◇ No.675 , '20/11/21 23:09:57 作成

12167 : 愛すべき正気  yasu.na '20/10/20 00:26:00

僕の涙が君の涙でもあった頃の
あれらの日々が輝いている
いつまで忘れず覚えておくのか

いつからともなくめくるべきページが現れて
僕はめくってゆく
どこが始まりなのか分からない

深夜
保守車両がそっと動き出す
僕が乗っている
そして線路の上を
とてもゆっくり進む

踏切が鳴って
乗客のいない一台の送迎バスが止まる
僕が乗った保守車両はなかなか進まない
待ちくたびれて苛立った送迎バスの運転手が外に出て
何が通過しようとするのかと線路の遠くをのぞく

恰好の悪い保守車両がのろのろと進んでいる
送迎バスの運転手の胸に
閉じた踏切がどうにもならない他人の心のようにぶつかってくるようで
ハアと息を吐いて煙草に火をつけるよりほかなかった

「すみませんね、お待たせしてしまって
速度が決められているので仕方ないのです
でもあなたもこんな時間、誰も乗せずにどこへ行くのですか?
送ってきたところでしょうか?
迎えに行くところでしょうか?
それとも別用で?」
深夜は誰もが一人ぼっちで
たまにこうやって出会う
そして誰もが忙しい

肉体、この安いもののために涙を流した過去の日々が鈍色に輝いている
過去、食べたくても食べられない貧しい人をたくさん見てきた
うまく大人の身体になれない人も少なからずいた
僕を恋敵だと思い込んで訪ねてきた早熟で愚かな少年もいた
寛大そうな魂の光を放つ人もたくさんいたが
魂だけがそうであっても暴力に走ることは止められない

僕が乗った保守車両がやっと踏切のところまで来た
送迎バスの運転手が運転席に戻る

遠い夜空に環境センターの高い煙突が暗く聳え立っている
見上げれば星々の間を雲が飛行している
愛すべき正気

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12150 : 人の温度  なまえをたべたなまえ '20/10/07 21:42:35

息がまた、くぎられて、
くべられていく、
動物達よ、
この、温度を、
落とす、
この、
人である、
生温かい、
温度を、落とす、
場所を探している、

死に、未だ、
宿らない、熱を、
吐いて、
生きている、
温度を、
測りなおす、
毎日を、
人ばかり、見ている、
人だかりの、
中に、落ちていく、
温度を、
まだ、確かめている、
手を、

舌の上で息を区切っていく速度が温度に変わる地点を走っている
私たちは未だ、動物達だ

人、や、
魂、では、
語れなかった、
ものを、息で、区切っていく、
この速度は、
体温「だけ」を上げる、

温度が体中をめぐっている感覚だけが生きている
粘性を帯びた生活が
息を切らすたびに、
床一面に広がる、
温度を落とす、
人の気配が漂って、
匂いが、
人の匂いが、

焦げていくこともない、
この、体から、
熱だけが、
続いて、
もう、ただただ、
長引いていくだけの、
息、

動物たちの季節、
この温度は、
私たち以外を、
燃やし尽くしてしまう、
そして、私までも、

生きていくことを、
徐々に、
落としていく、
速度、

温度が、
人から、
動物へ変わる、
速度、

生きていることを、
死んでしまった、が、
超えていく速さで、
温度を、
人の、温度を
落としていく、

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