◇ No.417 , '15/03/06 07:07:46 作成

7885 : ねじれと交差  少年B '15/02/03 08:56:48

高校の卒アルを閉じればキス
気づいて君はラムネみたいに笑う。
笑くぼには初々しい化粧が溜まり、
外行きの君は田舎の女子高生とちがう。

上京する君を見送る駅のプラットホーム
振り返りざまに君はーー別れようね。
発車時に吐き出すプシューと、
声を置き去りにした吐息とが重なった。
離れ行く君は携帯を見てたけど、
向かいのホームが見えるまで手を振った。

向かいにも手を振る女子がいた。
二つの意思が偶然交差点をつくった。
彼女は知らない同級生の一人だった。
進学先も一緒だった。実家だけは、
ちょっと離れてるけど。
その夜、二人は交わることにした。

朝帰りの気だるさは微熱のせい。
三十七度の指で卒アルをめくり、
昨夜の垢抜けないあなたを見つけた。
文系クラスなら知るわけない。
その素朴さを微分して、あなたの
悪女を垣間見たいと思う。
でも今度積分したら、あなたも
遠くへ行ってしまいそうだ。

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150203_912_7885p


7884 : どうしてだ   '15/02/02 16:39:13

どうしてだ
首を
輪切りに
されながら
思った
なんなんだ
この悪意しかみつからない
この男の
目は
皮に喰いこみながら
サバイバルナイフが
一周する
耐えても
しかたのない
現実が
ころがり
込む

どうしてだ
哂えない
とても
哂えない
男の手に憑いた
オレの血が
オレの涙に
滲む
もっと血を!
もっと血を!
速く
逝かせてくれ
いっぱいだ
いっぱいだ
骨が折れだす
鼓膜をたたく音が
聞こえた気が
する
砂地が
目に
飛び込む
終った

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150202_894_7884p


7886 : 四つの詩  はかいし '15/02/04 10:43:58

*叙景

昼過ぎ 駅に向かう途中 一人の初老の男性が 休診中と書かれた扉に 拒まれているのを私は見た

いつの間にやら 私の後ろには数人の人が並び バスを待っていた 

雨が数滴降っていた

バスの中で立っている人はいなかった それは滅びゆく言語を明確に暗示しているような気がした しかしそれが何なのか私にはわからなかった

帰り道 祈る人を見た

祈る人を見たというのは嘘で 寒さで手を擦り合わせている姿が 祈るように見えただけだ

あるいはまた私自身が祈る人を登場させたかっただけかもしれない しかしそれでも私には祈るように見えた

雨が強くなった バスのワイパーが雨滴を追いかけていた


*比喩

比喩は歌う 比喩は比類なきものを追従する 比喩は夢を見る 比喩は孤独をつらぬく一閃の刃となり世界を揺るがす 比喩は煙草となり世界に吐かれる 比喩は永遠を追い求める

比喩は駆けてゆく 比喩は眠る 比喩は神になる 比喩はニーチェになる 比喩は接吻する 比喩は夜になる 比喩は朝になる 比喩は弓になり的を射る

比喩は一人の初老の男性になる 比喩は拒まれる 比喩は拒む 比喩は見る

比喩はバスを待つ 比喩は雨となり降り注ぐ

比喩は立ち上がる 比喩は嘘をつく

比喩は祈る人になる


*空間の鳥

閉ざされた陰が空間を作るとき そこには鳥が飛ぶだろう ブランクーシのような抽象的な鳥が飛ぶだろう 真鍮製の 金色の鳥が

その羽ばたきに僕は驚くだろう けれども決して忘れたりはしない そいつが最初に留まっていたときの姿を 直立しつつ滑らかなカーブを描いた不動の姿を 飛び立とうとする直前の姿なのだから

やがて僕はその姿を飲み込んでいくだろう 毒を飲むように静かに飲むだろう


*叙景

電車内に人が乗り込んできた 赤色の服の人だった もう一人は灰色 最後に黒と白の縞模様の人だった

もしロラン・バルトが今生きていれば この電車内の広告にも彼の最初の小説の名前が残っていたかもしれない

そんな空想をしていると では私が今書いているこの世界は彼の小説の中の世界だろうか という気がしてくる

列車が動き出す 乗客たちは緩やかに傾き やがて元通りになる さっきの赤や灰色や黒白も傾く そして元通りになる

フッサールは熱い人だと思う?
いいやクールな人だね
そんな会話が聞こえてくる
私はその会話の向こう側にある
冷たい炎を感じ取るのだ
それが彼らの思想かもしれないと思う

やがてその炎は現実となり世界を焼いていく
私は髪の毛の燃える匂いを嗅ぐ……そこに真実はないと知っているからその感覚を消そうとする……

(「毒を飲むように静かに飲むだろう」は田村隆一の詩より部分引用

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150204_922_7886p


7887 : 勝手なB級記述  阿ト理恵 '15/02/04 12:48:09



ひびよひび、われ、わりきれず、なにくわぬかたちの方へ


なにかしら兆しある移り変わり吠えなくなったパラドックスよ


ゆくあてはあるのかないか、せ(い)かいも混ぜすぎて黒になってしまって


透明な存在は名前呼ばれることで場所を得る。とてつもなく


正しいはまちがってボーダーレスへ属さぬことの自由はどこか


ブレーキは成層圏を越えてゆき正確に届かずシャープなる


ナトリウムになるばかりではないのさそこにはいないはここにもいない


規則正しい普通を処分してはいい気になる世のなかは勝ってに


発達する仲違い乾舌にわらびもちでも補充してろ


あらぬほうをみてる間に台無しねじれた原色語が飛び交い


裏切られた睡眠は短くなるばかり只ではすまな異口を


始末してやるのさハハハハ明るい未来の値段は高いのだ


わるいゆめなら夜とじてしまっちゃえ瞬膜の記憶だけのこして


かいたいのならことばに殺されるなほどけた宙へかえしてやろう


こめかみに指ピストルを押しあてるネジ式のサイレントサイレン


てつがくの今日をてつがずにする月、それからはじまる革命とか

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150204_924_7887p


7891 : 博物館  みやつ '15/02/05 13:52:32


//:1

飛ぶように、空を
海にいっぱいの、水
空高く、宙を舞う
鳥と戯れる



そこいらの様子
多分、僕は知っている
夕方の空の色
それは、愛の博物館

吸収していく、すべてを
私の手で
ある日、私が飛ぶために

//:2

重い足を引き摺るように歩く
目はガラス玉のよう
手はただの錘のよう

やがてその物体は或る門にたどり着く
門柱にはレリーフが「愛の博物館」

博物館というと大抵
ガラクタの山を丁寧に展示
している施設のことだが
ここはなんだろう
もしかしたらかつて愛であったものを
展示しているのだろうか

重そうな錫の扉をゆっくりとあけて
その物体は中へ入っていった

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150205_937_7891p


7890 : 愛ってこんなものかしら  lalita '15/02/05 09:54:54

エメラルドの草原

あなたの最後の人になりたかった。

嗚呼!歓喜!嗚呼!苦悩!


沈め!三つの太陽よ!

漆黒の不吉な鳥が太陽を貪る!


月が動物たちを恐怖でアジテートする。

私は十分に戦った。そろそろ戦いをやめようか。

いろんな人が私を愛してくれた。

いろんな人が私を憎んだのと同じく。

自己憐憫も悲哀もなく、ただギャングに強姦される女のように。

嫉妬、憤怒、憂鬱・・・・・

洪水は押し寄せてまた海に戻る。

女の陰裂を太くくっきりと描くとき冬の雪は解け行く。

大便食いの精液のみのオナニスト。


口の快楽 肛門の快楽 性器の快楽。


女とはかわいい野獣だ。

美女は野獣よりもさらに野獣だった!

受動的客観性

雌になる。

女は仏陀に近い。

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150205_935_7890p


7895 : 所属についての二つの詩  前田ふむふむ '15/02/07 18:27:02 *8

所属

上司が口を開く
ここがあなたの席です
自由に使ってください でも
その机のなかや 本棚の上にはとても大切な書類が入っているから
触らないようにしてください
しかし 書類に触れようにも 
机の引き出しには 鍵が掛かっていて開かなかった
机の上には 半分以上が 上司の封をした書類で
山積みされている 前も良く見えないほどだ
両肘を机の上に置くのがやっとだった
それを見て 上司は
少し不便かもしれないけど しんぼうしてください 
と しずかに言った

わたしは 一か月前から この職場に異動してきたのだ
わたしの仕事は 上司がいう雑用的なことを淡々とこなすことだ
何も用がないときは その机に座り待機しているのだ
でも そんなとき 大好きな小説を読むことは許されない
わたしの書類である たった半ページが一日分の業務日誌と 
もう ほとんど合理的ではない時代遅れの 業務のマニュアル本があるだけだ
わたしは それを ぼんやりと眺めて過ごすのだ

わたしは 長い間 慣れたやりがいのある事務職を務めていたが 長い病に会い
長期欠勤を余儀なくされた
その結果
この会社で一番きつい肉体労働の職場に回された
もともと 頑強ではないわたしは 一年で頸椎と肩を壊して
先月 大した用のないこの職場に 配属されたのだ
昼食の時 食事をしながら思うのだが 
あのきつい肉体労働のときも 自由に使える自分の席はあった
いまは
この会社で パートを除けば 自分の机を自由に使えないのは
わたしだけだと分かってくると
食事が喉に痞えて 眼がしらがあつくなる

ある日 上司が いまわたしの机が書類でいっぱいなので
あなたの席を貸してくれないですかと ものしずかに言った
わたしは この職場でみんなが共有している 着替え室の
畳の上にある小さなテーブルに移された
今は二月なので 
効きの悪い暖房器をつけた
わたしは 午前中で終わってしまう簡単な仕事を片づけた後
テーブルのうえで 
誰も見てくれない業務日誌を 振り返りながら見てみる
もう一週間もこうしている

陽が暮れるのが とても早い
チャイムがなると終業の時間なのだ
わたしは 家族という自分の居場所に帰らなければならない
そして いつものように 
忙しく仕事をしたと 明るく振る舞うのだ
わたしは あまりの寒さなので
コートの襟を立て 首あたりを覆い 
普段飾りになっているボタンで止めた





 

十一月の手紙

ひかりの葬列のような夕暮れ
グラチャニツァ修道院のベンチに凭れている
白いスカーフの女の胸が艶めかしく見えた
たくしあげている
黒い布で捲れた白い腿は 痩せた大地から 
砂埃とともに はえていた
細い足首は 銃弾の跡があり
青い静脈管を浮かばせて
汚れた簡易なゴム靴で覆っている

掌を上に翳すと
わたしの指の透き間から
薄化粧をした若い国旗に見つめられて バザールが眼を覚ましている
質素な衣装に覆われた人のなかを 牛が一頭 通る
その痩せた肌の窪みは
喧噪に染まった収奪された地のなかにひろがり
針のようなしずかさを伴って わたしの空隙を埋めている

聖地プリシュティナのなまり色の空に
吊るされた透明な鐘は
血の相続のために鳴り響き
ムスリムの河の水面に溶けている
もうすぐ雪が訪れて
大地の枯れた草に泣きはらした街は 鐘の音を
しわの数ほど叩いた鐘楼の番人ごと 凍らせるだろうか

眼を瞑り もう一度、掌を翳すと
中央の広場が 犠牲の祭りで賑わっている
笑顔で溢れる
編物のような自由という言葉にかき消されて
あの白いスカーフの女は 
冬になれば
傷口を露出した足で
二度と姿を見せることはないだろう


親愛なるあなたへ
十一月は凍えるみずうみのようです あなたは 自由という活字の洪水によっ
て 固められた海辺で 打ち寄せる波と 波打ち際を吹き渡る風に よそいき
の服装を着て 今日も屈託のない笑顔で 戯れているのですか あなたが話し
てくれた高揚とした朝の 高く広がる鳥の声は 砂漠のように霞んでいます 
振り返れば せせらぎは見えなくとも 胸の平原を風力計の針を走らせるよう
に わたしはわたしらしく みずの声を聴いたことがあったのだろうか 便箋
に見苦しく訂正してある 傷ついた線は 言葉を伝えられなかったわたしです
 夕立のなかを往く傘を持たない わたしの冷たい両手です 吹雪のなかで 
泣き叫ぶ手負った雁のように 震えるうすい胸は 春の水滴に浮んでいて 枯
れないみずうみを求めているのです


いつまでも 同じ色の遠い空が
しずかにわたしを見ていた
某月某日 正午
砂煙をあげて 豊かな日本語を刻んだ小型ジープで
五つ目の浅い川を渡った
背中のほうに逃げてゆく 緑と茶色で雑然と区分された灌木の平原
後方から前へと滑らせながら追うと
息絶えたふたりの幼児と 剃刀のような自由を抱えて
狂気する浅黒い顔の女の 凍る眼差しが 
わたしを 突き刺した
女は 泥水を浴びているのか
服が白い肌に食い込んでいる
わたしは 気がつかなかったが
驟雨が車体を叩きつけている
道は 体裁をこわして
霞みをもった おぼろげな混乱のなかから
新しくつくられていくのだろうか
先にある なつかしい国境は いのちを失い
絵具のように流れている自由は
女が辿った靄に煙っている
眼のまえには
白い多角形のテントや箱の群で溢れ
どこにも属することのできない
人々が蟻のように 大地にへばり付き
空の向こうまで続いている


追伸
まもなく、帰ります
言い方を変えれば わたしは 帰る場所があるのでしょう
あなたの空をみるために戻ります あなたが熱望した 瑞々しい渓谷は
荒れたローム層の水底に沈んでいました
きっと 帰ったわたしは
もう あなたと同じ あつい息を 交錯することができない
手をしているでしょう
そして あなたの庭に しずかにみずをやる わたしではないでしょう
 
そちらでは あなたの欲した あの澄んだ空は 
今日も 一面 青々としていましたか

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150207_981_7895p


7896 : 母と温泉  織田 和彦 '15/02/07 23:55:45




163号線を
伊賀上野に向かって
車を走らせていた
朝から天気がよいので
母が温泉に行こうよというのだ
ぼくはと言えば
昨日の徹夜仕事のおかげで
10時頃まで眠り
まだ寝足りないというのに・・

なんだって?
この間さ
温泉行こうっていってたでしょ?
今日連れて行ってよ
母さん
場所わかれば一人でも行くんだけどねぇ

2年前にキャッシュで買った
ホンダのライフの助手席に
母を乗せる
助手席で
お気に入りのベージュ色の帽子をかぶり
少女のように
嬉しそうな母を見る

どこが良い?
温泉さ
近いところでいいのよ
じゃ
島ヶ原温泉にしようか?
母さんも仕事で何度か行ったことある
でも
電車でいつも行くからね
場所はよくわからないんだ

奈良県?
三重県?
三重県だよ

母とぼくは
決して完璧な間柄じゃない
二人の心の中には
ガラクタな
ヤクザな思い出がたくさんある
たくさんの愛憎を乗り越えてきた
二人だけの記憶がある

彼女とは
もう何も話すことがないほどに
たくさんの話をしてきた
だから年老いた母とも
未来について語ることができるのだ

死んだらね
体は借り物だから
この世に置いてゆくのよ
魂の話?
体はね
借り物なの
だからね
死んだらね
体はこの世に返していくのよ

ぼくは考えている
老いてゆく
不安な親を支える
子の役割を

人は生まれた瞬間から死へ向かっていく

それは決して真実ではないことを
母は語っているのだと
ぼくは思うのだ

ああ
そうだね
島ヶ原温泉はね
手にスタンプを押してもらうと
2回入れるんだよ
そう母に言った
じゃ母さん
スタンプ押してもらうね

ねぇ 
あんたは?
スタンプ押してもらう?
え?
ぼく?
ぼくはいいよ
一回で十分だよ
母さんが2度目入ってる間さ
ぼくは本でも読みながら
昼寝でもしてるからさ

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150207_990_7896p


7893 : ベンジンの香り  加瀬ナカレ '15/02/06 18:56:15  [URL]

彼女の髪はベンジンの香り
むせかえる百合のめしべよりも
彼の気をひく

彼女は昨日
深夜のニュースが始まる前に
浴槽いっぱいのベンジンに
身を沈めます

彼女の肌はベンジンの香り
むせかえる猫のなきがらよりも
彼の気をひく

彼女は明日
深夜のニュースが終わった後に
コップいっぱいのベンジンを
飲み干しました

彼女の唇はベンジンの香り
むせかえる線香の煙よりも
彼の気をひく

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150206_956_7893p


7857 :    '15/01/16 18:23:26

四方灰色の山に囲まれ
憂鬱な焚き火している

グツグツと泡を噴き
枯れ木が苦しそうに縮れてゆく

私は杖を火に突っ込んで
もう少し気楽に燃えよとかき混ぜる

煙の幕が上がると
モノクロームな風が

樵(きこり)のように座っている

通りがかりの女が言った
芋でも焼いているのですか

違いますよご婦人

死んだ女宛てに手紙を書いた
その鉛筆を燃やしているです

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150116_663_7857p


7881 : 泥にまみれて   '15/02/02 01:08:23


あんたが あたしを 置き去りにしてやで 

「もしも、貴方が私を置き去りにしても。」

そんで あんたは もう・・・・のに あたしの夢をみてもな

「そして、貴方が死体になって、私の夢をみても。」

あたしな あんたの・・・・中で

「私は、貴方の夢の中で。」

あんたの 呪いが 解けるように

「貴方の・・・・が解けるように。」

めっちゃ ・・・・して あんたに贈ってあげるわ!

「非常に高価な買い物をして、貴方に贈ります!」

いつも わたしら 喧嘩してたやん?

「私達は、いつも・・・・をしてきました。」

あんときの あんたの イラッ と したな 

「そのときの、貴方の・・・・立ち。」

あんときの テンションくらいまで この呪いが 冷めるようにな

「そのときの、・・・・の恨みのレベルまで、この呪縛が解けるように。」

ダイヤちりばめた 金のネックレスやで!

「ダイヤモンドを散りばめた、金のネックレスを・・・・」

でも あんた 想像 ついてへんのちゃう? 

「それでも、あなたは、気が・・・・のでしょう?」

あたしが こんなに 悲しんで 苦しんでるの 

「・・・・の悲しみと苦しみを。」

あんたの罪やで!

「それは、・・・・の罪です。」

あたしはな あんたの出発が ほんまに 悲しいねんで

「私は、貴方の・・・・について、本当に悲しい。」

それでも あんたは、気づけへんねんやろな

「それでも、貴方は・・・・、しないでしょう。」

あたしが 地雷みたいに うずくまって 泥まみれで 泣いてんの

「私が、地雷のように蹲り、泥にまみれて、・・・・いることを。」

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150202_881_7881p


7882 : ふるさと  ヌンチャク '15/02/02 08:12:07 *1

さっくんと男同士
風呂に入る
タイルに貼った
にほんちずを見ながら
話をする

さっくんがうまれたのはここ
なら
だいぶつの絵が描いてある
パパがうまれたのはここ
ながの
ぶどうの絵が描いてある

  今でも生家は長野にあるが
  私の帰る家はない

  生きていくのに邪魔になったら
  いつでも親は捨てて行け

さっくんのふるさとはここ
なら
だいぶつの絵が描いてある
パパのふるさとは
このちずの
どこにもない

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150202_884_7882p


7892 :   zero '15/02/06 02:21:23


霧が鳴いている
遠くへ存在を送るためでなく
内側にどこまでも響かせるように
霧が水の衝動を鳴いている
霧の中に沈む街並み
の中に沈み込む人々
霧が覆い隠すのは風景ではない
人々の明るいまなざしだ
人々はまなざしを濃くすることで
身体にまとわりついた他者の痕跡をそぎ落とす
霧は人々を新しい生命として浮き立たせる
近くに限られることで
遠くをはっきり失うことで
人々は自らの血そのものとなり
脈打ち、めぐり、証明する
霧が鳴いている
人々の肥大した耳は
霧が光と陰との相克できしむ音を聞き
その僅かに内側へと反響する
静止への欲望を共有する

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150206_946_7892p


7901 : 白い破片。  梓ゆい '15/02/09 10:16:59


開かれた扉と

銀の台に置かれた白い破片。

崩れながらも形を残すそれは

熱い熱いと焼かれていった

愛する父の姿であります。

「お父ちゃん、お帰り・・・・。熱かったねえ・・・・。」

たれそうになる涙と鼻水を押さえ

懸命に声をかけても

白い破片は何も答えません。

(ひび割れ箇所を確かめて、ゆっくりとセメントを流し込む。)

何かを守ろうと・何かを守ろうと

思考が止まります・・・・。

泣こうとしても泣けないのは

「いい加減にしなさい!!」と

愛する父が叱るからなのかも知れません。

手を握っても、握り返さなかったのは

すでに抜け殻だったからなのでしょうか?

ねじを巻き忘れた柱時計は

二日目の夜

埃まみれの針と振り子を

畳の上に落としていました・・・・。

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150209_031_7901p


7903 : 愛されている  加瀬ナカレ '15/02/10 01:06:41  [URL]

少女は歩いた
太陽が絵の具を投げ出して
リアリストが描いた空の下なのに
心からの微笑み
 なんてものが転がる最近
この辺りは詐欺師がたむろしているから
嘘で体を塗り固めておくんだよ

大丈夫?
と聞かれれば
無理に笑みを作って答える
 ダイジョウブ
君が抱いているのはただの
愛されているという被害妄想

少女は歩いた
暗い空の下なら暗く
狭い壁の間なら肩を狭め
心からの微笑み
 なんてものがあると信じている最近
この先には偽善者が群れをなしているから
悪意で瞳を覆い隠しておくんだよ

記憶をあさって思い出すのは
薄汚れた肌に触れた無骨な指
肩をかすめた温度のない掌
 シアワセ
君が抱いているのはただの
愛されているという被害妄想

少女は歩いた
リアリストが筆を折り捨てて
誰も描かなかった空の下なのに
喜びを感じることが
裁かれぬ罪
 なんてものになった最近
この下には誰かの心が埋もれているから
しっかり踏み砕いておくんだよ

涙を懸命に隠しながら
自分の息の根を絶やそうとしている
君が抱いているのはただの
愛されているという被害妄想

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150210_065_7903p


7897 : くちづけ  ヌンチャク '15/02/09 00:19:40

 わたしは、
 あなたを、
 愛しています。

という意味の振り付けがフラにはあって、
胸の前で両手を重ね、
空へ向かって投げキッスをするような、
たしかそんな仕草だったと思うのだけど、
それを思うと、
僕はなぜだか泣きそうになる。

そのくちづけは、
もう二度と会えない人に送っているのだ。
そう思えて仕方ない。

僕は信州生まれの山猿だから、
青い海と空に憧れる。
まぶしい陽射しを背中に受けて、
毎日気ままに波乗りしたい。
ウクレレを抱き酒を飲み、
歌って笑って生きていきたい。
「ウチの親父は本物の馬鹿だ」と、
子供たちに笑われたい。
人生は毎日がお祭り騒ぎで、
好きなだけ楽しんでもいいのだから。

 わたしは、
 あなたを、
 愛しています。

という意味の振り付けがフラにはあって、
それを思うと、
なぜだろう、
眉間の奥が熱くなる。

子供たちよ、
いつか僕は、
君たちを捨てていなくなる。

さみしくなってしまった時は、
どうかそのくちづけを、
空へ向かって送ってほしい。
そして馬鹿な父親を思い出し、
あるいは忘れ、
笑ってほしい。

  人生は、
  毎日がお祭り騒ぎで、
  好きなだけ、
  楽しんでもいいのだから。

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150209_021_7897p


7898 : カエル商店   '15/02/09 00:34:59

思い出を追いかけて、このバスに乗り込みましたが、乗客の皆様、堪えるように奥歯を噛み締めて、揺られておられます。
吊り輪の広告に、カエル商店の、懐かしい文字を見つけましたところ、私、こちらのご主人のことを、どちらかのどなたさまかに、せめてご噂話でも、拝借したく思いまして、周りを見渡しましても、皆様、下を向いて自分の爪先を凝視しておられますゆえ、これは、話しかけられるような、雰囲気ではございません。

車窓を眺めながら、記憶を遠くしまして、伝いましては、私の知っている景色とは、如何ほども変わらぬ模様でございますが、曇天の影響もございましょう、私、バス停の名前を、心中で唄っておりました。3つ目、4つ目、5つ目と、幼き日々を辿ってゆきます。この交差点を、右に曲がりまして、ぐらりとバスが大きく揺れるほどの、穴ぼこがあいておりまして、ぎゅっと吊り輪を握りまして、踵に体重を預け、往なすのが常でございました。なにごとも起きなかったように、お喋りを続けておりました。

当時の唄を、皆様がた、お唄いになられるのか、目の中の、カエル商店の文字が、うつらうつらとしてまいりまして、いつのまにやら、「あれから何年経ったのか」というように、私自身が、数え歌になってしまって、うつらうつらとしております。遠い過去から、わたしがここに帰ってくることを、誘われた神様の、旋律に導かれて、この未来を占う異邦人に、
終わりまで、残されたカードは、あと1枚です。アナウンスが流れました。「つぎ停まります」 赤いランプが点り、子供が私をみて、にやっと笑いました。馬鹿な子供がいるものですな、次はもう、終点なのだよ。バスが止まり、母親が立ち上がると、子供は寄り添い、その胸元に顔を押し込んで、脇の隙間から、私を見ています。その瞳の輝きときたら。

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150209_022_7898p


7904 : セイシンイジョウノセカイ  陽向 '15/02/10 12:15:25




オレノライセハアイツダ
ソシテアイツノライセハオレデ

あいつはおれを通過して神になり
おれのタマシイは
オレヲツウカスルタメ抜け殻ニナッタ
アイツニノリウツルノダ

おれは死んだらあいつになる
あいつが死んだらおれを通過する!

あああああ!
衝動とともにカケヌケル!

俳優! 君はあいつだ、タモリ、藤原竜也!

君はあのドラマに出ていたよね!

釈 由美子と結婚するんだ! 釈ちゃ〜ん

なぜあの爺さんを看護師は釈ちゃ〜んと言うんだ!

バンッ!
「うるせーんだよ」
「握手してください」

テレビの中の人間が俺を見ている
ゴールデンボンバーとダウンタウンが地球を征服するんだな
だってプライド同士だろ

そしてあいつらを動かしてるのは俺だ ククク

そうだこの紙に書かれたことが全て現実になるんだ!
アバジアバジ アバジアバジ アバジ!
くそくさい爺の悲鳴
おれのウォークマンを盗むあの爺は神の使いだ

おれの言うことを聞け 落語家!

お前はもう死んでたのか・・・

オレハセイシンイジョウシャダッタノカ

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150210_074_7904p


7905 : 季節の層  Ceremony '15/02/10 14:09:31

そう、
いくつもの、
母や、
姉が積み重なり、
水のように、
流れては、
父や、
弟も、
もぎ取られ、
押し込められた、
春、

夏には、
芽吹くだろう、
あの、
痩せた土地から、
一つの、
雨を、降らせるためには、
どれだけ多くの、
花を、
草木を、
枯らせなければならないのだろう、
嵐を、飲んだ日に、
祖母は、
火を身ごもった、
そして、
山々は、
秋に、燃やされて、
父は、
灰の中へ、
潜り込んでいく、
冬、になれば、
皆が、
積み重なって、
私は、
歴史を描こうと思う、
ずっと、
重い、長い、
歴史を、

くだらない、
タームの、
時代は終わったのだから、
やさしい、
私の、
詩の言葉で、
新しい、
私の、言葉を、

戦争が始まるよ、
そして、
敗戦の、
言葉で、

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150210_083_7905p


7909 : 反重力どんぶり  増田 '15/02/11 22:09:39

反重力どんぶりを食べるのは命がけだ。 左手でふたを押さえながら右手で箸を構える。そしてタイミ ングをを見計らってふたを外すと、卵でふんわりとじた熱々のカツが重力に逆らって、顔面に向かってくる。そこを絶妙の箸さばきで口に入れていくのが反重力どんぶりの醍醐味なのだが、多くの者は箸で捉えきれず顔面を大やけどする。たまらず椅子から転げ落ちると、どんぶりの中身は天井へと向かっていく。そのため「ぐらび亭」の天井はいつもカツと米粒がへばりついていた。

反重力どんぶりは美味であるが、その味を堪能できる者はほとんどいなかった。そこで反重力どんぶり攻略の対策を練る者も現れ始めた。傘を差しながら食べれば、どんぶりの中身はすべて傘の内側に収まり、悠然と食することができるのではないか。マイどんぶりを持参して、反重力どんぶりのふたを開けると同時に、マイどんぶりを覆いかぶせれば、悠然と食すことができるのではないか。

確かにこれらの対策は理に適っていたが、ぐらび亭は傘とマイどんぶりの持ち込みを禁じていた。では敢えて天井にへばりつかせ、それを食べる方法はどうだろう。しかしぐらび亭に抜かりはなく、すでに天井には殺鼠剤が塗りつけられていた。もはや客に残された手段は、箸一膳と己の口のみだった。

反重力どんぶりの理屈はごく単純なものだ。どんぶりに反重力化システムが内蔵されており、どんぶり内の物質を反重力化することで、ふたを外した際に中身が飛び出すという仕組みになっていた。

ぐらび亭に妙齢の女性が現れた。入ってきた途端、誰もが目を奪われた。それは女性客自体が珍しいこともあったが、何よりその女性が美しかったからだ。彼女はカウンター席に座ると澄んだ声で反重力どんぶりをひとつ注文した。ほどなく食欲をそそる匂いともに反重力どんぶりが運ばれてきた。

誰もが彼女に注目していた。一体どんな方法で食べようというのか。しかし彼女はそのまま、本当にそのままふたを取ったのだ。その瞬間、熱々の中身が彼女の顔をめがけ飛び出した。中身は彼女の顔にぶち当たり、そのまま張り付いていた。彼女の顔面はカツと米粒で覆われ、体ががくがくと痙攣してい た。

誰かが声をあげた。「あの女性は知らなかったんだ!」別の誰かが叫んだ。「 救急車を呼べ!」しかし彼女は手を上げて彼らを制した。そしておもむろに箸を持つと、自らの 顔面にこびりついた中身を次々と口に運んでいった。

食べ終わる頃、彼女の顔面は赤く焼けたただれ、入店時の美しい面影は残っていなかった。彼女は箸を置くと、これまた涼やかな声で「ごちそうさま」と言った。しばしの静寂の後、ぽつぽつと店内から拍手が起こり始めた。ぐらび亭の店主も厨房から姿を現すと拍手をしながらこう言った。

「いやあ、お見事です、感動しました」だが次の瞬間、彼女は先ほどとは打って変わった表情でこう叫んだ。「何がお見事ですか!何が感動ですか!」 誰もが呆気にとられていた。

「ここまでしなければ食べられないのですよ」 そう言って彼女は自分の顔を指さした。かつての美しい肌は焼けただれ醜い水泡ができている。誰もが顔を背けた。「愚かなことに私の彼も反重力どんぶりに挑戦し、視力を失いました。医学生だった彼は医者になる夢を絶たれました。そして一週間後、自ら命を絶ったのです」

「それはすまなかった、しかし」「今さら責めるつもりはありません。ただ、ひとつお願いがあります」「なんですか」「宇宙盛り用の反重力どんぶりを貸していただけますか」「あれはイベント用で」「貸していただけますよね「しかし」「無理でしたら、裁判沙汰になりますね」「なっ、脅す気か」「いえいえ、これは一種の司法取引ですよ、さあどうします」「分かった、厨房に来てくれ」

人がすっぽり入れるほどのどんぶりがそこにあった。「では今からここに私が入りますので、ふたを閉めてください」「危険だ。そんなことしたらあんたの体が反重力化されて」「どこまでも舞い上がっていくでしょうね」「空気は限りなく薄くなり、気温はマイナス数十度に達する、そしてその先は 大気 圏。人間が耐えられるはずもない。死ぬ気かあんた」「彼は今、天上の星々となって私を見守っている のです。ですから私も彼のもとに」「 ダメだ。人殺しになっちまう」「彼は反重力どんぶりに殺されたんですよ」「くっ、分かった分かったよ」

根負けした店主はふたを閉めた。中ではすでに反重力化が始まっている。「そろそろか」意を決して店主がふたを開ける。その刹那、ものすごい勢いで彼女が飛び出し、店の天井を突き破ると、大空へと舞い上がっていった。

彼女は白い闇の中にいた。店主の言ったとおり、 空気は限りなく薄く気温は極寒だった。 彼女の魂はもう消え入る寸前だった。肉体もすでに限界に達していた。ふと静寂が訪れる。彼女は宇宙空間に浮かんでいた。青き惑星地球が眼下に見える。私はついに星になったのかしら。「いいや」隣に彼がいた。「よくここまで来たね、怖かったろ」彼の言葉がやさしく染みわたる。「ぜんぜん、あなたが待っててくれるって信じてたから」 彼はこくりとうなずいて彼女の手を取る。「さあ行こう」「どこへ?」「反重力どんぶりの無い世界へ」 彼女はしっかり彼の手を握ると、彼とともに宇宙空間を亜光速で駆け抜けていった。


初出:はてな匿名ダイアリーhttp://anond.hatelabo.jp/20150210172125

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150211_169_7909p


7883 : 第2回・京都詩人会・ワークショップ 共同作品  田中宏輔 '15/02/02 10:09:40 *5

第2回・京都詩人会・ワークショップ 共同作品


参加者:内野里美・大谷良太・田中宏輔・森 悠紀


時間:2015年1月11日14時〜20時
場所:四条烏丸上がる東側にある喫茶『ベローチェ』の2階


詩作方法の概要とその結果

?? 1人につき 名詞5個 動詞5個 提出
?? 計 名詞20個 動詞20個から、それぞれ、5個以上を用いて詩をつくる。これ以外の言葉を用いてもよい。同じ言葉を何度用いてもよい。動詞は時制を変えてもよいし、語尾を変えてもよいし、複合動詞にしてもよい。
?? まず、各自、うえの規則のもとで詩をつくる。つぎに、?△里覆?から自分が選んで使用した名詞と動詞を順番に抜き書きして、その順番を書いた紙を他のメンバーに渡す。全員、他のメンバーの作品を読まないで、その渡された紙に書かれた順番にしたがって、他のメンバーが使用した名詞と動詞を用いて作品をつくる。
?? 参加者が4人であったので、さいしょの自作1作+他のメンバーの使用した言葉の順番でつくった詩作品3作の計4作が、1人の詩人によって作成された詩となった。よって、今回のワークショップで制作された詩作品は、ぜんぶで16作品となった。


?機ヽ匿佑?提出した 名詞5個 動詞5個

内野里美 名詞5個:蜜柑 酒粕 日めくりカレンダー(暦) 手技 坐禅
     動詞5個:効かす こぼれる 淹れる 慈しむ つまびく
大谷良太 名詞5個:煙草 川 魚 金銭 トレイ
     動詞5個:置く 投げる 捨てる 配置する 擦(こす)る
田中宏輔 名詞5個:証明 疑問 労働 居酒屋 人間
     動詞5個:動かない 戻る ずれる 考える つむる
森 悠紀  名詞5個:トーチカ 群れ 奥 水道 筋
     動詞5個:し損なう うろつく 組みつく 眇める 押し戻す


?供ヽ匿佑?使用した 名詞と動詞の順番
 

内野里美:奥 つまびく 群れ こぼれる トレイ うろつく 金銭 擦る 人間 動かない 疑問 ずれる 川 証明 置く
大谷良太:人間 手技 慈(いつく)しむ 擦(こす)る 筋 つまびく 金銭 動かない 奥 組みつく
田中宏輔:居酒屋 奥 配置する トーチカ 群れ 坐禅 し損なう 魚 こぼれる 疑問 押し戻す 動かない 金銭 人間 考える
森 悠紀 :人間 証明 し損なう 煙草 投げる 捨てる 蜜柑 手技 筋 眇める 労働 動かない 人間 うろつく 暦 配置 押し戻す ずれる こぼれる 慈しむ 居酒屋 トレイ 置く 人間


作品


内野里美 オリジナル作品

奥から
つまびかれた群れたちがこぼれ
トレイにうろつくと
金銭を擦る人間の
ばらす当て所なさに
動かない疑問がずれて
川の証明を
置く


内野里美順 大谷良太作品

奥をつまびいて群れがこぼれ、
トレイのまわりをうろつく
金銭を擦る人間
動かないまま疑問がずれ、
川は証明を置く


内野里美順 田中宏輔作品

直線状の猿たちが脳奥でつまびかれる。
群れからこぼれ落ちた点状の猿たちをトレイに拾い集める。
うろつきまわる点状の猿たち。
金銭を擦りつづける人間の猿たち。
動きまくる円のなかで、人間は動かない半径となる。
点状の猿たちから疑問が呈される。
ずれゆく川の存在は、その証明の在り処をどこに置くのか、と。


内野里美順 森 悠紀作品

奥から
つまびかれるリュートが
人の群れの上にこぼれている
トレイを持ったままうろつき
繰り返される金銭のやり取りに
擦れた指先をした
ウェイトレスのパッセージが
夢見るように重なるのを
ざわめく人間たちの隙間にちらと見る
動かない月がある
中空に引っかかったような疑問が
ずれてゆく川の流れの
永いスパンで氷解するように
ひとしきり掻き回したグラスが
剃刀の証明として
ひとつの机の上に置かれる


大谷良太 オリジナル作品

人間の手技で
慈しみ擦る
筋をつまびく…
金銭で動かないなら
奥に組みつく


大谷良太順 内野里美作品

人間の手を抜いた手技を慈しむべく
擦る鉄筋コンクリートにつまびかれる金銭の倍音に
奉る絵馬から落ちた子どもの
喉奥に組みつく


大谷良太順 田中宏輔作品

人間は手技を慈しむ。
刻む、彫る、擦る、組む。
筋彫りの刺青。
中国人青年の腰を抱く。
ラブホでつまびかれるBGMの琴の音。
正月だ。
金銭のことはどうでもよい。
背中から抱きしめたまま動かない。
奥にあたる。
組みついた二つの背中。
人間は手技を慈しむ。


大谷良太順 森 悠紀作品


よく人間の手技を慈しむ
ラクダは今宵一本のマッチを擦り
しみじみと月を見ている
ふむ、と読み筋に目を凝らし
たわむれにつまびく口琴は
金銭の埒外にあり
静けさそのものの如くラクダは動かない
やおら冷蔵庫を開け
煙と共にしゃがみ込み
それから急に思いついたように
奥の仕事に向かうため ありものの
食材に果敢に組みつくのである


田中宏輔 オリジナル作品

居酒屋の奥に配置されたトーチカの群れ。
坐禅をし損なった魚たちがこぼれる疑問を押し戻す。
動かない金銭は人間を考える。


田中宏輔順 内野里美作品

立ち寄った居酒屋の奥に配置する小粒の
トーチカの群れなす坐禅にし損ないの魚たちの
こぼれる鱗が肴
疑問がたまらず押し戻す動かなかった金銭に
人間から離れて考えるのは


田中宏輔順 大谷良太作品

居酒屋は奥に配置したトーチカ
群れて坐禅し損なう、魚はこぼれた
疑問を押し戻し、動かない金銭、
人間は考える


田中宏輔順 森 悠紀作品

居酒屋の奥で
つらいぬいぐるみのようになったぼくが
いつの間にか配置されたトーチカの群れから
降り注ぐ鉛弾に撃たれている
それで坐禅をし損ねるぼくの
魂はしかしすでに身体を離れているようで
ぬいぐるみのように丸まるぼくも見えるし
厨房で俎上の魚から笑みがこぼれるのも見える
ここでぼくとは誰か
という疑問がぼくを身体に押し戻す
トレイの上でいつまでも動かない金銭のように横たわる
つらいぬいぐるみのようになったぼくが
人間の笑み方について考えている
丸まってゆきながら考えている


森 悠紀 オリジナル作品

毎日、コンビニの棚を見つめて
人間を証明し損なう
君は煙草を投げ捨て
ふたたび蜜柑のつぶつぶのような
日々の長さをしがんでいる
鶏を捌く手技は
しぼられた首筋を
ひとつひとつ見眇めてゆく労働で
前線に沈む
地図のように動かない人間と
うろつく暦の配置を
押し戻すように測定する
どこかで視線がずれて
手袋からあぶくがこぼれている
それを慈しむように
居酒屋のトレイに置いて
人間は
雨の外に出て行く


森 悠紀順 内野里美作品

こわい人間の証明をし損なう時
煙草の煙と投げ捨てる蜜柑の
その手技から筋トレまで
目を眇めた労働者の手の内で動かない

こわい人間のうろつく辺りで
暦売りが配置されては押し戻されて
旧暦がずれていく
わずかにこぼれた慈しみに
居酒屋の主人はトレイに置いた
  縮んだこわい人間を


森 悠紀順 大谷良太作品

人間は証明し損ない、
煙草を投げ捨てるしかない。
蜜柑と手技、筋を眇め
労働は動かないで
人間をうろつく。暦を配置し、
押し戻し、ずれる。
こぼれ慈しみ、居酒屋にて
やはりトレイを置くは人間…


森 悠紀順 田中宏輔作品

人間だけが証明し損なうことができる。
外で男が煙草を投げ捨てた風景に遭遇する。
目の前で恋人が蜜柑を上手く剝く手技を披露する。
蜜柑の筋までもがきれいに剥がされていく。
画面では目を眇めた労働者たちが建物に立てこもって動かない。
これもまた人間の風景だ。
うろつきまわる暦の上で、日付は配置された場所を押し戻そうとする。
どこにか。
わからない。
しかし、そうして、どうにかずれようとする。
思わずこぼれた日付を慈しむ。
ふと思い出された
居酒屋のトレイに置かれた人間たちの風景。


作品制作後のディスカッション

「川+証明+置く」、「金銭+擦る」、「居酒屋+配置する+トーチカ」、「坐禅+し損なう+魚」、「うろつく+暦」などの言葉の組合せが重なった。いわゆる、類想、よくある言葉の組合せである。(発言:田中宏輔)

特定の単語が近くに並べられてあるとそうなるものと考えられる。(発言:森 悠紀)

ほかから持ち込まれた言葉がモチーフの中心になると、さいしょに提供された言葉が生き生きとし、詩自体が生き生きとしたものになるように感じられた。(発言:田中宏輔)

生き生きとしたイメージ、発想の斬新さが、人を感動させる。(ことが多い。)イメージ、発想の異質なものは、他から持ち込まれる言葉によって齎(もたら)される。(と言うより、「他から持ち込まれる」=「異質」。)(発言:大谷良太)

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150202_891_7883p


7914 : (無題)   '15/02/13 19:42:14

いつも暗い部屋に独りぼっち
どうして誰も助けてくれないの?
いつまでここにいればいいの?
怖いよ寂しいよ

外に誰かいる気がした
急いでドアに向かおうとしても
体が動かない
泣いて泣いて疲れた
もぉいっそ死ねればいいのに
心の中でそお思った
でもまだ逃げたくなかった
逃げずに戦えばドアの外の誰かに声が届く気がした
もしかしたら誰もいなくて猫か犬が居ただけかもしれない
もしかしたら人ではない異様なものが食いにきたのかもしれない
それでもいいと思えた
たった独りで死ぬよりいい

だから

もう少し少しでいいから体よ動いて

全然動かない体
悔しい悔しいよ

こえ、声ならだせる

声を出しためいいっぱい声枯れるまで叫び続けた喉が裂けるほどの痛みも全部全部誰かに届け

どれくらいの時間叫んだのだろうかもおかすれた言葉すらでなくなった
出来る全てのことをした
あとは待つどれくらい待ったとしてもいい

キィとドアのあく音が聞こえた
やっと出られるんだ涙が零れた。

…………命つきても希望を忘れなくてよかった。

ありがとう。ただいま。

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150213_205_7914p


7908 : 月と炎  草野大悟 '15/02/11 21:45:07

ゆきをふみしめ
しずけさが
のぼってくる

あおくひかる
あしあとをのこして
あのときが
あるいてくる

天につづくみちのかなたに
ひとり
果てのみずうみに
ひとり
まんまるな月が
うかんでいる

ながいながいときを
みつめあってきた

しーん、というおとのする
こんなよるだった

ひとり と ひとりが
とけあい
炎となって
銀河のかなたへとかけのぼっていったのは

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150211_167_7908p


7911 : 何故かと問えば  AGAPE '15/02/12 01:57:25

僕は生きている
当たり前でとても明快な事であるはずなのに
不安をどこか覚える
妄想が根拠も無く生まれる
死ぬことばかりを考える
それを何故かと問えば
それは僕が人間だからと答えるだろう

いまここに僕という人間がいる
僕は誰が人間と決めたから人間で
何があるから
何を持つから
何はできるから
人間なのかは自分にも分からない
それを何故かと問えば
それは僕が無知であるからだと応えるだろう

人間は無知だ
僕はその人間である
でもどうしてか分かっている事も多い
親友になんでと聞かれても
世界一好きな彼女に頼まれたとしても
これから生まれるであろう愛しき我が子でも
その理由は言えない
それを何故かと言えば
人間は考える生き物だからだと堪えるだろう

我々は考え続けなければならない
何が故なのか
答え
時に応え
いつも堪え
また何故を問うのだ

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150212_178_7911p


7894 : 臨海線  島中 充 '15/02/06 23:15:04 *2  [Mail]

私は仕事の都合で毎夜、深夜に、実家から眠っている小学三年生の娘を連
れ、堺から岸和田の自宅に臨海線を通って車で帰る。羽衣に差し掛かると右手
にステンレスパイプが林立し、高い煙突から炎あげ、水銀灯に照らされプラチ
ナに輝く夜景、コンビナートが眼前に浮かび上がってくる。堺泉北臨海工業地帯
は空に浮かぶ要塞のように見えた。隣接して浜寺公園があり、コンビナートと公
園の間を臨海線は走っている。臨海線には信号が少なく、昼間はコンビナートへ
行く大型車両で混み合うが、真夜中になると急激に通行量が減り、暴走族が現れ
た。
その日も私の車両の前を二人乗りのオートバイはエンジンを吹かせながら蛇行
しゆっくり進んでいた。私はブレーキを踏み、追い越さないように注意しながら
進んだ。嫌な奴に出会ったものだ。不意にオートバイは向きをかえた。こちらの
方へ逆走してきた。私の車のすぐ前まで迫って、止まった。私も仕方なく車を
急停車した。私のおびえた顔を見たかったのか、後ろに乗っている茶髪が握って
いる棒を、背伸びをしながら高く振り上げて見せた。私はサイドポケットを開き、
奴らから見えないように、いざと言う時のために隠してある手かぎを左手にきつ
く握った。奴らは何もなかったようにまた向きをかえ蛇行しながら、ブゥー、ブ
ゥー、と吹かして、その先にあるS字カーブの方へ進んでいった。振り返ると後
部座席で眠っているはずの娘はおびえ、大きく目を見開いていた。一部始終を見
ていたに違いない。

二十五年前、一九七八年、私は真夜中、水銀灯に照らされる浜寺公園にいた。工
場長に頼まれて、同僚の龍男に危険なことをしないようにと言いに来ていた。公
園に着くと彼は黒い革ジャンの女を連れ、背中をこちらに向けていた。私は近寄
り女の背中を後ろから軽く叩いた。びっくりして、赤いルージュの口から「ああ
ーううー」と彼女は声を発した。私の勤める縫製工場はたくさんの聾唖者を雇っ
ていた。「彼女たちは何も聞こえないから一生懸命働く、気にする物はないから、
よく働くよ。」と工場長は笑いながら言った。私はその冗談に不快なものを感じて
いた。龍男のほうに振り向くと、言われる事がすでに分かっていたのか、何も言
わない前から「もうたくさんだ。」と手を振りながら説教を拒んで答えた。彼の口
癖だ。そしてカワサキ五〇〇の黒いボディーをペタペタ叩きながら、「こいつでな
ら死んでも本望さ。あのS字カーブはセコンドで八十まで引っ張るのさ、それが
限界よ」臨海のカーブをレーサーのようにドリフト走行する、「緊張は美だ、これ
しかない。」と言いながら女の細い腰を引き寄せた。所詮遊びの危険な行為、愚か
だとわかっていても、私はカマイタチような嫉妬を彼に感じていた。
 一九七八年当時、現在のように暴走行為をさせないための路面に凸凹は作られ
ていなかった。浜寺水路を渡る片側四車線のできたばかりの広い平らな路面は、
S字カーブが逆バンクになっていて、外側車線から内側車線が下り坂になってい
て、アウトからインにつんのめってカーブが始まり、インからアウトに公園の松
林に突っ込むように終わっていた。
 その日の競争相手はカペラロータリーだった。街道レーサーの走り屋だ。ロー
タリーエンジンの回転をあげればまたたくまに時速二百を超える車だ。側道から
追いかける白バイのように龍男はスタートしカペラを追った。恋人も二五〇cc
でその後を追った。龍男はイエローのカペラの車体のおしりに付き、S字カーブ
の外側車線入って行った。サードからセカンドにシフトダウンし、アクセルを踏
み込んで加速し、体を左に傾けた。恐れるな、怖がったらやばいぞ。マシーンを
傾け、左足だけを開いてバランスを取った。膝頭が地面すれすれに、マシーンの
ステップはアスファルトにこすれ暗闇に火花が飛んでいた。みごとなコーナリン
グだった。キュキューッとタイヤをきしませながらカペラはコーナーを回り、最
後の立ち上がりいっきに加速しオートバイを引き離しにかかった。「あのカーブは
よう、セコンドで八十まで引っ張るのさ、それが限界よ。」分かっているはずなの
に追いつこうとして龍男はサードにほりこもうとクラッチを踏んだ。その瞬間オ
ートバイはスピンして横転し、ねずみ花火のように火花を散らしながらくるくる
回った。龍男を巻き込みながら松林のガードレールに激突した。頭から突っ込み、
首は捻じれていた。遅れて後について走っていた彼女はオートバイを投げ出した
まま彼に駆け寄った。彼に覆いかぶさるようにしがみつき、言葉にならない声で
恋人の名前を、声の限り呼んだ。
「ああーううー、ああーううー」

私の車はS字カーブにさしかかった。オートマのドライブからセコンドに私はシ
フトダウンし、外側車線から内側車線へブツブツという凸凹の揺れを感じながら、
アクセルを踏み込み加速させていった。娘を乗せたまま、オートバイの後を追っ
ていた。私の中に小さなしこりができていて、ひき殺してやりたいという殺意が
フツフツと湧き上がってくるのを感じていた。

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20150206_969_7894p


- ealis -