◇ No.8 , '05/07/08 20:23:54 作成

235 : 風の吹くまに  丘 光平 '05/05/23 03:29:53  [Mail]


   冬の暁
   風の
   吹くまに 

   枯れ木が
   六時五分で
   止まっている

   封じられた
   おまえの
   呼吸に
   まだ 熱はあるか

   その
   熱に秘められた
   おまえの
   花と緑 そして 
   ことばも
   たかが詩人のおれにさえ
   奪われてしまう 

   ああ
   枯れ木よ

   封じられた
   おまえの
   呼吸に
   まだ 熱はあるか

   おれは 
   凛と 
   襟を正し
   明るみの東へ
   急いでいた


236 :   he '05/05/23 23:40:59

ヒカルは元来人間を疎ましく考える
人間の生み落とす独特の
うるさくてたまらない
優越や劣等や、未来をだ
安価なアルコールと混ぜて合わせて常々ヒカルは
飲み干してやろう、と、口実を浮遊させている
無論 独りで持つ風船だ

それは何かただの別に何ともないと決め付けて
ただきっとそのうち待っていれば向こうから遣って来るヒカルは
人間と証明されるが嫌いだ
河馬は猿のことを河馬だとは思わない
蝶は羊の事は蝶だとは認めない
だから、っ、て
河馬は河馬であることを、蝶は蝶でしかないことを
軽軽しく、追い払ったことがあったろうか?

それはないな、レッテル 空っぽのまま ばら撒くんだ

ヒカルは頃合を見計らってヒカル自身を人間であると
当たり前におもう
人格が回転したから
足りない言葉を産み落とせずにあいつのようにのた打ち回る
自分の証明をしたがる
それは歪んで弾んでいるから
それは自由だから
それはヒカリの抜け殻だから
そればかりの妄想だから

ヒカルはワニかも知れないのに
ヒカルは飛行機かもしれないのに
ヒカルはもっともっと
凄く動く美しいものかも知れないのに


ただヒカルは今ただ何ともないと決め付けて

ヒカルであることに逃げをうっている

ヒカルは生きている
ヒカルは性質の悪い風邪をひきやすい
ヒカルは食べている
ヒカリに近づきたい
ヒカルは所詮、ヒカリにはなれない
ヒカルは全力で、ヒカリにはなれないのである。


226 : 天国と地獄  塔六 '05/05/17 21:38:31

昼と夜とでは異なる世界を映し出すのだ
電飾の光が闇に浮き上がり
この地の汚れを覆い隠して
あたかも何もなかったのようだ
真夜中の遊園地は幸福に満ち溢れ
光の点滅は眼球に眩く流れた
俺は迷い子となり
この街の夜に溶け込んだ

ここは地獄なのだろうか
そもそも地獄とは場所ではないはずだ
人の心にこそ地獄があり
人の心にこそ天国があり
川の流れは足早に過ぎて行くものであろう
顔面で覆い隠しているから
空気と同じで見えないから
ありもしない世界で心を弄ぶのだ

あの美しい瞳の向こうに
入口があるのかもしれない
奈落の底を知った者 刻まれた運命
捻じ曲がった性分は線路を横切り
幸福を掴む事は容易ではないだろう
この世は天国であり地獄でもある
生を受けた時から それは始まった
一瞬のずれ 太陽は砂漠に変る


233 : Am  ケムリ '05/05/21 00:01:01

世界はAmから始まったって昨日聞いたんだ
首相の公式見解「実に遺憾です」
僕はそんなに遺憾じゃないけど
やっぱりマイナーコードは何かいけないのかな

ぽじてぃぶしんきんぐな毎日に疲れて
靴のかかとを履きつぶす人が多すぎるよ
新聞の一面はみんな一緒
「悲しいことに世界はAmから始まっていた」

パパは盆栽を裁断しながら
ずっと背中を丸めて生きてたんだ
緑の葉がぱちんと落ちるのは
ちょっと悲しくて やっぱりAmかなって思う

評論家がしたり顔で話すんだ
「なんて悲しいことでしょう。よりにもよってAmなんて…」
じゃあどこから始めろって言うんだろう
世論調査ではやっぱりCが優勢だった

クラシックギターを弾ける人なら
きっと一度は指先から血が出たはずなのに
みんな忘れちゃったんだ
社会人一年生のカフスボタンみたいに

ママはずっと税金を集めるお仕事をしてたんだ
「やっぱりAmだったわね」
なんてちょっと悲しいことを言った
僕はドーナッツを早く揚げて欲しかったのに

かりかりに揚がったドーナッツとミルクたっぷりのコーヒー飲んで
ママはそのまんま寝室に行っちゃった
僕はドーナッツが冷めるのを待って
ちょっとだけ泣いたけど やっぱりちゃんと食べたよ


240 : 永幻の波紋  キメラ '05/05/26 20:17:13  [URL]


現実からほんの一枚渡った
終焉にはアトラクションに明け暮れ
少し足早な人々の無音
白い熱灯の口に端をくぐらせ
ひかりを柔らげた海辺の舗道
澄みわたるミント風 頬を撫でた

露摘みのテラス
頼りなく錆びた音律は
焦げ茶やら黒に浮き彫りのまま
波ひとつたてない水面の冷たさで
認識を連れ去った後のカンヴァスに
切ない火華を散らす

空中都市には宝石届かず
届かぬ彩色の建造物にまだ在った

あの日観た
夢とおりのわたしの顔


黒夜にとけ
雲海をくるくる形に変えながら
完全に同化した異星のメインアートが流れる
規格外の巨大な帆船が浮かび
鮮やかなオーロラ色の4D
氷点下のさざなみ
ハレーに跨った魔女はせわしなく
宇宙塵を光年のかなたへ吹き上げながら
平均率を奏でる

それは
ちょうどよい紫の雪に
掠めゆくしら雪の懐に
最果てから
誰彼知らず繋がれた祈り

つぎつぎ目映く
わたしを通しては
幾千の高鳴りを知らせ
悠久の銀河を瞬く永幻の波紋よ

やがてこの空に生きよう


佇みからほんの一枚渡った

夜を告げる灯台のひかりが
すこし遠浅の海にひろがる


239 : おおパンダ  くずばな庵 '05/05/25 22:30:12

 最初にパンダがやって来た時の
 あの熱狂は一体どこに
 年老いたパンダは既にスターの座を降り
 静かに笹の上でうたた寝の日よ

 友好第一なんて言葉もはやったっけ
 デパートの中国物産展もいつも満員
 四千年の歴史の味は佳味賛珍
 ほたる焼きの茶碗はまだ押入れにあったっけ

    破壊と虐殺の恐怖も消えぬままに
    殺人鬼は被害者と同じ神社の中に
    そのあとの祭りにはしゃぐ人を見よ

    パンダよレッサーなんかに負けずに立ち上がれ
    ドーピングでも何でもかまわねぇ
    もう一度高く掲げよアジアの平和の灯を


238 : 記号としての名前  藍露 '05/05/25 18:31:02  [Mail] [URL]

十年間同棲していた男には名前がなかった。

佐藤でも田中でも鈴木でも振り返るかと思えば、いくら呼んでも返事がない夜。最初は耳が遠いのか、聞き間違いが多いのか、それともふざけているのか、単に面倒くさいのかと考えました。わたし、は「渡辺幸子」です。三十年間、<わたなべ さちこ>として登録されていました。相手に繰り返し繰り返し、わ、た、な、べ、さ、ち、こ、と教えるのですが、自分で言えば言う程、他人事のようで、あいうえお遊びをしているみたい。用事がある時は無言で肩を叩くか「おーい」だけです。決して名前を読んではくれません。教えてもくれません。

喫茶店で会った日。急に真っすぐに見つめては、視線をクリームソーダのぶくぶくに沈めて、ストローで弄び、また沈める。溶けていくアイスクリームの中に二人の暮らしはありました。泡、そして泡、泡にまみれた手。濡れた髪。乾かないテーブル。ひっくり返ったグラス。混ざり合って、溶けて、混ざり合って。薄まった時間が床にだらりと零れ落ちました。風呂場の鏡は拭っても、またすぐに水蒸気で曇ります。顔がよく見えません。でたらめな文字を書いては、消して、きゅっきゅっきゅっ。

書類の束
空欄を埋める文字が紋白蝶になって
ひらひらと飛んでいく
たくさんの名が風にかき消された頃に
男は荷物を処分して出ていきました


   (そもそも持ち物はあったのだろうか)


あなたになまえはありますか。
わたしになまえはありますか。
あなた、はわたし、ですか。
わたし、はあなた、ですか。
区別する記号は小学校で習いました。
天気図を覚えるように
これは晴れマークね
これは曇りマークね
晴れ ときどき 
これは 予測不可能 だったわね


   (そもそも名札はあったのだろうか)


くっきり見えていた境界線はマンションに置いてきました。
取り替えられた鍵穴
張り替えられた壁紙
入れ替えられた住人


   (そもそも視えていたのだろうか)


十年間同棲していた女には名前がなかった。


139 : 風景檸檬  ケムリ '05/03/23 23:44:05

心地よい熱を持った幻に包まれて
穿った世界を鼻で笑った 素晴らしい風向きにラズベリーの匂い
熱病に吹く風 病交じりの歌声
檸檬の冷たさをイメージする昼下がり 
三つ数えたら街は崩壊する

グレープフレーツフレーバーの煙草が打ち消したもの
びいどろの甘さが世界を優しくした
偏西風が強すぎて 凧揚げが出来ない子ども達
みんな玩具のピストルを持って走っていった
三十九℃の優しさを感じて 

鼻孔の痛みが風を甘くした 跳ねた髪が空を近くした
街路樹が空を持ち上げてる 電線の網が雲を支えてる
額に落ちた葉が優しくて 世界は甘い匂いでほんのり冷たい
プレゼント持って家に帰る気持ちで
風景画に色を乗せる

きっとみんな窓をあけてる
窓枠についたあたたかい曇りくらい愛しい
きっと今日 熊たちは眠りから覚める
柔らかい冷たさ 甘い風の匂い 肺に落ちる優しい水滴
乾いた肺に吸い込む甘い冷たさ 

きっと今 世界の家ではみんなシチューを煮てる
エプロンに落ちた水滴くらい世界は優しい
冷えた爪先で触れる頬とよく熟れたオレンジ
子ども達はみんな疲れて帰ってくる
眠りにつきたいほど世界は優しい 

電柱の冷たさくらい心地よいものはなくて
このままずっと街に立っていたかった
手は赤く暖かくて 電柱の冷たさはどこかで覚えがある
すりおろした林檎のイメージ ほら世界は優しい
身体の重さが空気を軽くした 解け残った雪が優しく揺らした

三十九℃の優しさに流れて 熱い歌を吐き出した 
揺れる意識は世界を着色して
檸檬の冷たさをイメージさせる
口に含むびいどろの空想 甘くて冷たい世界
冷たい指先が頬を撫でる思い出 


242 : 曇り空の爆撃機  ケムリ '05/05/28 02:19:28

花の名前を知らない 僕はまどろんでる
知らない歌口ずさむ君 もうすぐ坂になるから 
コーヒーショップの上空七千メートル
僕はまどろんでる 君はサンダルで歩いてる

マンデリンを200グラム ポケットから千円札
笑うように枯れた日々のために
複座で眠ってた女の子のために
コックピットを開けて手を振るよ

何気ない顔して星は揺れた
手を繋いだら上空七千メートル 
髪を切りすぎて泣いてた女の子のために
僕はまどろんでる もうじき街路樹が尽きるね

百円玉で紙コップのチェリービーンズ買ったね
爆撃機は高度を下げる オナモミをくっつけられた女の子のために
坂道を両手広げて サンダルを風が洗う
薄いブラウンの髪が星を射抜いて行く

僕はまどろんでる コックピットを閉めた暖かさで
複座から友達が揮発していく
君は不機嫌な顔をしてドアを開けた
カリタから人々は流れ出してく

ほらあれが火星なんだ 真昼でも見えるんだよ…

僕はタンポポの群生地に狙いを定める
まどろんだ意識が落ちる前に ドリップしすぎた痛み
君は物憂げにコーヒーを飲んでる
さあ ゆっくり墜落しよう

並木道の終わりみたいな日々のために
君は気にも留めない 僕はまどろんでる
幸せな女の子はみんな綺麗で
爆撃機はゆっくり墜落していく


241 : 安息  一条 '05/05/27 10:50:06

  
  完全球体の炸裂する
  浅宵に
  丈高の夏草がしだれる雨樋を
  流転する魂の模型は
  悪質な仮構に断続的に注がれ
  そこに佇む書割の
  祠に
  群生する蝉の仄かな喚きが
  人の狂いと交響する
  故に私は
  彼らの羽ばたきを借り
  日曜の死さえも祝祭しながら
  瞬目の中で
  虚無の螺旋を窒息する


223 : 合い席の女  丘 光平 '05/05/17 15:25:20  [Mail]

   その
   無意味な手は
   女の無意味な口へ
   もはや
   名前のない
   魚のようなものを放りこむ
   その魚のようなものには表面が見当たらない
   それでも
   表面のないものは止まることを知らないのだ
   なるほど
   はっきりとした形ではないけれども
   女のなかで
   いろいろなものになりながら
   暗がりの細道に押し合いへし合い
   あの
   いたっん落ちてしまえば最期の
   深い
   井戸へ

   ああ、
   影を取りもどす他になにがあるだろうか
   彼女はいま
   うっすらと
   笑う


227 : デイリー、トーク。  Jussa Coonyuriet (Ohatu) '05/05/18 22:10:11


 蟻が泣いているのを空になって見ていた。
 ときどきアスファルトのひびわれにはまりそうになる。
 色になった身体を
 ずっと見ている。
 恥ずかしい、朝。
 蟻の泣き声と、彼女のクラクションは、いっしょ。
 蟻はどっかに行ってしまった。
 彼女は頭の毛をくしゃくしゃにする。
 彼女は蟻なのに、蟻は彼女じゃない。
 僕だ。

 それは落っこちそうな雨の粒を抱え込んで
 我慢している、雲。
 こういう日の彼女の思考は
 ごみ箱に捨てられたうまくいかない花束で
 風車を回すときみたいにできている。
 誰かが死ぬときに笑っていたとか、泣いてたとか
 そんなビールの泡。
 無神経に口を付けるおじさんは
 汚れているんだ。
 重たい雨の粒を載せて
 彼女は後ろ向きでスカートをはく。

 スカートをはいた彼女は
 蟻を踏み潰して
 涙が砂漠に落ちたときの
 じぃぅ、というひとときの音になった。
 僕は、
 その空に閉じ込められたまま。

 ねえ、蟻さん。
 いっしょに泣きたいけど。
 でも彼女、傘持ってきてないのさ。
 別々に泣こうよ。
 理由で。

 蟻はいつまでも泣いているのに
 それに名前なんてつかない。
 忙しいことを誉めてほしいの。
 だから、
 記憶なんかと結びつかないで。
 飛行機雲から向こうの半分は
 きっと豪雨。
 傘の無い人、ごめんなさい。

 


208 :   如月樹 '05/04/30 00:39:44

こんな小さな面積が
今の僕を守る唯一。


237 : 夫婦乞食  tomo '05/05/24 01:12:27

外で寝れってか
そんなこと言ってないでしょ
さっ、起きて一緒にたべよっ
32ワットの丸型蛍光灯を被せる笠が異様な大きさで迫ってくる。
透かした枇杷肌の豆電球から零れでる光の気配が淋しい。
きのう退院してきた みり は
放っておくと一日中寝そべっていて
食べるいとなみを休眠させているのだ。
どして..かな
えっ なんていったの
口づけしても濡れることのない みり の唇から這い出す言葉が
吐切れる意識の中で殺されていく。
采々や から届いた無添加の弁当を満面の笑みをうかべてほうばる。
みり の右の頬にある粉瘤が菱形にシェイクして
良人の視界の奥を当てどもなくさまよう。

二匹の種類の違う子犬を長いひもでつないで
少女が一緒に散歩している
赤い線描画のプリントされた白いトートバックがあった。
郵便貯金通帳と銀行預金口座通帳、運転免許証とパンチされた古い
免許証、
一円玉と五円玉が一杯詰まった巾着、湯上りタオルと顔ふきタオル、
糸楊枝四本と印鑑が一本、
じかに畳に寝ていた みり の足元にいつも立ってあった。
みり オレ誰だかわかるか
わかんない
おさむ、みりの旦那さん
さっきからあなたに似たような顔した人達が出はいりしている
そんなことないよ みんな俺 おさむだよ
これ以上なにを解れと言うの 体がうごかなくて具合わるくて寝ている
のに 虐待よ
それからまもなくして みり はいなくなった。

あしびきの山にも路を隔てたわたつみの沖にもおなじ雨が降り
おなじ雪が降りそして又おなじ雨がふった頃
一組の夫婦乞食をありきたりの喧騒が眠っている路上に見かけるよう
になった。
をんなは
片方の布の取っ手が千切れ
赤く滲んだ灰色のトートバックを右手に持ち
日焼けした顔には乳白色にひかりを帯びた粉瘤が碇泊している。
をとこは
伸ばし放題の髪にふつりあいな
まばらな無精髭を生やし
そうも古くはないリュックを背負い
両手には何にも持たず
雨上がりの空のけだるさと後姿から飛んでくる妻の臭いを拾い上げて
いるように見えた。
やがて
こっちのみーずはあーまいぞ
あっちのみーずはにーがいぞ
と、一頻り雨粒が落ちてきて
夫婦乞食は雨霧の中に消えていった。


249 : 白昼  ルイーノ '05/05/31 22:49:11  [Mail] [URL]

 
 
枝葉を伸ばす像よ
木々の裸に似ている
きみの輪郭を見ている
眼球は潤いに黒く
星を湛えた
沼のようにも濡れる
白い肌の魚
熱病を折り込む
水草と語るのはお止しよ

重い身体は沈ませ
その髪の合間から覗く
踊るよう
またあるいは泳ぐよう
鮮やかな逃走を遂げた
無我に広がる絨毯は
速度を秘めた眠りにある

裸体が造る影の漆黒
シーツの中
雲海は静かだ
陽光を浴びた乳房は
宮殿の質感へと旅立つ

杯を狙う根を伸ばす
白昼にも顕わな産毛たち
それはきみの心のよう
輝きを集め
なおも深い呼吸を継ぐ

音も声も忘れ

この午後にはぼくら
何もない
空白をつくるのだ
 
 


251 : ロジカル トレーニング  tomo '05/06/02 21:22:38

永遠は接続の問題だ問題は永遠の接続だ接続は永遠の問題だ接続
の反対は無い接続できるの反対は接続できないだ永遠の反対は無
い永遠はないの反対は永遠はあるだ問題の反対は問題だ問題は現
実とともにあるきはじめから言葉はあった言葉の血は神の地に流
れていた言葉は神と一体であった頃はこんな時が来るとは思わず
にいたときから生きていたのか永遠があるから生きているのか永
遠がないから生きているのか永遠は現実とともにあると言い得る
ためには永遠は現実に接--し--------れ------ないのではないか


247 : 冬の蝶  丘 光平 '05/05/30 00:32:00  [Mail]

  一筋の光陰のなかへ
  去ってゆく 
  北のバスの後ろすがたは 
  どこか さびしい
  男の背なに似ていた

  今宵
  月の鏡をあおげば   
  白冴えの雪の花房が
  さくさくと舞いおちる この
  道は 
  名も知らぬ人びとの歩いた道 それは
  湖へ 
  遠い湖へと
  名も知れぬ私を届けてくれるだろうか 
  それとも 
  望んではならぬものを望んでしまった
  孤高のひとのように ただ
  胸に抱く一葉の
  湖の底に
  はかなく沈んでしまえるだろうか

  浅く開けた不眠の目
  そっと 深くとじてやれば
  黒の瞳があらわれ

   膝をおり 
   すこしうつむき
   手のひらにすくい 
   髪をとかし
   口ずさみ

  やわらかな呼吸の脚韻は
  頑なの心にさえ触れてしまう ああ

  匂い立つ
  りんごの香よ 
  その赤紫の香に引き寄せられ
  いとしさとくやしさの
  螺旋のように織り流れてゆく この
  道の
  奥へ ずっと奥へと
  音もなく深まりゆく 
  雪けむりに包み込まれていた

  湖よ 私だけに許された 
  藍の面に
  こまかに広まる波紋のひとつひとつが
  幾重にも淡い影をなし
  雪が凍える肩へ
  とけゆくほどに もはや 
  ふたつにひび割れることのない
  湖よ この失われてゆく私の
  枯れおちた左側から いま
 
  あの
  みずみずしい月の白い炎へ
  ひとひらの冬の蝶が
  旅立つ


232 : ボーイソプラノで運命を詠う少年  スルー '05/05/20 23:16:54

どこか遠く ボーイソプラノで運命を詠う少年
昨日死んだ人たち 明日死んでゆく人たち
何世紀経っても僕らの涙は尽きないのだろう
それだけが真実 それだけが憂鬱 でもそれだけが美しい

人間失格は空を仰いだ 遠い声に思い出したのは心だったか
もう語られる事も少なくなった 真実から二番目の悲しみ
誰よりも絶望しているはずなのに だから誰よりも綺麗な声なんだ
何も変わらないのは悲しいことだ でもこの歌は世界に響くだろう

天国の手前にあるジャズバー 誰もリクエストしなかった歌が響いた
その瞬間だけアルコールは意味を無くしたんだろう
どんな酒好きもグラスを置いた 小さな小さな大事件
あっけなく事件は終わり 彼らは数秒前の奇蹟に乾杯した
 
世界中のピエロが芸を忘れて耳を澄ました
考えることすら諦めた懐かしい問い そしてその答え
風のように透明な歌 過去と未来を同時に嘆く抒情詩
涙の数だけ綴られて 時代の分だけ語られてゆく

どこか遠く ボーイソプラノで運命を詠う少年
昨日死んだ人たち 明日死んでゆく人たち
何世紀経っても僕らの涙は尽きないのだろう
詠い終えた少年は微笑み そして少しだけ泣いた


254 : ルナシー  Anime 893 '05/06/04 14:07:12  [Mail]

死にてぇ奴ァはどいつだ!!!??
誰でもいいから殴らせろ?
僕は殴られたら殴り返すぞ!!
Snype me!! Fxxk YOU!!
I am the great little bich callled "the beast 666"


なんちゃって、てひひ


僕は、風の精霊ジルフェと守護精霊のオンディーヌにカムイノミをした。
祈った。祈った。そして祈った。

不安定な梅雨を乗り切るために。
サボテンの花が咲くように。
あの娘に贈る詩をモノにできるように。
嗚呼、詩人の友よ!
僕にお慈悲を。


美の化身が泉の中
波紋ひとつ立てずに水浴びをしている
腰まで伸びた銀髪と光と水滴が追いかけっこをしている
そしておなじみ濡れTシャツ


悪戯っ子のシルヴィートがヴィーナスにゼウスのチンポを投げつけた
泉は地獄の地の池と化し
ゴボゴボ グツグツ ドッカンドッカン チンポドッキドキ
五右衛門風呂だよ


ヴィーナスとジルフェとオンディーヌ

くんずほぐれつ三つ巴の大喧嘩
朱に染まった水滴と耳をつんざく悲鳴とゼウスのチンポが飛び交う
平らかだった泉は オゥ!ワラワ!!


矢も盾も堪らなくなったゼウスのチンポが物凄い勢いで塩を吹いた
淡水だった泉は潮が満ちるように海水へ
ジルフェはオンディーヌへ愛を囁いた


いつしか、オンディーヌはジルフェの贈る Air に、
激しく、ときに優しく答えるようになった。


アぁ、アァ
アウアウアー
アウアウアー
僕の心は海のよう

凪いだ日
荒れた日
台風の日

優しく激しい潮音でにぎやかな
ミューズの裾のようにつかみどころがなくて


いつも、いつも、いつも
ただ寄せては返すだけ


253 : 創世記から  abc '05/06/03 20:21:46  [Mail]


ごらん、これが『認識』の実。
黄金なす無垢の園生の、
わけても見晴らしのよい木の中枝に、
わたしがそれをやつしておいた。
創られた温和なかたちと、
名ざされた素性を眺めて、
こんこんと地には溢れるまどろみとすず風が、
ためらいも他意もなく、
住み慣れた葉陰を好んで共に睡る木の中枝に、
わたしがそれをきざしておいた。
  (その根元からは四つの大河が流れ出し、
   由来も知らぬ多くの街に注いでいた。)


この奇妙な晴れがましさが、
あえてひとときも手放されることのないように。
小止みない日々のさなかで、
なおもなじまれずいたまれているように。
いつまでも厳粛に黙しつづけているように。
そこから生まれる闇と光が、
お前の生に奥行きを刻みつづけているように。


たとえ確かめさえしなくとも、
わたしは記しておけるだろう、
「それがはじまりだったのだ」と。
水の無い土地のはづれで、
『声』は、お前の似姿のように、
やつれた身振りで幾度でもお前の耳につぶやくだろう。
わたしの方を見やりながら、
(だがわたしに向けてではなく、)
もはや見も知らぬ人々のただなかで。――
あの果実を喰べたことが、
お前と彼らを遠ざけている。


お前の冷たいまぶたの四隅に、
お前のふるえる声音の裏戸に、
なりをひそめる、はげしいあこがれ。
はげしく燃える生への想い。
かつてない羞恥に駆られて、
お前はわたしを拒ばむだろう。
お前は彼らをねたむだろう。
お前がそれを願ったのに、
手づから閉ざした扉の明かりに、
(もう錆びついたかけがねにさえ、)
かきみだされもするだろう。


231 : 音のない旅  佐藤yuupopic '05/05/20 06:56:04  [Mail] [URL]

病院ゆこう、なんて
ゆわないで
わたし、病気じゃない
なンも見えなくなるつまんないだるい薬、
もう、
飲みたくない

見せたいとは思わない
あなたに
この景色、
たぶん、きっと、分け合えないと、
思う、から

気が散るのと、違うの
視点、
乗り移って、瞬間、
無音、
それから
何処までも、旅
また、ゆくの
あなたの顔ばっか、見てらんなくなる
ごめんね

急上昇
すっごい高いとこまで、
鳥と違うトび方
ビュん、と
越えて、
タワーの天辺まで、

高層作業員青年のアタマん中、銀色、ベビーピンク、かなりロマンチック、
高架くぐって
一番ホーム、電車、パンタグラフ、ダイヤ型、ごと通過
喫茶店、
紅茶にほどける角砂糖の、泡、
は、金色
目抜き通り
誰の、か、わかんない
肩越し
褪せたグリン
バス、のタイヤ、
水たまり、踏み越えて、跳ねる、飛沫
路地、
誰かの庭、
蓮の葉にでっかいしずく、
きらきらり、
再上昇、

俯瞰
開発跡地
ビルの欠片
更地に落ちる、影
乾いた風、
砂埃
わたし、ずっと昔の
今日
生まれたの、て
不意に、
思い出す
途端、

急降下、

二階の窓、
五センチの
隙間
から、滑り込む
柔軟剤、かおる、シーツの皺に、
光みたく
ふんわり
着地
ああ、
意識
やっと、
あなたの指先に、
ゆうべのチョコミントアイス
味の、くちびるに、
ただいま
も、いちど
声に出さず、ちっちゃく、
ただいま

わたしの、こ、ゆうとこ、きらい、だったら、
全部、きらい、なのと
いっしょ

そんなかなしい顔
よけい
かなしくなるから
しないで、
なおんないし
なおす気ないの
どうしていいか、わかんない、
ごめんね


257 : ジェーンスカイハイ  Anime 893 '05/06/06 22:56:20  [Mail]

「アッショイアッショイ!!!」
「ゲバラッゲバラッ!!!!」
「ニンフェニンフェッ!!!」

僕の眠りを邪魔するのはだれ?
あの人の抱擁によって石にされ
黙蓮の海で砂城のねむり
ネムノキが花開くように、安寧な眠りが破られた

月の光のように醒めた僕は
赤いネクタイで首を吊ってショッピングモールに出かけた
祭囃子に誘われて
笛と和太鼓とディストーションギター

今年のチンコ神輿も御立派
狐の仮面をつけた鬼どもが
そそりたつ陽物を誇示した人形姫を担いでいる

晴れているのに宙から銀の糸
人形姫も、眠りの中で永遠の契りを結んだのだろうか
妖精たちが、民が、姫のご結婚を祝している

ブルースカイ
パステルピンク
ハニーイエロー

淡い色したフェアリーが
花壇の中裸足で花を踏みにじっている

陽炎まで近い

あの行列より早く、空へ
太陽目指して


244 : GHOST  軽谷佑子 '05/05/28 15:46:15

いつまでも続く
昼に飽きていろいろなものを
詰めたのでした女の子は
トゥエルブかサーティーンが
いちばんきれい

ほとんどは遊びの
話しであったけれど
わたしがいきているなら
駈けてみたいと思いは
した

勝手にはたいたり
口にいれたりたまには舌を
使ったり

そんなにべとべと
どうするの と母のこえがして
振り向くと首筋がひかりに反射
していて産毛の海に溺れるひと
がみえた

女の子が
男の子を呼ぶようにではなく男の
子が女の子を呼ぶようにわたしを
呼んでくださいそうすればはやく
わすれることができます


262 : 真昼の月  丘 光平 '05/06/09 13:46:18  [Mail]


   八月半ばの
   真新しい朝と光と
   肉体
   その星の決まっていたものは
   もう汗をかくことはない
   それは過去という名の夜 あるいは
   地下の闇 私の位置からする
   時と空の喪失であるが
   もしかすると
   彼の向きからは
   こちらがよく見えるのかもしれない
   おそらく彼の瞳の白に
   境界線が映っている
   その境界線に 一本の枯れ木
   それはかつて呼吸と感情を持っていたが
   その皮膚をむしりとられたものは
   ふりむかない


     蝉が鳴いている
     蝉が鳴いている
     蝉と私はどこで別れたのか 


   蝉の命は
   七年と一週間 そのあいだ
   私の細胞はまた生まれ変わるという
   この生成と腐敗の焦点に
   針がある
   針一本通さない
   夏の膨張をきみは知っているか
   それはひとつの声
   針千本に焼かれた声
   さびしい匂いだ 冬にも等しい
   収縮への郷愁にさえ放棄された
   声 そこから蝉は 
   私へ帰ってくる
   ただ その声の主にはどこにも
   顔がない


     小雨が降っていた
     小雨が降っていた
 

   雨に浄化された夏空は
   子供のようにひどく美しい
   骨の焼けるあいだ
   私は独り
   まだ湿りのある広場で煙草をやっていた
   ふと 気がつけば
   羽虫がベンチの隣に座っている
   その青みの羽と透明の羽とが
   触れたり触れなかったりする
   汗の息遣いを感じたのか
   親子は
   羽音の静寂を残し
   並木道の明るみの向こうへ消えた 


     道はどこへ続いているのだろう
 

   私が振り返ると そこに
   名も知らぬ緑豊かな樹木の梢
   くゆれる白けむりの先にぼんやりと浮かぶ
   真昼の月をみた


256 : めぐりあい  キメラ '05/06/06 19:55:41  [URL]

満ち欠け体温に揺らぎ
天辺から途切れる
あなたのような電燈が
バチバチと胸を焦がし
歪んだ季節に羽化しました

明け方の冷たい窓の外で
燐粉を降らせたデッサン
レースから特有の孤光
まるで押し黙りながらも
太陽から生まれた幼子の顔で
切なく通念の銀埃を照らします

思えば随分不埒に生きたものだ


指を掻き毟る
甘い夏の木漏れ日は
イメージより早く溶けあった
二個の若輩

足取り緑の園
ひかりの洪水とめどなく
遙彩が融けた月光
秘密をうちあけながら
眠っていたのでしょうか

面影が香り
真剣な世界に知らせた
あの高鳴りを奪ってほしい


ああ
もう一度
めぐりあい

無理していた
足元に解らせた
失くしてしまった灯りが
力尽き

ふたたび甦る


言葉なんかいらない

あなたを感じたなら
いつでも


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