樹の近くで飲んで
沈んでいく夜ばかり
沈む先にあるのは
やけくそな
歩行か?
見えてくるのは
アンタの薄笑い
一緒に別々の雲の上か
空に高さなんかない
飛んでるのか
落ちてるのか
消えてるのか
眠ってるのか
ベットに沈んで 向こうは
海の底
溶けるよに吐いて
最高に最低な
意味不明になる
こんなに美しいサルは見たことがないよ
樹の上で
樹になって
カラスを呼ぶんだ
そんな いつもの夜は
ごめんなさいの連続
みんなで殴り合って
泣きながら謝って
笑いながら
転んでステップとキスだ
次のグラスが
ニヤニヤ ゲラゲラ
グラスと一緒に
ボケたモヤのヤツめ
ダラダラだし
ホントはパッキリ洗濯干して
いれてたたんで
ウレシイバカになっちまえればいいけど
マジな話
かなり現在形な時間なんだ
時々 先の不安で
大声出しそうだけど
でも、
関係ない。
そう 叫んでる。
「分かってる
みんなで
台風に吹かれている
みたいなもんだよね。」
>まずは根本的な話になるんですが、この作品は本当に自信作なのでしょうか。
>もう少し、自分の作品ときちんと向き合うことが大切なように感じます。
>マジな話/かなり現在形な時間なんだ
>溶けるよに吐いて/最高に最低な/意味不明になる
>こんなに美しいサルは見たことがないよ
>みんなで殴り合って/泣きながら謝って
たくさんの読めない本に囲まれて
わたしは雨が降るのを待っていた
窓と窓の間には何本もの秒針が挟まり
台所の壁には青い牛のちぎり絵が飾られていた
冷房の風が片腕を空に連れて行く前に
わたしはあなたの心臓にキスをしに行かなければ
心の中の演奏家が少しずつ大きくなったことを
秋の匂いと一緒に伝えるために
知らない言語から浮き上がるわたしの顔
はがれ落ちる灰色の卵の殻
換気扇の羽根が牛を呼び覚まし
地球のような瞳がこちらを見ている
新しい訪問者の足音の中
眠るふりばかりをしていた
重なり合う長針と短針のワルツ
生まれ出たのはいつも昨日を知らない灰の鳩
けれども
言葉とわたしが上手く結び付かない
鼻と口の間から片仮名のようなものが溢れ出し
演奏家はどこまでも高い音を出そうとする
しまいには牛に食べられて
わたしは黒い絵になってしまう
明日を目指した鳩に連れられて
わたしはあなたに会いに行く
どのような形に移ろうとも
換気扇は回り続けるのだ
窓の外では
雨のような青い殻が
涙と一緒にきらきらと降っている
白のレースのカーテンが
揺り籠のように揺れています。
まろやかな時の空間の中
カーテン越しに風の転がる様子を
一人眺めています。
隊列を乱さず几帳面に流れている雲を
一人眺めています。
光をたらふく含んだ風は
緑の山に挨拶をしながらいいました。
「光合成」
それは、合言葉のようでした。
一人眺めていた私は
その言葉を、逃がすことなく
拿捕しました。
僕の鼓膜は、ビリビリ踊りながら
眠っていた蝸牛を無理やり起こし
僕の優れた「脳みそ」に
そろり のたり と、やって来て
「酸素を出せ 酸素を出せ」
私は言われるままに
目玉の奥の穴の中から
酸素とナトリウムと小便とDNAを
惜しみなく放流しました。
杉や檜や松やウルシやカエデは
先を争うように
私の体液を一滴残さず吸い取ったのです。
山は、見る見る白く光る山となり
几帳面な雲たちは、その隊列を乱し
チリジリバラバラ
逃げ出したのです。
蝸牛は使命を果たし眠りについたとき
私の眼球は、はるか下界の
鉛筆とノートを持って
くたびれた姿の男
醜く穢れたその男
私は、この明るさの中に
招いてやろうと
「光合成」
と、言葉を掛けたのです。
奪われし者の
鼓膜は破れ
蝸牛は干からび
白のレースのカーテンだけが
ゆらゆら揺れていたのです。
狂ってるちゅーなら、何が見えんだい?
あなたの精緻な頭。それの方がおかしい思うけどなぁ。
事細やかまでな。 見えなさすぎんとちゃうかい?
全ての視野が見えるというなら、あなたの頭、後ろに
目があるんとちゃうかいな。
”正しい””正しくない”
それは正しいと悪いは違うじゃーな。
真実と事実と一緒じゃ。お前の頭はいっつも
春の花しか咲いとらん。
絡まる糸はな、お前の手でしか絡まらん。
ずっとお前が言っている”魔法”だとか
”非科学的”なことを上げだって無駄だ。
現実は現実、お前はひとり。
血は血でな、ずっと流れてるがな
目はずっとずっと先を見ないといけん。
ずっと先だ。
ずーーーっと先の光だ。
冬の実には綺麗な花がなるんじゃ。
お前はそれ知らんけ。
空の奥には何があるか
お前はそれを知らんけ。
私は知ってる。
>隅田夕立様
>川綾真智様
>メイ様
>tamaon様
>バイたけ
>さらに喋り倒すことによって、この詩は爆発する気がします。
>私はこの詩、嫌いじゃないです。
夕暮れの並木道
服部 剛
春の陽射しに
紅い花びらが開いてゆく
美しさはあまりに脆く
我がものとして抱き寄せられずに
私は長い間眺めていた
今まで「手に入れたもの」はあったろうか
遠い真夏に手を伸ばした酸味のある果実は
皮だけを手元に残した幻
やがて秋を迎えると
胸の空洞から浮かび上がる淋しさは
透明な雲となり
いつも傍らに浮いていた
夕暮れに照らされた
うっすらとした雲の輪郭を横目に
私は往き過ぎる
路面に枯葉の舞う
秋の調べと共に
無人の冬の夜へと続く
夕暮れの並木道を
>遠い真夏に手を伸ばした酸味のある果実は
>秋を迎えると
>胸の空洞から浮かび上がる淋しさは
>透明な雲となり
>いつも傍らに浮いていた
>夕暮れに照らされた
>うっすらとした雲の輪郭を横目に
>私は往き過ぎる
>路面に枯葉の舞う
>秋の調べと共に
>無人の冬の夜へと続く
>夕暮れの並木道を
私のあたまの下には
まくらがない
カーテンで隠しきれない窓から
街灯の明かり
部屋を浮かび上がらせる
部屋は上下に区切られ
下には
渦まく熱
上には
私
やっと眠りに就ける
息を潜め
固くつむり
つとめて弛める
冷蔵庫のおとが
しずかに満たしていく
眠ることで
忘れることもある
残像が浮かぶ
見ていたけれど
見ていないもの
見ていないけれど
見えたもの
暗闇に身をまかせる
受け止められる
そしてそのまま
眠ることで
たまには
思い出すこともある
目覚めは
いつも途中
滴り 滴り
とてもしずかな雨
少し遠くで
なにかをたたいている
空地に
新しく家が建つ
下の熱は
散らされ
上には
足をてらされた私
目をひらいていた
ことに遅れて気づく
私のあたまの下には
まくらはないが
薄曇り
空の真下
私のからだを受け止めていた
ふとんに手をついて
少し暖まっていた
足で自分をささえる
さっきより
少し明るくなったような
部屋を
カーテンをあけることで
まだ明るくする
>私のあたまの下には
>まくらがない
絡まる糸はな、お前の手でしか絡まらん。
ずっとお前が言っている”魔法”だとか
”非科学的”なことを上げだって無駄だ。
「 お前はひとり。 」
今まで私に言った言葉に一度でいいから囲まれてみな。
身動きひとつ出来ないはずじゃ。
お前は色々な言葉言葉に苛まれて、簡単に落ちていくんだ。
ほら、お前の指に何かが刺さっているよ。
「 今夜は逃がさない。 」
生きるための思想を誰かに押し付けることは出来ないんだ。
それは生きるためだけに あるんだからね。
何十年間も生きてきて、それすら知らないのかい
お前は人のコエというものを聞いたことがないのかい?
涙が落ちる音、それすら知らないんじゃないかい。
そろそろ、自分の下に敷いている布を思い切り引っ張ってみろよ。
お前はどこかへ落ちていってしまうんだ。ほうら、引っ張ってみろよ。
だが、布なんてもういらないはずだ。子供の頃は終わったからからね、
これまで威嚇してきた想いはどうしたんだい?
私に百ほどの罵声を浴びせてきたくせに
今更なにを怖気づいているんだい。
ほらほら、お前は段々落ちていくよ
どうしても助けてほしいっつぅなら、
ほらほら、うそなきしたって無駄だよ。
今ある冬を乗り越えろ。 そしたら何かが待っているよ。
私が立っている場所だよ。この場所にお前は行くことが出来るんだ。
でもなぁ、
その立っている場所には、何も土台がねぇんだ。
そんなことお前が一番知ってるくせにさ。
冬の実には綺麗な花がなるんじゃ。
お前はそれを知らんけ。
空の奥には何があるか
お前はそれを知らんけ。
だから
「 お前はひとり。 」
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前作「春の花」の改正版。一生懸命書きました。
一気に書けました
・コエ=鹿児島弁で辛い、しんどい
>平川綾真智様
>ずっとお前が言っている”魔法”だとか
>”非科学的”なことを上げだって無駄だ。
>たもつ様
空の勝手で
浮び上げられたり叩きつけられたり
何かが続いていることを 体にしみこまされるのだ
歌った声は
いつか雲につかまえられ牧場の柵に括りつけられ
人間でないものばかりが歌を聴く
地球がいちどに3回転して雨の場所をずらす
歩調が乱れる
変拍子で自然に立ち向かえるか?
手拍子で無防備になったときに
動物が私をつついてくる
歌声は 大人たちに聴かせたい
彼らは自分の足音だけを聞く
靴が濡れて恋すれば思い出すだろう
歌声は 子供たちに聴かせたい
自分の心臓の音と地の中の鼓動に気付いたとき 彼らは人間をやめて土に還ってしまう
しばらくすると輪郭が見え、元の人間に戻ってゆく
空の勝手で時間はひき伸ばされたのち ばちんと弾かれ
反動で少し逆回りし それからだらんとぶら下がる
世界がこんなに速く回るなら
地球の裏側と目が合うことだって あるだろうか
その瞳は裸足で、お腹を水でふくらましている
その瞳は大きすぎる数を計算している
その瞳は赤ん坊をたくさん産んだ
その瞳はジャングル
その瞳は殺戮兵器
その瞳は手のひらと足のうら
その瞳は私
地球がいちどに3回転して みんなずらす
互いの肩と肩がぶつかる それはドミノのように世界を一周し
私の反対の肩へ戻ってくるから
私の歌った声をだれかが聴いている
>互いの肩と肩がぶつかる それはドミノのように世界を一周し
>私の反対の肩へ戻ってくるから
>私の歌った声をだれかが聴いている
>作者の生に直結する何かが無いと単なる絵空事になってしまうと思います。
>でだしから きっと何かを睨みすえた目が
>それでも 世界を信じようとするんだなあと。
>意味とかメッセージは割と重くて広いことをうたったように感じるのですが、世間一般で唱えられてる社会問題を自分の言葉でうたうのは難しいのではないかと思いました。
>それよりも自分としては言葉の余韻を楽しみたいです。
僕の風船は気まぐれ
秋の空にフワフワリ
僕の貴方は天衣無縫
膨れて見せたり
ちぢんだり
赤くなったり
青くなったり
舞いあがっては落ちてくる
九月の風に飛ばされぬよう
いつも僕が繋ぎとめている
yahooのカテゴリからきました。はじめまして。
とっても楽しそう!また寄らせてくださいませ。ありがとう!
徹夜で夢を見、かいた寝汗に グショリまみれて起き上がる今朝
パックから直接飲み干す牛乳 それは私の身体へ滑り、爪の先まで
。
染み入った
六月。増した熱気をユルリ漕ぐ帰路 自転車は歯軋りし続けて
一気に引き抜く、ネクタイの摩擦 篭る汗の温度は上がり
漕ぐ足をニゅじリ、這って行く。
見上げると樹に被さる陽光
たわむ木の葉は枝をくねらせ、輪郭を濃く捉える視線
掴まれればペダルの高さに 私へ擦り寄る茎から伸びた、
ギザル草葉が 、 足を撫で切る
。
― 梅雨は一体、どこで足ぶみしてるのかねぇ
カウンターで飲んでてさぁ。あんたみたいに、叫んでるのかも
「降らしに行けるか! 飲み足りないぞ!」 ハハッ、あぁ
久しぶりねぇ。スーツなんて着ちゃってぇ
覚えてるよう、そりゃよくね。ほら、あそこで潰れて寝てたじゃない
飲むはずが飲まれるなんて 酒のくせに生意気な、
そんな言って、次の日もやっぱり飲むんだもの、うん。
忘れたくても、あんただけは無理! ハハッ、コラ一気はしなさんなっ。
あぁあねぇ 、うん。 。・・・そっかぁ、
あんたがスーツをもう着るかぁ。熱気もそりゃあ満ちるわねぇ
おいでね、もっとさ。ドア引いて暖簾かき上げて、風通しは良ぉくしてよ。
うーん。さぁてぇ。とぉ、
大分 夜も入って来たねぇ。もう閉めよっかぁ。帰りなっせぇ帰りなっせ
そして今日は、被った暑さのまんまでさぁ
牛乳飲んで 、 眠りましょう
。
ふらつく自転車は歯軋りを止めない。回った帰路に見上げれば
闇に木の葉の輪郭は消え、今日も徹夜で見る夢に
朝を這い行くニゅじリがよぎる
。
明日締めるネクタイは まみれた汗を濃いままに
私にグショリ眠気を被せる
唇に浮かぶパックの感触
やはり擦り寄る、
りんどうの茎。
ギザるその葉に爪は滑って ペダルの高さを撫で切る先が
千切る熱気を 、 舞い散らす
>扱いやすい題材でもありますよね? わりと、日常度が高いので……
>そのためだけにレギュラー引き受けたようなもんです。私は・・・・・・
>徹夜で夢を見、かいた寝汗に グショリまみれて起き上がる今朝
>パックから直接飲み干す牛乳 それは私の身体へ滑り、爪の先まで
>六月。増した熱気をユルリ漕ぐ帰路 自転車は歯軋りし続けて
>梅雨は一体、どこで足ぶみしてるのかねぇ
>見上げると樹に被さる陽光
>たわむ木の葉は枝をくねらせ
一日を一秒も無駄にはしない。
今の僕にはそんな当たり前のコトを当たり前の様に出来る安息が在る
この世界の片隅で美しい子供達が
微笑みながら一筋の光の雫を双眸から流している
そうあなたは死んだ
大人が醜い殺し合いをしているのを横目でみながら
死んだ
僕はそれを知らない
君もそれを知らない
じゃあなぜ感じるコトが出来るのかな
それは
生きとし生きるものの心は
まるでピアノ線に聖水が滴る様に繋がっている
崇高な貴方達なら精神と向き合い瞑想するトキに感じていますよね
結局貴方は其々が個体だと想い
凝り固まった思考の大人は
美しい子供達に腐敗した未来しか教えず
その子供が若者になったトキ
美しいこの世界を汚してイクのでしょ
人々は所詮神と呼ばれる者の操り人形で
地球と言う名の実験場でシミュレーションを繰り返す
どうしたらいいかなぁ僕達は
少なくとも僕には歩むべき道が見えている
君と呼ばれている
世界いやそれ以上の世界で
一番大切な人
君が世の一元論を振りかざす
三分の二の大人を壊して行く
そう君が世界の創造主で
後の存在は全部僕さ
僕が僕に対して指摘や試練を与えているだけ
君だけが僕には分からない存在
僕はルシファー
君はリリス
そしてこの美しき世界に新たに生まれ来る
僕等の子供リリン
この世界の上に存在して
シュラークを振動させているのは
‘三人だけ’
蒼い空の狭間に
キリストの血が溶け込む十字架が連なる
地球はもはや神と呼ばれる者のおもちゃではなく
三人の世界
そう生命の帰るべき場所
僕等の美しい子供は宇宙の先へ飛び立って行ったよ
さぁ僕等も行こうか
あの三人で交わした約束の場所へ
そこで僕等は‘リアルエデン’を…………
希望しか存在しないこの素晴らしき世界で
僕等はリリンの夢を見る
Keyはこの掌の中に
Doorはもう開かれている……
>もうこんなもんじゃなくて、相手の全存在を否定して精神を食い殺すぐらいの勢いで罵倒してもらいたいものです。
>小説読みすぎて頭が凝り固まっているんでしょうか?
>この詞のイメージに近く読んでもらうためには、全ての事柄の既成概念をぶっ壊す事です。
>Keyはこの掌の中に
>Doorはもう開かれている……
>詞全体の流れ、言葉一つ一つで、イメージして頂ければ
>この詞で大事なコトなんですけど、リリス、ルシファー、リリンなどは、単なる表現の為のよりしろにしか過ぎず、心象風景を表す為に使ったまでです
>全ての事柄の既成概念をぶっ壊す
「あ、カナブンが死んでるね」
強い日差しもやわらいで
風も冷たい昼下がり
部屋のドアの前で
もう、動かないカナブンを見つけて
君が少しだけ寂しそうに 言うものだから
「命には限りがあるもんさ」
なんて少し格好つけて
ありきたり的な事を言ってみる
けれどもちょっとだけ
思ったりもしてみたり
もしも 昨日、弱りきったカナブンを見つけていたなら
僕らはカナブンを救えたのだろうか
ならば どこかの悪い人達が
飛行機を乗っ取るなどして
後日、テロ行為的な事が起こると知ってしまったとしても
僕らはそれを止める事が出来るのだろうか
だったら、寝苦しい夜って奴から、やっと目が覚めた時
もしも、10年前の今日ならば
僕の人生は少しはましになるのだろうか
けれども、例えそれらが
全て解っていたとしても
やはりカナブンは死んでいるのだろうし
テロ行為的な物事はあっけなく起きてしまい
僕の人生もいささか変わる事もなく
今と大差のない時間を過ごしているのだろうと思ったり
だから僕は
また君に
ありきたり的な事を言うものだから
君は少しだけ寂しそうに
カナブンを見つめるのだろうね
~~~~~~~
宜しくお願いします。
>ありきたり的な事を言うものだから
>君は少しだけ寂しそうに
>カナブンを見つめるのだろうね
夜の底の海辺に倉庫たちが立ち尽くしていて、廃棄された連なりを静かに受け止めている。夏の終わりの透明な枯葉をゆらしながら、いばらに苦い潮風が渡っていく。倉庫のなかでは羊の毛刈りが行われていて、羊の脂の匂いと潮風が混じりあった苦さで口のなかを満たす。むっとする夏の空気と、汚れた海の臭気が僕の髪にまとわりついて、離れない。 彼らは、揃いの薄汚れたポロを着て、かつてぎらついていた強さを思わせる黒い腕を振り回しながら、深い色合いの水を湛えた瞳で羊たちを刈り込んでいく。
「羊を、一匹ください」
ぼくは言う、羊なんか一匹もいないよ、と彼はいう。
「もう、刈り取ってしまったんだ。あとは、刈り取るものしかいない」
脂に汚れた指先に、両切りの煙草がくゆる。羊たちの鳴き声を僕は待つ。でも、羊はただの一匹も嘶かない。ただ、無骨な手に身をまかせ、刈り取られていく。脂の匂いが立ち込めている、誰も換気をしようとはしない。礼を言って、ぼくは歩き去った。誰も振り返らなかった。
街灯に羽虫が群がる道で、女の子が石英を売っていた。沿道の木々は傷むほどにざわつき、風はぬるく、鼻腔の奥に苦味を残していく。微かに深紫、紫蘇の匂い。
「羊が欲しいんでしょ」
彼女は言う、ぼくは「欲しい」と言う。長い旅には、いつも暖かさが求められると。
彼女は、茣蓙の上にいくつもの石英を広げて、その一つの縁を紙やすりでなぞっている。そういえば、月が見えない。こんなに晴れ渡っているのに。それがなんだかぼくの居心地を悪くさせている。
「ひとつ、あげるよ」
彼女は、ぼくに石英を手渡す。微かに、掌の温かさが残っている。
「でも、どこを探してもやわらかい草なんてないよ」
その通りだった。とても、その通りだった。少し嬉しくて、ぼくは財布を丸ごと彼女に渡そうとしたのに、列車はもう走り出している。森の奥で、誰かが振りかえったような音がして、月が卵割を始めた。姿さえ見せず、静かに。生まれるのはいつも秘め事のあとだけで。そんなことはいつだって、誰だってわかってるよ。列車はもう、走り出していると。
向かいの座席には、色んな人たちが等間隔で座っている。申し合わせたように、一人分のスペースを間に取りながら。ぼくは彼らをみな、知っているけれど。彼らはみな、ぼく以外の誰も知らない。だから、ぼくらは誰も口を開かない。
車掌が切符を確認しに来ると、すぐに彼らは逃げるように窓から飛び降りていって、ぼくは一人になった。車掌は「連れは一人だけだね」と尋ねる。ぼくはそうだと言う。
「予約席のお客様が、呼んでるんだがね」
前の車両には、昔の友人が座っていた。セッションをしないか、と彼はもちかける。でも、ぼくのギターは3弦も1弦も切れたままで、しかも酷くさび付いているし、真っ赤な塗装もところどころ剥げてしまっている。
彼は、ぼくの手をとって、「そういうことじゃないんだ」と言う。わかってるよ、そんなことは。地球の裏側で、新しい命が生まれていることも、きっともうじきたくさんの母親が刺し殺されることも。月が卵割を始める、等割の広がりが世界を微かに甘く色づける。
「やわらかい草のある大陸の話をしよう」
ぼくは首を振る。そんなことは、きっと最初からわかっていた。
幾つかの駅をやり過ごして、石英をポケットに入れたまま、ぼくは今にも崩れそうな駅舎に降りたった。どれだけ近づいても駅名は読み取れず、靴がいつの間にか打ちっぱなしのアスファルトにくっついている、そんな駅に。
駅のドアは堅く閉ざされていて、ぼくはベンチに座ったまま、誰もいない売店から新聞を一つくすねて、それを枕に眠った。石英は微かに暖かく、羊の脂の匂いがする。ぼくの髪からも、あの子の首筋からも、どこからも羊の匂いがする。
石英は、気付いたら羊になって、ぼくの上に丸まったまま小さな寝息を立てている。若く柔らかい子羊の呼吸が、ぼくの前髪をほんの少しゆらす。ぼくはいたたまれなくて、泣いた。綺麗な水も、柔らかい草も、もうどこにもないんだよ。ごめんよ、ぼくはいつだって靴紐の結び方がいい加減だった。ぼくの顔に残った涙の塩気を、彼女は優しく舐め取る。そんなことは、きっとわかってたんだ、誰にだって。耳を澄ませば潮の引いていく音さえ聞こえそうだった。
卵割が終わろうとしている。全ての母親が刺し殺された大地に、ぼくらはいつまでも立ち続けるだろう。そしてまた、卵割の中に新しい痛みが重なっていく。世界に蜜の甘さが降り注いで、目を閉じることさえ赦されていく。
そして、ぼくはあなたの血がしみこんだ大地に、羊を放とう。月に向かって槍を投げた、幼い子どもたちの先頭にたって、彼らの嘲笑を浴びながら、朝焼けの中の鳥が描く軌道で、高らく。目を閉じた、光の残渣が幾何学模様を描いてのしかかってくる。月が弾けとんだ、全ての細胞たちは道しるべに分かたれて。
>「連れは一人だけだね」
>卵割が終わろうとしている。全ての母親が刺し殺された大地に、ぼくらはいつまでも立ち続けるだろう。
>二連目から三連目の翻りはアクロバットそのものなので、
>これからも積極的に試して行きたいです
>「でも、どこを探してもやわらかい草なんてないよ」
>彼は、ぼくの手をとって、「そういうことじゃないんだ」と言う。
窓を一息に開け狩場に、入った。人々の囃し立てる声がする。獣の振りをする。息をちりちり刻み、素早く振り撒く。頭は、プリズムの攪拌。そして理性を手放××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××歓声で我に返×。喰い殺した一匹×愛し××恍惚に吐息し躰を開いていく。××××! エナメルの大腿骨をごそり取り、透る筋を両端に張り、弓を作る。磁器の小骨に灰土色の犬歯を括り、矢を作る。その、あまりに流麗な弓矢で。僕は獣を次々殺していった。狩場には骨と、皮が山をつくった。汗を拭い熱が涼しい風に吹かれた。僕は骨を組み上げその上に皮を被せ、家を作った。家の中は開放的で清潔だったが、獣の骨はひやり光っていた。余った骨と皮でベッドを作り、暖炉も服も、作った。肉は保存食用に加工した。そうやって。そうやっ、て、。僕はしばらくのあいだ、暮らした。しばらく。暮らすうちに、言葉を忘れ、両足で歩くこと、すら、忘れた。落と、した。体表は次第々々厚い毛で埋められたが、僕はまだ純潔なの、だ。家や家具は極小のテトラポットになり崩れ降り、気付いたときには狩場には元の獣たちが、(……みんな)、いて、僕を見てい、た。彼らの白い赤毛は、風に乾き甘く震えた。狩場、は。狩場は夕方の風にゆれうごく人々の歓声。狩場は僕はまだ純潔で理性があっ新しく男が窓から入ってくる
1.永劫回帰
今日の星空はとってもきれい
おまえのところも晴れていたら見上げてみろよ
カシオペアやプレアデスが頭上でふるふる震えている
白鳥座の十字架は西の空に沈んで行こうとしている
もうすぐ冬だ。真っ白な雪が、汚いものも優しいものも
みんな埋めてしまうんだ
俺はちっぽけな屑。俺も埋めれや
今日の少女は赤みが少し増したようだ
赤方偏移って奴か?
ピンクのワンピースをまとった少女はどんどん遠ざかっていくのだが
いつかまた帰ってくるんだそうな
そんなことを永遠に繰り返しているうちに
古いモノクロの映画フィルムのように
擦り切れてしまわないだろうかね
宇宙の熱死推進に青春を賭けてきた俺としては
永劫回帰を証明する近年の天文学者の観測結果は不満
よって宇宙はいずれ擦り切れると仮定してみる
2.星屑の停車場
世界の果てへの旅の途上
星屑の停車場で膝を抱え
私はバスを待っています
来るはずのない青いバス
道は草むらの中に消えて
草原は海中に溶け込んで
夜花を照らす星々の灯り
貴女の姿を見失ってから
ずいぶん時が経ちました
遥かな岸辺の波打ち際で
化石している鳥達の飛影
永遠に触れた旅の思い出
3.カマイタチ
初雪が舞う峠をバイクで飛ばしながら、ぼんやりと過ぎた事柄を反芻していて
一瞬、小さな宇宙が脳の内側で開闢し、危うく谷底に転がり落ちそうになった
どいつもこいつも自分のバイクが路上の王だと信じているが
俺の黒い鉄馬はCBR900、通称ファイヤーブレードだ
時速300キロに迫る高速で追ってもピンクのワンピースの少女は遠ざかっていく
減速が十分に間に合わなかったコーナーを
身体を倒し、黒いアスファルト面を這うように旋回していく
バトルスーツの膝やステップが火花を放ち
日本刀の刃が放つ閃光で光の道筋が作られた
金魚鉢の中の金魚のような俺の永劫回帰
想像しただけでぞっとして、逆上の果ての神殺しを演じかけたわけだが
むろん神様なんてとっくに死に果てているわけで、刃は空を切り
俺は存在しないも同然の、時空の歪みのような男なので
傍目にはカマイタチが虚空をよぎっただけ
すなわち存在しないも同然の出来事だったりするわけだ
微かな記憶の糸を辿り
藁色の髪のひまわりのような笑顔を、思い浮かべてみようとしても
影絵芝居に灯す光源は見つからず、夜は更けていくわけで
とても、もう一度とは言えない
シジュポスのようにはいかない
4.ゼロの夏
しんしん降り積む雪の夜空に
夏の形見の花火をひとつ
打ち上げてきました
えいえんに失われた
ゼロの夏
送電線をたどって
坂道を登りつめても
遠い記憶の中で微笑んでいる
桜色のワンピースのあなたは
もうどこにもいなくて
誰もいない夜空に灯した光の花束は
誰に届けられることもなく
消えていったのです
さようなら
20世紀
5.さようなら
さようなら
クロンシュタットの同志たち
1921年3月、クロンシュタットの水兵や市民たちが
共産党の専横に抗して自由と民主を訴えた
ロシア革命最大の市民蜂起を知っているかい?
水兵たちが臨時革命委員会を組織すると
パンの配給にも飢え
独裁と抑圧の黒馬を見ていた市民達は
全市を上げて果敢な反乱の火蓋が切られた
刻々と絶望的な様相を見せる戦況の中
トロツキーの軍隊に囲まれた彼らの都市から
世界に発せられた自由市民ラジオのことを知っているかい?
本当の道義を説き、援軍を求める彼らの祈り それは
真っ暗な夜空で燃え尽きた、愛する人への桜草の花束だった
ここにもピンクのワンピースの少女の姿があったそうだが
彼らを助けられる者は世界中のどこにもいなかった
さようなら
永続革命・世界革命を唱えたトロツキー
義ある者たちを討ち、自身の理念の為に権力の座を得ようとしたが、
1940年8月20日、メキシコにてスターリンの差し向けた暗殺者の手により没
えいえんなんてなかった
彼の瞳の奥にもピンクのワンピースの少女が宿ったことがあるのだろうか
さようなら
今、日本というこの国で、
経済苦を主因とする、毎年3万人を超える自殺者達
どいつもこいつも光の速度で遠ざかるピンクのワンピースの少女を捕まえ損ねた
厳冬の札幌では、万策尽きた失業者が
天使の羽に抱かれる夢を見て死ねたのかどうか
俺は知らない
次あたり、俺の番だ
6.鉈を一本もってこい
風の強い夜だ 星がふるふる震えている
草原の千の舌がざわめき 電信柱をたどっていくと
地平線で、人の形をした巨大な塔が燃えている
おいお前、なたを一本もってこい
明日という名の空ろな祈りを、打ち据えた無の一撃を
なたを一本もってこい
7.消えろ、すべて
俺は宙に浮いている
下水溝を流れていく
紙くずのように風の中に消える
雨がしとしと降れば 電線はしとしとにじみ
死んだ女の声が聞こえる
たくさんの声が雫になって
落ちてくる 木霊する 響き渡る
落ちていく どこまでも どこまでも
無底の闇の奥深くへと
桜色のワンピースの少女が
雲間から日が射さないかと空を見上げている
街区とチェルノブイリの禁止空間を隔てる鉄条網に沿い
妹の影は荒れ果てたモノトーンの映像の中に
桜色の染みのように灯っている
日の影は無い
無造作に野積みにされた放射性物質のドラム缶
滴り落ちる廃液が冬枯れの野を潤し
空のふいごが通ると、ドラム缶の風琴が聖歌の一節を奏で
妹の澄んだやわらかい歌声が重なって、一瞬
天地を繋ぐ壮大なコラールが生まれでようとするが
再び激しい雨が通ると、跡形もなく消え
桜色の染みも消えて、野に影もなく
枯野を激しい雨が叩き
鉄条網を打つ激しい水しぶき
野に影もなく
アスファルトは水を吸わない
水は黒い鏡面の上を流れる
俺は宙に浮いている
或いは下水溝を流れていく
消えろ
すべて
8.放電
星屑の停車場で
あなたに電話してみました
海の声も 風のそよぎも 眠っている
深夜の国道
どこか遠い所で
放電するような音が聞こえています
オヤスミナサイ コノヨル
# http://members.at.infoseek.co.jp/warentin/hosikuzu.html
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罵倒カモーン! (´ー`)y-~~ニヤニヤ
>ハイタカさん、
>苺森さん
>コントラさん
>苺森さん
>金が無くて、食えなくて、絶望して自殺する3万人、これは今の日本の現実です。