◇ No.422 , '15/04/24 23:03:58 作成

7979 : 恋の壁  鵜戸口利明 '15/03/27 14:35:34  [Mail]

天真爛漫にふるまう
あなたの演技に
ぼくは魅せられるのだ
おもい通りにならないときの
あなたの孤独
暗さの共感に
ぼくらの鎹があるのだ

淋しい瞬間
一瞬の被害妄想によって
ぼくらの関係性は崩れやしないか
疑心暗鬼な
この不安によって
壁ができることを
ぼくは恐れる
なぜあなたは
こんな狡猾な演技をやってのけたのか
この演技は
恋する誓いにはじまった
とおもうのは
ぼくの妄想だろうか

昨日は上手い関係なのに
一瞬退けたあなたをみて
ぼくのおもい込みに気づいたのか
それは一瞬の妄想か
あなたの振るまいは
疑心暗鬼な不安か

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7970 : 恋の季節  鵜戸口利明 '15/03/18 18:31:55  [Mail]

うら若い恋の季節がもどってきた
この気持ち とっくに卒業したと
おもったけれど 帰ってきた
青春を取り戻せ
まだ青春はとおい未来にまで続く
彼女に逢うためだけに
苦しい労働に耐えられた
彼女に逢うためだけに
とおい島に帰る
彼女に逢うためだけに
生活に支障をきたす
この執着はどこからくるのか
すべてをかなぐり捨てる勇気を
この魂は持っている
もう二度とこのような
魂なんかいらないとおもったけれど
このドMな快楽を
おもいだしてしまったのだ

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7972 : にくしみ(要冷蔵)  はかいし '15/03/21 10:32:15

冷たくしなければならない、当たり散らさなければならない、肉の芽の中に魂がこもっているから、憎悪の種を蒔き、育て、花を咲かせなければならない、雷の目の前で呻かなければならない、それが人生だから、ね。悪魔の果実を収穫し、透明なグラスに注ぐ、ねえ今私って何かしら、詩なのかしら、性なのかしら、どちらにしても生きねばならない、アルゴンガスを吸いながら、眩暈がして立ち竦まなければならない、ならない、ならない、うぜえんだよいちいち、殺すぞてめえ、星降る夜になる。なるなるなる、なるなるなる。呼吸、胡弓の調べ、呼吸音、すう、はあ、すう、はあちゅうに咲いた花のような悪夢、ばくよ、それを食べてしまえ、ばいい。上質な朝焼けを、昼に見る。

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7976 : amaoto  山人 '15/03/25 18:17:32 *5

ガードレールに捲きついた細い蔓植物が雨にたたかれ揺れている
雨はそれほど強く降っていた
たぶん汗なのだろう、額から頬にかけて液体が流れ落ちている
さらに背中は液体で飽和され、まるで別の濡れた皮膚を纏っているかのようだ
雨は降るべくして降っている
草は、乾ききった葉の産毛をゆらめかせ、雨を乞い、重い空はすでに欲情していた
二つ三つ水が落下し、やがてばらばらとちりばめられ、草は今、雨に弄られ、四肢を震わせている
 私は無機質に草を刈る
たった今まで草たちは悦びに満ち溢れていた、その草を刈る
草は断面を切断され、ひときわ臭い液体をこぼし雨にくったりとその残片をアスファルトにさらしている
私たちは雨の中、いや、土砂降りの中、まるで水中を漂う藻のようにふわふわと何かに押され、引かれ
脳内のどこか片隅から放たれる小声に従い、動いていた
 雨、その水滴に溶け込んだ念仏
水滴が引力に引かれ落下し、アスファルトという固形物に撃ち当たり、球体が破壊される炸裂音
その音が、ひとしきり私たちの外耳に吸い込まれていく
脳内の広大な農場に張出した棘の先端をおだやかに覆うように流れていく
私たちは皆、ひとりひとりが孤独な生き物となり、降りしきる雨の中を、新しい戦いのプロローグの中を、ゆったりと活動していた

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7938 : 物語の物語の物語  Migikata '15/03/02 00:47:53 *2

 図書館細胞は、高台へ至る斜面の住宅街にあった。傾斜の強い路地に板壁の湿った家屋がひしめき、石垣の間を脇に入れば、雑木が頭上から一面に影を這わす。薄暗いざわめきの明滅に体が沈む。しかし、この坂を上りきり振り返るならやがて眺望が開け、見晴るかす彼方は海だ。

 他の多くの図書館細胞と同じように、そこは民家の一室で、庭先の木戸に「図書館九一00一・文学的自動生成・人為即興部」という縦長の表示板がかかる。スマートフォンをかざして表示板のチップに認証を受けると、木戸を潜って進む。受付は土間に面した座敷への上がり口にあって、六十代後半くらいの和服の女性が二人、座卓の前でそれぞれノート型端末に向かっている。事前の予約と認証で、互いに挨拶をするときには既に総ての受け入れ準備が整っていたようだ。

 「ここは初めてですね。どうぞお楽になさって下さい」と一人がお茶を勧める間、もう一人が開け放した障子の向こう、縁側に腰を掛けて待つ三十歳ほどの女性に「いらっしゃいましたよ」と声を掛けた。はいと返事をして立ち上がると彼女は長身で、青い花柄に埋まったワンピースを南からの風が通り抜け、着衣の全体がふくらみ、靡いた。二人の婦人の脇に正座すると、名前を名乗って深々と頭を下げるので、こちらは立ったまま彼女に名乗り返した。相手に比べて雑なお辞儀を返していることが恥ずかしい。「蔵書」と通称される「非在図書開陳係員」に一対一で直接向き合うのは初めてだったから、とても緊張していたのだった。

 彼女には馴れたことだから、にこやかに木製のサンダルを突っかけると、いつの間にか極自然に横に立っている。「それでは歩きましょう」と彼女は言った。
「今もう、本が開いていますよ」

 体を寄り添わせて歩きながら彼女が流した言葉のイメージを、その場で聞き取ったものの一部がこれから先、題名を付して記す文章だ。

 家の敷地を出ると、流れる煙のようにして人けのない通りをさまよった。よく晴れた日で、前日の雨で濡れている木や草の匂いがした。家や植物に囲まれた狭隘な路地を歩き、そこを外れて開けた場所へも出た。手入れが行き届いていない荒れた林に草を分けて入り込んだり、用水路に沿って歩いたりもした。

 時には彼女は、間近で顔を向かい合わせて熱心に言葉を発した。また、ふと立ち止まると、体全体が目に入るだけの距離をとり、声を大きくして話した。しゃがみ込んで、道ばたの菫か何かの花を見つめながらひどく遅いペースで話すこともあった。ある場面ではこちらの二の腕を掴んで、直接体の中へ言葉を流し込もうとするかのように語ってくれた。

 並んで歩くほどに「本」は一枚一枚ゆっくりとめくられ、およそ三十分で堅い裏表紙が見え、話の最後の部分に覆い被さって終った。非在の本がひと度開き、再び閉じられたのだった。


『鞠を落とす・鞠が落ちる・ものが引き合う』
 
 鞠になって落ちるとき、落とすものの掌は見えていません。落とすものは雲と大差なく空の明るみを漂っていたのです。
 それはまったくスピリチュアルな存在ではないのに、どこか泰然とした悟性を保っているかのようでした。鞠になって両脇から押さえられ、冷たい高層の空気の中を上へ上へ掲げられていくと、「落とすもの」は父や母の思い出のような、曖昧な愛情さえ肌に伝えてきました。
 落とされることは不安で、一方では落ちることが嬉しい。不安と嬉しさが重なって捩れながら、大きな流れとなって渦を巻き、その流れが鞠を含む総てをさらに高く押し上げるようです。
 鳥か虫か、ちぎれた紙か。
 薄く広がって、それでも意思あるものたちが、羽ばたいて周りを取り巻きながら、螺旋に昇ってついてきます。冷涼な光子の粒が滑らかに空間を浸します。明るいけれども眩しくはありません。
 押さえていた掌が消えるように離れてしまうと、時間がするするほぐれ始めました。
 落ちるのです。
 地上からの光の反射が、野や山や家や道路や、穏やかなものやどうしようもなく獰猛なものの実在を視覚に返します。そしてそれが逆に降り注ぐ光のみなもとを意識させるから、猛烈な気流の抵抗を受けながらも、落ちてゆくものは空と引き合うものでもあると、はっきり言えるのです。
 拡大。地理の拡大ではなく、ものの拡大。街路樹の一本、桜の樹の拡大。思い出。葉柄から葉脈をなぞり、葉と葉と葉と、さらに葉に、感触をがさごそ委ねながら、緑色の苦い思い出ごと枝を突き抜けます。
 (お父さん、お母さん、とかつて言いながら赤い車のリヤウインドウに緑のクレヨンで数カ所断線した大きなマルを描いたことがありました。)
 こんにちは。さようなら。それがバウンド。鞠は人のいない歩道のアスファルトで一瞬極端にひしゃげます。ひしゃげるもの、それが鞠。過程というものについての強烈な愛の衝動が、激突を引き起こすのです。
 聞くもののない音を放つ激突。
 こんにちは。さようなら。
 それからもう一度昇ります。今度は引き上げられるのではなく、自分の力でそうしているかのように、昇る。昇る。微妙に回転しながらすさまじい速度で昇ります。
 「ウイークリーマンション ネオ・トライブ」の傍らを過ぎれば屋根、屋根のモザイク。感覚に反映するこの世の総てが微細なモザイクの集積なのです。
 今度の上昇は、全体的に見れば位置エネルギーが減衰する一過程ですが、呼吸も新陳代謝も周期を持って減衰する同じバウンドなのだから、そういう理屈でこの世の総体が鞠と一体になり、しかしそれぞれ異なる次元を併存させて跳ねるのです。
 どきどきします。
 脆い地殻のすぐ裏側で、マントルが対流し、内核が鼓動しているからです。恋のときめきではありません。小さな惑星が宇宙の原初を懐かしみ、心地よく動揺している幻が、開陳されているのです。
 鞠のバウンドの終わりは死んでしまうということではありません。
 眠りでも休息でもありません。
 連続したバウンドの地に着いた状態が、いくぶん長く時間の流れに投影されているだけです。
 鞠はまだ生まれず、今も無く、既に形を失って四散しているのに、それでも跳ねている過程の一部であるのです。
 落とされるものは結局落とすものでしかない、という幸せなあきらめはそんな仕組みから来るのだと。
 「そんな仕組みから来るのだ」と、耳元では蜂の羽音が囁いています。


 『もちろん、直接耳元で囁いたのはこの物語を語った女性に違いなかったが、その時の声の甘さ加減は、およそ人間の口から発せられたものとは思えぬほどであった』と最後に追記しておく。

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7975 : 漠然と  イロキセイゴ '15/03/24 23:34:20

灰色の男が答練に手こずって居る
カンニングをする
男の台頭を観察すると
野口英世が感じられる

充電池を買って居る
天井の低い所では本屋にも行き
短歌雑誌と懸賞雑誌を買う

数学の得意な人が触れて来ると
工場内で鐘を突く、勿論撞木で

釣堀で糸がもつれて来ると
靴を買って貰う
花火の後は出し抜く思いに成って居る

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7936 : 受粉。  田中宏輔 '15/03/02 00:11:29 *5



  ○


猿を動かすベンチを動かす舌を動かす指を動かす庭を動かす顔を動かす部屋を動かす地図を動かす幸福を動かす音楽を動かす間違いを動かす虚無を動かす数式を動かす偶然を動かす歌を動かす海岸を動かす意識を動かす靴を動かす事実を動かす窓を動かす疑問を動かす花粉。


  ○


猿を並べるベンチを並べる舌を並べる指を並べる庭を並べる顔を並べる部屋を並べる地図を並べる幸福を並べる音楽を並べる間違いを並べる虚無を並べる数式を並べる偶然を並べる歌を並べる海岸を並べる意識を並べる靴を並べる事実を並べる窓を並べる疑問を並べる花粉。


  ○


猿を眺めるベンチを眺める舌を眺める指を眺める庭を眺める顔を眺める部屋を眺める地図を眺める幸福を眺める音楽を眺める間違いを眺める虚無を眺める数式を眺める偶然を眺める歌を眺める海岸を眺める意識を眺める靴を眺める事実を眺める窓を眺める疑問を眺める花粉。


  ○


猿を舐めるベンチを舐める舌を舐める指を舐める庭を舐める顔を舐める部屋を舐める地図を舐める幸福を舐める音楽を舐める間違いを舐める虚無を舐める数式を舐める偶然を舐める歌を舐める海岸を舐める意識を舐める靴を舐める事実を舐める窓を舐める疑問を舐める花粉。


  ○


猿を吸い込むベンチを吸い込む舌を吸い込む指を吸い込む庭を吸い込む顔を吸い込む部屋を吸い込む地図を吸い込む幸福を吸い込む音楽を吸い込む間違いを吸い込む虚無を吸い込む数式を吸い込む偶然を吸い込む歌を吸い込む海岸を吸い込む意識を吸い込む靴を吸い込む事実を吸い込む窓を吸い込む疑問を吸い込む花粉。


  ○


猿を味わうベンチを味わう舌を味わう指を味わう庭を味わう顔を味わう部屋を味わう地図を味わう幸福を味わう音楽を味わう間違いを味わう虚無を味わう数式を味わう偶然を味わう歌を味わう海岸を味わう意識を味わう靴を味わう事実を味わう窓を味わう疑問を味わう花粉。


  ○


猿を消化するベンチを消化する舌を消化する指を消化する庭を消化する顔を消化する部屋を消化する地図を消化する幸福を消化する音楽を消化する間違いを消化する虚無を消化する数式を消化する偶然を消化する歌を消化する海岸を消化する意識を消化する靴を消化する事実を消化する窓を消化する疑問を消化する花粉。


  ○


猿となるベンチとなる舌となる指となる庭となる顔となる部屋となる地図となる幸福となる音楽となる間違いとなる虚無となる数式となる偶然となる歌となる海岸となる意識となる靴となる事実となる窓となる疑問となる花粉。


  ○


猿に変化するベンチに変化する舌に変化する指に変化する庭に変化する顔に変化する部屋に変化する地図に変化する幸福に変化する音楽に変化する間違いに変化する虚無に変化する数式に変化する偶然に変化する歌に変化する海岸に変化する意識に変化する靴に変化する事実に変化する窓に変化する疑問に変化する花粉。


  ○


猿を吐き出すベンチを吐き出す舌を吐き出す指を吐き出す庭を吐き出す顔を吐き出す部屋を吐き出す地図を吐き出す幸福を吐き出す音楽を吐き出す間違いを吐き出す虚無を吐き出す数式を吐き出す偶然を吐き出す歌を吐き出す海岸を吐き出す意識を吐き出す靴を吐き出す事実を吐き出す窓を吐き出す疑問を吐き出す花粉。


  ○


猿を削除するベンチを削除する舌を削除する指を削除する庭を削除する顔を削除する部屋を削除する地図を削除する幸福を削除する音楽を削除する間違いを削除する虚無を削除する数式を削除する偶然を削除する歌を削除する海岸を削除する意識を削除する靴を削除する事実を削除する窓を削除する疑問を削除する花粉。


  ○


猿を叩くベンチを叩く舌を叩く指を叩く庭を叩く顔を叩く部屋を叩く地図を叩く幸福を叩く音楽を叩く間違いを叩く虚無を叩く数式を叩く偶然を叩く歌を叩く海岸を叩く意識を叩く靴を叩く事実を叩く窓を叩く疑問を叩く花粉。


  ○


猿を曲げるベンチを曲げる舌を曲げる指を曲げる庭を曲げる顔を曲げる部屋を曲げる地図を曲げる幸福を曲げる音楽を曲げる間違いを曲げる虚無を曲げる数式を曲げる偶然を曲げる歌を曲げる海岸を曲げる意識を曲げる靴を曲げる事実を曲げる窓を曲げる疑問を曲げる花粉。


  ○


猿あふれるベンチあふれる舌あふれる指あふれる庭あふれる顔あふれる部屋あふれる地図あふれる幸福あふれる音楽あふれる間違いあふれる虚無あふれる数式あふれる偶然あふれる歌あふれる海岸あふれる意識あふれる靴あふれる事実あふれる窓あふれる疑問あふれる花粉。


  ○


猿こぼれるベンチこぼれる舌こぼれる指こぼれる庭こぼれる顔こぼれる部屋こぼれる地図こぼれる幸福こぼれる音楽こぼれる間違いこぼれる虚無こぼれる数式こぼれる偶然こぼれる歌こぼれる海岸こぼれる意識こぼれる靴こぼれる事実こぼれる窓こぼれる疑問こぼれる花粉。


  ○


猿に似たベンチに似た舌に似た指に似た庭に似た顔に似た部屋に似た地図に似た幸福に似た音楽に似た間違いに似た虚無に似た数式に似た偶然に似た歌に似た海岸に似た意識に似た靴に似た事実に似た窓に似た疑問に似た花粉。


  ○


猿と見紛うベンチと見紛う舌と見紛う指と見紛う庭と見紛う顔と見紛う部屋と見紛う地図と見紛う幸福と見紛う音楽と見紛う間違いと見紛う虚無と見紛う数式と見紛う偶然と見紛う歌と見紛う海岸と見紛う意識と見紛う靴と見紛う事実と見紛う窓と見紛う疑問と見紛う花粉。


  ○


猿の中のベンチの中の舌の中の指の中の庭の中の顔の中の部屋の中の地図の中の幸福の中の音楽の中の間違いの中の虚無の中の数式の中の偶然の中の歌の中の海岸の中の意識の中の靴の中の事実の中の窓の中の疑問の中の花粉。


  ○


猿に接続したベンチに接続した舌に接続した指に接続した庭に接続した顔に接続した部屋に接続した地図に接続した幸福に接続した音楽に接続した間違いに接続した虚無に接続した数式に接続した偶然に接続した海岸に接続した意識に接続した靴に接続した事実に接続した窓に接続した疑問に接続した花粉。


  ○


猿の意識のベンチの意識の舌の意識の指の意識の庭の意識の顔の意識の部屋の意識の地図の意識の幸福の意識の音楽の意識の間違いの意識の虚無の意識の数式の意識の偶然の意識の歌の意識の海岸の意識の意識の意識の靴の意識の事実の意識の窓の意識の疑問の意識の花粉。


  ○


猿を沈めるベンチを沈める舌を沈める指を沈める庭を沈める顔を沈める部屋を沈める地図を沈める幸福を沈める音楽を沈める間違いを沈める虚無を沈める数式を沈める偶然を沈める歌を沈める海岸を沈める意識を沈める靴を沈める事実を沈める窓を沈める疑問を沈める花粉。


  ○


猿おぼれるベンチおぼれる舌おぼれる指おぼれる庭おぼれる顔おぼれる部屋おぼれる地図おぼれる幸福おぼれる音楽おぼれる間違いおぼれる虚無おぼれる数式おぼれる偶然おぼれる歌おぼれる海岸おぼれる意識おぼれる靴おぼれる事実おぼれる窓おぼれる疑問おぼれる花粉。


  ○


猿と同じベンチと同じ舌と同じ指と同じ庭と同じ顔と同じ部屋と同じ地図と同じ幸福と同じ音楽と同じ間違いと同じ虚無と同じ数式と同じ偶然と同じ歌と同じ海岸と同じ意識と同じ靴と同じ事実と同じ窓と同じ疑問と同じ花粉。


  ○


猿を巻き込むベンチを巻き込む舌を巻き込む指を巻き込む庭を巻き込む顔を巻き込む部屋を巻き込む地図を巻き込む幸福を巻き込む音楽を巻き込む間違いを巻き込む虚無を巻き込む数式を巻き込む偶然を巻き込む歌を巻き込む海岸を巻き込む意識を巻き込む靴を巻き込む事実を巻き込む窓を巻き込む疑問を巻き込む花粉。


  ○


猿の蒸発するベンチの蒸発する舌の蒸発する指の蒸発する庭の蒸発する顔の蒸発する部屋の蒸発する地図の蒸発する幸福の蒸発する音楽の蒸発する間違いの蒸発する虚無の蒸発する数式の蒸発する偶然の蒸発する海岸の蒸発する意識の蒸発する靴の蒸発する事実の蒸発する窓の蒸発する疑問の蒸発する花粉。


  ○


猿と燃えるベンチと燃える舌と燃える指と燃える庭と燃える顔と燃える部屋と燃える地図と燃える幸福と燃える音楽と燃える間違いと燃える虚無と燃える数式と燃える偶然と燃える歌と燃える海岸と燃える意識と燃える靴と燃える事実と燃える窓と燃える疑問と燃える花粉。


  ○


猿に萌えるベンチに萌える舌に萌える指に萌える庭に萌える顔に萌える部屋に萌える地図に萌える幸福に萌える音楽に萌える間違いに萌える虚無に萌える数式に萌える偶然に萌える歌に萌える海岸に萌える意識に萌える靴に萌える事実に萌える窓に萌える疑問に萌える花粉。


  ○


猿と群れるベンチと群れる舌と群れる指と群れる庭と群れる顔と群れる部屋と群れる地図と群れる幸福と群れる音楽と群れる間違いと群れる虚無と群れる数式と群れる偶然と群れる歌と群れる海岸と群れる意識と群れる靴と群れる事実と群れる窓と群れる疑問と群れる花粉。


  ○


猿飛び込むベンチ飛び込む舌飛び込む指飛び込む庭飛び込む顔飛び込む部屋飛び込む地図飛び込む幸福飛び込む音楽飛び込む間違い飛び込む虚無飛び込む数式飛び込む偶然飛び込む歌飛び込む海岸飛び込む意識飛び込む靴飛び込む事実飛び込む窓飛び込む疑問飛び込む花粉。


  ○


猿の飛沫のベンチの飛沫の舌の飛沫の指の飛沫の庭の飛沫の顔の飛沫の部屋の飛沫の地図の飛沫の幸福の飛沫の音楽の飛沫の間違いの飛沫の虚無の飛沫の数式の飛沫の偶然の飛沫の歌の飛沫の海岸の飛沫の意識の飛沫の靴の飛沫の事実の飛沫の窓の飛沫の疑問の飛沫の花粉。


  ○


猿およぐベンチおよぐ舌およぐ指およぐ庭およぐ顔およぐ部屋およぐ地図およぐ幸福およぐ音楽およぐ間違いおよぐ虚無およぐ数式およぐ偶然およぐ歌およぐ海岸およぐ意識およぐ靴およぐ事実およぐ窓およぐ疑問およぐ花粉。


  ○


猿まさぐるベンチまさぐる舌まさぐる指まさぐる庭まさぐる顔まさぐる部屋まさぐる地図まさぐる幸福まさぐる音楽まさぐる間違いまさぐる虚無まさぐる数式まさぐる偶然まさぐる歌まさぐる海岸まさぐる意識まさぐる靴まさぐる事実まさぐる窓まさぐる疑問まさぐる花粉。


  ○


猿あえぐベンチあえぐ舌あえぐ指あえぐ庭あえぐ顔あえぐ部屋あえぐ地図あえぐ幸福あえぐ音楽あえぐ間違いあえぐ虚無あえぐ数式あえぐ偶然あえぐ歌あえぐ海岸あえぐ意識あえぐ靴あえぐ事実あえぐ窓あえぐ疑問あえぐ花粉。


  ○


猿くすぐるベンチくすぐる舌くすぐる指くすぐる庭くすぐる顔くすぐる部屋くすぐる地図くすぐる幸福くすぐる音楽くすぐる間違いくすぐる虚無くすぐる数式くすぐる偶然くすぐる歌くすぐる海岸くすぐる意識くすぐる靴くすぐる事実くすぐる窓くすぐる疑問くすぐる花粉。


  ○


猿に戻るベンチに戻る舌に戻る指に戻る庭に戻る顔に戻る部屋に戻る地図に戻る幸福に戻る音楽に戻る間違いに戻る虚無に戻る数式に戻る偶然に戻る歌に戻る海岸に戻る意識に戻る靴に戻る事実に戻る窓に戻る疑問に戻る花粉。


  ○


猿をとじるベンチをとじる舌をとじる指をとじる庭をとじる顔をとじる部屋をとじる地図をとじる幸福をとじる音楽をとじる間違いをとじる虚無をとじる数式をとじる偶然をとじる歌をとじる海岸をとじる意識をとじる靴をとじる事実をとじる窓をとじる疑問をとじる花粉。

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7977 : 嘘の煮込み  マグロ '15/03/25 22:19:59  [Mail] [URL]

あらゆる事実を放り込め
とりあえずは蓋だ
火を強めて放り込め
ぐつぐつと
煮込まれていく異様な塊
まだ蓋は開けるな
すべてが隠蔽されるまで

カサが減るたびに
あとからあとから具材の追加
やりきれない鍋の苦しみ
黙してひたすら火に炙られる

吹きこぼれそうな灰汁の澱み
これが隠された濃厚な虚誕

どんどん灰汁は捨てましょう
どんどん灰汁は捨てましょう
調子っぱずれな歌が不協和音となって
頭にヒビく

無惨に焦げ付いた訝しい臭い
排水溝に溜った灰汁は
やがて土壌に染み渡り
球根たちを次第に黒く染めてゆく
道管から吸い上げられた黒い栄養
咲いた毒花には
濾しとられなかった灰汁の粉が
ぽつぽつと醜い彩をばら撒く

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7973 : COUPABLE IDEA  相沢才永 '15/03/21 19:31:43




遂にけたたましい悪心はやり場を失う
遂に私は征服されるのだ
蜜は掠れた眼に垂れる独善の罪
歯形を浅く拵えた言葉を満足気に掲げ
価値が有ると信じ喝采する愚者達
因果に生まれ死する子供達を憐れみながら
愛執が情景を彩る様は同時に正義を否定する

誰かの孤独に飼われた言葉も
誰かの言葉に飼われた孤独も
我々を意味不明にするには十分過ぎる
取るに足らぬ偏見の眼差しさえ肉体に快楽を許し
精神は耐え難い矛盾に悲鳴を上げる
その延長線上に自害を試みたとして
生き残った者が一体どれだけ本気だったのか
確かめる術など誰が持ち得よう

(我々はどのようにして関係することができる?)

自尊心が憎悪を鎮めている間
我々はこの怯んだ浮世を寛容した気になるだろう
恐怖心が安定を守っている間
我々は赤の他人の死を然もつらつらと嘆くだろう
蓋し誰かが刃を振るおうとて
我々は終ぞ認めないのだ
それこそが自己欺瞞なのだから
我々が当事者
況してや加害者で在るはずがない

(貴方はどのようにして貴方と関係することができる?)

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7982 : 蒼い微光  前田ふむふむ '15/03/30 14:19:56 *4

    

     1

うすい意識のなかで
記憶の繊毛を流れる
赤く染まる湾曲した河が
身篭った豊満な魚の群を頬張り
大らかな流れは 血栓をおこす
かたわらの言葉を持たない喪服のような街は
氾濫をおこして
水位を頸の高さまで 引きあげる

これで 歪んだ身体を見せ合うことはない
徐々に 溶解していく、
水脈を打つ柩のからくりを知ることはないだろう
唯 あなたに話し 見つめあうことが
わたしには できれば良いのかもしれない

見えない高く晴れわたる空を
視線のおくで掴み 仄暗い部屋の片隅で
両腕で足を組みながら
そう思う

    2

冬の朝は とてもながい
しじまを巡りながら
渇いたわたしの ふくよかな傷を眺めて
満ちたりた回想を なぞりながら
やがて訪れるひかり
そのひかりに触れるとき
ながい朝は終焉を告げる
そこには 恋人のような温もりはないだろう

あの 朝を待つ 満ちたりた時間だけが
恋しいのだ

    3

無言の文字の驟雨が 途切れることなく続く
覆い尽くす冷たい過去の乱舞
わたしは 傘を差さずに ずぶ濡れの帰路を辿るが
あの 群青の空を 父と歩いた手には
狂った雨はかからない
やがて 剥がれてゆく 気まぐれな雨は
蒼いカンパスのうしろに隠れて
晴れわたる裾野には 大きなみずたまりをつくる

わたしのあらすじを 映すためだけに
生みだされた陽炎だ

     4

わたしは きのうがみえる都会の欠片のなかを
隠れるように浮遊する
モノクロームの喧噪が音もなく流れる
その沈黙する鏡のなかで 煌々と燃えている
焚き火にあたり ひとり あしたの物語を呟いてゆく

  八月の船は 衣を脱いで 冬の雪原をゆく
  二台の橇を象る冷たい雪を 少年のような
  孤独な眼差しで貫いて
  瓦礫の枯野に うすい暖かい皮膚を張る

  熱く思い描いた経験が
  あなたの閉ざされたひかりを立ち上げて
  新しい八月には たゆたう枯れない草原を広げる
  わかい八月には 約束の灯る静脈のなかに
  あの幼い日に夢で見た美しい船が
  今日も旅立っていく

     5

忘れないでおこう
たいせつなものを失った夜は
なぜか空気が浄らかに見える
世界が涙で 立ち上がっているからだろう
走りぬける蒼い微光のなかを
立ち止まっていく
忘れていた悔恨の草々
静かに原色が耳に呟く
「言葉は聞こえるときにだけ、いつまでもそこにある。」

鳥篭のなかの唖のうぐいすが
          激しく鳴いた

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7986 : (無題)  イロキセイゴ '15/03/31 23:50:54

お先にどうぞと言われながらたちまち秋風が起こる
しかしながら藍の空に病んで仕舞った。秋の風がまた起こり
列の後ろの方では葬儀の列と化して居て、秋風が必ず起こる
原爆ドームを見て居るとすかすかな気持ちを抑え難くて、秋の風を
せつせつと楽しんで居る私、往時を語って秋らしい風を感じて居る

以下5句を参考に詩作しました
お先にどうぞたちまちに秋風す   松澤雅世
されど空の藍に病みけり秋の風   大井恒行
しんがりは秋風となる葬の列    鍬守裕子
すかすかな原爆ドーム秋の風    栗林浩
せつせつと往時を語り律の風    浅川智子

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7953 : viraga  lalita '15/03/09 09:11:35

rupam shunyata shunyata eva rupam



ah.....aah





vajravajra saravasarava samanthabhadra vajrasattva mahasattava hoh




     廃滅せしめぬ!


revenir cristo sur terre!


私たちが消えたら宇宙だけがのこるのよ! それって怖くナーい!


    klim klim klim om klim om klim klim klim klim



私は宇宙とセックスするの。エーテルの光の中を飛翔するの。




燦然と輝く炎の色をした・・・・・


  vairochanaya om


ha ha ha hoh bhagavan sarva tathagatha


   あなたの弱さと純粋さに心打たれました。



  闇・・・・・暗闇・・・・・・風・・・・・


  hrim mahakala om ah hum




drim tham tham thah thah


hskphrem......



hrum hruum....................................



(mauna)




睾丸とペニスを食べる女   

                  vajradakiniye klim kurukullaye

恥じらいも、情熱も、恐怖も超越した勝利の女神



 (pp)た・・・・・だ・・・あ・・・・な・・・・た・・だ・・・け・・が


   (mp)わ・・・た・・・し・・・・の・・・・・ひ・・・・と
       p o c o a p o c o c r e s c e n d o


(mf)こ ろ   し     て   (p)  こ     ろ   し  て
    molto crescendo diminuendo



(meno f)こ     ろ      し      て
           cresendo・・・・・・・・




(ffff) こ   ろ    し      て!!!!!!!!!!!!!!! 
      (tutti)



私はあなたを殺すことができない。ただあなただけがあなたを殺すことができる。



死になさい。消えなさい。消え去りなさい。完全に消滅しなさい。


la di do fi fa su sol re mi mu tsu si


samaya gya gya gya om vajrapani hum!

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7969 : メコン川  ちょび '15/03/17 23:58:48

 生きて見るとは思うまい
 アジアの森を南進し
 酷暑に肌を赤く焼く
 帽子のツバは
 塩の年輪がこびりつく
 こんな雨季の太陽に慣れた折
 国境を離れて停泊する
 一息ついたテーブルに
 配膳される笹とモチ米
 ちらっとすれば脚に黒ずむ
 この鼻は否応ない
 嗅いでいる
 すえた川辺の臭いがあって
 晴れやかに
 物見遊山というところ
 まさかメコンと思うまい
 町の隘路でぶち当たる
 こなれたブーツで押し入って
 黒光りする岩場に立った
 これがメコンの流れと云う
 細くはあるがけたたましい
 泥土に時化た茶の濁流を
 幾重ともなる、水牛が
 メコンであるか否を知らせる
 この川に落ちれば命は脆い
 しゃがみ込み、縁を頼って
 私はこの轟とした
 流れに指を差し伸べる

 これが私の欲だった

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7989 : 小規模な旅  駄目人間 '15/04/01 02:15:58

他人を含まない部屋の窓に
目の眩むような青い空が広がる
清々しい朝に弾む自由な心と
微睡んだ昼下がりに漂う寂しさ

自由と寂しさの隙間で暖を取り
機械的な時間の音に息を潜めて
玄関ドアの向こうが手招きをして
その様を眺め靴紐を結ぶ前に

砂糖で溢れたコーヒーと一緒に
一滴の安定を流し込んだ
醒めた顔が偽りだったとして
偽る自分もまた僕でしかない

効き目が切れてしまう前に
夕暮れが辺りを染めてしまう前に
空が藍色に変わってしまう前に

『行ってきます。』

僕にとっての小規模な旅に出かけよう

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7983 : 葬送  相沢才永 '15/03/30 19:23:00



そこでは激しい血の轟きが聞こえる。
とあるひとりの少女が流した血の轟きが。
人々は耳を塞ぎ、目を塞ぎ、声ばかりを張り上げている。
聞き取れない言葉をけたたましく張り上げている。
血流は塞き止められず、彼らの足を次々と掬い上げ、
その冷ややかな誇りを飲み込んでいく。

少し離れたここでは喉を胃酸に焼かれた青年が、
足元にある、輪郭を失った感情を見つめている。
いつか腹の底に沈めたそいつがアスファルトの上で、
わざとらしく干乾びていく様子を見つめている。
“君が死んだのは僕のせいじゃない。
見てはいけないものを見るような、奴らが悪いんだ。
わかろうとしない奴らが悪いんだ。
知るのを恐れて、同じだと決め付けたのは奴らじゃないか。
どうしてそんな顔しているんだよ。”

青年にも微かに聞こえる。
血の轟きが。少女の咽び泣く声が。
たった今血だらけの理由など考えもせず、心の平穏を傷つける音が。
聞こえながら、ズボンを下ろし、自分の熱(いき)る器官を握りしめていた。
嘔吐した輪郭のない感情を片手に纏わり付かせ、頻りに動かした。
直に血流は彼のいる下流まで辿り着く。
分別を失くした少女の激情が、このまごついた性(さが)を飲み干してくれるのだ。
青年は悦びに身を捩り、間もなく果てた。
鼻の奥を刺激臭と鼻水と、不気味な甘みで満たしながら。
アスファルトに目を遣ると、ねっとりとした白い命が、感情の亡骸に埋まっていた。
すやすやと、眠るように埋まっていた。

「どうしてそんな顔しているんだよ。」

輪郭を取り戻そうと掘り返した記憶の中で、ひとりの男が青年に聞いている。
青年は答えず、質問を質問で返しながら、想いが生きようとする音を聞いている。
絶えず、聞こえてくる。
胃酸に焼かれた喉から張り上げる、ガマ蛙のような声が聞こえてくる。
聞こえながら、白々しく、聞こえない振りをしている。

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7987 : 我らの蛾  お化け '15/04/01 00:13:37

君たちにはわからないだろう。駐輪場の黄ばんだ蛍光灯に群がる薄汚い蛾は、今とは比べものにならないほど、昔は、一匹一匹が覚醒剤を打ったみたいに、ギラギラしていた。生命を持っていた。どんな時代もそれよりも前の時代の蛾の方が、ものすごく、よかった。思いを馳せれば、人間がいなかったころは、ずっとずっと、本当に、よかった。君たちは、生まれたときから、とんでもない世界に「ちょうど」産まれ落ちてしまったとわかっていて、黄ばんだ蛍光灯にぶつかる薄汚い蛾から目を逸らしたかもしれないが、僕は「ふざけるんじゃねぇ」って、さらに耳も塞いで、公園で空き缶を蹴っ飛ばした。僕も君たちと同じように「あの頃」があった。僕はあの頃、瞬き一つない水面を持って、星を捕まえることができた。魚一匹いない、純粋な、素直な、死んだ静けさの湖ほとりで、空から月が落ちてきて、地球が壊れはじめる瞬間を見てみたいと思った。目に映ったままのあまりにも綺麗なこと、あるがまま叫んで、死んでもいいと思った。残酷な子供のままでいさせてくれる人がいた。

今、存在しないはずの蛾が光にぶつかり続ける音が、無駄にただただ、聴こえる。僕も君たちも、希望の光を見て、騙されていると知っていながら、愚直にぶつかり続けて死ぬんだって、わかっている。少し賢いだけの蛾みたいに、毎日、人工的な光の下で「愛されたい」と、誰かがくるのを待っている。星を捕まるための水面に、インターネットを張り巡らせて、魚を探している。綺麗すぎる湖はなくなった。魚が跳ねる音が、あらゆる場所で聞こえる。僕の湖には、スパムメールが土砂降りのように落ちてきて、至る所で、まあるく波が広がる。アカウントと一体化してしまった僕は、自分自身をスパムとして報告することはできないほど、落ちぶれてしまった。波立ち絶えず歪む湖面に映る星と月を見て、これは本当のことなのかって、わからなくなった。生起し続けていることが信じられなくなった。酒を飲み、僕は夜、薄汚い蛾になって、遠くでカンカン鳴る踏切音のほうへ飛び出す。そのうち、早すぎる死に追い抜かれて、追いかけて引き離され、山を越えているうちに、あそこに行けば死ねるんだってことも、千切れた言霊になって、忘れられちまった。

(今日(のつもり(つもった(峰の雪(解けない稜線(のやまびこ(のつもり(つもった(峰の雪(解けない稜線(のやまびこ(のつもり(つ(もった(峰(の雪(解(けない稜線(の(やまびこ(の(つもり(つ(も(った(峰(の(雪(解(け(ない稜線(の(や(まびこ(の(つ(もり(つ(も(っ(た(峰(の(雪(解(け(な(い稜線(の(や(ま(びこ(の(つ(も(り(つ(も(っ(た(峰(の(雪(解(け(な(い(稜線(の(や(ま(び(こ(の(つ(も(り(つ(も(っ(た(峰(の(雪(解(け(な(い(稜(線(の(や(ま(び(こ(の(つ(も(り(今日の詩(のつもり(つもった(峰の雪(解けない稜線(のやまびこ(つもり(夢)つもり)やまびこの)溶けた稜線)ふもとの雪)消えた)つもりの)昨日明日の詩)の)つ)も)り)や)ま)び)こ)の)溶)け)た)稜)線)の)ふも)と)の)雪)消)え)た)の)つ)も)り)や)ま)び)こ)の)溶け)た)稜)線)の)ふも)と)の)雪)消)え)た)の)つ)も)り)やま)び)こ)の)溶けた)稜)線)の)ふも)と)の)雪)消)え)た)のつ)も)り)やまび)こ)の)溶けた稜)線)の)ふもと)の)雪)消)え)た)のつも)り)やまびこ)の)溶けた稜線)の)ふもとの)雪)消え)た)のつもり)やまびこの)溶けた稜線)ふもとの雪)消えた)つもりの)昨日明日)

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7984 : Private Military Contractor  atsuchan69 '15/03/31 00:08:46

せんそうのあうとそーしんぐ
てきみかたりょうほうひきうけている
どこへだっていくしせいぎなんかしらない
おんなこどもだってへいきでころす

せんそうのあうとそーしんぐ
それはころしのびじねす
てきみかたがおおぜいしんだら
ほうしゅうをしはらわなくてもよい(^_-)-☆

せんそうのあうとそーしんぐ
なみだ、ってほんのちょっぴりのみずだろ
ち、って、あかいだけのみずだろ
いのち、ってむじゃきなかんちがいだろ

せんそうのあうとそーしんぐ
かくせんそうだってへいきでやらかす
もくてきはただのかねもうけ
そしてさいごにはぜんいんしんでしまう

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7988 : 白線  田中宏輔 '15/04/01 00:25:23 *4



横断歩道の上の白線は
決して真っ白であったためしがありません
必ず、幾多の轍が、靴の踏み跡が刻印されています
もしも、真っ白な白線がひかれていたなら
ぼくは、その上を這って渡りましょう
お腹を擦りつけこすりながら渡っていきましょう
そして、渡り切ったなら、もう一度ターンして
こんどは、背中を擦りつけこすりつけ戻ってきましょう
そうして、何度も何度も往復してみましょう
しまいに白線が擦り切れて見えなくなってしまうまで
ぼくが擦り切れてなくなってしまうまで

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- ealis -