缶ビールに干上がった花を供えた
電柱にゆれ残る男の影には
まだ何かが息づいている
歯茎から滲み出る黄褐色の目だまのように
倒れた彼の腹を
通行人の影が足蹴にしていく
蒸し暑いクラクションが
激しく回転する水流のように男の後頭部を何度も打ちつける
襟から汗が水蒸気となって湧き上がっていた
彼は 通りの向かい側
市営アパートのベランダから
追い出されたばかりなのだった
男がベランダに立っていると
バスルームの方から
熱いシャワーをかけられ皮膚を焦がされて女が悲鳴をあげるのが聞こえた
もしかしたらそれは
彼女が求めることができたただ一つの悦楽の瞬間なのかもしれない
男はそんなことを思っていた
電線にカラスが舞い降りてきて
夜の空から彼を見下すように羽をばたつかせた
ぼんやりと
そして薄弱とした地上の上をほこりにまみれた貨物列車が通り過ぎていく
音が聞こえた
他の何人もの男が彼の背後に集まっていた
「おまえ、そんなところで何してんだよ、警察は呼んだのか?」とその中の一人が言った、
「おまえは、本当に、存在する意味がないんだな、自分の女も守ろうとしないなんて、さっさと消えろよ」
そして男たちは喚声をあげながら女を組み敷いてばらばらにした
彼の目の前で女が犯された
すべての吐く息が
町の明かりを受けて交合に引き込まれていく自分を耐えるあえぎに聞こえた
男はそのとき真夏の空の元に腐り果てていく一本の木のことを思った
彼はひたすら沈黙を貫くことに決めた
沈黙を信じ
その場を動こうとしなかった
>何人もの男が彼の背後に集っていた
>男はそのとき真空の空の・・云々。
>映像として、素晴らしいし、表現として素晴らしい。
>時間軸が明確でないので、表現の言葉ひとつひとつに内容が奥まってしまい、全く見えない可能性すらあると私は感じました。
>死で終わるだけの単調な破壊は一連目で処理され、後には苦痛への憧憬が残される。
>それに絡めて一つ思うのは。「暗くて」「ネガティブ」「陰気」等々。こういうものは、普通は。人は避けます。この作品は、その基本的なテイストに於いてそういうものに「固執」して書かれてあるような印象さえ受けて。
>そして薄弱とした地上の上をほこりにまみれた貨物列車が通り過ぎていく
>音が聞こえた
>作者の自分が言うのだからたぶんそうでしょう。
さて、初めて長文に挑んだ作品です。
Briny Beach は(ブライニー・ビーチ):塩辛ビーチの事です。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
額の中心の不可視の息、それがハートへと達する時、眠りを支配し、
そして死をも支配せよ。
免疫介在性溶血性貧血、今。
私の命は、肉の方面から徐々に崩れていく、
115、、115、、、115、、、、
そうして私は空(くう)を求める。
或いは、孔雀の尾の五色(ごしき)の円を溶け去る迄、
世界を5つの色だと想像する。
五感として無辺の空間に。
その時Briny Beachなるもの、
マインドはそれ自身へと投げられる。
額の中心の不可視の息、それがハートへと達する時、眠りを支配し、
そして死をも支配せよ。
私の傍らには砕かれた漫画石版と、
半ば書きかけの新しい詩の石版がある。
私の時期が至るのは何時の事か。
誰も私を相手に語る者無いが故に、
私は私を相手に語る事にしよう。
額の中心の不可視の息、それがハートへと達する時、眠りを支配し、
そして死をも支配せよ。
貧乏な人の方が金持ちよりも欲張りだ。
等価交換を無視して、
何倍の見返りを求めるのか、
一つ夢が叶うと同時に、
もうラットレースの餌食。
額の中心の不可視の息、それがハートへと達する時、眠りを支配し、
そして死をも支配せよ。
だから、唯一の救いは、
最早、私には欲望する十分な時間が、
残されてない事だッ!!
> そして死をも支配せよ。
誰かが結び目をほどくように
この世からすべての母はいなくなってしまった
それからというもの
わたしたちはわたしたちのてのひらに
なにかしら母と呼べる物を乗せ
黄昏の明かりにそれらをかざし
祈るように透かしてみては
検分し
わたしたちの遠い死までのあいだ
めざめればいつもひとりであるように
とじられたまぶたの裏側で
この渇いた流れを
幾度も反芻してきた
形あるものすべて
不意に流れゆく定めであり
わたしの母もまた
夕暮に捉えられたまま
薄墨となりながされていった
夕闇の台所に
ふきこぼれた鰈の煮付けを
残したまま
>薄墨となり
>誰かが結び目をほどくように
>この世からすべての母はいなくなってしまった
>鰈の〜
>中盤の説明くささが退屈です。
>レモネーダー
>形あるものすべて
>不意に流れゆく定めであり
>わたしの母もまた
>夕暮に捉えられたまま
>薄墨となりながされていった
>わたしたちの遠い死までのあいだ
>めざめればいつもひとりであるように
>とじられたまぶたの裏側で
>この渇いた流れを
>幾度も反芻してきた
無い物ねだりだと知っていても
請うのです
欲しい。と
涙を落とし 叫んで
その姿をみっともないと思いますか?
醜態を晒してるのでしょうか
それでも構わないのです
手を伸ばして届くのなら
触れたい
けれども
愛おしくて触れられないかもしれません
人は時に ひどく臆病ですから
それでも 欲しいと願う
その姿は愛おしくありませんか?
>丁寧につむぐ
>触った者勝ち
塩化ナトリウム
失くしてしまいたい部分は
その輝きが
頬に移された後で
>この作品の行間に入り込んでいくのは、普通の読み手には多分無理… とありますが、今の読み手にはです。
> (本当はそんなものはないし決めたくもない)
>Canopusさん、
>形而上的な感興
だいたい お運び女というものは
母性本能が肥大しすぎている
あいつらは 一番卑しい職業についている
毎日 街角の喫茶店で男を待ち構えている
腹の減った男どもを!!
自分の母性本能を膨らませ
その母性本能をさらに母性で育てながら
男どもは皆 喫茶店を目指す
腹を空かせて!
腹を空かせた無力な男どもを
お運び女が待ち構えている 喫茶店で!
気をつけろ お運び女が待ち構えているぞ!
母性本能の餌食だぞ!
男どもはただ飯を食いに行くと思っている
お運び女のいる喫茶店へ
腹を空かした男どもの顔は
お運び女の母性本能を刺激する
だめだ!!
あいつらの母性本能を
これ以上肥大させては!!
大盛なぞ頼んではならない
メニューのスミに書かれている
それは ワナだ!!
客に追加の150円を払わせておいて
巧妙に隠してはいるが
それは ワナだ!!
お運び女が
ハヤシライスのライスを大盛に盛るときに
母性本能はこれ以上ないほど刺激される
だから やめろ!!
大盛は頼んではならない
たとえ150円払ってもだ!!
お運び女の母性本能は
じっと待っている
男が腹を空かせてくるのを
イソイソと通ってくるのを
待っている
街の片隅の喫茶店で
雨の日も 風の日も!!
ニヒリストは食卓についた。
テエブルの上には空っぽの花瓶がある。
花瓶の中からは女の悲鳴が断続的に聞こえる。
ニヒリストは両手にナイフとフォークをもっている。
若い召使がサラダをニヒリストの前に置いた。
ニヒリストは持っていたフォークで召使の胸を刺した。
召使は微笑して目の横に小さな皺を作った。
ニヒリストは召使の胸からフォークを引き抜き、血のついたそれをペロリと舐めた。
ニヒリストの向い側には白髪の紳士が腰掛けている。
ニヒリストは「おはようございます」と言った。
「今朝はやけに暗いな」と紳士が言った。
ニヒリストは手の甲でサラダの皿をテエブルの上から払い落とした。
皿は真っ黒な大理石の床の上で砕けて消えた。
サラダは飛び散って、待ち構えていたウサギがそのサラダを食べた。
ニヒリストはウサギの背中にフォークを突き刺した。
召使がニヒリストの前に空の皿を置いた。
ニヒリストは突き刺したウサギをフォークで持ち上げて皿の上に置いた。
紳士は黙ってこの光景を見ている。
ニヒリストはゴリゴリと音を立てて、ナイフでウサギの背骨を横に切った。
ウサギは、まだサラダの切れ端を食べている。
ウサギの赤い目に、ニヒリストの顔が映った。
ニヒリストは皺くちゃの顔、歯のない口を開けて醜く笑う。
紳士は腕時計を見る。
花瓶にはいつの間にか花がいけてある。
小さな花瓶には不釣り合いの巨大なヒマワリの花。
ニヒリストは声を出そうとするが、スウと空気が漏れただけで言葉は出ない。
召使と紳士は白衣をきている。
ニヒリストの目から涙が流れる、深い皺に挟まって顎まで届かない。
遠くで汽笛の音が聞こえる。
看護婦がニヒリストの口から酸素マスクを外す。
汽笛の音は、ニヒリストの枕元にある機械から聞こえる。心拍数はゼロ。
ニヒリストのベッドの下から赤い目のウサギが出て来る。
ウサギの背中には大きな傷跡がある。
医者はウサギの傷跡をチラと見てから窓の外を見た。
「今朝は、やけに暗いな」
ホンジツハセイテンナリ
今日もまた
何百人死にました
ブラウン管の向うで
犠牲者がみんな
ローマ数字で一括り
それを見る人達は
茶碗片手に
可哀想な話と言う
それを読み上げる
ブラウン管の向こうで
数字をデカデカと出す
悲しいのは数ですか
あぁ
何百の死者に
何百の追悼捧げ
名前も知らない
何百の死者を送る
ホンジツハセイテンナリ
悲劇なんて
ただの運命の束です
あぁ
日本晴れ
この晴れた日にも
多くの死者はゆく
ホンジツハセイテンナリ
今日もまた
見知らぬ死者に追悼を
町田の町子さん、病気です
と、医者は繰り返す
わたしは、待合室の壁にもたれかけ
こわれかけたビデオデッキが再生している映画を、
それがとてもカラフルだったら
とても良かったのに、なんて
決して簡単な治療ではないというのに
いったい、誰のための手術なんだろう
あなたの笑顔には見覚えがありません
あなた、あなた、ああああなななたたたた
と繰り返してみても
だんだん夜が不思議に明るくなるんです
星とか、
犬とか落ちたり
なにかをなくしたみたいな気分で
それを言い訳にできたら
もっと強くなれるような気がするけど
それにしても、覚えることと忘れることは
どっちのほうがむつかしいんだろう
わたしは、もう覚えることをしたくありません
うしろからいつも逃げたくなる人には
やさしい挨拶を、はらわたが煮えくり返って元に戻るまで
やりなさい
ああ、わたしの家には出口が一つしかありません
だからといって
一度入ってしまうと
出ることは簡単じゃないんです
それを知っているから
みんな知っているから
そんなことさえ忘れていると思うんです
町子さん、ねえ、町子さんってば、聞こえていますか?
東京のはずれで
わたし、あなたがしあわせに
今日も明日も生きていることを知っているんだよ
プラタナスの樹を見ているとその呼気や全霊
から言いたいことが折れた矢印のようにつき
刺さってくる。
おれが季節に打たれるようにプラタナスの幹
もその根も枝も打たれている雨が沈黙をまね
るこの世界で。
プラタナスの指に似たみつ葉は人間と比べる
と欠けていてひとつの葉脈から言葉がきて遥
かな雲を探る。
べつの葉脈にそれが伝わり枝へ幹にと損傷を
うめ終におれも黙りこむだろうプラタナスの
矢印に打たれ。
川は揺れ 子供は映し出す 川の奥に小さな鎌を。誰かからおまえへと、ふたつの瞳を僕は見ていた。ああ、おまえは橋のうえで死を数える 一度、二度 三度目には優しい神様が降りてこられるでしょうか
「真実を隠しながら?」
数えて終わらぬ黄金の月…
水の奥に隠される 月の光に染められた鎌のこと、
漏れる光もなく 消えていくものたちは果てのない海へと歩き 遠く懐かしくよみがえった友の姿も 幻に包まれた闇のなかに消えていき 鎌だけが
光を反射し、輝いている
かがやいている
海は永遠を見つけ 嘆き悲しむその魂は、少女を夢見る僕だろう。そうだ、やがて月は離れ 眠りのなか切り裂かれた少女の血に群がってくる汚らわしい狼たちよ 忘れぬように刻むがいい 終わりのない記憶を
「おまえは風に吹かれて ひとり 冬の風に流され ひとつの悲しみの終わりまでをも歌にして 僕とおまえにどんな運命が待っているのかを決めた さあ、僕に教えるがいい 早く」
さあ、 早く
(海は待っている 永遠を、 僕は聞いた 海の怒りを、たちのぼる霧に連れられ 無ではない夢を視る。僕は何も確信出来ぬままに 黄金はただ降りてきて 短い冬が終わろうとしている。 夜ごとに死がいれかわり、いれかわり、 ふたり 誓い合った日を遠くに眺めながら・・・)
僕がおまえを川に流したことがあった、
息をきらした霧が生み出した太陽は水面に少女を描いて 煙のように消えていく おまえの影は霧に包まれた川のなかに…
ひとつの悲しみから星たちは川へと沈み 永遠の海は遠くへと離れていってしまった。おまえは知っているだろうか いま見える あの川に 千の星が流れていることを 静かに嘆く 運命の声を、 子供たちが隠したあの鎌の存在を、
僕は知っている 夜は続くものであり暗い夜には光を 黄金の月を遮るおんなのまえを歩くとき心はあらず 悲しみと怒りが支配する。死の影に隠れながら 月光とともに逃げはじめ おまえと太陽の失意を抑えることができたならと
ああ、明けぬ日に僕らは集い 通りに雨は降りしきり 僕たちはめぐりあった 大きな月が冷たく沈み 雨があがれば風が吹くので僕は雨があがらないでくれと願うのです 雲が流れて月をかくす 冬に晴れてはおまえの声がきこえない じくじゅくとその身に太陽を浴び 深い霧のなかでおまえの記憶が落ちていた
僕はそれを拾い 何をしようと思ったわけではないが(思うまえ、だったのかもしれない)まだ春は来ないよとおんなが呟いた いつかの春の終わり おまえは僕に小さな人形を渡したね あれが最後になってしまったが あれも音をたて
旅立っていってしまったよ
冷たい風が僕の顔を撫でる 思いも形も遠くへといってしまった 橋のしたには星はなく 空は暗くなっていた 消えていく過去のすべてに鎌を振ろうか? もしも永遠がなかったとしても 去りゆくものが最後に笑っていたのであれば
ふと懐かしさで目を覚ますのも
悪くはないだろうと思う
駅のホームを 小さな女の子
お母さんに 手をひかれて歩いてる
少し前までは 微笑んで 歩いてた子
今は白いよだれかけが 可愛くまかれている
行きたくないと 手を握り返すだけの 女の子
足元に落ちる 涙を踏みしめて
ごめんよ ごめんよと つぶやき 歩くお母さん
もう少ししたら この 病院前の
駅のホームを歩く事さえ できなくなる
ホームに人の声が 花咲き
人の歩く 靴の音を よけながら
母親と女の子は歩く
一日も長く歩けるように 母親は 手を引く
行先は 知っているけど 今を歩く
我が子の手を握り締めて
やがて脳が萎縮して つぶれ行く日まで
我がこの手を 引き 行先へあるく
「皆様 始めて投稿させて頂いています 宜しくお願いします」
ちいさな ちいさな さっちゃんちには お風呂がない
おおきな おおきな あっちゃんちにも お風呂がない
ふたりは5さい
「3時だよ あっちゃん 来るよ」
おばあちゃんが 叫んでる
リカちゃんと 石けんと シャンプーと・・・
「さっーちゃーん おーふろっ」
あっちゃんの さそい歌
ドッドッド 「バスタオル!」
たてつけ悪い引き戸を 「線路」にそって あ け る
と
真っ白
ふわふわの世界
見上げた空も 白みがかっている
この辺の子どもたちの おもちゃは
雪 と 氷
おとなたちには 雪と氷が おそろしい
今年も何人の生命(いのち)が消えるのだろう
屋根から落ちる 重い 重い 雪に埋もれて
だけど、 さっちゃん と あっちゃん には
おおきな つららは 千歳飴
はやり歌を うたいながら
いざ 「富士山」 へ
ここからは 急に いい子に なる ふたり
「バチャン」 しようものなら
よその おばちゃんが ごづんする
ケロリンの おけには さっちゃんの
リカちゃんが うかんでる
「いいなぁ・・・・・」
「こないだね、 ようこちゃんの おばちゃんに
ここで もらったの 」
リカちゃんは ふたりの 妹になって ほっとしてる
からだを ふいて いっしょに あがろっ
いそいで きがえて
(「ジュースは みちゃだめ」)
さあ、外に
さっちゃんは あたまを バシャバシャ 振っている
ふとみると あっちゃんも・・・
こないだ 外人さんが してた
三つ編みだらけの髪。
あっちゃんも あのテレビ みたんだね
「じゃあね」
おおきな おおきな あっちゃんと
ちいさな ちいさな さっちゃんは
手をふりあって 反対の道へ
「しあさって、 またこようね」
透きとおった お星さまが 落ちてくる
手のひらにのせ じっと みつめる
ゆくり ゆくりと さよならしていく
残ったのは 涙の しずく
「さっちゃーーーーーん」
屋根のうえで おじいちゃんが 鉄の シャベルを 振り回している
「ただいまぁーーーーー」
今日こそ おばあちゃんに
大根湯 を つくってもらおう
年に1度しか つくれない
大事な 大事な 大根湯を
※大根湯:たくあん用の大根の葉を干したものを入れた湯に
手足を浸して温める。しもやけに効くといわれるが、
年に1度しかしてもらえない。
静寂を乱す自己嫌悪
蛇口は壊れて治らない
焼酎・日本酒、栓にして
押し流したが逆流す
鏡で見れない自分の吐瀉を
睨んでくれるな、木彫りの熊よ
>ケムリさん・苺森さん
誰にも見えない道を駆け抜けたら一筋の光が見えてきた
止まらない衝動をなんとか抑えようとするけど
君の体から溢れ出るエネルギーが外へ飛び出そうとする
酷い光景からも目をそらさないで
そこにある現実を心の中心で受け止めて
この星でまだ苦しんでいる人がいる
これ以上みんなの涙は見たくない
ここにある真実を心の底で受け止めて
たった一人じゃなにもできないから
ここに住むみんなの力が必要なんだ
世界中に腐乱する嘘を見極めて
その中に埋もれている真実を見つけ出すんだ
このトンネルは出口がないように思えるけど
まっすぐ歩いていけばきっと出口は見つかる
君のいる場所はまだ誰にも見えないけど
きっと風が通り過ぎる頃には何かが変わっているはず
どこまでも続く獣道を無理やり進んだら
君の心が冷たい雨に濡れてしまう
嘘に傷ついても 真実に絶望しても
まっすぐ前だけを見て自分の進む道を探していこう
それが今君にできるすべてだから
湖底の朽木となって
魚のはねる音を
聞いていたい
>古典文学にそんな定石があったとは・・・
>すごい聴覚があって、遠くの水音を聴くというのであれば、他の音も聞こえてきていいはずです。選択的に聞くわけでしょうか。
>すなめりさん
>短詩の場合、現に存在するものへの眼差しが必要だと思うのですが、
私は傘になりたい。
父は雨が降っても、傘をささずに、ずぶ濡れに
なって歩いて行ける。濡れた衣類の重量なんて
気にしないし、他の人も自分と同じだと思って
い、る。(自殺願望のことだって。)
父も私も自殺率の高い地方の出身だ。冬には街
の人みんな、うつ病になる。(酒でも飲まなきゃ
やってらんないよ!)父が豆腐の入った皿を割
り、脳みそのように飛び散る豆腐の残骸/踏み
潰しながら、私は私の食事をしていた。
、グチャリ (そばでは母が殴ら
れていた)私の空間からは遠いと
ころ、電話の音はサイレンに聞こ
えた。
/何かを救いだと感じる、病んでいる。(止ん
でいる? 救いは救急車でしょう?)私は父か
ら生まれたんだ。分娩台の上、前かがみになる
父から、卵のように。この豊かな国に生み落と
された
、のです。私たちは生まれたとき
から、絶望する術、を、持ってい
る。(個人個人で違うやつを。私
にとっては父。)幼い頃、大好き
だった父の背中を見ないで育った。
(見ないで育ったから、大好きだっ
た? 尊敬しています、お父さん。)
虚像の背中だけで、十分だったん
だ、私には。
生まれたときから、ずっと、弟は父の背中ばかり
見て育った。だから、弟は 雨降り、傘をささな
い。ずぶ濡れの衣類の重量も(自殺願望のことも)
気にせずに。/私は傘になりたい。穴があいてな
くて、向こう側のはっきり見えるビニール傘に。
(できれば、柄が錆びていないとうれしい。)
「雨は当分止みません
よ。傘を買ったほう
がいいでしょうね。」
と、傘もささず、ず
ぶ濡れで歩くみすぼ
らしい親子に言いま
す。
/私の向こう側の空間では、豆腐の残骸が家族た
ちの足でさらに激しく踏み潰されている。必死に
父をなだめる幼い弟の鳴き声(サイレン?)/私
にとっては、電話も愛しき弟の悲痛な叫びも似た
ようなものです。
外では、雨が ぽつり ぽつり と、降り始め。
(やがてすべてを流しさっていくであろう雨)明
日は土砂降りですか。天気予報が気になります。
私には家族の中で、明日の天気を聞ける人がいな
いのです。「明日、雨みたいだよ。傘を持ってい
くといいよ。」と、私のほうから言うばかりで
。(私たちは家族ですか?)
自分で割った皿と豆腐の残骸を片付ける
父と、
ひたすら発狂しつづける
弟と、
何か秘めたように黙ったままの
母と、
/私の食事を続ける
私と、/
みんな孤独だった。
そこにあるのは私の知らない家族でした。十数年
過ごしてきて、初めてその存在に気づいたのです。
しかし、紛れもなく私の家族。/私は、このとき、
初めて生まれたのです、この世界に。(望んでも
いないし、望まれてもいない。)
/明日も、雨です
か?みんな。私は
みんなが大好きだ。
みんなの家族で幸
せだよ。母よ 父
よ 弟よ/私は私
の食事を終えて、
ごちそうさま の
代わりに言います
。/ 私は傘になりたい。
>豆腐の入った皿を割
>り、脳みそのように飛び散る豆腐の残骸/踏み
>潰しながら、私は私の食事をしていた。
>私の向こう側の空間では、豆腐の残骸が家族た
>ちの足でさらに激しく踏み潰されている。
> (できれば、柄が錆びていないとうれしい。)
> (望んでもいないし、望まれてもいない。)
>……それについて何からの拘りをいだく人間にとっては「現在」でありつづけている、ということの象徴のように感じました
>傘になりたい
>父が豆腐の入った皿を割
>り、脳みそのように飛び散る豆腐の残骸/
>私の向こう側の空間では、豆腐の残骸が家族た
>ちの足でさらに激しく踏み潰されている。
>穴があいてな
>くて、向こう側のはっきり見えるビニール傘に。
>(できれば、柄が錆びていないとうれしい。)
>(やがてすべてを流しさっていくであろう雨)
>コントラさん