白夜が溶けて、素足が冷たい色をする頃。
部屋中の鏡に目隠しをしてから、私は安堵の眠りにつく。
何にも覗き見られたくは無い。
例えそれが、目を閉じた自身だとしても、恐ろしい。
奪われる白昼は、今宵にその続きを吐きかけて、
私が瞼に視る物を常に鮮明にさせている。
火照る四肢は、きっとそれのせいだろう。
そして。
覚醒を強制するかのように、「これでもか」と、
超現実的な恐怖を突きつけて、引き金を引こうとする瞬間に女は微笑う。
それは、私にとてもよく似た女だ。
全てはそこで終わり。
私は、私の手が私の身体を保持しようと握り締めている事に気付いては、
安堵の雫を床に浸す。
そんな事が、同じ色をした昼と夜に、
只続いて行くだけ。
この青い中に光の射す部屋でさえも、
私を一人には、させてくれないのだ。
無造作に置かれた家具たちは
死んでしまったように目を瞑り
いつも そういつまでも私を見てる
ガラクタまみれの部屋の隅
置かれた箪笥の引き出しに
私は何を仕舞ったのか
開ける勇気はなくて
ただ回想するだけ
悲しみを仕舞った?
いいえ、たまに心が痛むもの
喜びを仕舞った?
いいえ、確信はないけどまだちゃんとあるきがするわ
思い出を仕舞った?
いいえ、幼い時のたくさんの感情をまだ憶えている
分からない
だからいいのかもしれない
何を仕舞ったのか
分からない様に
分からないを仕舞った
私がどんな人間なのか 何をしていたのか
分からないように
知っているのは箪笥だけ
隅に置かれた箪笥だけ
誰もいない書院庭の縁に
半跏座を組んで
呼吸をゆっくりと落ち着ける
目の前の池には 石の上で
亀が空を見上げている
木々にそよぐ風の音
虫の飛ぶ音 鳥のさえずり
踊り落ちる竹の葉に
水澄ましの波紋
石の上に二匹の亀
そこに別の亀がやってきて
石の上にあがろうとする
石の上に乗っていた
大きい方の亀が場所を譲る
木々にそよぐ風の音
虫の飛ぶ音 鳥のさえずり
踊り落ちる竹の葉に
水澄ましの波紋
石の上に二匹の亀
甲羅が乾いている亀と まだ
濡れている亀
そこへまた別の亀がやってきて
石の上にあがろうとする
二匹の亀は場所を空け
石の上には三匹の亀
木々にそよぐ風の音
虫の飛ぶ音 鳥のさえずり
踊り落ちる竹の葉に
水澄ましの波紋
石の上に三匹の亀
甲羅が乾いている亀と まだ
濡れている亀二匹
そこへまた 別の亀がやってきて
石の上にあがろうとする
三匹の亀は場所を空け
石の上には四匹の亀
木々にそよぐ風の音
虫の飛ぶ音 鳥のさえずり
踊り落ちる竹の葉に
浮力を失った水澄まし
のた打ち回る水澄まし
水面に描く竹の葉の紋様
石の上の亀たちは
すこしも動くことはない
のた打ち回る水澄まし
溺れかける 水澄まし
木々にそよぐ風の音
虫の飛ぶ音 鳥のさえずり
踊り落ちる竹の葉に
どこからともなく
黄金の鯉が現れる
日が翳り 彩度を失う世界
黄金の鯉
ゆらり泳いで背びれを見せ
のた打ち回る水澄まし
下を通ってまた
どこぞの茂みへ隠れてしまう
木々にそよぐ風の音
虫の飛ぶ音 鳥のさえずり
踊り落ちる竹の葉に
消えてしまった水澄まし
姿の見えない水澄まし
静けさ という音に満ちる
書院庭の縁
四匹の
亀の甲羅は 艶を消し砂色
木々にそよぐ風の音
虫の飛ぶ音 鳥のさえずり
踊り落ちる竹の葉に
消えてしまった水澄まし
姿の見えない 水澄まし
大きな亀はどこへいったか
目だけ動かし
池を見やると
すぐ目の前を
顔だけのぞかせ
現れた
が
またすぐに沈んで
どこぞの茂みへ隠れてしまう
木々にそよぐ風の音
虫の飛ぶ音 鳥のさえずり
踊り落ちる竹の葉に
主の見えない波紋 ひとつ
姿の見えない波紋 が
ひとつ
> 榊蔡さま
> tomoさま
谷底にポツンと生えた1本の樹を
4人の指導者が指差して
マイクロフォンで話をしている
西の指導者は今更 時間を気にして
言葉にことばを重ねて
表明している
あの樹は
黄色い実がなっている、し
幸せの実だ、わ
わたしはあの樹を、負う
あの樹をここに植え 育てた者を、キリスト
讃える メダルを渡す、うう
宇宙旅行を保障する、いい
家も与えよう、いいえ
家はどこがいいか、そう
そうだ この谷底にしよう、かな
この樹はあなたの子供だから、かしら
とても愛着のあることだろうから、たぶん
いえいえ何をおっしゃる
西の王よ
北の指導者がズブロッカを手にして
水を差す
谷底の水をご覧なさい
タブロイド紙を水に浸したみたいな黒さです
こんなことでは人は暮らせません
この樹が立派に育ち得たのは
ひとえにこの樹のモジョの賜物です
自助努力こそが繁栄をもたらすことの
良い反映です
南の指導者が躁を伴って笑い出す
アナタガタノ御託ニハ生ガナイ
生トハ焼
焼キ尽クサレタ畑二
アナタガタノ姿ハ見エナイ
セメテ南米文学ヲ読ミナサイ
ガルシアマルケスコルタサルバルガスリョサ
カルペンティエルフエンテスマヌエルプイグ
ボボボボボボボルヘス
底ニアル燃エ立ツ生ノ姿ヲ
Don’t think, just feel
サスレバ
ソコニアル樹二対シテ
我我ガ権利権益私利私欲
主張スル謂レノナイコト
メキシコノ夕日ヲ眺メテ
落日ノ悲シミ認メルコトヨリ
明ラカナコトデショウ
東の指導者は
指導をしているのかどうか
判らない
後ろ毛はきれいにカールしている
口元の笑みは
狒狒の笑み
空虚な笑みは
ロランバルトのお気に入り
彼の頭の中にあるのは
谷底の樹が拵えた
幸せの味
彼の座っている椅子の脚は
4本で
3本は折れている
彼の3半規管は出来が良い
だから彼は転ばずに
62歳のままでいられる
いつまでも
樹の感受性は強い
人の愛の不毛を
察知できる樹になった
アルキメデス曲線で 身をよじり
反動をつけて 結実を四方に飛散させる
谷底の愛すべき樹
事実覚醒命中惨劇蟹脳味噌供与幸福
指導者たちの脳漿を
お天道様の下 ぶちまけた
脳漿が谷底に流れて
賢き樹の友の土と友になり
小高い丘ができ
時を吸って
ゴルゴダの丘となる
新しい指導者たちが
そこを切り崩し
新しい麻雀卓をつくったことは
言わずもがな
100年も先の噺
私は憶えたてのコトバをチューブから絞り出した。パレットに、並べ、血塗られたキャンバスに叩きつけた。モチーフは、ウミガメの抜け殻、ザクロの欲望、被爆した妊婦。それらを凝視すればするほど、それらは、私自身である。私は衝撃を待っている。すべてを破壊し粉砕する衝撃だ。私は私自身の手による犯行によって、切り刻まれるのだ。おまえはそれらの肉片を拾い集め、あれこれとつなぎ合わせる。おまえの肢体が美しくベッドに横たわっているその傍らで、ただ永久に未完成のままの不恰好な私という存在がそこにはある。副産物としての詩がヘソの緒のように私の頭部から垂れ下がったまま。そして、その先端でそれらの行数はまるで細胞分裂を開始するかのように、増殖し、走り始める。私の意志を置き去りにしたまま、まるで、私とは別の生き物のように、エクリチュールは増殖し、走り始める。今夜、私は犯行を繰り返す。アトリエにて、犯行は繰り返される。
>dさん
>Aye−Shalugaさん
>石畑さま
>>「詩」「行数」は直接的すぎ
>>モチーフは何でも構わない?
>>「迷い」に関する双方の主張がかみ合っていない
>。“迷い”に関する043BLUEさんのレスは、先にAyeさんが挙げた“迷い”とかみ合っていませんね。“観念”の迷いではなく“描写と観念的なバランス”の迷い。
>AyeShalugaさん
酒に はなびら
ひとひら浮かべ
のむほどに ふかまる
かなしみです
かの国の
ロンサールさながら
春のバラの つかのまに
色あせて ちりゆくさまを
讚えましょう
ひとの世は むなしと
匂いたつ懐古のゆめへ
おもいをはせ
酔うほどに いやます
せつなさの
歌よりも豪奢な
浪費にたえて
>丘 光平さんへ
>tomoさんへ
>みつべえさんへ
柿の木の腐りゆくさまは、なんとみものであろうか。わずかに、異臭を暗がりに放ち、ほとぼりが冷めるまでの年月を、奇妙なまでに再現しているのだ。村の各所からふらふらとつられるように出てきた衆は、もくもくと煙のように、腐りかけた果実をもぎ取るとやおら振り上げて、その角度を目線で愉しむ。とはいえ究極の快楽であった。腐りつつ、柿の木の周辺に散らばるように生息しておったのだ。そういう手順は必ず守り、たしかなまでに確実に生息しておったのだ。夜になると、鐘のように骨盤が揺れているから外出は控える村人が続出するなか、おぼつかない足取りで、骨盤をゆらしながらあの腐りかけている柿の木に、すこしずつ、すこしずつ、近づいてゆく若者達がいた。絶景かな、柿の香りになずませる呼吸は、目線よりわずかに上辺に位置していたために、若者達のわずかに毛細血管の走った赤い血走った目は、くるめきくるめき遊ぶように、てんてんと落とされてゆくのだ。月の出が悪いから、今夜はすぐにしぼんでしまうであろうと、誰もが思った。しぼむものしぼんで、それとて当然であるのに、若者たちは、とうとうしぼんでしまうに任せてしまったもので、あとには、残骸までもが死に掛けた魚のようにして、ことづけを待っていたものだから、柿の木は余計に腐り、腐りしてしまうのだ。ああ、これこそ絶景かな。そういう道理に、従うべきして従う、そう、絶景かな。柿の木は、いよいよ本調子で腐り始めたものだから、周囲はひえびえとして偽の小雪が降り注いで、それゆえ、ますます腐り腐りしてしまう。若者達も、揺れる骨盤の狭間に、横たわるようにして月の出を待ち構えていたものだから、月は、骨盤と骨盤の狭間で動けぬように固定されて、だから、こうこうと月は激しく、柿は腐りゆくに任されてゆくのだった。まだ、静かに飯の食える、結露の季節であった。
>stiGma様
>d様
�機,�みは・・・
その何かは 起こるのか
何かが起ころうとしている
闇の向こうに微かに光っている
繭の中で 震えている少年の心
「18歳を過ぎて生きている奴を 僕は信じない。」
「だって君は もう 21じゃないか。」
「そうさ だから 僕は僕を信じない。」
捜しにいかなくちゃ
捜しにいかなくちゃ
それを もう一度見出せば…
「身体は女だけど ぼくの魂はいつも少年… 」
「林檎いがい もう何も食べない」
何処へ行ってしまった
何処へ行ってしまったの
切ない心だけをここに残して
神経叢に絡みつく気管と血管
降る雪の結晶の先端まで見えてしまう
震える感覚の 記憶
白鳥も白いウサギも
信じられない
春が来ない
本当に春は来るんだろうか
来る前に消えてしまうのではないか
吐息のような私の本質は
不安の中に震えている
のは…
�供〔杣┐気譴震�
すべてに既知の網がかかってしまう
見たいものが見えない
触れたいものに触れられない
明解すぎる自己の意識
ジャックは切り裂いた!
誰か僕を止めて
自分がつきささる
言葉が痛い
僕だなんて
ねえ、もう何も見えないよ
捜しにいこう
救いにいこう
きみを
呪文が完成し 封印が解ける前に
すべての力は そのために蓄えられた
そのために 今日まで生きてきた
紅と青が交錯する
あの惨めな枯れ木が 宇宙樹 !?
暗緑の無明の荒野に
黄色の忘却の河の奔流
さまよう群衆の叫びが
聞こえない
紅蓮の乱層雲の空
終末を躍る怪鳥の形に
切り開かれた夜空の 大星雲
啓示の渦が
�掘ー�物
じゅぶつをつくってごらんって
くりはらせんせいが こっそりおしえてくれた
おとなになって たいせつなひとができたら
そのひとだけにみせるんだよ
すてられてあったもの
たぶんほかのだれもひろわないようなもの
それなのに きみがたいせつにおもえるもの
それでぼくはあつめはじめた
まえからもっていたのは
ごむのぴょこたんがえるのこわれたの
ひからびて めがないの
てとかおのはんぶんがとれて
うごかないろぼっと
ぷらもの ひこーきのはねと
たまむしのはね
ぶあついがらすの かけらはきのうひろった
ほーせきだってこんなにはひからないとおもう
きょうは きらきらひかるせろふぁんのきれはし
なにかのつつみがみだったのかな
しわとまがりぐあいがきにいった
じんじゃのうらで はんぶんこげたおみくじをひろった
なにかわけのわからない おはかにあるようなもじがかいてあったよ
なんだかこわいな
ほかにもあるけどつかれるからまたこんど
ひびがはいってはげたうるしの
ちいさなはこをみつけたから
みんなそれにいれとくんだ
でもほんとうはかべのしみとかひびわれもいれたい
くもや やまや かみなりや かわや
いろんなかおや どうぶつや かいぶつや ゆうれいや
いろんなものにいっぱいみえて
ぼくいつまでみててもあきないんだけど
やっぱりあたまおかしいんかなあ
あしたから らじおたいそうか
くりはらせんせいなんでしんだのかなあ
ぼくはすきだったのに
くりはらせんせいは じゅぶつ
たいせつなひとに みせられたのかなあ
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投稿を迷っているうちに、季節はずれの詩になってしまいましたが…
ご批評願います。
>くりはらせんせいは じゅぶつ
>たいせつなひとに みせられたのかなあ
「嘘つきな紳士に捧ぐ」
装わなければならない 理性の衣 道徳の靴
感情のヴェールさえも まことしやかに
ひとりの淑女を でっちあげる
今宵 葡萄の熟れる夜
わたくしという 装飾に
羊皮の手袋で 触れてくる あなたの手
「飾る花」
清潔すぎるバラしか
あなたは 愛せない
ニセものでない証拠に
甘やかな午後
花びらは 匂い立ち
あなたの 指先を 不意に 裂く
「届かない声」
わかっているのに なぜ想う
求めても 得られない 哀しみは
朝露を 浮かべる 野の花
どこにも届かない 声を出して
静かに 泣いていたい 朝
>「嘘つきな紳士に捧ぐ」
>理性の衣 道徳の靴
>羊皮の手袋
>わたくしという 装飾
>感情のヴェールさえも まことしやかに
>ひとりの淑女を でっちあげる
>「飾る花」
>あなたの 指先を 不意に 裂く
>「届かない声」
>求めても 得られない 哀しみは
>朝露を 浮かべる 野の花
先刻、起きたら
姿
鏡に映らないし
裸足で降りた
春迫る中庭のグリン、濃い影、落として揺れてる
のに、わたしにだけ、影がない
(わたし)
棘に足、取られて
こんなに血がにじんでるのに
痛くない
(じき、)
明るい日曜の昼日中
鉄塔にも
乗り捨てられたポンティアック6000STEにもあるのに
(死んでしまうのかな)
わたしにだけ、影がない
(一昨日
紙幣五枚、とバミリオンイエロのキャンディ両手いっぱいで、わたし、買われた
あんなふうにしてお金、もらうの初めてでひどくびっくりした
断ったのに、
キャンディ、もほんのちょっとだけで好かったのに、
ど、してもくれたがるからみんなもらった
かわりに
「内股の刺青。
(去年
フランクフルトで友達になった
キーファーに似た面立ちの若い彫り師が入れてくれた
日本では見えない星座の、
形)
美しいから俺に頂戴」
て欲しがるから、たぶん二度と会うこともないけど、やさしく触れる入り方も、
指も、それと、声も、悪くないから、
あげた)
先刻、起きたら
ああ、
違う。
きっと
眠ってるの、起こさないよ、にベッド、滑り出て
靄がかる白い朝を
タクシーが拾える処まで
(ただ、ずっと
キャンディ、かすかに、甘い、くちびる、噛んで
自分のつま先だけ、しか見てなくて)
一人
歩いてた時から
既に
こうだったのに気づいてなかった
だけ、で
(刺青、あげてしまったから、)
理屈、わかンない
けどアタマじゃなくて、ここに、すとん、と落ちるみたく
そう
わかった
クライシェが彫ってくれた、
星
いつの間にかわたしの一部じゃなくて全部になってたンだな、
て今更
右足のつけね、さみしい
わたし、あんまりに、うんとバカで
そんなしても、もう戻ってきやしないのに
声を上げて
泣いてしまった
>乗り捨てられたポンティアック6000STE
>フランクフルトで友達になった
>キーファーに似た面立ちの若い彫り師
>先刻、起きたら
>(死んでしまうのかな)
>わたしにだけ、影がない
>紙幣五枚、とバミリオンイエロのキャンディ両手いっぱいで、わたし、買われた
>声を上げて
>泣いてしまった
>蛍サマ、dサマ、光冨郁也サマ、榊蔡サマ
>蛍サマ、dサマ、光冨郁也サマ、榊蔡サマ
>蛍サマ
>dサマ
>光冨郁也サマ
>榊蔡サマ
>最後にみなさまへ
嘘。一瞬、目を背けたもの。
Earth Light Bar
地下にうごめく夜の要塞 もしくはディベート・ホール
理由はそれだけ?
そうね。
もっと理論的な意見が聞きたいな。
人と人の話す声 食器の鳴る音 コートの擦れるささやき
香水の誘惑 ガラムの甘い煙 隣りから聞こえる ため息
たとえばね、ゴクラクチョウのオスはメスを呼び寄せるのに
そのきれいな羽を使ってダンスを踊るの。
でも、メスを捕まえられる確率はほんの数パーセント。
逃す可能性のほうが断然高い。そういうことよ。
同じものを。
揺れるオリーブ
詳しいんだね。
きのうテレビでやってただけよ。
じゃあ、その説を転換して考えてみよう。
キミのそのキレイなコートは、ゴクラクチョウのオスの羽なのかな?
はぐらかさないで。
どうして転換して考える必要があるの?
沈黙
差し出されるマティーニ
メスを獲得できなかったオスは、その後どうなるの?
いずれ子孫を残せずに死ぬわ。それでお終い。
さびしいね。
そうね。
フェイクファー どれだけホンモノに見せようとしても
所詮 ニセモノ
ゴクラクチョウのオスの羽は ニセモノのようなホンモノ
あなたの求める理論的な答えになったかしら?
そうだね。でも、その数パーセントに自分の一生を賭けてるんだよ。
たとえゴクラクチョウでも、それが男だ。尊敬に値する。
揺れるフェイクファー 声を出さずに笑う銀狐
あなたって、本当に馬鹿ね。
それはどうも。
ところで、マティーニばかり飲んでるのは何かの暗示?
つまり?
終わらせようってこと。
ご冗談を。これから始まるんだ。ダンスタイムは。
もういいわ。私にも同じものを頂戴。
Earth Light Bar
その青の ひと時
>Earth Light Bar
>その青の ひと時
> d様
扉を開けて
そっと 足を踏み入れる
次の瞬間
厚みのある匂いが鼻孔にからみつく
夏は夕暮れ
窓辺の
白い椅子に
蝉のような生きものが座っている
その
爪ばかりがきりきりと伸びた指さきは
たまらず 求めてしまう
光 それは
まだ 家に帰りたくはない子供たちの頬を
薔薇色に染めてゆくのだろう
喉を枯らした僕は
生ぬるいソーダ水を飲み
外から窓を覗いていたことを
ふと
思い出す
夏の終わり
椅子は
音もなく 倒れている
夕焼けの窓辺に
ほんとうのわたしは
まいにち風のなか
けふをたべるための
おかねをかせごうと
せっせと お客さまを
まわっているのでした
わたしがおすすめした商品を
お買いあげいただき
まことにありがとうございました
これで けふもくらしてゆけます
むかし父が まいにち風のなか
せっせと かせいで わたしたちを
やしなってくれたように
わたしも こどもらのために
そしてなによりも あいする妻に
どやされずにすごすため
つつしんで おべっかもいいます
おかねよ おかねよ
すてきだね
ぶきような わたしは
ほんのわずか きみたちを得るために
あがなうべき けふの
大半をついやしてしまうのでした
お客さま ほんとうに感謝いたします
あなたさまがお買いあげになったのは
だれが売ってもおなじ商品ですが
サルでも金魚でも散蓮華でもなく
「わたしがおすすめした」ものですから
わたしが付加価値だったのですね
ふふふと笑って へとへとでかえった夜
わたしは かせいだおかねよりも
さらにまずしい詩など
あいくるしく
かいてみたりするのでした
>たもつさんへ
>tomoさんへ
母は、「パリの蚤の市で、買ったのよ」と言っていた。
手描きの花模様が愛らしく散っている、そのブーツ・グラスに、マーガレットの花をさしておいた。
水も替えないで何日もたって、コチコチと時計の音に刻まれていく花が、目に触れる。
茎も、葉も、澱んだ水にむせかえって、色を失くしはじめている。
きょう、七杯目のコーヒーを飲む。
レンジのティー・ポットが、沸騰しすぎて粉々になるのを恐れて、嫌々、コーヒーをいれては、飲み下している。
十一時、四十二分。
わたしは、なにをしていいのか、途方に暮れている。朝となく、昼となく、夜となく、独りぼっちで、もう何日も何日も途方に暮れ続けている。
このままじゃ、何かが始まるまで、お湯を沸かしては、コーヒーを飲み続けてしまいそうだ。
立ち飲みのコーヒー、朽ちていく花。食欲のわかない、性欲のわかないわたしが、お湯を沸かし続けてしまう、春の日の午後。
気になっていたあの場所に、行ってみようか・・・。
いつかそうしなければ、と思いつづけてきた、あのことに決着をつけなくては、ね。
けやき並木のあの場所に、誰かが立っている。いつも、いつも佇むように、わたしを待っている。
ハンドルを握りしめながら、深いブレス。通り過ぎるたびに、わたしの胸は、不自然に呼吸する。
真昼の太陽の下で、きょうこそ、決着をつけよう。きょうこそ、だよ。
レンジを止め、ネスレのコーヒー瓶を棚にしまい、カップを流しに置き、キッチンのドアを、勢いよく閉めた。
>いっそのこと散文にしてもいいかもしれません。
只今、ダーザインのPCがウィルスにかかってしまいぶっ壊れている状態です本人が言うのには1ヶ月くらいはつなげられないそうです
ここに書くのは違うかなとも思いましたが、取り敢えず連絡まで
暗いフローリングに寝がえる
サザンの古い歌を聞いていた
選択は 虚無以外の黒い躊躇を燃やし
11月のギフトは途方も無く吸い殻に砕けた
俺はイカれちまったのかもしれない
いや 酔いしれるよ俺を犯せ
例えそれが毒でも 君の指で流し込んで溶かす
蜃気楼じゃない 角を尖らせながら叩く風は優しくない
窓枠をカタカタ鳴らし 簡易な白い壁を壊し
俺は 積み上げながら異歯の笑顔を廻す
飽きちまったんだ
空間は 恐怖とか憧れの音律で
誰もが砂鉄の色を選ぶ
選んで広い荒廃した残骸の始末を 傷ついた瞳で舐める
揺らされた繁殖に髪は巻き付き 何度でも伸ばせる気がしたんだ
白日へ孵って逝くから
軽い動悸 壁一面の恐慌に俺の体温は巡り
流れないセセラギ 燕が半纏した置き去りの空がちぎれた
優しいから
3回喚んで9.5畳は変化を促す
固まっては心筋の腐乱が俺の中をなぞり
なぞって水性の雲に灼けほぐす
ガーシュイン
いや ラヴェルだ
脳波と無効の饒舌 憂い朱黒い回帰線が
揺らしながら咬み砕く
安楽に廻され 指の皺から響く何時かの叫び
自惚れられたら
爆音の生気を丁寧に棚に並べ
ガラスは俺の頬を切り撫で 裂いた記憶に興じる
焼け墜ちた血の皿に 幾つもの音を重ね
削り併せながら残膠と消えちまう
移ろい
澱みに染み渡る沸点に沈黙だけを殺した
諦ならぬ想像やら逸脱を得るから
焼身しやがて滑り込む陽射しに 光射しない場所を望み
俺が初めて見上げる木目さえ モノロオグは消え遠ざかる
俯角窮まりない 暗くなぜる右側に微睡み 微睡んで
そこで俺は弾んだ
切った水面アラート 稚気と気泡は絡まず割れ続け
移ろいがまた澱みながら罪の香りを解らせた
甚だしい 全くだ
俺は離れた
一度の過ちに左側はすべてに変わる
まるで響かぬ核 黒く細い明星だ
震え続け脅え続け 躰の糸をまだ乞えられぬ
すべてに投げつけ
音は消えた日の印象に死んだ
>ガーシュイン
>いや ラヴェルだ
激しい風もやんでしまえば
ほっこりほっこり 春の夜空
過ぎ去ってから わかること
あれはやはり春の嵐だったのか
冬のルシフェルも 今はまどろみの中
しばらくは 静かだろう
両性具有の御使いが 剣を収めて
微笑んで 銀に輝く粉撒けば
ああ 春の星座
さて狂乱の一幕物も 終ったようだし
春のピエロのおいらの出番
ひょっこりひょっこり
星の夜空で 綱渡り
空中ブランコ 宙返り
あれは スピカで乙女座か
アークトゥスは牛飼い座
デネボラとレグルスは 獅子座かな
白鳥と白ウサギ座は何処?
ほお〜い ほお〜い
だれか おきてはいないのかあ〜
地上に 静かな湖は
今宵の星座を映してる
雲のような残雪も見えるが
漂う香りは梅の花
地の星のように咲いている
明日はきっと陽をあびて
土手の土筆も 顔を出すだろう
(05'3/5)
私が外界とつながれるのはこのコンピュータがあるから
電源を入れて眠りから覚めたら
私はもう街を歩く人と同じ
暗い部屋
唯一許された外界との交信は
唯一残されたあたしの生きるすべ
時間は少し
窓から見える落ちかけた太陽が
沈んでしまうまで
時は少し
洞窟の奥潜んだ神が
お腹を空かすまで
もうすぐ太陽は消えるだろう
もうすぐ神もお腹を空かすだろう
最後の生贄から
一週間たった
もうすぐ私もここから出られる
着物をまとい
神の元へ
すべてはゲームだと言ってしまえば
可愛い修道女を泣かせずに済む
身を投げ出して捧げた愛
永遠の虜にした貴方様を恨みます
自分を罰する事が出来ないので天秤が仇討ち
盛る犯人を封じこめても真昼の惨劇は再燃
破れた心に何を問いかけても
ただ恨み節を吐き捨てるのみ
街中で破れた作業服は贋作を歌い
青い若葉を蜃気楼の向こうへ連れて行った
狂気を演じたオペラ座の歌姫の想いは届かない
宙吊りにされ ただ消え去るのみ
工作員は秘密警察でポリバケツを覗く
糸電話は伝書鳩に早送りで臨時ニュース
素知らぬ顔で乳母車を押す主婦
安っぽい演技で客を魅了せよ
商人は墓前で誇大広告
儀式は金を引き出すための道具と化した
鳴き屋は そろばんで小芝居を打つ
坊主は金屏風で脂肪遊戯
秀才には非常識を教えよう
自由と引き換えに自由を亡くすだろう
祭囃子は遠のき
サンバのリズムがやって来る
虚ろな悲しみより殉職を選ぼう
国葬級の持て成しで泣いてあげるから
蘇えらぬよう
風よ 骨の砂を運んでおくれ
(哀しみに 身を投げた 多くの日々があった)
どしゃぶりの空を 見つめながら
湖に 身を沈めた
身体の苦しみを 極限まで
飲みこみながら 沈んでいくと
雨と波に 乱れていた水面は
いつかしら 静まって
透明に 澄みわたっていった
湖底に横たわっていると
水面を透かせて 星空が 見え
湖水は 空気のように…
私は 緑の丘の上に寝転がって 夜空を仰いでいるのだった
やがて 影のように起き上がって
歩きながら こう思いあたった
生きるとは 宇宙から身投げして
地球という 水底で 溺死体として
ながらえることであったのか…
生まれかわる度に 身を投げる 生もある
君を知ることは
自分を知ること
他者がいない
すべて違う日の 自分の姿
誰とも 話ができない
じぶんを われわれ と言いたい衝動を 抑えきらなくちゃ
複雑怪奇な このラビリンスの地形
筆名という地名たちをつけ 曼荼羅という秘図さえ手にすれば
海月 水母 kurage クラゲ くらげ
どこまでも増殖していく じぶん
彷徨い 漂い まどろんでもいたい
自分の毒に 脳をいためても
優劣をつけるためにラベルを貼る あいつにはつかまりたくない
予告編ばかりで 作品は未完
最大の謎にしてライフワークだとは聞くが
なんてやっかいな
ああ ああ
お高くとまったそのお名前は
いい値がつきそうですか
クソ食らえ
糞便垂れ流しのこの快感
すべての「私」に自由を!
半透明で 骨もない
それでも
きみがすきだ
だから きみの哀しみが痛い
その痛みの中には いつも じぶん がいる
世界を知ることは
じぶんを知ること
すべてを愛さなければ
じぶんが 救われない
積み木のような背骨が
薄宵に連れ立ち
赤剥けた涙腺を
産毛を
風の巷に洗っている
空洞は無力を湛え
石の沈みへ身を委ねる
きみの海底
その燦光に滲む街
体温を貫けて伝わる
互いの迷路の触感に
細々とした言葉は鳴る
それを車道が
掻き消していく
煤けがちな
柔らかに耐える生活
赦しあう以外何もない
この骨格の重なりに
呼吸をつないだ
記憶が行き交う
触れたままに
淡い
指は涙を溜めている
―― 夕凪は
濡れた砂が
耳朶を打ち
小径のわきにうつぶせば
久遠なぞ
無きものに思えた
―― まぼろしだった
頬に触れるはむらに
水滴ながれ
芳醇な香が
光の条を妖しくする
―― 山門紅く染める黄昏
耳を
ふさぎ
ひとり佇む
濡れた砂、否、今となっては焼けた砂の渦の中
―― 川面にうつるうつつはまやかし
欄干に凭れ
毒薬
こぼす
ほとりでひとり
―― この雑踏のこの寂寥
振り返った
のに
誰も
いない
―― わたし
竹蜻蛉を
拵え
天に上るそれを
猛然と
猛然と追い
ぼくは龍と二週間ほど同居したことがある
猫のフクちゃんが何かひらひらした
長さ30cmくらいの紐とじゃれて遊んでいた
それが龍だった
あまりに哀れに干からびてたんで
風呂場で水をかけたら ジュッという凄い音がして
あたりが湯気でみえなくなった
風呂場の入り口で首だけ出して覗いてたフクちゃんは
バクチクが破裂したかのようにすっ飛んでった
視界がようやく開けたそこに
龍が浮かんでいた
以前 飛行機に乗って
上空から関東平野を眺めたことがある
平野のいちめんにうっすらと灰色の空気の膜がかかって
それはいちめんのスモッグで
こんなところにぼくは帰るのかと
暗澹たる思いをした
龍も同じ風景を視たのだろうか
こんなとこには霞はかかりはしないのに
はたして龍はタバコの煙には徹底的に弱かった
昼飯のお粥は箸を使ってペロリと食べた
フクちゃんはテレビ台の下から出てこなかったけど
二昼夜ほどして ようやくお気に入りのクッションで丸くなった
でも耳はピクピク動いていた
部屋の真ん中に龍 行儀よくとぐろを巻いて浮かんでて
チロチロと小さな炎を吐いて あ 鼻ちょうちん
新たに購入した空気清浄器の甲斐もなく
龍は日に日に弱ってちゃぶ台の上でぐったりとしていた
しかもフクちゃんまで思わぬ同居人に不貞腐れて
プチ家出をしちゃったんで
ぼくは龍を山に連れていく決心をした
上高地や安達太良山がいいか と訊ねると
龍はゆっくりとかぶりを振った
仲間はどこにいるのか との質問にも首を横に振った
ぼくは知った
人が龍を想わなくなって龍の個体数は減少の一途を辿ったのだと
そして彼こそが
日本最後の龍なのだと
ぼくは龍を信じよう
龍と暮らした二週間を胸に抱いて生きよう
ぼくは龍と卓を囲んで最後のお粥を食べて
お気に入りの この街でいちばん見晴しのよい丘で
龍とさよならをした
昼の白い月は思ってたより大きかった
龍は人間式のさよならをぼくに返して よたよたと
灰色がかった青空の彼方に消えていった
龍の通り過ぎた後には虹が架かるのだと
この時 初めて知った
>龍は人間式のさよならをぼくに返して
>作品全体として、或いは作品としてみるのならば、
>その焦点は全て出会いと別離に収束されていると読んでいます。
>これは明確な普遍です。
>言ってみれば龍である必然性がまったく感じられません。
>失礼ながら置き換えを行うのであれば、犬でも猫でも、
>あるいは葦であっても何の問題すら感じません。
銃声は乾いていた、混声十一月の幸運を跨いだ我がシーレンよ!厳格なる重門が破られ、公園を駆け抜けた凶暴な風、髪振り乱し、新たなる、そして撃鉄!目を真っ赤に腫らした瞬きもせぬ子供等の心を薙ぎ倒し、暗く燃えていた青春への憧憬が白い翼を喰いちぎろうと!一斉に空を仰いだ軍旗、嗚呼、安寧なんてどうだ!人が人を殺すぞ!草臥れた娼婦がひざまづいただけだというのか!石柱に叩きつけられた鼻がひん曲がるよ、時代という時代にゃいつも道標が倒される鬱屈!僕は道の真ん中突っ立って見上げてんだ宇宙、逃げ惑う人の流れと悲鳴が打つかってきて、その縫うような隙間を銃弾が笑ってるなんて!霧しぶきの血舞って僕はずぶ濡れてんのに、心は眠っているみたいだよ!だが途端、予感にはっとして僕は群衆の直中へ飛び込み、抱き締めたのは踏み潰され無惨な形骸の幼子の最期の呼吸!僕さえ蹴散らされながら泣き叫んだのだ!太陽よ!おまえが僕になれ!この苦悩の深奥を照らせ!惨めな嗚咽がこの胸を灼き尽くしたなら振り返ったおまえにさらなる希望を魅い出す!ああああ!革命よ!魂の果て無き軌跡よ!!
折れた 爪 破れた 膜 割れた 唇 かき混ぜて
こどもの輪郭を形作ろうとしても
流れ出す泥のようにとめどなく
もう還れないとわかっていて
それでも尚、巻き戻そうとする
ねじ式クロニクル
鍵穴を覗いたのは あの子
樹海へと続く 道
幼い蜜蜂を呼んでいる 花園
柔らかな肌は誘惑に弱い
知らないことを知らない秘密、は
甘酸っぱい味がする
底のない沼があるという
それは少年少女を呑みこんで
ずぶずぶと成長していく おとな
おおきなものがちいさなものを食べる
食物連鎖、の一部
あちこちに散らばった 羽根
毟ったのは 後ろ向きに堕ちたものたち
飛び立てない駝鳥の舌
卵の殻は 固い
岩にぶつけても 皹が入るだけで
中身を見ることはできない
いくつもの頭が泡の向こうに消えていきそうで
沈んでは浮かび、浮かんでは沈む
カメレオン、カメレオン、
きみはどうして隠れているんだい
いいえ、隠れてなんかいないさ
周りと同化してるのさ
帰り道はない
風の音色になった見えないこども
ひゅうひゅう、と吹いている
ひとり、ふたり、さんにんー途絶えることはなく
次から次へと鍵穴は作られて
見つめる瞳が待っている
もう還れないとわかっていて
それでも尚、巻き戻そうとする
ねじ式クロニクル
金属質の鈍色、
ぽろぽろと耳から零れ落ちている。
>カメレオン、カメレオン、
>きみはどうして隠れているんだい
>いいえ、隠れてなんかいないさ
>周りと同化してるのさ
>ねじ式クロニクル
>帰り道はない
>それは少年少女を呑みこんで
>ずぶずぶと成長していく おとな
日没に 抱擁の石を喉に付き突けられ
思慕揺らぎて 白い刻に寄せる見知らぬヴィオロンよ
どんなに多くの遠い都会で 貴様の孤独な夜が
私の夜に歎いただろう
堕弱な人生の一時的な季節
暗雲に覆われた虚下
永刻の哀苦を終業為ようとも
幾億ものバランス形成上 唯一の歯車を廻せ
残酷なもの 美しい統合
否
或らゆる形象は浅く 全ては変わり逝く永劫の嘆きだ
消えろ
ふとデジャブの様に 神経を逆撫でる折
確実に貴様に忍び寄る おおきなもの
存在の証明より深く重く
時に怖く
赫い血管の上 恐ろしく透明な掌に
幾つもの青い灯ゆらゆらと
眩魂の赫い呵責
鳥居を潜り透明の微在に帰化する
やがて
闇の中繰り返す 美麗な水車に涙昇し
逝き場を求める惰輪の中
よろめき
幾千の光の貫光 恍惚に身を焼かれ
濃霧の先 薄青の海岸を観た
それは虚空に融け 天は怒濤に切裂し
黒深きノイズ 紅い焔の燃ゆる音
燐々と
白岩一羽の鶴は嘴を天に向け
叫ぶ
歪空が泣いた
切間から澱血
世界よさよなら
>残酷なもの 美しい統合
>否
>或らゆる形象は浅く 全ては変わり逝く永劫の嘆きだ
しろい
しろい地面をけがす
雪
のさむい
さむい朝
ぜんぶ
外にあけてすくわれる
夕べの痴態は
ゆるして
もらえた
泥みずはながれ
ながれてさらされるもとの
雪のままでいたかった
な
いつまでも
溢れている
こばまれるこの
みち
地面
いちめんにあけて
ゆるして
もらえた
ながれてさらされる
朝の陽に燃えたかった
燃えたかった
な
>ながれてさらされる
>朝の陽に燃えたかった
>燃えたかった
>な
>雪のままでいたかった
>な
>朝の陽に燃えたかった
>燃えたかった
>な
>藍露さん
>dさん、光冨さん
淡い彗星到来
さわりぞら
沖網に掛かる
幾千の廃絶が決心を垂らす
鉱石の連鎖
明滅の香澄
二重のIラインが
悲しく咽び濡れ
散ったのはいつだ
散るのはいまだ
微かな声を
手探りでさがし出す
午後は纏まらず
幾ばくかの敗北と
薄紫のレインコートから
水滴だけが在為を知らせた
遠い汽笛と吸い込むべき気圏には
いつも
清々しい想いでが空を創る
君よ
白いセスナの羽を翔け
より栄える真紅の吐息と
蜘蛛の巣から
細くたなびくひかりの糸に
油性の湿りけを
与えつづけよ
ああ
人里離れ
寂しげを
私の永い黒煙に纏い
岩戸や閉鎖の怖い風刃にも
泣くなよ恋人
岸壁の庵
儚いしゃぼんと白熱灯
黙殺された純真に砕けたのは
確かに四月とわたしで
ゆらいだ紅を水面に溶かす世界が
暗寂をはねつけ
君の香りがひろがる
嘘なんてなかった
この世界で生きたい
女は
壁をみつめている
壁の中央に
黒の焦点がある
それは
僕の目に届かない声
僕の耳に写らない映像
いま
彼女は
流れるものが流れるようにごく自然に
落ちるものが落ちるようにごく自然に
人間を辞める
僕は
歩いてゆく
彼女の
街へ
その街で 僕という体温は
現実と世界と事件という細切れの記号にさえならない
ただ
彼女が始まると
僕は終わる
僕が終わると
彼女は生まれる
彼女が生まれると
僕は帰ってくる
それは
回帰 あるいは始原
彼女と僕との輪廻の断崖ぎりぎりに
壁はある
女は
壁をみつめている
壁の中央に
白の焦点がある
それは
僕の目に届く声
僕の耳に写る映像
いま
彼女は
人間を辞めることによって
人間を辞めることの出来ない
僕に
直接 触れる
彼女は
歩いてゆく
僕の
街から
その街で 僕という匂いは
虚妄と社会と偶然という細切れの記号にすぎない
ただ
僕が始まると
彼女は終わる
彼女が終わると
僕は生まれる
僕が生まれると
彼女は帰ってくる
それは
記憶 あるいは螺旋
僕と彼女との輪廻の断崖ぎりぎりに
壁はある
女は
壁をみつめている
その
壁の中央に
全ての焦点がある
ふと
僕の街に
レモンの酢えた香りが流れた
午後三時
彼女と僕は
美しく
敵となる
白蟻の根城と化した我が家を
三段跳びで跳びぬける
新品のきらきらひかるシューズも
夜空を彩る星となる
ほうっぷ
すてえっぷ
じゃああんぷ
みなよ
このせんれんされたあしを
どうだい
すごいだろう
靴擦れの痛みで目が覚める
僕は随分と遠くへ来てしまったようだ
ぼくが終着駅の三つ先で降りた日にはもうそこら中が真っ白で
世界の終わりなんですと言われたらそのままそうですかと納得してしまいそうな光景だった。
錆びた二色刷りの看板を眺めたが大切な部分を示すはずの赤文字は
とっくに消え去ってしまっていて何を言いたかったのか全く解らなかった。
(きっと本当にひとりぼっち)
そのまま真っ直ぐ、時に曲がりつつ歩いた。
周りを見ても白いかまたは白としか名づけられない色でぼくの経験不足を思い知り、
そこに満ちている光までどこまでもいつまでも白いような気がしてならなかったのだが
絵の具の白程度じゃ全てを塗りつぶしてしまうには到底足りっこないのが残念でならなかった。
『影がひとつずつ
ぽつりぽつりとぬけおちて
すっかり白い部屋に
声が
ただ広がって消えてゆきます』
世界の色が白いか黒いかそれ自体は非常にどうでもいいことで、
ただ重要なはずなのは黒が抜け落ちてしまったという寂寥だけなのだ。
ふと視線を上げ、耳を澄ますと
町だった光景はすっかり消え果ててあとにはただ真っ白な始まりか終わりしか残っていないようだったが
その中からなじみぶかい終わりだけをいくつか拾ってそのままぼくは歩いていったのだった。
(発信音はまだ鳴っている)
>d様
>海月様
>一条様
>無名生様
拙者この街に御用はないが
貴殿見たさに罷り越す
前に貰った電脳メール
一体誰かと気になって
日夜悩んで気もそぞろ
消しておくれよこの胸の火を
そら君へ。掲示板がないのでここへ投稿しました。
相撲甚句と木遣り音頭の合作なので詩扱いしないで下さい。
そら君って誰なんでしょう、そろそろ正体を……小川武敏拝
みんな
まだ覚えているかい?
白い自転車に乗った少年の神様を
くすんだベレー帽を耳までかぶって
よくとおる口笛でポルカを吹いていた
あの痩せっぽちだよ
少年の時代がかった白い自転車が
大通りを 商店街を 路地の津々浦々を
車輪を軋ませて走っていった
この町の誰もが少年を見かけた
少年の自転車が通ったあとには
彗星のしっぽのような白い光がベール状に広がり
懐かしいポルカの旋律がいつまでも残った
そしてこの町の誰もが その光を浴びたんだ
その瞬間から
町の小さな揉め事は解決し 車の中で悪態をつく人はいなくなった
いじめられっ子は友達と楽しく遊び 寝たきりの老人にお見舞いカードが届き
親に虐待される子供は姿を消し それどころか全ての子供たちが
デザートとプレゼントをもらって 仲良くそれらを分け合った
政治家たちは心の底から人々の事を考えて 涙を流して政敵どおし抱擁した
そんな突然で闇雲な
優しさと幸せに包まれて ぼくたちは
正直どうしたらいいのか分らなくなり しまいには激怒して
寄ってたかって少年の白い自転車を叩きこわしてしまった
少年の神様はしばらく自転車の残骸を見つめていたが
やがて無言のままどこかへ行ってしまった
みんな
もう再会したかい?
あの懐かしいポルカに 彗星の自転車に
町のみんなに笑顔を分けようと必死に頑張ってる
ちっぽけな少年の神様に
風の便りで きいたんだ
町のあちこちで 少年の神様をひっそりと見かけたって
あんな目にあっても どうして
この町を見捨てないのか分らなかったけど
この町にはまだ 深い痛みや憎しみや
暴力や嫉妬や悪意があふれていて
道ですれ違っても挨拶ひとつ交わせないけど
どれだけ心が豊かになったとしても
生きるかなしみは 消えはしないけど
夕暮れのひとり 帰り道
花屋の前に 電柱の上に みんなの心のなかに
曲乗りをしてくるりと回る
白い彗星の自転車に乗った少年を探しているんだ
みんな
覚えているかい?
人間が好きで好きでたまらない
健気な少年の神様を
今度会った時には もう間違えない
もう間違えたくない
ようこそぼくらの町へ ぼくらの心へ
白い自転車の少年の神様
けさはずっとへこんできたのだ。音もなく
餌場にはなやぎをかんじた私は、左手にま
さかりをにぎったまま山に入りました。日
が暮れるよりもさきに雑草のにほいが着物
のすそに入り込んでくる。時代のゆれは激
しく私はなんども揺さぶられたのだ、まだ
なおも。背中に向かって走ってくるものが
突き抜けられずに親指の先で停滞している
捨て駒のかいてんは早いのだ。あまりに早
いので私は目を回す、山のおそろしさが結
局はうるささに負けてしまうとき、餌場の
おがくずに混じっている異物をまさぐる手
がとまる。私の手ではない。もっと白くて
もっと滑らかな回転率だ。私が作業をとめ
ると、そいつも作業をやめておがくずがは
らりはらりと散りゆく。私の重みがかけら
れると、痛みに涙が出てくるだろう、竹筒
につたわってそれは土くれに潜む蟻の親子
に注がれる。ぷかり、ぷかり。 叩かれる
と啼かないが、地面は踏み固められるごと
に泣き叫ぶ、それは私を中心に痛んでゆく
鳴き声だ。私は走った。もう一人のそいつ
がおがくずから抜けてあの密林に逃げ込む
のを目撃した私の足は、自然に踏み固めら
れた美しい軽石の上だけをぬけるようにす
べってゆく。美しいだろう、軽石。臼でつ
いたあとのように湯気の立ち上るような、
軽石、そいつのあとを追って、私の背中は
影になっていた。涙はまだ軽くならない。
林をぬけると、ひときわ際立った沼があっ
た、睡蓮の花のまわりをわっかが、取り成
して、そいつはまだ笑っている、嘘の音楽
がながれているがこれは罠だ。騙されては
いけない。私は、遠い力の引き合いに取り
持たれて涙を糸のようにあの空に舞い上げ
ている。それはそいつも知っていたことで
それは、そいつの髪の毛が伸びすぎたから
静かに静かに、夜の闇に溶かしてゆくので
あって、それはたしかに私の足の重みすべ
てを理解するだけの闇の深さであった。
・・・闇は、私を取り持つ
それは、まだあの暁の先端まで走らなけれ
ばわからない秘密。それは、そいつさえも
知らない秘密。綺麗な森林です。それは、
腕をまぶしくして、目を開けなければいけ
ない速さでまだ、まさかりは、まさかりは
私の左手に、それはそうして、黒光りして
いる。あの星は太古の森林の狼なんだよ。
そいつは、笑っている。ここからどれほど
いっても、何かが軽くなるということはな
いのに、なおも、私はそいつを追いかけて
それは、私の闇を取り持っている。どこに
それはあるのでしょうか………。
>背中に向かって走ってくるものが突き抜けられずに親指の先で停滞している捨て駒のかいてんは早いのだ。あまりに早いので私は目を回す
>もっと白くてもっと滑らかな回転率だ。
>闇は、私を取り持つ
>ここからどれほどいっても、何かが軽くなるということはないのに、なおも、私はそいつを追いかけて
>それは、私の闇を取り持っている。どこにそれはあるのでしょうか………。
>広田修様
>けさはずっとへこんできたのだ。音もなく
>餌場にはなやぎをかんじた私は、
>私は、遠い力の引き合いに取り
>持たれて涙を糸のようにあの空に舞い上げ
>ている。
>軽谷佑子様