◇ No.5 , '05/04/29 01:22:50 作成

115 : リフレイン  ワタナベ '05/03/09 00:39:10

リアシートの女が
もたれかかる窓には
人々の行き交う街の喧騒がうつり
それが音もなく流れてゆく
目を閉じても
ネオンの原色が
まぶたの裏に繰り返し焼きつく
鼓膜を揺らすウッドベースの心地よい重みが
全身にかかって
リアシートに埋もれる女

立ちこぎで坂道を登ってゆく
その頂上からはこぼれるほど青いそらが広がり
冬の余韻を残した風が全身をなで一息にとおりすぎる
最後に
ちからをこめてペダルを踏みつけると
そらよりも青いいちめんのいちめんの海
呼吸に合わせて
イヤホンから流れ込むウッドベースは心地よくはずむ
かすかな潮の香りが
深呼吸するたびに
大気に混じって入りこみ
指先からつま先まで満たされてゆく

古びたウッドベースの弦は無く
くりぬかれた黒いすきまを覗けば
かすれたアルファベットの文字と
たまった埃
ただ、そのままじっと目をこらしてご覧
暗い空洞に
節くれだった太い親指が見える
次にしわだらけの黒い手の甲
腕の筋肉が繊細に
そして大胆に動く
くたびれた椅子に座った大きな影が
上体を前後に揺らす度に
ウッドベースは心地よくはずみ
心臓をふるわせる低音が聴こえてくる

窓を流れる街の喧騒を忘れ
リアシートの女は眠りに落ち
うち寄せる潮騒の波間をただよう
弦の無い
古びたウッドベースの音


128 : http://poetry.mond.jp/  名無しさん '05/03/16 20:01:36

http:/の氾濫 サロンの復興の兆しの明るみの中で
ゲイジュツカは談話を囲む

lastpost : 05/03/16 18:46:33 光冨郁也 , visitor 34765
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第二演習場の上空に

評 :
ただただ凡庸だと思います。

ちょっと個人的に、みなさんの書かれているような好感触の感想ばかりが並んでいるのが不思議なので、
他に私のように感じる方がいたら、正直に書きこんでもらいたいのだけど。 ('05/03/16 15:56:11)

第1不完全性定理と第2不完全性定理
素人の議論、玄人の議論 世間のゲーデルへの興味
決定不可能性命題の発見
スーパーストリング理論の物理的直観で代数幾何学の定理を予想してしまう理論数学の時代

芸術としての詩を発表する場、文学極道です。
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::: :: :: : ::::::::::片手うちのhttp 反抗分子は二次元へ
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      / :::/;;:   ヽ ヽ ::l . あぁ無常なりてこの世は.
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ

57: 詩人の血 (74) 58: ニュス速報@詩・ポエム板 (203) 59: 死を書いてください (42) 
60: *前の人がお題を書き込むスレ その9* (483) 61: 元Blankey Jet City 浅井健一の詩 3 (1001) 
62: ゆらゆら帝国の歌詞 (5) 63: 包茎和牛脳味噌スポンジ祭り (52) 64: 男同士の友情を語れ! (82) 

( ´ー`)y─┛~~~~

交差する骨格のない暴力 ゲイジュツカ=保守派×(゚Д゚)ハァ? 
公式化された視覚に権利を与えたもた功罪は許されず
死滅した芸術家 ネットに存在しない人種のオリジナル無きコピー
さぁカタカナ表記の没個性化された現存在の抵抗は.........プゲラ

3 名前: 1 投稿日: 05/02/15 22:09:24

「読んでくださいね^^がんばって書きました。ゲイジュツカの皆さんは
 きっと読み取ってくれると思います^^私は天才なんですぅ。天才は天才にしか理解してもらえないとおもうんですぅ。」

プゲラワロスw


127 : お散歩  丘光平 '05/03/16 01:25:45  [Mail]

意志のない街へ流れ入り
わたくしは人間の格好で歩いてゆく
はみ出さないようカチカチ歩いてゆく
わたくしの手振りは中の上らしい
信号は仕事にうるさい

わたくしは人間の格好で待ってみる
みなも同じすがたで待っている
きみは若さを見ている
きみは病気の心を見つめている
きみは右へ、もっと右へ目を細めて 
細めて

わたくしは美しい背なかは嫌いじゃない
背なかは正直者と聞いている
けちけちしないで声を漏らしなさいよ
きみは黙っている
わたくしも黙ってみる
まっとうな人間は節約が上手い
信号は真面目で仕事にうるさい

わたくしは人間の格好で歩いてゆく
いろんな背なかにくっついてゆく
意志のない街には
美しい背なかが規則正しく流れている

わたくしは疲れて水を飲んだ

背後から力が押し寄せてくる
ぐいぐいと押し寄せてくる


136 : 管弦楽のためのセレナーデ  坂口香野 '05/03/21 10:56:09  [Mail]

高名なるウォルフガング・アマデウス・モーツァルト氏は
やんわりと丁重に わたしの手をとった
なるほど 十八世紀人のあいさつは優雅だなと思った瞬間
モーツァルト氏はわたしのTシャツの左袖をつかみ
肩先までぐいっとひきずりおろした
左肩にはなぜか大きな絆創膏が貼られている
氏はくそまじめな顔で それをべりべりと引きはがした
絆創膏といっしょに ぶあついかさぶたがはがれ
二枚がさねの豚皮みたいな皮膚までめくれた
いたいいたいいたいいたい

(何すんですか!)
(まあまあまあまあ)

しかつめらしくうなずきながら
M氏は肩をのぞきこむ
めくれた皮膚の下には
直径五ミリほどの まっくらな穴があいていた
その穴は心臓を貫通し 足のうらを突き抜けて
地中深く どこまでもつづいていた
地の底から吹き上げる風が
肩先で ぴゅうぴゅうと笛吹きケトルみたいな音を立てている

(あんた ひとりなんだな きのどくに)
モーツァルト氏はなげやりにつぶやき
金糸の刺繍をほどこした空色の上着から
火箸ほどの太さの 小さな銀のクラリネットを取り出して
わたしの肩の穴に すとん、と放り込んだ

(勝手なことしないでください
いったいあなた なにさまのつもり?)
(おれさまはかみさまだよ
だからあれはかみさまのふえだよ
おおありがたや
いやいいんだよお礼なんて
それではマダム ごきげんよう)

天才は人の話をきかない
高名なるウォルフガング・アマデウス・モーツァルト氏は
「パパゲーノの歌」を口笛で吹きながら
眠たげな午後の街を
ロンドの足取りで遠ざかっていく

肩先に吹く風が止んだのは
ようやく一番星が輝きだすころ
どこかでぼろんとハープが鳴り
遠い林で 古ぼけたホルンがうたいだし
空からフルートの高い声が降ってきた
やがて わたしの中のクラリネットも
ためらいがちに主旋律を奏ではじめる

細い絹糸のように とぎれとぎれに響くその音色は
わたしをなぐさめるよりもむしろ 死にたくさせる
かみさまはなぜあんな天才を野放しにするのだろう
肩先の穴をむりやり指でふさぐと
わたしのクラリネットは
どちらが上か下かもわからない暗闇の中を
下へ 下と感じられるその方向にむかって
あかるい銀の余韻だけを残し
ただまっすぐに落ちていった


135 : 赤い血、動かぬ瞳。  そら '05/03/21 10:17:17


      「赤い血」

   赤い血は 嫌だ
   水溜りのように おびただしく
   拡がっていく血をみるのは 嫌だ
   自分の血液に 生温かく包まれて
   むせるように 死の匂いを嗅ぐのは 嫌だ

   「人間、そんな風に死ぬもんじゃないね」
   リスト・カットの包帯を
   くるくる巻きながら
   君は さっきから そう言う



     「動かぬ瞳を抱きしめて」

   うす汚れた 毛布に くるまって
   死にたかった あなたが いた
   どこかの 水辺に 沈むように
   願っていた 瞳は
   鳶色が 鮮やかで 美しかった

   計りしれない 重たさに
   沈められていく 夜
   あなたの 見開いた瞳を
   この指で
   そっと 閉じて あげたい


131 : 転生  吉祥天女 '05/03/19 01:40:53

 
 ひとつ告文いたしましょうぞ
 珠の肌もつ女郎の密ごと
 のうまい さだるま のうまい さだるま

 血の滴るよな朱のくちびるに
 ぬめりと薫る甘い息
 のうまい さだるま のうまい さだるま

 艶やかなるが度を越して
 もはや罪ぞとののしられ
 のうまい さだるま のうまい さだるま

 蹂躙さるること幾千回
 放ちはなたれ艶が妖へと
 のうまい さだるま のうまい さだるま
 
 人身(ひとみ)だてらに 蛇(じゃ)のごとく
 繰りかえしたるは脱皮の様相
 のうまい さだるま のうまい さだるま

 齢(よわい)はとうに数千歳
 老いより若きへ 皮はぐ異形
 憐れ 我妹子(わぎもこ)その実は
 身の毛もよ立つ おぞましさ

 
 はて
 知らぬは男ばかりなり・・・


 のうまい のうまい のうまい のうまい
 薩達磨 芬陀梨伽 蘇多覧 (さだるま ふんだりきゃ そたらん)


133 : ばけものずかん  stiGma '05/03/19 19:46:10  [Mail]



叙述のおばけ

まず茶柱があるそれは静岡の農家がのほほん本当にへらへらと育てて送り出すものであるはずがなくそんなささいな多大な苦労苦渋の選択を迫られる小作農とはいつの時代だ分化し分解される産業新興企業立ち上がる若者押さえつける守旧派波動がどうであっても蒸気は立ち上り上記の茶は美味そうな雰囲気を醸し出しそれがわたしわたしの小さな幸せ机上の幸せ机上の湯呑み茶碗机が揺れぐらぐらと煮立つ湯温泉偽りに満ちた白い湯白い湯気鼻を濡らし私は幸せだそのはずだ

怖気 加筆 ずかんにしゅうろく



経験の魔物

ピカッと光ってボワッと立ち上るキノコエノキ舞茸エリンギバター炒めの適温は耳で測るこれだけこれだけは積年積雪積年の経験経験だけが積雪の辛さ雪かき雪下ろし解けない雪解けない謎ほどけない人の心緩和できない我が国とあの国この国との不和ふわふわと舞い落ちる雪は雪はあの夏も降っていたはずいやいやそんなはずは嫌嫌だったはずはないあの女はそんなはずは合意のもとだったはず罪ではないと信じている戦争を経験した私にかぎって

敗北感 加筆 ずかんにしゅうろく



癒しのモンスター

あなたあなたの瞳に映るそのその縄文杉の根の股を潜って見つけたあなたあなたがまだ赤い赤いランドセルを重重しく背負って負けて押し潰されてリンク繋がり連帯感持てずにひとりひとり違うと言われたところで空虚な虚ろな薄っぺらいふわふわと舞い落ちる雪は宮之浦岳の上にそれそれは嘘本当神事のような本当信じられないような絶望と壁があなたあなたたたたと走り去るあなたの背中彼方に飛び去るけど指をくわえて幹に耳を押し当ててそっと樹の声を聴いている私

好かん 加筆 ずかんにしゅうろく



自己実現のポルターガイスト

実学実感MBANBAと違うのだよ諸君君君高校時代の級友の君よ今何をしているニート?ニートビーツはいいバイブレショーンつくりだすバンドファンドそう根底にあるのはロック岩のような精神修養の賜物読みたまえ食いたまえ夜を明かし踊りその間にわたし僕わたくしおれおれは稼ぐから唐揚踊り食い海老のほとんどを我が国我が国は輸入に頼り父に頼り身をもたせかけてきた母が海老を食い胸焼け朝焼けそれが我が国ひいてはわたしおれ僕わたくしの大いなる未来行く末薄明なる薄命とは程遠いわたしの未来を照らす太陽だよ見たまえ

好かん 加筆 ずかんにしゅうろく



諦観の偶像

どうせ今朝もくたばって酔っ払って財布かっぱらわれて追いかける追いすがるあの娘にあの会社にあの文にあの夏に追いつけるわけもなくエスカレーター2/3ほど下りたところで膝ガクガク学がなく親が泣くエスカレーター式の魔術が効いたのは大学生・時代まで黄金期大・学生時代は冬夏過ぎた時間時代点時刻あり得ない追想20代まで遡れば野武士用心棒世界的名優が演じるような演じて憧れて飽きてまた飽きてコンクリートに頬寄せてへばりつき立ち上がっても行くところといったら寄席ぐらいしか無くて名ばかりでスピード出世が間違いだったとわかる噺家ああそんな噺かもういいよ聞いても書いても力無くす幸せが逃げていく背中遠くなるティッシュ切れたことばことば切れた尽きた笑い話にもならないおれだ

自省 加筆 ずかんにしゅうろく


134 : アイコ  シモジマトーチカ '05/03/21 02:20:31  [Mail]

君と 夕飯の片付けを賭けた
真剣な勝負

ジャンケン ポイ
アイコデ ショ
アイコデ ショ
アイコデ ショ アイコデ ショ

って 5回も続けて
アイコになると
僕は何だか
同じ形をした
ふたつの手を見るたびに
腹の底から
笑いがこみ上げてきて
「もういいよ 僕の負けだ」
なんて
頬をつり上げたまま言って
そそくさと
台所に立つ

君が
踊るような声で
「ニラメッコじゃないのに!」
と言うのを
背中に聞きながら


122 : ブルースカイ  光冨郁也 '05/03/14 19:37:01

 冬になり、女の顔をしたバードは飛び去った。わたしは、あの時の車をスクラップにして、海の見渡せる丘に部屋を借りた。情報誌でバイト先を見つけた。倉庫の仕事に就く。朝七時半、精神安定剤を飲んでから、家を出る。伝票に従い、棚にパソコンの部品を入庫する。夜八時半、家に帰り着く。休みの日は浜辺に出て、流木を拾う。

 わたしは日曜日、干してある緑の作業着をよけて、ベランダから海を眺めていた。
(今日も流木を拾いに行こう)
 わたしは部屋の鍵を閉める。洗いざらしのスニーカーをはいて、外に出る。今日は、空が低い。乾いた舗装道路を渡り、砂地の枯れ草の上を歩く。休みの日は午前十一時から外に出る。西日になる前に、部屋に戻る。それまでに流木を拾って、昼食をとる。

 遠く水平線に白い波が光っている。潮の香りがする。吹く風に、紺のダウンジャケット、ジッパーを胸元まで上げる。波打ち際を歩く。白い枯れ木を一つ見つけて、拾う。枝に小さな海草がついている。枯れ木を持って、また歩く。スニーカーの中に砂が入る。丘の上、スクールバスを改造したカフェに向かう。タイヤを車止めで固定した、黄色い車体。銀のプレートの看板。
 バス裏手の空き地、枯れ木の枝を置く。空白を埋めるため、わたしが置いた流木がいくつか傾いている。
 バスの階段を上がり、中に入る。腕時計を見ると、十二時半。カフェで、サンドイッチとホットコーヒーを注文する。わたしは本棚から、読む雑誌を探す。手に取り読む。活字に疲れると、窓の向こう、バードが飛んでいた空を見る。青い空に、翼が羽ばたく姿を思い出す。集めた枯れ木や流木に、風が砂を吹きつける。
(空の青さを取り戻すために)
 砂に生える枯れ木。その上に広がっている、窓越しの遥かな空。風が吹く。わたしが枝に付けた、バードの羽根が揺らめいている。その女の顔を思い出す。

 わたしは振り返る。ドアのガラスに、切り取られた冬の、薄い空の形。


124 : 憧憬  Ю(ユー) '05/03/15 09:14:45  [URL]

不可逆的な幽体が
血まみれで砂糖まじりのセックスを続けている
悪い予感をかぎとることだけに懸命で
過去分詞の相場も今ではわからない


諦めることだけに熱心で
ゆるやかな気体が蒸気をたちこめ
等速で遠ざかっていくのに気づきもしない


ささくれだったpendulum そう ただ 不恰好に
揺れて 溢れて そしてはぐれる
鏡像関係にある太陽が
黒砂糖のように溶けていく


お口に入れてあげよう
空では植物性の輪廻のかけらが落ちてくるから
ただ ここに 暫く いよう


129 : ドアの断崖  みつべえ '05/03/18 05:05:44  [Mail] [URL]

たわいもない言葉が
殺意にかわる
ドアのむこうは
いきなり崖で
おちていった悲鳴は
だれのものだったのか
あいかわらず世界は美しく
それに見合うだけ酷薄だと
きみはペーパーナイフで
ひとさし指の皮をリンゴみたいに剥いて
笑っている
血が流れでないのは
時間を所有してないから
痛いのはきみではなく
愛を語るのも へどを吐くのも
詩を 書かざるを得ないのも
事件の核心を
ドアのむこうに
突きおとした
ぼくのほうなんだ


142 : 横丁  修聖 '05/03/25 14:02:29  [URL]

僕は知らなかった

雨が濡らしてゆくものは

この頼りなく震える肩だけでは無いよしを

ああ、濡れているのだ

構築されてから時間を堆積し続け

腐敗さえ悦びと悲哀に色褪せた人の生きている横丁

入り組んだ路地角に消える影

軒先に揺れる裸電球の

錆をふく看板と

雨水を撥ねてゆく自転車と急ぐ足の女達の吐く息

眉間の皺

許して欲しいのだ、という声がしたような気がして振り返ると

寄せ合った岩壁を真っ二つに切り裂く走る路地が、ただ

どうかと祈る手は両のポケットに突っ込んだまま寒さをしのいでいる

獰猛な言葉しか入る余地の無い押し込まれた生活に眩暈を覚えながら

我がもの顔で闊歩するのだ

都会が知らなかったのは僕だ

何の憂いをも蹴飛ばした爪先が超越してしまっているだけの

今なら凡ての罪人も痴人も浮浪者も笑い合い愛し合える

それを知らなかったのは孤独だ

風を切るような孤独だ

と彼は云った


137 : 春彼岸  フユナ '05/03/23 03:49:25  [URL]






あたしは幼女になって
あなたに誘拐されたい




ひらひらと
垢ずんでいく赤いスカート




あたしたちは
いつか家のあった
日本海のそばを歩いていく




みなそこにもねやがある

あなたが言い




あたしも
そうだみなそこにもねやがあるわ
と思う






あたしは幼女になって
あなたに誘拐されたい





そして水面に
垢にまみれたスカートを
のこしていきたい
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 
  
 


120 : かぐら  守り手 '05/03/12 02:02:46 *1

凛、と鳴って しゃんと立つ 炎にまみれた夏神楽
舞っている、村娘 星雲 渦状 静寂も破轟もすべて突き放して
折り重なった夜の彩度をひとつにつらぬく彼女の咆哮、流星群
線で揺らして 地で壊す 影絵 反響 炎上炎舞

村祭
朝をうばって
乱雑に破滅する

彼女、輪郭 薄紅 体躯 中空に触れる 手でえがく
燐光 線描 夜に裂く花 呼んでいるのか殺しているのか
ただ待っている だれもが 彼女、ただ舞っている
彼女、幻想の幼生 妖精 光源がつよく明滅している それから
億千の願いのなかでかすりついた傷痕 彼女、痛苦 花束 それから
彼女、それから 花束 反響 光、はじけて、強くつぶって

古ぼけた冬
古ぼけた教室 なめらかな肌 
あの子、云って かみさま
薄いまなざし
それ、誰に言って そこには誰もいないよ 誰もいないよそこには 
窓枠、すすけた空 古ぼけた校庭
そこにはだれもいない 

燈炎、吹きあがって 膨張する影
獣の息吹に溶けた天幕 焦熱でふれる鼓膜 崩落、
彼女 同化している そのすべてを 統べて たとえば右手は大地を切る風
活きている いきている 吐音 強打、連続 咆哮再度 呼んではいない 殺すばかりで
形骸だけの音楽に、息をあわせて旋回点 塔炎、吹きあげて ひかりが囁く脈動しろと
なまえをなくして怒声になれと 彼女、融解、こころの氾濫 築かれた夢が破鏡していく
あらゆる星が彼らの限りに呼応をはじめる きづかれた夢を消すそのために
振動 邂逅 神楽の強打は音圧を、途方もないほど上げていくだけ 閃熱、包囲 夜にとどめて
朝をころせと吐く、声、とぎれて 流海にただよう季節のなかで 夏だけゆるして あとはつぶして
彼女、いつか死ぬよ

あの子
目を伏せて
白い呼吸が 幼い
うたごえ

あの子
薄紅なんかつけたこともないのに
似合いすぎて 夏神楽 彼女、凛と鳴って

音声 破裂 かえろう 還ろう きみはそこにいないよ それは終わらないよ
疲れたね すこし暑くて なくしていいから 壊してかまわないよ
茫洋 段階が散った海は遠く ざわめいているのは生物だけではなかった
剥奪された、朝 その夢 あの子が軋む海岸線は 残り香たちの暮れる場所

あの子
いつか死ぬよ たとえば右手
なめらかな肌 やさしい呼吸 ひかり

ゆるされた瞳、まなざしを
ふりほどいて
しゃんと立つ あの子 深い呼吸 白く ひびきつづけた熱源は
浅く、 りんとなって冷たい


144 : 溺れる歌  stiGma '05/03/28 05:05:15  [Mail]



ここまで来て
陽はそろそろ持ちこたえられず
くらり

荷を降ろし始めている
河原で
ちっぽけな人影ひとつ


ここまで来たのは
大きな間違い
死ぬために来たのに
先に多くが
死んでしまっている
ごわごわとした声音使い
風がイラクサを巻き取り
河に捨てる
イラクサはぱらぱらと
落下傘もなく入水し
冷たくなる
その数を数える
数え切れない人影あまた


ここまで来て
この時に至って
まだ憧れる
まだすがっている
遠くに望むテレビ塔の姿
じんじん

脳に染みこんでくる電波が
憧れを
サンプリング済みの郷愁を
心の中心に竣工し
それは塔の形をとって
その塔からでた電波が
わたしを河へと走らせる
河原に群がる
たくさんの
わたし わたし わたし


ここまで来て
この時だからこそ
戦争を想った
仮想敵とわたしらを結ぶ線は
海水を押し分け
海は泡立つ 乱れる いきり立つ
その海で
わたしもあなたも溺れる
すがる藁も主義主張もなく
どの方角に泳いでいけばよいのか
それは陽の沈む方向か
風が吹きつける方向なのか
わたしは沈んで
この河に沈んで 流されて
河は海へと
わたしの亡骸を運んだ
河に浮き沈み 流されていく
たくさんの
わたし わたし わたし
その数を数える
数え切れない人影あまた


147 : ニンゲン  一条 '05/03/29 16:50:30  [Mail]

団地の昼下がりはいつもと何ら変わりがない。芝生で寝そべる老夫婦が一組、どうやら誰の知り合いでもないらしい。二人の手は握られている。集会は退屈でしたね、あら、そうかしら。駐輪場の自転車にはどれもサドルがない。ぼくは最後の扉を開けた。数々の便器が空に宙に散逸する。同じ穴ぼこを失った男と女。そいつらが老夫婦になるにはいくつものハードルがある。ハードルを越えた先に、穴ぼこがある。だけども実際に突っ込まないとそれが穴ぼこなのかどうかわからないらしい。市バスが急停車した。その音は始まりというよりは終わりに近かった。握る手を探していると、夕が暮れた。

トカゲノシッポギリ、トカゲノシッポギリと娘は唄う。半ば狂っている。新しい圧力鍋がやってきた。ぼくはそれを使いこなす自信がない。警官が発砲した。撃たれたのは老夫婦で、血を流しているのは穴ぼこを見つけたばかりの、ぼくと同世代の男と女のペア。彼らはやがて枯葉となってぼくたちの踝を埋めた。それは意味のない記号で、だからその存在はやがて薄れてゆく。誰も文句など言えないし言うつもりもない。最後の扉を開けたっきり、ぼくはまんじりとも動けずにいた。歩道は乳母車で渋滞している。先頭を行く派手な装飾の乳母車が燃えて立ち往生している。ぼくにはこの歩道がどこに繋がるのかなんてわからない。

眼前の鉄橋。風に煽られ、ゆうらゆうら。上下左右S字型にくねるそれはもはや橋なんかではない。やっとこさ、市バスが急発進した。なぜ急発進してしまったのかはわからない。ゆるやかに発進すべきだったと思った時には乗客はそんなことを忘れていた。運転手は不平を垂れる乗客を急停車によって一掃していたから安心して急発進した。発砲する警官を発砲する警官。老夫婦は走り出す。ぼくは走り出さない。駐輪場でラッパを吹いた。娘は半ば狂っているという。右側のエレベータが故障しているというのは初耳だった。

テニスコートの白線を不意になぞる指の先っぽ。最後の扉は開けっ放しだ。娘はトカゲになった。駐輪場でシッポを切った。ぼくは半ば狂っている。起源なんてものは宇宙の果てにある極微小の宇宙塵に過ぎない。ニンゲンの犯したささやかな失策は運悪く初期値鋭敏性に囚われた。アダ無とイ無は偽物だったのだ。さあ、定刻だ。君が誰かは知らないが、シッポばかりを死ぬほどあげるから、ぼくたちに相応しい食用ニンジンを気の済むまでご馳走してくれないか。


151 : 卵を抱えた女は  Ю(ユー) '05/03/31 15:39:08  [URL]

まるで海女に見えるよ
煌々と 煌々と
揺らめいたかと思えば
真冬にとりのこされたような
幽かな息づかいが鮮やかに
真っ赤に咲く 咲いてしまう


するすると流れていく
波が 海の波
胸にことりと落ちる白い石ころ
を女は潜って 拾う 拾うの?
惰眠に似た君のぬくもりが
突如心にかけられる塩酸のごとく
じゅわじゅわと 回転してく
回帰してく     どこへ?


身体の震えがとまらない
何か記憶にたち戻ってくるかのような
かほり 血のような
海が 西へと
行方知らずの韜晦を紡いでいくだけ


141 : ドール  みつべえ '05/03/25 09:57:51  [Mail] [URL]

冬の日を華麗に飾る花の爆弾

殺戮した愛のかずだけ
よこしまに癒されて

夜のために
聖餐と麝香のために
黒檀の心と邪教の秘儀と死の黙契のために

バービー きみの
かがやく頭髪を くしけずって

暁の死体よりも
やさしく横たえると
双の瞳とざし
星の眠りを巡るから

ぼくはいつも
きみのかわりに夢をみる


155 : 春より美しい  マツシタ '05/04/02 22:38:59

春の心地よい風に緑は萌え、ささやかな地鳴りとともに、
新たなる芽は息吹き、隣からの匂いに心は沸き立ち躍る。
遥か昔よりまた昔、神々の与えた聖なる春にも増して息づいて、
嵐でもきたかのように騒々しく命は散り散りだ。

深い谷あいには日の目を見ない黄金やらが眠たい目をこすり、
なおも静かに未知なる輝きを暗闇にて育むが、
不可思議の偉大なる力により永劫の喜びとして、
なおざりにされた自然の眼差しと寵愛を受ける。

果たして他のどんな業がこれら流れる川を鱗の煌めきで飾り、
壮大な山々の頂を白く柔らかな、自由に漂う冠で覆うのか。
働く季節たちの与える輝きの中でこの春にまさる美と光が、
想像の中に、一体いくらほどの座を占めるだろうか。

愛くるしい君だけがただ私の感覚を春から奪う。
太陽すら君の美を完全に映すことはなく、君が太陽を照らすとも見え
挨拶がてらの楽しいやり取りも君の沈黙にさえ及ばない。
太古より全ての力と美を合わせても、君のその黄金を正確に映すのはこの瞳だけだ。


138 : この世界の為の素描??  Nizzzy '05/03/23 22:48:45 *1  [Mail] [URL]


1.


複雑に組み重なった
紙芝居のような、あなた


2.


僕は言葉で、それに答えなければならない
____「あなたは角笛だった」と


3.


地上の樹には靴が掛かっていた
そしてそれは、異邦人の戦略だった


4.


ノコギリ引きの、空がやってきた
僕らから輪郭を千切りとった、鈍角の


5.


ようやく抜け落ちたその音素が
世界を、言葉へと換えた


6.


僕らはそれを、待っていたはずだった
こうやって言葉にするまでは


7.


_______『私の中の、双子が歩き出す
           雨の中を、寄り添いあって・・・』


8.


樹の下には、あなたが埋まっている
だがそこは田園なのだ 喜ぶべきことに


9.


複雑に組み合わされた
格子戸のような、あなた


10.


もう僕は言葉で、それに答えることができる
_______「あなたのことを・・・」と


146 : 滅び  広田修 '05/03/29 13:44:03  [Mail]

細かにえぐられた容積を抱え込む椎の木立が潜熱としての意味を失う地点であてど
なくさざ波は広がる。枝間からこぼれ落ちる木の葉ははじまりを告げる単音を虚空
に受精させ大気がむららと熟するのを苔のように待つ。

日暮れに飛び立つ堕天使がしぐさの内側にやさしさを隠しているように、まばたき
をするたび密度を増す画された光風はあさっての電線に暗闇を隠している。ただ縞
蛇だけがそれを紐状に抜き盗り腹の底にはわせる。

秩序は始まった。真珠のまとう光彩のように。

チェルノーゼムに穿たれた井戸を音楽家がのぞき込むとき雑音は掃き出される。原
石が夕日を越えてすべり落ちるので夕涼みの宝珠を磨き出す。だがなめらかな接触
は意図せずして絶たれてその間だけ彼は滅びの歌を聞く。

朝のゆたかさが霧をのこす頃合に大気は熟して木の葉は土をまねる。こころよい波
をかえす活字たちに囲まれて啓蒙家はゆるやかな盆地にひそむ。だが時おり章句は
雨のように壁立するので彼女は滅びの剣のつかを握る。

栄光や功名は秩序への反逆。切り込んでくるやいばを防ぎきれずに。

あかるい熱量のつまった半球形をかすみゆく風景に開いてきた音楽家はつめたい昼
にうなだれる。質量を充填していた真っ赤な泉は夜月のように源へと回帰して色を
うしなった彼のもとには線的な外郭しか残らない。

ボーガンのように固形化した革命家の理念はあたりにむれる白色の嬰児たちによっ
て引き絞られて一斉に矢をはなつ。なみいる衛獣たちの命脈が音なく瓦解してゆく
中、彼女は支配者の脳髄に黒剣を突き立てて狂い笑う。

木の葉は土に還った。秩序はとまどう粒子たちに受肉し、首をもたげる。

幼子の、顔だった。



※チェルノーゼム:ロシア平原からウクライナに分布する肥沃な黒色土


149 : 垂直  丘 光平 '05/03/30 22:18:02 *1  [Mail]

行って来ます


新たな
一日分の死を計りにかけると
私の朝は昇る



午前

世界の路上で
小猫は息を絶える
そのために
車は道路を走るのだ

私はおまえたちの文明を知っている
その文明の血は私にさえ流れている
見よ
われわれには
まだ 歩むべき足がない
われわれの足には摩擦がない


ただ
無実の死が
地球を赤く湿らせるとき
世界の中心は
おまえたちの文明を恥とはしない
私の無抵抗こそ恥とするのだ

そのとき
私は垂直する
恥もなく
死に触れたものとして


さあ
おまえたちが気に入らないのなら
ベルトコンベアーで運ぶといい
私の遺体を
このやっかいな不燃物を
垂直のまま
路上に突き刺しておけ



午後

世界の病室で
被害者は息を絶える
そのために
監獄のベッドは増えるのだ

私はおまえたちの法律を知っている
その法律の血は私にさえ流れている
見よ
われわれには
まだ 学ぶべき心がない
われわれの心には角度がない


ただ
無情の死が
地球を赤く湿らせるとき
世界の中心は
おまえたちの法律を責めはしない
私の無秩序こそ責めているのだ

そのとき
私は垂直する
責めもなく
死を汚すものとして


さあ
おまえたちの邪魔になるのなら
法廷から叩き出すといい
私の遺体を
このやっかいな不信物を
垂直のまま
病室に
突き刺しておけ



夕刻

世界の戦場で
民間人は息を絶える
そのために
兵士は靴を磨くのだ

私はおまえたちの平和を知っている
その平和の血は私にさえ流れている
見よ
われわれには
まだ 立つべき大地がない
われわれの大地には重心がない


ただ
無数の死が
地球を赤く湿らせるとき
世界の中心は
おまえたちの平和を咎めはしない
私の無邪気こそ咎めているのだ

そのとき
私は垂直する
咎めもなく
死を語るものとして


さあ
おまえたちの足手まといなら
手足を縛りつけるといい
私の遺体を
このやっかいな不純物を
垂直のまま
戦場に
突き刺しておけ



零時

低温な
一日分の死を計りからおろすと
私の夜は沈む


お帰りなさい


その
赤い瞳へ
世界の暗殺者は帰ってくる


153 : 浴室  ルイーノ '05/04/02 13:49:19  [URL]

 
さくら
ももいろの夕やけ
油彩の黒鳥が横切る
巨大な空の建築性は
すべて
心臓の枷を締めあげる

不思議な庭の王侯貴族
全身を煙で洗わせて
恍惚は
切実な逃避への青い旅券
夕陽差し込む浴室では
拭いきれない泥を
吸い出してみせた唇が
床に牛乳の薫り広げた

委ねれば
心くすぐる程の雨だよ

いつか人生が終わるなら
きみと二人で浴室がいい
 
 


157 : 乳房  丘 光平 '05/04/04 13:00:08

眠れなくて
台所の電気をつけると
女の乳房が転がっていた

そっとつまみあげ
くんくん匂いを嗅ぎ
その化石のような黄いろにかじりつき

歯形から
血のようなものがにじんでくる

とりあえず
冷凍室へ突っこみ
もう一回、奥へと仕舞いこむ

あれは、これから
かりかりに凍ってゆくのだ

僕は
赤い舌をうずくにまかせ
壁際に
少し傾く


154 : 三つ子の足音  望月(望月裕道) '05/04/02 17:30:46 *3  [URL]

老婆の歯ぎしりを、ゆすぐようにして掻き分けたトンネルだ 
よくよく探してみることに、すべてが、震えてゆくのだろう
音にきせた関係式の老化は、なにも三つ子の陰謀と、きめつ
けるには早すぎて えくぼを 沈ませるようにして 掛け声
を 飯の隙間に追いやったのだ そう、 ゆすぐように 
さりとて、むせいだ二本足が 悲劇的な小石たちを 鞭打つ
までの歳月は程遠い。   (夜明けのフォルティッシモ) 
夕刻から、明朝にかけての 包丁を研ぎ研ぎする音が、かろ
やかに 三度目の飯を 予告する     (旨イ 飯ダ)


そうして、トンネルのあたりを ねりあるくのだ ゆるやか
に わさびの色味をたもって、足をかまえ 向こう岸に流さ
れる 手筈は健在だ。 細く白い指で 三つ子の分類 かぞ
え(かぞえ)しておる 首の付け根に はじきとばされた、 
三つ子の静止画が 風に揺らされ ひらひら まどろんでお
るが それもまた、ひとつの冬の出来事であろう 


三つ子の足音を たった一人で 再現しろ   と云われて
 (はて、私はどうしたものか、       ・・・・)
トンネルの巣立ちを見守る、 母のまなざしで、さしのべた 
白腕は いったい何処へ、行ってしまったのか 三つ子のフ
リをして 変装した妹の足が、  二本足 だったからとて 
私にしてやれること、 など あるのか


穏便にすすむ 車の逆走を、見守るトンネルで 私は、まだ 
やることを やれずに まがったままだ    ・・・・。


トンネルの端で、飯を ついばむ小鳥 を 右手で殴り 左
手でつまむ、 という道理が あるか、 私は ゆらいだ一
瞬を、いだき 猿のえり好みを理解するだけの、  度量を 
持つ だから、こうして 一人歩きは鈴なりになって、 そ
れでも 私は 生きている トンネルで 
かのトンネルで 生きておる


はたして 私は三つ子の足音を 見事なまでに 再現したの
かどうか 今となっては 定かではない 


- ealis -