◇ No.532 , '17/06/27 23:02:26 作成

9646 : 誰もが罪びと  黒髪 '17/05/30 00:42:08

老人が犯す、罪
一輪挿しの花入れてつるつると光るあなたを封じ込める
くすり、とは、無礼だ
全てがはっきりとした輪郭で存在する
電車の中のスープ状の人々
別になんだっていいけど、疲れる
ヘアカタログを繰ってみた
一つの宇宙を手に入れたように
埋め立てられた池には
完全な善のような魚が棲んでいたのに
人が聞く最後を信じられるか
分からなければそれでもいいが?
最後には神様が全てをしっかりと仕立ててくれるから
明滅し始めた神様は
現れる?現れない?
この世界の北極圏に巨大な足を踏み下ろせ
知っておられる、人は弱いよ
ちょっとつついても悲鳴を上げる
だから非暴力を今こそ
それが必要だ
愛が愛が愛がと主張するように
うるさいことが愛だと思うのか
不可能である静寂と
騒がしさの楽しみを
それらはただきっちりやればいいんだ
疑いは言葉を殺していく
そんなのは必然的だ
笑う殺し屋の頭の上の帽子
吹き込まれた生き方の中での自発的な少しだけある良心
帽子の中に混乱を入れて
はっきりとした決着を明るみに出す
誰か正しい光を
暗闇の中うごめく奇怪は誰のものでもない
罪は全て神様、あんたが救ってくれるだろう
この世界の果てまで壊れるような
個人の破滅をカウントダウンしている
畑の中、土はお前を拒絶する
思い知れ
やって来ない暗い目の人が明るい笑顔を持っていること
何よりも大切だって
だって不条理は
ずっとずっとあなたを捉え
抜け出せないようにして
最後を与える
だから僕を受け取って
あなたは、心の中を見せれば
僕の中の命は、あなたの罪を洗って
やり直しのできない人生の上に
浮かれるような歌を歌えるよ
そう僕たちは
手をつないだアマガエルのようになりたいな

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9644 : 伝令者  鷹枕可 '17/05/27 22:19:14

拍車が花粉を吹く錆鐘の第一季節にて
微動すらしらなき熱気球を剥くと
檸檬樹に拡がる
葉巻より滑り落ちた
シャープペンシルの
薬莢が緩み始めている

敷きつめられた
薇蕨縺れる自動ドアに佇む抽象の街角は
哨戒機の劈く兵卒たちに
告別されたばらを
白い喪章をふるわせ已まない

瑞瑞しく葬列は
鞦韆の有る午刻に送電線の間を
飛翔する
月時計世紀への靴跡を遺して

ウェルバー・ライト兄弟からなる鳥達を仰ぎながら
昼の墜落した街路に
托鉢修道僧の眩暈を
沸騰をする
麺麭籠の静物に何時でも受けられた
口唇の何と喧しいことか

死は死の侭で擱かれているか
終始に亙り見世物に拠って吹聴された喚声
それは
古代劇場の起源を
程勿くして発展した
廃鉱の門扉を潜る影勿き影の市営納骨所を焼く様に
少女と火事をその精神像に同じく置く

咽喉に壊れた扁桃果より
飢饉の町への街道は絶たれ
乾燥花は舷窓と艦橋を繋ぎ亙りながら
嵐の散弾を撒く
孤絶をただ一つの峻厳と抱えながら


.


希臘の精神に
砒霜の花が結実し
永続起源の棘が死の符牒を世界と凝るまで
幾許かの韜晦が臍として穢され
田園を捻れて屹える蛇の樹は
数秘術の崗に
岩窟に青聖母の外套を
紛糾する十二の独身者達を
存在をしなかった単純機械の様に
聖像破壊の機運に破棄してしまうだろう

石像の少年達が運命を誰ともなしに鳴響する冬薔薇の水甕へ嘱目する様に
普遍死の骰子は静脈坑に繋がれた市街地を鹹い塩の思想家達の捕縛をものともせず喚き已まず
周縁より罅割れた花崗石の紋様は翻って遭遇者達の躊躇う靴跡の様に舞踏し、
静かな蛇蠍の草花はうつむきがちな水萵苣の拘縮を柔かく緘口令の町に通牒を報い続けた

戦禍を招く国家がひとしずくの歌劇或は花劇を忌々しく掲揚を期す
残酷劇俳優達はひとりのこらず精神病院に週間紙のゴチック文字を糊塗することを止めて終った
而して本当は知っているのか、全ての教会建築は臓腑のため乱鐘を打つのだという事を
熱風に撓む空襲の窓から燦燦と焼夷弾が撒かれるそれは良き糧の収穫などでは無いのだ
決して結実を期すことの無い堕胎された恩寵のかのひとは、誕生から別の誕生へ亙っていたあのミルクの、
偶像への瞋りのように孵る木綿の真っ赤な花々を踏み掻き分けながら、それでも何者かになれると思っていたのだろうか
既に余命を数えるには歳月は速く遅く、滲んだ丸時計の、落ちてゆく少年の、

人動貨車の周縁を、

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9643 : 露と消えた  イロキセイゴ '17/05/27 12:44:13

野心で固まって居ると
勝てと言う声が霞む
千早(ちはや)ぶる 神代(かみよ)もきかず 龍田川(たつたがは)
   からくれなゐに 水くくるとは
こんな和歌が聞こえて来て
私は地下から日の差す外へ出て来る
女の首に独り言が炸裂するのは
あまりいい気分ではないのだが
駅の「中口」を出ると
自転車置き場を通過して
証券会社と新聞販売所と
生命保険会社を素通りする頃には
夜もすっかり更けていた

市役所の東側の駐車場を
突っ切る
傍らにあった川では
カワセミが盛んに餌を
とって居たのを想起する
何度も川に急降下する姿勢が
ソフトボールに見えて来て
何時までも何時までも凝視していた
近くの保存古民家の茅葺の萱(かや)が
燃えて居る様な偽造記憶が
高層マンションに変じたのだと思うと
背の高いじーさんが
さらに高い市役所と並列して
暮らしに思い悩んでいるのが
私の前で現前化して露と消えた

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9580 : 全行引用による自伝詩。  田中宏輔 '17/05/01 00:03:02 *6



 そのときマルティンはブルーノが言ったことを思いだした、自分はまったく正真正銘ひとりぽっちだと思い込んでいる人間を見るのはどんなときでも恐ろしいことだ、なぜなら、そんな男にはどこか悲劇的なところが、神聖なところさえもが、そして、ぞっとさせられるばかりか恥しくさせられるようなところがあるからだ。常に──とブルーノは言う──わたしたちは仮面を被っている、その仮面はいつも同じものではなく、生活の中でわたしたちにあてがわれる役割ごとに取り換えることになる、つまり、教授の仮面、恋人の仮面、知識人の仮面、妻を寝とられた男の、英雄の、優しい兄弟の仮面というように。しかし、わたしたちが孤独になったとき、つまり、誰一人としてわたしたちを見ず、関心を示さず、耳を貸さず、求めもしなければ与えもしない、親しくもならなければ攻撃することもない、そんなときわたしたちはいったいどんな仮面をつけるのだろう、どんな仮面が残されているのだろう? おそらくその瞬間が聖なる性質を帯びるのは、そうなったとき人は神と向きあう、少なくとも自分自身の情容赦のない意識と直面することになるからだ。そして、おそらく誰も自分の顔の究極的、本質的に裸の状態、もっとも恐ろしく、もっとも本質的な裸の姿に驚いている自分を赦(ゆる)しはしない、というのも、それは防備のない魂を見せるからだ。それはキーケのようなコメディアンにとってはひどく恐ろしいことであり、恥ずべきことでもある、だから(とマルティンは思った)彼が無邪気な人間とか単純な人間よりもいっそう哀れを誘うのはあたりまえのことだ。
(サバト『英雄たちと墓』第�局堯�20、安藤哲行訳)

われわれは生き残らなければならない。死んではならない。生きることは、死ぬことよりもはるかにつらい。
(デヴィッド・ホイティカー『時空大決闘!』関口幸男訳)

どんなに美しい風景でも、しばらくすると飽きてしまうからだ。
(ジョージ・R・R・マーティン『フィーヴァードリーム』5、増田まもる訳)

「だが、いつもこうだとかぎりません。月がないときもあれば、雲が広がるときもあります。そうなると、真っ暗になるので、なにも見えなくなります。川岸が闇に呑まれて、自分がどこにいるのかわからなくなってしまい、気づかぬうちに川岸に頭から突っこんでしまうでしょう。反対に、まるで固い地面のように見える黒い影にでくわすこともあります。それが地面ではないことを見分けられなければ、ありもしないものを避けるために夜のなかをむだにしてしまいます。操舵手はどうやってそれらを見分けると思いますか、ヨーク船長?」フラムはヨークに答えるひまを与えなかった。「記憶に頼るんですよ。昼間のうちに川の姿を憶えてしまうんですよ。隅から隅まで。あらゆる曲がり角、川岸のあらゆる建物、あらゆる木材置場、深みに浅瀬、すれちがう場所、なにもかもを。われわれは知識によって船を操るんです、ヨーク船長。見えたものによってではなくてね。しかし、記憶するためにはまず見なければなりません。そして夜では、はっきり見ることはできないんですよ」
(ジョージ・R・R・マーティン『フィーヴァードリーム』8、増田まもる訳)

 マーティンは人間というものをよく知っていた──人間のどんなささいな行動をも見逃さず、それらをまとめて圧倒的な正確さで全体像を描く自分の能力を、かれはつねづね誇りにしていた。ダーナ・キャリルンドもおそらくかれと同じくらい人間通だったが、その手段も目的もマーティンとはちがっていた──つまり、それは人間の精神の健康を改善するためではなく、人間たちをもっと大きな図式に当てはめるためだった。彼女はそのプロセスで自分の欲求をほとんど露呈させなかったし、その行動も俳優の演技のように必ずしもいつわりではなかったが学習されたものだった。必ずしもいつわりではなく。
(グレッグ・ベア『斜線都市』上巻・第二次サーチ結果・5/、冬川 亘訳)

詩によって花瓶は儀式となる。
(キム・スタンリー・ロビンスン『荒れた岸辺』下巻・第三部・18、大西 憲訳)

(…)ぼくのいちばんそばのベッドの支柱はガタガタしていた。シーツはあまりにも古いものなので一本一本の糸がはっきりわかる。あちこちにつぎが当たっている。ぼくはその床を見つめたきりで、決して目を上げなかった。息をすると痛みを感じるので、撃たれたのはぼくかもしれないと思った。でもそうじゃない。そうじゃないんだ。キャスリンの脚が部屋に入ってくると、床板が少したわんだ。キャビイの脚が続いた。
(キム・スタンリー・ロビンスン『荒れた岸辺』下巻・第四部・20、大西 憲訳)

 ポーターがわたしの旅行鞄を持ち、ゆるくカーブを描いている幅広い階段を先導して上の階へ向かった。鏡やシャンデリアで飾られ、階段には豪華な絨毯が敷かれており、漆喰製の天井の蛇腹には金メッキが施されている。だが、鏡は磨かれておらず、絨毯はすり切れ、メッキは禿げかけていた。階段をのぼる、耳に聞こえないほど小さくなったわたしたちの足音は、どこかでだれかの思い出として生き延びているにちがいない、はるかむかしのパーティーで聞こえていたものの哀れな代替物だった。
(クリストファー・プリースト『奇跡の石塚』古沢嘉通訳)

その荒涼とした景色は、わたしにとってたんなる文脈にすぎない。荒野には一見なにもないように見えるが脅威がひそんでいる。わたしの感情は、そうした脅威を意識することに、つねに影響されていた。
(クリストファー・プリースト『奇跡の石塚』古沢嘉通訳)

 パーブロというあだ名がどこから出たのか、ぼくは時々不思議に思っていた。昔、友だちがたまたま言い出したものだろう。チャールズという名でずっとなじんできたから、それが本人にぴったりだという気もする。名前というものはすぐに容姿を想像させるものだ──ぼくにとっては、スザンナという名はどんな女性にもふさわしくない。パーブロはまちがいなくパーブロで、独自のものを持っていた。いまは不安そうに前かがみになって椅子に腰かけている。しかし、人殺しには見えない。われわれはみんなそうだ。
(マイクル・コニイ『カリスマ』9、那岐 大訳)

 何年も何年も……おれは、超空間のどこかの、使われないまま蓄えられた年月の中にいて、その全部の重みがおれの上にのしかかり、それと連続して同時に、おれの中からも同じ重みが支えていたのだ。
(シオドア・スタージョン『解除反応』霜島義明訳)

彼は土地使用料を払う担当者に任命され、その遊園地を目にするたびにロビンのことを思い出し、ロビンに会うたびについカーニヴァルのことを思い出すようになってしまった。
(シオドア・スタージョン『[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ』3、若島 正訳)

 いやいやそれどころか、今日の調査業務によって手に入るものは、明日かぞえる鼻のリストなんだから。ああ、ひとつ四セントの鼻たちよ。大きい鼻、小さい鼻、しし鼻、かぎ鼻、赤、白、青の鼻──鼻アレルギーになるまで、こうした鼻たちと顔をつきあわさなきゃならないんだ。ドアが開いてまたひとつ鼻がのぞいたら、その鼻をつまむかひねるかしたあと、ドアを閉め、そのままずらかりたい気分にもなってくる。
 まあ、わたしはこういううんざりした心境で、その家の戸口からつきだす鼻を待っていた。わたしは気をひきしめ、そしてドアが開いた。
 とがったわし鼻があらわれた。特(とく)徴(ちょう)のない顔とごく普通の主婦を代表する前衛(ぜんえい)というわけだ。その鼻は息を吸い、身をまもるドアの闇のなかで、いささかおぼつかなげにためらった。
(ロバート・ブロック『エチケットの問題』植木和美訳)

 アグノル・ハリトは率(そつ)直(ちょく)に、わたしたちが洞窟の入り口に達したら、そのあとは地獄さながらの場所に入りこむことになるだろうと警告した。あとでわかったことだが、アグノル・ハリトの警告はあまりにもひかえめなものだった。
(ニクツィン・ダイアリス『サファイアの女神』東谷真知子訳)

 バードはおちつかなげに歩きまわり、弁護士というよりは、むしろ床(ゆか)を相手に話をしているようだった。
(オスカー・シスガル『カシュラの庭』森川弘子訳)

 彼らの心理は病んでおり、彼らには傷痕がたくさんある。彼らは他人をおそれ、同時に、他人の援助を求めなければならないことを知るがゆえに、その他人を軽蔑する。
(スタニスワフ・レム『地球の泰平ヨン』時間の環、袋 一平訳)

 わたしはかれが、その全存在を新しい光明の下に置こうという一種の精神的な方向転換に向かって、手探りながら進んでいこうとしているのをすでに感じていた。
(オラフ・ステープルドン『オッド・ジョン』9、矢野 徹訳)

彼女を閉じこめているのは肉体だけではなかった。この世界全体だった。
(トマス・M・ディッシュ『ビジネスマン』4、細美遙子訳)

 病院にだれかを見舞いに行く以上にいやなことがあるとすれば、それは見舞いに来られることだ。
(トマス・M・ディッシュ『ビジネスマン』3、細美遙子訳)

 グランディエには殺人者になるつもりなど毛頭なかったのと同じに、妻をも含めてだれかを愛すつもりもなかった。それは積極的に人間を嫌っているというわけではなく、周囲の世界で愛という名のもとにおこなわれているふるまいに対する強度の懐疑主義のせいだった。
(トマス・M・ディッシュ『ビジネスマン』10、細美遙子訳)

 ジョージ・マレンドーフが自宅の玄関へと私道を歩いていくと、愛犬のピートが駆けよってきて、彼の両腕めがけてとびついた。犬は道路から跳びあがったが、そこでなにかが起きた。犬は消えてしまい、つかのま、いぶかしげな空中に、鳴き声だけがとり残されたのだ。
(R・A・ラファティ『七日間の恐怖』浅倉久志訳)

 始まりはすべて静かにやってくる。この実験は大成功だった。他人の目で見る経験は新鮮ですばらしい。(…)
 たしかに、よりよい世界だった。ずっと大きなひろがりを持ち、あらゆる細部が生き生きしていた。
(R・A・ラファティ『他人の目』2、浅倉久志訳)

すべてのディテールが相互に結びついたヴィジョン。
(R・A・ラファティ『他人の目』2、浅倉久志訳)

 レイロラ・ラヴェアの教えでは、人生のバランスを獲得すれば──ありあまる幸運を完全に分かちあい、すべての不運が片づいて──完璧に単純な人生がのこる。オボロ・ヒカリがぼくたちにいおうとしていたのは、それなんだ。ぼくたちが来るまで、彼の人生は完璧に単純に進行していた。ところが、こうしてぼくたちが来たことで、彼は突然バランスを崩された。それはいいことだ。なぜなら、これでヒカリは、完璧な単純さをもどす手段をもとめて苦闘することになるからさ。彼は進んで他者の影響を受けようとするだろう。
(オースン・スコット・カード『エンダーの子どもたち』上巻・4、田中一江訳)

「そんなの、わたしが思ってたよりずっと面倒くさいじゃないの、ロジャー。まったく面倒だわ」ドリーが愚痴をこぼした。
「面倒だからこそおもしろくなるんだよ」ロジャーはおかしくもなんともなかったが、にやりと笑った。(…)
(タビサ・キング『スモール・ワールド』8、みき 遙訳)

 まあ、何が起こるにせよ、なかなかおもしろい旅行になりそうだった。知らない人々に会え、知らないものや知らない場所を見ることができる。それがドリーと関わりあいになった最大の利点のひとつだ。人生とはほとんどいつもおもしろいものだ。
(タビサ・キング『スモール・ワールド』5、みき 遙訳)

その世界はジム・ブリスキンの好奇心をそそったが、それはまたかれのまったく知らない世界だった。
(フィリップ・K・ディック『カンタータ百四十番』5、冬川 亘訳)

春はまたよみがえる!
(フィリップ・K・ディック『シビュラの目』浅倉久志訳)

 スリックの考えでは、宇宙というのは存在するすべてのものだ。だったら、どうしてそれに形がありうるのだろう。形があるとすれば、それを包むように、まわりに何かあるはずだ。その何かが何かであるなら、それもまた宇宙の一部ではないのだろうか。
(ウィリアム・ギブスン『モナリザ・オーヴァドライヴ』10、黒丸 尚訳)

まるで、この表面の下に、いまだ熟さぬ映像がひそんでいる、とでもいうように。
(ウィリアム・ギブスン『モナリザ・オーヴァドライヴ』12、黒丸 尚訳)

 ユートピアの害獣、害虫、寄生虫、疫病の除去、清掃の各段階には、それぞれいろいろな制約や損害が伴った可能性があるという事実を、キャッツキル氏は、その鋭い軽率な頭脳でつかんでいた、というより、その事実が彼の頭脳をつかんでいたと言ったほうが当たっている。
(H・G・ウェルズ『神々のような人びと』第一部・六、水嶋正路訳)

ここは、夢に思い描いていた世界だと言うわけにはいかない。なにしろこれほど願望と想像にぴったりと合った世界は、夢に描いたこともないのだ。
(H・G・ウェルズ『神々のような人びと』第一部・七、水嶋正路訳)

 この静けさは、水車をまわす水流の静けさだ。音もなく突っぱしる水は、ほとんど動いているとも見えないが、いったん泡立ったり、棒切れや木の葉がその上に落ちると、矢のように走って、はじめてその速さが知れるのだ。
(H・G・ウェルズ『神々のような人びと』第二部・一、水嶋正路訳)

 よそ目にもはっきり見てとれたが、彼は老人の、物ごとをよく見る、悠揚(ゆうよう)迫らない態度で、子供たちの叫び声やスズメのチッチッいうさえずりや、恋人たちの優しい手のからみ合いなど、生活のさまざまな要素をいっしょに味わいながら、夕暮れの散歩を楽しんでいた。彼は過去の日々にやったように、人間生活の本流にひたっていたのだ。そして年月を経る間に、夜の逃亡者のように突然、音もなく姿を消して行ったあの親しい人びとの跡を埋め合わせるものを、何がしかそこから得ていたのだ。
(エリック・F・ラッセル『追伸』峯岸 久訳)

「(…)これじゃ台所の雑巾にも劣り、汚れた脱脂綿にも劣る。実際、ぼくがぼく自身と何の関係もないじゃないか」それゆえ彼にはどうしても、こんな時刻にこんな雨の中をベルト・トレパに連れ添っている彼にはどうしても、すべての光がひとつひとつ消えてゆく大きな建物の中で自分が最後に消えようとしている光であるかのような感じがいつまでも消えやらず、彼はなおも考えていた、自分はこれとは違う、どこかで自分が自分を待っているようだ、ヒステリー性の、おそらくは色情狂の老女を引っぱってカルチエ・ラタンを歩いているこの自分は第二の自分(ドツペルゲンガー)にすぎず、もう一人の自分、もう一人のほうは……
(コルターサル『石蹴り遊び』向う側から・23、土岐恒二訳)

言葉は形を与えられると、たちまち休む間もなく考えるひまもなくやりとりされるのだ。
(レイ・ブラッドベリ『四旬節の最初の夜』吉田誠一訳)

芸術はもはや表現するだけでは満足しない。それは物質を変容させるのだ。
(マルセル・エイメ『よい絵』中村真一郎訳)

夕暮れの光線は、事物を溶かすのではなく、かえって線や面を強調した。
(マルセル・エイメ『パリ横断』中村真一郎訳)

 月明かりに照らされた空間では、どんなにぼんやりした見張人でも、まるで丸い照明の光を浴びたダンサーのように姿を現わす通行人のひそかな人影を、たちまちとらえることができるのだ。
(マルセル・エイメ『パリ横断』中村真一郎訳)

人間はみんなちがってていいんだよ
(ニコラス・グリフィス『スロー・リバー』8、幹 遙子訳)

長く楽しめるものというのは、どんどん奥が深くなっていく。
(ニコラス・グリフィス『スロー・リバー』12、幹 遙子訳)

 彼はじっとわたしを見た。その表情から、わたしを信じるかどうか決めかねているのがわかった。希望を抱くことは危険をはらむからだ。
(ニコラス・グリフィス『スロー・リバー』13、幹 遙子訳)


そこでみながもう一度家族であることを学べる場所。
(ニコラス・グリフィス『スロー・リバー』8、幹 遙子訳)

 アイリーンがちょっとためらってから、にこっとして言った。「あれはきっと、イギリス英語で『ようこそ』という意味なのよ」
(チャールズ・ボーモント『レディに捧げる歌』矢野浩三郎訳)

たしかに、彼女らはその生きかたにおいては最大限に異なっていたかもしれないけれども、しかしきっと共通するものをなにかもっていただろう。彼女らは真実だった。
(ガデンヌ『スヘヴェニンゲンの浜辺』25、菅野昭正訳)

というのは、瞬間というものしか存在していないからであり、そして瞬間はすぐに消え失せてしまうものだからだ──
(ガデンヌ『スヘヴェニンゲンの浜辺』25、菅野昭正訳)

ボビー・ボーイはゆっくりとぼうっとしたような動き方で、エディーのほうをふり返った。手にしたディスペンサーからアンプルを出して、鼻の下でぽんと割り、ふかく息を吸いこんだ。顔が細長く伸びるように見えた。
(ルーシャス・シェパード『戦時生活』第四部・14、小川 隆訳)

その考えが彼女の顔にしみこんでいくのが、みんなの顔にしみこんでいくのが見てとれた。
(ルーシャス・シェパード『戦時生活』第五部・16、小川 隆訳)

(…)彼女たちはここにひきよせられてきたのだ、ちょうど私がひきよせられるように禁欲の誓いを破るはめになったように。夢に、さまざまな声にひきよせられたのだ。
(ルーシャス・シェパード『戦時生活』第四部・13、小川 隆訳)

どこかでよいことが起きたのだ。そしてそれが拡がったのだ。
(フィリップ・K・ディック&ロジャー・ゼラズニイ『怒りの神』18、仁賀克雄訳)

きみの中で眠っていたもの、潜んでいたもののすべてが現われるのだよ。
(フィリップ・K・ディック『銀河の壺直し』5、汀 一弘訳)

 ジョーは議論にそなえて男のほうに向き直り、言葉をつづけようとした。そのとき、ジョーはだれに向かって話しかけようとしていたかを悟った。
 隣にかけていたのは、人間の形をしたグリマングだった。
(フィリップ・K・ディック『銀河の壺直し』5、汀 一弘訳)

わたしが二つの世界をつなぐ橋なの
(マイケル・マーシャル・スミス『スペアーズ』第三部・21、嶋田洋一訳)

 走りながらおれは一秒一秒が極限まで引き伸ばされ、それ以前にあったことすべてを包みこもうとするのを感じていた。失われるものは何もなく、役に立たないものもない。おれのしてきたすべてのことが、視線も、言葉も、息も、ことごとく輝き、巨大に、無限に、おれ自身になる。人生は目の前を通り過ぎていったのではない──おれが人生の先に立って走ってきたのだ。
(マイケル・マーシャル・スミス『スペアーズ』第三部・21、嶋田洋一訳)

闇の世界には、おのずからなる秩序があるのである。
(ハーラン・エリスン『バシリスク』深町真理子訳)

 レスティグは静かに車を走らせた。(…)ひたすら車を駆った。そのようすはさながら、もし彼が想像力に富んだ男であったなら、本能に導かれてまっすぐ海へ帰ってゆくうみがめの子になぞらえただろうような、そんなひたむきさを持っていた。
(ハーラン・エリスン『バシリスク』深町真理子訳)

そこでこの最後の映画では山中のストリート・キッドが「ことば」を爆発させ、静かに座る答を待つ沈黙。
(ウィリアム・バロウズ『ソフトマシーン』4、山形浩生・柳下毅一郎訳)

フードをかぶった死人が回転ドアの中で独り言を言う──かつて私だったものは逆回転サウンドトラックだ
(ウィリアム・バロウズ『ソフトマシーン』5、山形浩生・柳下毅一郎訳)

熱い精液が白痴の黒んぼを射精した
(ウィリアム・バロウズ『ソフトマシーン』5、山形浩生・柳下毅一郎訳)

不動の沈黙を句読点がわりにゆっくりした緊張病の動作で会話する
(ウィリアム・バロウズ『ソフトマシーン』4、山形浩生・柳下毅一郎訳)

わたしは、どこでまちがえたのだろう?
(メリッサ・スコット『地球航路』3、梶元靖子訳)

もっとコーヒーを飲むかい?
(フィリップ・K・ディック&ロジャー・ゼラズニイ『怒りの神』17、仁賀克雄訳)

それはすてき。
(メリッサ・スコット『地球航路』7、梶元靖子訳)

一晩中ずっと勃起していられたあの少年はいったいどうなったんだろう?
(ウィリアム・バロウズ『ソフトマシーン』5、山形浩生・柳下毅一郎訳)

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9652 : 蘇生幻想譚  田中恭平 '17/06/01 09:21:36


またやっちまった、
月にミサイルが突き刺さってら
心臓が変奏して青くなってら
ドクダミの白い花が咲いてら
とんとん、と
夜を靴でこづく

虫の声が聞こえる、それは
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀佛と聞こえるが
寺が近い所為か、実際には求愛のコールらしいが
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏
僕の耳は白い
僕の顔は浅黒い
もう夏だなと、冷えている耳


五丁目で語調を整え胡蝶蘭。
と言ってみた
誰もいない気が、しなかったから言ってみた
庇護者かも知れないと思った
携帯電話は家へ置いてきた
御金も置いてきたからとても不安になるのは何故?


白い粉、アーバンな午前四時、シャッターが上がり
呪われた者同士が言葉を交換しあう
僕が案山子に語りかけてみると
肉欲を迫られたので、つんのめって、バア
遊びではいけないのですか?
遊びだからいけないのです
それにセイコウしても丁稚が生まれます
なぜ?
その児は生前真珠を飲んで喉頭がんで亡くなりました
嗚呼!
これが絶望ではない、


テクテク、テクっていくと案山子は元の茶畑のなかに戻りました
それで宜しい
僕はラッキーストライクを吸い、玩具のカメラで歪んだ町を
もっと歪ませて録ました
その晩僕はそのネガに呪われて、死にました


次の日、生き返ってみますといつもの天井でした
昼食は天丼でした、蠅が飛んでいました
なぜそんなことを訴えているかというと自分でも定かではないが、
最近話し方が可笑しいのです
先生に診てもらいますと
これが何に見える? と三本指を出しました
私は答えました
三本です、
もっと言いたいことがあるだろう、
ホラ、これはただの指だよ、
うまい具合に調律があっておるから、人間としてはおかしい
どういうことですか?
きみは一度死んだかね?
精神的な意味で、ですか?
違う、二元論ではないんだ、
精神と肉体とかじゃなくて、端的に死んだのかね?
はい、それは歪んだ町のなかで動けなくなりました
ネガの中に入ったのかね?
はい、すると玩具のカメラごと燃されてしまったので、
僕は自分で勝手に死んだんじゃないかぁ、と思っていたんですが。
生きとるよ!
ああ、そうですか、とするとやはり蘇生に成功したか・・・・・・
何を言っておる?
それより先生は今でもお煙草は?
吸っとるよ!
やめられないのが、人間ですねぇ

月にミサイルが突き刺さっとるが・・・・・、
アメリカがやったんでしょう
北じゃないのかな
先生はなぜそんなに聞きたがる!
きみのことに興味関心がある、
案山子の方がよっぽど役に立ちますぜ
あいつらはおったてるだけだ
先生だってその気があったりしてな!
何をふざけたことを!!
ああ、五月蝿い、五月蝿い!
大体あんたは精神科医じゃないじゃないか
ただの歯科医じゃないか!
──それはきみの妄想だよ
誰?
──きみは失敗作だ
誰?誰だ
──きみは失敗作だ
──きみは失敗作だ、ゆえにうつくしい
なんで失敗作であることがうつくしい理由になるんだよ
──完成しないという幻想を込めた
誰と話しているんだい?
百分の一を作ったヤツです
統合失調症の発症率か、
──どんなに高い塔を作っても、バラバラにしちゃうよ?
俺は普通の人間になりたいだけだ、今は、
──過去の罪状を今泣いても遅い、邁進せよ、
気付くと
夜を、靴でこづいている

 

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9642 : 手紙  紅茶猫 '17/05/27 00:11:51 *6

拝啓

__僕の中の君へ

ダボダボのシャツを広げて
青いヒコーキ雲を
指に走らせる
ふいに
肩に羽が生えてきて

僕はさり気なく
惜しみなく
胸を撫で下ろす

水を飲み干すように
美しくなど、死ねない

小鳥手の内に込めて
眩しくなど、死ねない

モノクロのコンクリートが
全身に
降りてくる

から

プリントアウトされていく日常と
疑う文字列と
滑らかに並んでいく

だろう

晴れた?
a letter

君が拾い集めた苺の先に
コトバなんてものが宿るのなら
太陽は無意味だ
指で握りつぶす

ヌルヌルと
夜の速度に
明けてしまった朝に
黙祷

地上に降る
おおよそ
百万回目の雨にも
黙祷

ギリギリのところで
いつも
君は詩人で

ギリギリのところで

いつも
君は君だから

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9651 : 時を手繰り寄せて  鞠ちゃん '17/06/01 08:58:37

ワオ!
ロシアの少女ジェーニャよ
エフゲニア・メドベージェワが氷上にクルクルと舞い
白いスケート靴で着地すれば
辺りを塗り替えて刷新、氷が涼やかにはじけた
金メダルを掴んでけろり、ニコニコした彼女は
日本人のマスコミを見つけて目をキラキラ、得意そうに歌った
「ご存じ!
愛と正義のセーラー服美少女戦士セーラームーン!
月に替わってお仕置きよ!」

心をとらえた一枚の名画の海に
その秘密をほどくべく飛び込んで
黄金色(こがねいろ)の稲穂が首(こうべ)を垂れる風の中で
思惟しては小走りする兎にあなたがなるように

ベイビードールベイビードール
少女は赤ん坊をあやす練習をしてる
その息吹を夢想し熱愛する心が
地球を沸騰させる日が来るだろう

空を飛んだ心が
港港に灯る光に心躍らせて
新天地を舐めれば飛んだ羽の心は屋根だ
心の屋根の下に温めたものはトクトクと脈打ち命だ

私は子供たちの地熱を感じた
インターネットは体操選手の蹴る跳馬のロイター板で
ウルトラ難度を決めるのはぞくぞくと子供たちだ

春に吹き出した新芽いっぱいの野原が
青臭く鬱蒼としてケラケラ笑い出す
初夏の少し前のその日よ
平和の戦士は笑い上戸で
笑顔は億千万の弾丸だ
このたとえはいつか死ぬだろう
信じない大人たちがやせ細り
月の裏側の化石の海に涙を捨てていた
幻の涙を測るビーカーと試験管の心で暇をつぶしていた
それは犠牲者たちで可哀そうなのだと皆がほんとうは知っていた

昔アジアの老詩人がこういった
それでもなお子供は、世界の希望、と
ピカピカの一年生
キャラ弁を詰めてもらい
あああなたよ

わたしはここで別のあなたのことを考える
ウルトラマンを熱愛していたいつかの子供よ
あの昂ぶり、生きる喜び、それは握りしめた熱狂の
愛と正義を火の玉の愛犬にしてともに走る
瞳に熱を宿らせた陶酔の子供よ
澄んだ炎よ
年月、苦りをくべて清濁の渦を抱くいつかの子供よ
光と影の中で私たちは光を喰らい影を濃くするのだ

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9623 : 虫籠  おでん '17/05/18 08:59:52

ガラスの壁に、手を触れて、彼は見る、音もなく、蠢く、群集を。一人一人に、足音はつかない、そうして、忙しなく、いつまでも、蠢いている。真昼の、静かな都会、鳥が、空を、飛んでいる、ような気がする。駅のホームに、彼は立つ。ドアが開く、彼は入る。乗客の、誰もが、目を閉じて、蝶のいる、虫籠を、抱き抱えている。彼は、そうして、音もなく、茫洋と、微睡んでいる。真昼の、静かな都会を、音のしない電車が、駆けている。

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9650 : 大祈祷文  lalita '17/06/01 01:35:37

上帝の精神の御中の光明なる点より
光明をして人民の精神へ流入せしめんことを
光明をして大地に降臨せしめよ。

上帝の心臓の御中の仁愛なる点より
仁愛をして人民の心臓に流入せしめんことを
キリストよ大地に再臨せんことを

上帝の御意志覚知されし御所より
大目的をして人民の小意志を引導せしめんことを
大師等が覚知されそがために奉仕されん大目的よ

我等が人類と呼称せん場所より
仁愛と光明の大計画を発動せしめよ
而してそれが悪の住居の扉を封ぜんことを

光明と仁愛と御力とをもて大地に大計画を復興せしめんことを。


彼女が、既存の大祈願がやすっぽいというので私が英語からあらたに訳出しました。

原文は

The Great Invocation
From the point of Light within the Mind of God
Let light stream forth into the minds of men.
Let Light descend on Earth.

From the point of Love within the Heart of God
Let love stream forth into the hearts of men.
May Christ* return to Earth.

From the centre where the Will of God is known
Let purpose guide the little wills of men -
The purpose which the Masters know and serve.

From the centre which we call the race of men
Let the Plan of Love and Light work out
And may it seal the door where evil dwells.

Let Light and Love and Power restore the Plan on Earth.

です。

これを最高の訳にできる方は果たしてこのなかにおられるでしょうか。

添削をお待ちしております。

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9657 : たん、  選者 '17/06/03 21:32:18

ヒソヒソ

うみのみこうから、
あたらしい、
しじんがやってきたよ、

わかや、はいくは、
すべて、すてて、
きれいな、にほんごで、
ひょうじゅんかされた、
わたしたちをかこうよ、

やまだくんも、
たなかくんも、
みな、人だ、
詩人だ、
(人も詩人も、本当はこの国にはなかったよ)

ばかはしね
きれいな、ひょうじゅんごだ、
へいきんかされた、
ひょじゅんかされた、
やさしい、にほんごだ、

俺は巫女だよ、
憑依型、怨念型詩作の、
最終兵器だよ、
つまり、俺は、
この、国に皆と一緒に降る、近代の雨だ、
悲しみの国語の時間を延々とやり続けに来たんだよ、

おはよう、
詩人、
君、遠い海の向こうから、
「人」としてやってきたんだろ、
この国には、
「人」はいなかったからさ、
詩人もいなかったよ

蝦夷の、
ぶち殺されたうたが
聞きたい、
または、
さばえなす神々と、
言われ蹂躙された、
怪物どもの、
うたが読みたい、

全部ぶちころそう、
そしたら、
俺たちだけが残り、
ほんものになれる、
そうしよう、
右から左へバカを
叩き潰そう、
悲しくなったら、
僕は詩人だと叫べるように、
眠れない夜に、
自分が何者かで
「あれ」るように、

きみのいう、
たましいは、どこにある、
白い肌の、
人は、
どこをさす?、
黄色い肌の彼が、
どこをさすかは、
私は忘れてしまった、

私は、
不在のまま、私と、
名乗ることを、
強要されきた、
または、私たちは、

つか、
ばかはしね
わか、うそいえよ、
なにが、和だよ、
漢字使えよ、
は?

えみしたん、
さばえなすかみがみたん、
のろいころそうよ、
こいつら、
の、にほんごで、
なんどもなんども、
ぶちころされてきたぶん、
のろいころそうよ、

さばえなす
僕らには、
蝿の羽音にしか聞こえなかったんだよ、
貴方たちの言葉が、

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9617 : アフターマン  尾田和彦 '17/05/13 11:55:10





新聞紙の束に埋もれて眠る
バス停の前に立つ人々の群れ
中洲の路上には
生き埋めにされた感情が眠っている
到着したバスに乗り込む人々
バスに乗り遅れたぼく

生きていくという事は
隠すことだ
生き延びる為に
怖いほど奇麗な
秘密を抱いている人

人間とは
世界の終りを越境した集団だ
ターミナル駅の改札口
JRの地下鉄とは
世界の終りがあげた
弱々しい悲鳴の一つに過ぎない
例えば君の心を深く傷付けてしまう
人もまばらな海岸線
波打ち際を走る犬
ハイビスカスの花びらが
太陽と
恋人たちと
見つめあう
あの真っ白な砂浜の
オープンテラス席
心の傷とは
そんな砂浜の
痕跡の一つに過ぎない

新聞紙に埋もれて眠る
午前2時半
牟田町のホステスたちが
店から出てくる
金曜の夜の晩
土砂降りの雨の中
ぼくらはラーメンをすすった
見つかるわけでもないのに
見つけ出そうとしてるわけでもないのに

人々は
願わずにすんだ
夢の一つをポケットに押し込む
見てはいけないほど
来てはいけないほど
遠くの町に
もたらされた雨の
つかの間の歴史が
美しい

ぼくは歓楽街のホテルを出た
このまま旅を続けるべきか
何千万と
幾億万と
沈んでいく夜の
星屑の一粒となるべきか
520号室
扉を蹴破ると
そこには朝陽を浴びた
痩せこけた白い野良犬と
誰もいなくなった食堂を
通り抜けていく風が
オリーブの葉を
揺らしていた

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9614 : M・A・.・. アストゥリアス  玄こう '17/05/11 04:16:04 *3



 詩を読むとは、わたしがぶつかる事の体験デアル。

 詩を書くとは、ぶつける対象に宛てる行為デアル。

 絵も彫刻もそれに準拠するだろう。

 呪の文字のほのめきを延展し読み刻む。

 絵的な切り貼り、マインド・ソウル・スピリツ。

 それらが奏でる疑似的黙示。脱字演技の肉の削がれたミテクレ人形。

 強弁に誇示する虐げられた恣意的示威のドグマのシーク。

 飼育されたアプリオリ 無思想という思想の意識が及ばぬまま収斂し。

 それら狂気と呼べるものたちがのたうち回る。


   <<<<<<<<<<巳<<<<<<<<<
   入り混じり割られる虹虹
   仲睦まじく番呑む白子蛇
   >>>>>>>>>>巳>>>>>>>>>

   >>>>>双頭の蛇の首飾り

 トルコ石のモザイク ミステカ芸術
 「マヤの三つの太陽 .M・A・.・. アストゥリアス/創造の小路より」

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9655 : YUICHI SAITO  朝顔 '17/06/02 04:21:52

なぐり書きの線
力強いストローク
一つ覚えと言えばそうかも知れない
どらえもん
ら
え
も
ももももも
ん
繰り返し繰り返し書くうちに
それは円になり波になり噴水になり
藍色の叫び

ああ
この叫びはどこかで聞いた
四分の一世紀前
八街のスイカ畑の真ん中の隔離病棟で聞いた
最初はこわくてこわくてうずくまっていた   
十畳の部屋に十二人が布団を敷きつめて寝た
エガワサンは時々飴をくれた
ちゃーちゃんは時々頭からカップ焼きそばをぶっかけた
金さんは機嫌が悪いと髪をわしづかみにして
床を引っ張りまわした

それでもみんなみんな同じ釜の飯を食った仲間だった
セクハラをする施設員を
「Hな
ことされなかったかぁい」
と少し喋れるサトウさんは忠告した

言葉のない世界に八か月いて慣れた頃
突然解放された私は教会に行って
「聖書を読めば救われます」と聞いて
じゃあエガワサンはちゃーちゃんは金さんは
どうやって救われるのかと混乱した

あの頃は
光のない世界に戻されるのが怖くて
ただただ怖くてずうっと自分の部屋にいた
 
二十年経った後、北川口に
知的障害者のアトリエがあると知って
父親と訪ねて行った

工房集
あの時とおんなじ人たちがいた
挨拶ができない人にどしどしぶつかってくる人たちが
だけれどきれいなマフラーが壁の棚にあり
画集が幾つかテーブルに置いてあった
それはそれは明るい光に包まれて
職員の人は根気強く書や織を教えていて
カフェーは陽だまりの中に居心地よくあって

神よ
あなたが救わない人たちが   
ここでは救われています
NYでも高く評価された
青い噴水のような
まあるい母親のような
どらえももももも
ん

          

*齋藤裕一。アールブリュットの画家として世界的に活躍する。          

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9669 : 尻から溜息  アラメルモ '17/06/07 02:30:34


今日の人は楽に死ねたという
明日はわからない
予報では午後から雨になるそうだよ

鳴かない小鳥がまた騒ぎだした
どうやら鉄の籠が気に入らないらしい
竹籠に換えてやると眠ったまま動かなくなったね

さようなら
私が左に向いて座れば
母は炬燵でまるくなる
猫は中座して
「滓を溜め込む」

パレードの真ん中で一人
クラブの隅でも一人
一人でも楽しめる人は幸せな人生じゃないの

薄暗い廊下をうろついている
人工呼吸器の音で韻を踏んでいる
あれは詩人ではないのかと白衣に疑われる

一畳間の空白
いつになく青い空
おや?蛙さんだね!

食えないから人殺しをする
人殺しをしたら食えるのか
刑務所のなかで一生懸命仕事に励むよ

さようなら
私が立ち上がれば、背後から距離を測る影
透けた躰を通り抜けて行く、交差点
断血だよ、と叫んでみたい脈絡
「滓は燃える」

ねえ、薬はどこにあるのかな
切っても果汁は出ない
咽喉の奥から疲れた尿の味がする。

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9667 : ニュートラル  本田憲嵩 '17/06/06 21:37:03 *2

おぼつかない
てのひらでうけとった
灰色の雲間からの
太陽球のささやかな光筋に
もうすでに摩耗しきった熱の残滓
会話と歩幅に
かたつむりの速度を馴染ませた
潤いの傘の季節
かつての興隆とやがての果実の腐敗に
傾斜せずに頬骨の硬さを求め
けれども幾度となく巡ってしまう
綴り綴られた文字は
屠るためのものでしたか?
背を向けたまま
遠ざかってゆく
あなたの白いシャツの芳香に
新調の便箋を見いだし
さわやかな風が容赦なく
吹きつける

澱んだ肺胞にまで
否応なく
清涼となった崖上
ニュートラルレバーが立ち尽くす

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9668 : なじみ深いバグ  maracas '17/06/06 22:13:45


人型ロボットの、ドラえもんの部屋は汚くて
しかも、日没が近かった
彼のベランダにはバグったエレベーターがあり
ぼくはそれに乗り込む
ドラえもんも、少しバグったり、正常に動いたりしていて
彼自身にも、その自覚があるのがおもしろい
ドラえもんは、乱雑な部屋のなかで寝ころがり、
ぼくたちがやってくるのを待っている
ぼくたちは何も知らず、断続的に
歪んだエレベーターに乗り、
どこかの日本の平原にたどり着く

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9665 : キラキラと輝くもの  无 '17/06/05 19:24:59

キラキラと輝くものを
紡ぎ出す人たちがいる
それは時や人によって
ダイアモンドだったり
水晶だったり
アクリルだったり
まあ色々なんだけど
そういうことを気にするのは
主に紡ぎ出す彼らの方で
受け取る者たちの多くは
(特に子どもたちは)
そんなことはどうでも良くて
ダイアモンドも
水晶も
アクリルも
すべてキラキラと輝いていて
彼らは口々に
「ああ、きれいだなあ」
と
幸せそうな顔で
溜め息をつく
キラキラと輝くものを
紡ぎ出す人たちは
そんな人々のことを
心の底では蔑んでいて
ダイアモンドと
水晶と
アクリルの違いを
見極められる自分たちを
特別な存在だと思っている
北向きの窓辺に集まり
互いの輝きを鑑定する
それが彼らの誇り
それが彼らの生き甲斐
まあ
それはそれで
別にいいんだけどね
キラキラと輝くものが
どれもきれいだということに
変わりはないんだから
誇り高き人たちも
無邪気な人たちも
キラキラと輝くもので
みんな幸せなんだから

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9658 : 僕は彼女を抱きしめたかった  芦野 夕狩 '17/06/03 23:44:17 *1

会社から帰る途中に
空き缶が転がっていて
道路の傍に
コロコロと転がっていくんだよね

誰かを
例えば上司を
無能だ、と心の中で罵ってみて
その空き缶の転がる道を歩いてく

剥がれていく
仕事中に書類で指を切って
そこに貼り付けた絆創膏が
ほの暖かい湯に浸って
だらしなく剥がれていく

僕が僕である悲しみ
という言葉の反対として
僕じゃないよろこび
というものがあるとしたら
主語はなんだろうね
絆創膏だろうか

鬱病になってしまった後輩からラインが来る
無理はしないでね(無理をしない程度に世の中に貢献してね
後輩は絆創膏のように剥がれていってしまったのかもしれない
君が君じゃないよろこび

空き缶の転がる道を歩く
歩く
何度も歩く
たぶん
無能だと思っていた人たちは
皆等しく無力なだけなのかもしれない
僕と同じように

剥がれていく
あさ鏡を見るたびに
耳が小さくなっている気がする
口が四角になっている気がする
僕が僕じゃない喜び(?)

鬱病になってしまった後輩にラインを送る
なんかさ、結局
世の中が全部悪い気がする
よくわかんないけど
俺頭悪いから難しいことわかんないけど
お前がお前のこと責めるのを俺が許せないっていうか
俺がフツーに働けてて
こういうこというのもすげー無責任だと思うから
お前がお前のこと責めるのを俺が許せない証拠に
会社辞めようと思うわ
まじ
止めないでくれよ

返事がない
ただの屍かもしれない(既読だけど
もしかしたら救えたはずの命を
見殺しにしたのかもしれない
遅すぎたのかもしれない

とりあえずセックスがしたくなった
愛とか恋とかそういうのじゃなく
ベッドの上で欲望の塊に成り果てて
なんかよくわからないけど
果てしなく意味のないセックスをしなければならなかった
そうすることが世界への復讐だった
意味や価値を求められて
失われていったものたちへの葬いだった

夜の街で女を買い
僕が救えたはずの命が終わったことと
それと同時に世界が終わったことと
僕たちは銃弾が飛び交う戦場のようなところで
ただ剥き出しにセックスをしなければならないことを
伝えた
女は見るからに商売女で
トクホの烏龍茶を飲んでいた
お金を渡すまでは僕の話を聞いてくれた
お金を渡したあとはスマホをいじっている
でもさ
若者の貧困は世の中が悪いと思うんだよね
俺頭悪いから難しいことわかんないけど
ある意味君のために俺会社辞めたんだわ
まじで
女は先にシャワーを浴びると言って浴室に消え
僕は部屋で彼女の体を見ないように努めていた
だってそういうものは秘匿されてなければならないから
女と入れ違いにシャワーを浴び
女の言うままにベッドに寝かされ
手コキをされた
僕は彼女を抱きしめたかった
ただ彼女は乳首は痛いといった
だから裸で抱き合うことはできず
僕はしごかれていた
正常位でいい?
そう言われて
いいよ、と言って
そのまま彼女が横になって
ローションを塗られて
挿れた
僕は彼女を抱きしめたかった
けれど彼女は足開きすぎると痛いと言った
だからそれは無理だった
彼女はスッキリとした美人だと思っていたけど
お腹が出ていた
綺麗に三段に分かれていて
わずかばかりに足を開くとそれがより強調された
僕は彼女を抱きしめたかった
彼女は
なんか萎えてない?
と言った
僕は手でしてくれる?
と頼んだ
いいよ、と言った
そのまま目を瞑っているとすぐ射精した
お互いにすぐに着替えてホテルを出た
火災が発生しているビルから脱出するみたいに

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9663 : 契り  鞠ちゃん '17/06/05 11:12:39

三白眼の太陽がその青白い白目を光らせ
昔気質の男が時として言葉を選び語るがごとく言う

野生の王を忘れたか
我が花嫁よ
おまえが幼い者だった頃
私はおまえの愛らしい額に飾る花を作るべく野を照らした
おまえが懸命に編んだ王冠のシロツメクサの匂いは
甘く青臭くとろりとして
おまえの幼い心を酔わせ
それは私の誓った永世の愛の言葉だった
おまえはこれ以上のものを得たのか?

海辺を転げるあのもどかしく飛び跳ねるビニールボールに
歓声を上げて潮の香に揉まれる砂だらけの幼な妻を
私はじりじりと焼け焦がして
おまえの守護者となり、愛の源泉となり
おまえの背中に私の熱い唇で痕をつけた

季節は過ぎて、貧しさ、着の身着のままのおまえよ
世界は変わり、嘆きは乾いた灰に吸い取られていた
後には歯を食いしばる心とあほ踊りする心が
ちいさな河の芥、あぶくになって水面を揉み合っていた

灰の降った後の世界で生きようとも私はおまえの傍にいる
思い出せ私を
私と番いおまえの熱情にして歩いていくのだ
目を伏せて記憶の香水ボトルに私を閉じ込めるな
おまえの瞳に映る者はすべて私の伝令だ

”思い出してよ”、と
紫つゆ草が朝に濡れて歌う
赤まんまが指切りして囁く
猫じゃらしが道化者を買って出た
アザミは友情を見せて見つめている
セレナーデを歌う草花たちを婚礼の祝い客にして
微笑みをグラスに添えれば
私はおまえの時を奪い
光で隅々まで満たし
おまえは静謐という名の人知れぬ湖の
私に抱かれる魚となって
ただ水底に美しい魚影だけを残すだろう
そうして私たちは回転しながら
私たちだけを抱きしめあい、永遠を交わせるのだ
おまえはあの頃のように、私を感じ思うだけでいい
娘よ

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9662 : 腕  朝顔 '17/06/05 01:59:34

あなたの腕は大きくて細かった
抱きしめられて暫く二人でじっとしていた
部屋にはイランイランの香りがたち込めていて
カーテンは静かな薄緑色だった

それから私は見た
あなたの腕が四方八方に伸びて
パキラの木のようにどんどん大きくなって
部屋中をジャングルのように覆ってゆくのを

すっかりマイナスイオンに包まれた寝室で
私とあなたは安心して睦みあった
父ライオンと子ライオンのように

外は森閑としていて紺色だった
時々上の部屋の人の寝息が聞こえた
充電中の携帯のシグナルが二台枕の上で赤く灯っていた

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9653 : かみさま  鳩村 '17/06/01 12:00:28 *1

ちゅうがくせいのころぼくはすくーるかーすとにぞくしていませんでした なぜならばぼくはそもそもそんざいしていなかったからです そんざいしていなかったといってもそれはぼくのどうきゅうせいたちのあいだにおいてそんざいしないことになっていただけであってぼくはそこにいたはずでした すくなくともぼくはちゅうがくせいのころじぶんがなにをしていたのかよくおぼえています なにもしていなかったからです なにもしないということをしていました おかあさんとおとうさんはりこんしたのでおとうさんとくらしていましたがとうじすでにおかあさんはしんでいたようです くわしいことはしりませんがそういうことになっています ぼくはおかあさんにあったことがありません おかあさんはぼくをうんでからもかなりのあいだいきたときいています ぼくはおかあさんのおっぱいをすってそだったともきいています それでもぼくはおかあさんにあったことがありません おかあさんをおかあさんとよんだこともおかあさんをみておかあさんとおもったこともないのです そういうことがおきるまえにおかあさんはしんでしまいました いまだにかおのみえないじょせいにだきしめられておかあさんおかあさんあいたかったとなくゆめをみてははれためでめがさめるのです ははおやにあったことがないということはあいされたことがないということです そうです わたしはあいされたことがありません さてわたしはちゅうがくせいのころいじめをうけていました べんきょうもできずうんどうもできずいつもきたないふくをきてしんちょうもひくかったのでとうぜんだったとおもいます いじめというとさっかーぶやばすけっとぼーるぶのせいとがびじゅつぶのせいとをいじめるというようなこうずがうかびますがぼくはぎじゅつぶのせいとにいじめられていました ぎじゅつぶはすくーるかーすとのさいていへんにいちしています ぼくもぎじゅつぶにしょぞくしていました なにかしらのぶかつにしょぞくしなければいけないきまりだったからです ほうかごぶかつにさんかせずにきたくすしてはいけないことになっていました そしてぎじゅつぶのせんせいはほとんどかつどうをみにきませんでした ぼくはぎじゅつぶでぼくいがいはいじめることができないようなさいていへんのおたくたちにいじめられぶかつをやすんだらせんせいにいいつけるとおどされただたださんねんかんたえたのでした こうとうがっこうへはしんがくしませんでした ちゅうがっこうをそつぎょうするとどうじにぼくはうつびょうになりました もっともびょういんにいくおかねなどなくものごころついてからびょういんにいったきおくがないようなせいかつをしていましたからびょういんでしんだんをうけたわけではありませんがいんたーねっとにであってからしらべたところによるとぼくはうつびょうだったとおもいます ほんとうにうごくことができずにじたくにいながらおしっこをもらしてしまうことがなんどもありおとうさんにぼこぼこになぐられました あのころのことについてはきおくがあいまいなのでこれいじょうかくことがありません しょくじもできずただふとんのなかでねるかぼーっとてんじょうをながめるようなせいかつがずっとつづいていたのですがきづくとびょういんのべっどでねてました おとうさんがきゅうきゅうしゃではこんでくれたのです えいようしっちょうといわれたきがします しかしあまりおぼえていません ほんとうにきおくがあいまいです ただうすぎたないびょういんのどうしようもないふんいきだけおぼえています はたちになったころぼくはくりすちゃんになりました なんとなくたちよったきりすときょうかいにいってすくわれたとかんじたのでした きょうかいはいままでぼくがいきてきたせかいとはなにもかもちがいました すくなくともいばしょがありました いばしょがあるということのすばらしさをうまれてはじめてしりました ねんれいのちかいともだちがうまれてはじめてできました いじめもかげぐちもなくただおだやかであいがありました ぼくにはそうみえました ぼくがいままでいきてきたどんなばしょともちがうとおもいました しんじようかみさまはいるのだとおもいせんれいをうけました そのころはすこしだけせいかつがゆたかになったときおくしています しかしぼくのうつびょうはなおりませんでした とにかくどうしようもないのです なんどもぼくはかみさまにいのりました うつびょうをなおしてください ぼくはふつうのひとのようにいきたいのですといのりましたがききいれられることはありませんでした ぼくしせんせいになんどもそうだんにいきそのたびにぼくしせんせいはなみだをながしいのってくださいましたがそれでもなおりませんでした あいはうそではなかったけれどぼくをすくうことはできなかったのだとおもいます つらいことがたくさんおきました たのしいこともあったけれどどうかんがえてもつりあいがとれていませんでした ぼくをいじめていたぎじゅつぶのせいとがじつはせいせきがよかったことはいぜんからしっていたのですがしんがっこうにすすみあたまのいいだいがくにすすみいまではりっぱなかたがきのしごとをしているというはなしをきいてなにもかもわからなくなってしまいました ぼくはかみさまなどいないことにきづきはじめていました いてほしいとねがっていただけでした きょうかいのあいはほんとうのあいだったけれどそれはきょうかいにいたひとびとがきわめてぜんりょうであっただけだったのだとおもいます ぼくはきょうかいにいくのをやめました せいしょをすてました またなにもなくなったのでした それでもいまだにごはんをめのまえにするとなによりもまずかんしゃのいのりをささげてしまうのです かなしいのです かなしいのです どうしてぼくはこれほどまでにただただつらいおもいをするためだけにうまれてこなければならなかったのですか

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9647 : rock 'n' rollの預言者  stereotype2085 '17/05/31 18:50:35  [Mail]

地球にしがみつく害獣ども
お前の背骨を粉砕してやる
女も子供も区別はつけない
我は世界を食らう浄化のモンスター

生か死を選べ
鳴らす警鐘を 「我がもとに集え」
餓死か自由か
二つに一つだ お前に与えられたのは


ダイナマイトで破裂する世界と
メルトダウンで憔悴する地球
水も食料も途絶えて 幾千年
救いがなければ 母星を見捨てるだけさ

預言者はみなを率いて 叫ぶ
「神はこの星を与えたもうたが
全てが枯渇し 疲弊した今では
rock 'n' rollと宇宙へ旅立て」

その生き様が秤にかけられるぞ 害獣ども
お前に名を与えよう
「人間」という名前を 誇り高き
遥かな昔にお前が捨てた名だ

氷のように溶けゆく官能と
絞りあげた望みが朽ちる場所で
瓦礫から積みあげた
天に届く斜塔を 駆け上がれ


幻覚症状 戦争 核弾頭
テロリズム 略奪 無法地帯
抑えがきかないこの世の無常
お前に伝えたいことがあるのさ
そっぽを向いて 白けた顔はやめて
お前のくすんだ涙を拭ってみせて
その地軸が支える浮世を疑え
我らには次なる時代が待っている

笑って死ぬか その欲の赴くまま
苦しみ死ぬか その母星への恩義ゆえに
二つに一つ 今こそ選べるのは
一度くらいは 母を裏切って自由になれ

預言者は旗を掲げた
彼が指す方向は
リバティと無限大が 広がるところ
預言者は口にする
「偉大な力と内なる神を信じて
汚れた服を脱ぎ捨てろ
汝のそばに寄り添い 生き抜くのは
誰も一度は駆け抜けた
rock 'n' rollの魂と
腐敗せぬ 尽きせぬ反逆精神
今この星を脱出せよ」


空から零れた酔狂の言霊
我らに残された時間は長くはない
笑って死ぬなら 苦痛を退かせ
レスポールがかき鳴らす悠遠に身をまかせろ

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