の隙間に埋め込
んで子宮と地球の日記を拾う(子宮=地球=
永久歯)。
雨の降らせ方の章
証明は仮定の一部の章
きれいな色の石を選ぶ その1
変なのが風で飛ばされて走っているぞ
凄い速度だ。地球を四千周した。

風の     (抜粋)

木曜日の手の皺でポカリスエットが飲んだら、
食べたら。きれいほこりっぽい湿った部屋の
ようだったろう。血管をマジックでなぞり終
えているところへ。振り向くと世界がなくな
って跳ね込んだ。目が一つ。血管が毅然とし
ている。ただいるな そういう存在 価値と
かはない そういう方向。ビルの鉄片が緑っ
てくるが、あちこちから苦情がくるが、昨日
その一つに会ったんだ、と。お世辞して名前
を渡すのに8万キロの空は飛び出していく。
青白い恥ずかしさが、あくまできれいなサン
カクけいのこえになって、身体の指輪をうつ
ぶせにひからせるひからせる

空から毒のしずくは大きくも小さくもない川
の護岸に雨粒のような跡を残したり(それは
すぐに消えてしまうけれど)煙草の売店のビ
ニールの青い屋根を直撃したり(屋根に穴が
開くほどの衝撃ではなかった)実際その多く
は川の水に吸い込まれるようにして消えた

 飛行機について

飛行機は夜半にかけて音を立てずに飛びます。
銀色の背筋からすっと伸びるほんの少しだけ
ひらいた尾翼がボウリングでガターを出した
ような川に深く突き刺さっているのを見たと
きのことでした。それはあらゆる可能性だっ
たのかもしれません。深く知ろうとすること
を躊躇するうちに次の飛行機が音も立てずに
やってくる朝。二階の窓から川に入ろうとし
ていたザリガニの人魚はそれをカミナリだと
思って。削ったえんぴつで、新しいノートに
足と手を使って文字を書いた。いくつもの文
字が、大きかったり小さかったりを繰り返し
て、次第にひとつひとつになっていった。朝
日があたり一面に満ちていくうちに、ノート
は端から破れていった。文字を書く音が止ま
る。そして彼女は小さな瓶を取り出して、少
しだけ中身を飲んで、あとは窓から捨てた。
文字のにじみが綺麗だった。

サンダーソニックムーンエレクトラ、忘れな
いうちに玄関が汚れちゃってる。黄色くて甘
くて臭い星型のキリンの夢をかじっちゃった
からか。瞬きによくにた誘拐がさっきから耳
の後ろに乗っかって公民館で銅の夢を見た。
完璧だった夕日がまともに暮れ始め、サンダ
ーソニックムーンオーケストラが完璧な美し
さの中で、フライングガールラブレターに育
った環境は動きだすの

野ねずみ色のシートに腰を沈めて黄色い本を
書いている「窓の外に雲の産卵をご覧になれ
ます」とアナウンスが入るが窓なんてどこに
もなかったそのあとは何かをめくる音だけが
聞こえていた

場所(海から左に数えてはじめの山)で双子
の飛行機を発見したのだが足を四〇本も折っ
ていたので機影だけが見えた。開かない窓か
ら手が落ちてきて、しかもどんどん落ちてく
るんだから。機械の手で思わず掴んでも、機
内の中は落ちてくるんだから!見て!目が二
つあるときには、同じものは見れないんだか
ら。

家に帰る、自己紹介、

日陰が燃えている。誰もいない家のカーテン
が風で揺れ火が燃え移っている。部屋は動か
ない。浴槽には水がはられ天井が二つできて
いる。そこに飛び込む。遠くでサイレンの音
が水しぶきになってやってくる。水に  火
はカーテンを燃やし尽くすと消えた。なぜな
ら部屋の温度がそれ以上に熱いから。

沢山の歯が捨てられているのを気にしない。
けんけんぱ。子供の頃に抜かれた、あらゆる
弊害は失われる。けんけんぱ。あらゆる輪郭
を水の危うさに封じ込める。みたいな、そう
やってなお生きる、きれいな孤児のような字
で、くたびれる人形を絶対に裏切らない、指
がなぞる形を、言葉がきまるとき、青黒い灰
と混じらせた、うすにごった水、手のひらの
湖沼で、すりガラスの口が作る、枯れた柵を
登り、草の優しさを見つめる、これからも、
命を出せば、手は生まれついたままだ、掴ん
だらきれいで、空気を濡らしている、歩きな
がら走ると、のろまな風が燃えているが、記
憶は歩けない、しばらく燃え尽くすと変わる。
野菜のパスポート。

普通の風が吹いて普通だった。油塗れの水た
まりが、色んなところを見ていた。かさぶた
を作るために傷をはがすのですか。
かえるよという声が聞こえて土遊びをしてい
た子供たちがいっせいにシャベルを放り出す。
梅干を踏まないようにと注意されると少しだ
け大きくまわって部屋に入っていく。そのあ
とで周りの土があふれ出し、掘られた穴を埋
めていくところを想像した。
家の中に蛙がいればいいのに。蝿を食べてく
れればいいのに。
吹奏楽の楽しさってのはさあ
あんなに人数がいるに音をぴたって合わせち
ゃうところにあるんだよね、楓の記憶
時間はいま美しいですか―雨を降らせる実験
つまり
夕闇の送り方をしてたでしょう
あどけんだカガリビを目に詰めて

楓の家。高温の部屋。妹がいる。でもいい。
闇から光。てもいい。むー。てもいい。闇か
ら光。むーから。あー。てもいい。闇から光。
あー。闇から光あー。それから。闇から光。
送り込む、と。と。注がれる。動き。あー。
来ても。あー。取り出した。握った。あー光。
潰れた。あー破片が散乱して、そそぎこむー。
でもいい。あやふや手足で身体を引き上げて
取るシャンプー。ふやけた福引。顔に当たる
滴。天井から永久歯。きれいな色の。鐘を振
る人。シェイクハンド。特別な言葉がいりま
す。ここからは。ここからも。誰ですかと。
いった。誰が。誰かは。楓のことが家です。
といった。いってきます。それから妹が出て
行った。サンダル友達のところに、歴史の本
を持って行く。ソイルキャンディーのスカー
トで。白凰時代が好きなんです。といった。
小さな光。蕩けんで。そこにはもういなかっ
た。楓が待っている。水槽で泳ぐ魚。ブルー
ギルという。水は粉々。つまり。コップの中
の退屈。つまり。交わされるからだ。つまり。
それからが光。誰かいた。のしかかってきた。
でもいい。どこからか知らないけど、歯を削
るあの嫌な音がする。だんだん頭が痛い。何
をしているんですか。家か何かを壊している
んですか。はい。誰の家ですか。はい。私の
家ですか。はい。みんなの家です。壊してい
ます。えっと、みんなの家を。私は歩く。家
の周りを生垣に沿って歩く。煙草が落ちてい
る。あなたは家ですか。私は家を壊していま
す。家は固いですか。はい。朝の髪の毛のよ
うです。むーは。人間を見る楓のことだ。あ
こがれの蛙。あこがれの蝿。きっと部屋とい
うか部屋じゃない。もうここだ。そう。既に
ここ。遮音室に水をためて、暑い日ざしが照
りつけるスーパーの信号機につかまっている

視界にできる部分でそのそれがうつっていた
部分でそれがそのようにするとヒラメのよう
な姿勢でプカプカと一匹また一匹と競うよう
に水面に浮かび上がったことが不規則ででき
ている

暗い状態で流れて「暗闇は暗く声に出し・・
て、・・、・・ひじ・・・どこかで・・
・・・もくじに・・流れることによって動き
のにぶい女に言うこと・・・・を・・
・・・おも・・・・い・だ、.......   
(それが虫垂のように味わう・
・解決される・・うことであり、「暗い・・
//・カ・・・ア・・

ここまでは絵です(C)

シャープペンがないのでこの話はボールペン
で書いています。えんぴつは折れている。こ
のえんぴつは折れているという言葉をえぐり
出し出すままに話の中でバトンタッチする。
主人公が入れ代わり、登場人物のひとりとし
ていつからかそこにいる。登場人物は主人公
にはなれない。だからどうしたと思う。置き
引きのように身を潜めて、いつもそこにいた。
かしら、朝起きてワックスをなじませる髪の


第2回 21世紀新鋭詩文学グランド・チャンピオン決定戦
月刊 未詳24 × 文学極道