◇ No.403 , '14/08/23 00:11:52 作成

7557 : ネオテニー  破片 '14/07/23 02:24:53


赤茶けた大地を踏み鳴らし
褐色の肌をした子どもたちが踊る
大麻の煙、乾いた土のにおい、
光沢、透明、そういったものから
はるか遠く離れた処で煮えたぎる夕景

幼生の雨が上がる
ヤゴが羽化しトンボになる
ネオテニー、
生きてるぼくらは
雨粒を数えるにつれてちょっとずつ
外殻を厚くしていく
雨に性別が無いことを、
ぼくらは、子どもの時にしか
学ぶことができない

(その場所を)
きみがいる場所は
世界、などと呼ばれていて
ぼくがもし、いなくなっても、
否定してくれる人は
誰もいない
拒むことも打ち消すことも
きみにはできない

舞踊を通じて
子どもたちは濃くなっていく
厚く、太く、膨らんでいく
いつの日かあの子たちは
自らの中心に熱が
届かなくなることを
祈る
そのための踊りさ、
伴奏も拍子もいらない、
酩酊したあと縮こまる大脳に
刻み込まれた
砂嵐のような幻想が
昼と夜とを結びつける

アルバムの中からきみが
立ち上がる
少し色褪せ始めた世界を
パタン、と閉じて
ぼくはいつまでも柔らかい頬に
生えた髭を撫でる
さようなら、今
次の大地へ
雨の中でも手渡される熱を
今度こそ拒むことの
ないように祈る

一つの赤い山、
その麓では
酩酊した子どもたちが
酔い覚ましにセックスしていて
それが終わると
大麻を焚いてできた湯気みたいな
幻想を摂取する
きみは、
日暮れまでに乾き切ったその体を
愛しているんだ

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7560 : 二題  はらし '14/07/24 19:46:13  [Mail]

1.手が落ちて足が落ちても

手がおちて 足がおちても
目が、覚めやしない
(サイレンだ 一番嫌な 超音波性の)

目が潰れたのか 耳がいかれたのか
それともただ目が覚めないだけか

 宮沢賢治にとっての人々は
 一人一人が、彼自身の内部現象
 抽象概念の 投影体の
 境界性の、幻想物で
 そのことへの深い自覚が
 その悲しさを 哀れみにして
 その喜びを 愛しみにして

単純明快な箴言が
本当に深く 理解されていくような営みを
(疲れた瞳の奥に
この満足の空白の中に)

 汝自身の様に 隣人を愛せよ

(合金質の両足に
ひたいを伝う黒褐色の汗水)
どうすれば 信じることができるだろうか

 新たな詩人よ
 嵐から雲から光から
 新たな透明なエネルギーを得て
 人と地球にとるべき形を暗示せよ

どんな幻想が
人々の頭の上から
青色の破片で降りかかろうと
僕らには 泥に汚れたビニール傘の
豊かな共有が期待されている

2.人の声は雨の日のような

人の声は雨の日のような
豊かさを持ち 耳に響く

 雨の朝は軽げな青色
 雨の夜は叫びのような内包

現在のあらわれはすべて
それは過去と未来の欠損の程度

過去がコントラストの強い幻想ならば
現在はそれだけコントラスト弱く

未来の幻想が不安であれば
現在はそれだけ安心である

 幻想を免れえない
 私は幻想に安心していられる

人の声は雨の日のような
豊かさを持ち 耳に聞こえる

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7552 : (無題)  eliha '14/07/21 03:20:57  [Mail]

金属製の惑星が気高いプライドと共に浮かんでいる
直ぐに砕けてしまうと分かっていても
水で出来た星が蒸発する魂と共に浮かんでいる
それは太陽と一つになるけれど

漕ぎ出したボートのオールはいつの間にか無くなってしまった
僕の体もいつの間にか亡くなってしまった
横たわる景色はいつまでも変わろうとしない
それでいいと認められた時に景色は変わる

許して
許して欲しい
誰もが間違っていて、そして間違っていなかった

100年後にまたやり直そう
約束を取り付けた右手の小指だけは守っているから

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7561 : 祝祭  はかいし '14/07/25 21:39:26 *1

・祝祭

白い犬がいる。犬は座ったままじっとぼくを見ている。静かな観察だ。
()

ぼくはそれを打ち間違える。そっと立ち上がって、と書かれる。静かな観察は静かな祝祭に変わる。
(白い犬がいる。そっと立ち上がって、静かな祝祭だ。)

犬は歩いていく。どこまでも遠くへ続いている川沿いの道を。静かな祝祭がその道の彼方で行われる。ぼくはそっと立ち上がって、それを絵にしてみる。
(祝祭ではない。祝祭というよりは、坂本龍一だろう。彼の名前を口にしたのは、ぼくが初めてデイケアに行ったときのことだ。好きな音楽は坂本龍一です、とぼくは言った。皆も同じように自分の名前と好きな音楽を紹介したが、その中に坂本龍一の名前はなかった。)

そっと立ち上がって、描いた絵をぐちゃぐちゃに破り捨てる。犬は白い。道も白い。何も描かれてはいない。祝祭という言葉がもつ輝きのイメージが投影されているのだ。
(デイケアで知り合った宮武さんという人が、「太陽」と「ビフラット」と「ダイナマイト」という言葉をよく口にする。この「祝祭」という言葉を、それらに置き換えてもらっても構わない。「ビフラット」については、意味を聞いたが本人は「整備士」というだけでその説明もよくわからない。ぼくの中では、「ビフラット」は「ビブラート」に変換され記憶されている。)

ぼくはそう言って立ち上がる。川沿いの道を後にする。
(宮武さんと接するうちに、ぼくも宮武さんと同じように喋れるようになってきた。ダイナマイト、タンヤオドラゴンボール、アランドロン、ビフラット、太陽。宮武語の難解さは尋常ではない。それでも話しているうちに、だんだんどういう場面で何を使えばいいかがわかってきたのだ。例えば白い犬と言いたいときには、ダイナマイト、ダイナマイト、太陽、ビフラットと言えばいい。)



・目覚め・死・太陽

月明かりが日蝕からはじまる頃に
我々は目覚めた、あるものの死の
鐘の音によって
赤色の時が過ぎ行くとき
我々は目を背ける、そのまぶしい日の丸から

目覚めは新しい覚醒だ
光の届かないぐらいの距離を
お前はそっと行く、立ち上がって
そして万物は死に値するだけの
ものをもっているのかと自問する、

ストラヴィンスキーをお前は聞く
それがお前の唯一の慰めだ
お前の魂は魂なきものを愛撫する、
物質と記憶の平行線の彼方へ

車が遠ざかっていく、
子供の声が聞こえる、囁くような小さな声が
窓ガラスを粉々に割り砕くとき
我々はきっと死者として立ち上がる



・愛、ファンタジア

愛、ファンタジアという短編を書いている。アシア・ジェバールの小説とは違う、そんな愛とファンタジーの世界。そんなものが存在するのかどうか、存在したとして果たして意味があるのかどうか、そんなことはどうだっていい。今はとにかくこの短編を終えることに専念しよう。よろしい、はじめに地球があり、海が、川が、陸地が、山があった。ここから先は危険だ、引き返そう。山を、陸地を、川を、海を、遡った。地球、そこにたどり着いた。彼の目には地球が映っていた。我々は宇宙にいた。宇宙は徐々に冷却に向かう。我々の目は凍り付いた。我々の目は宇宙において一つの点となった。そこから、海が、川が、陸地が、山が生成した。目の中に、生成したそれらが流れ込んだ、山が、陸地が、川が、海が、消え去った。爬虫類が現れては消え、一匹の猿の姿が網膜に残った。よろしいかな、問題はそこからだ。存在は連鎖する。存在するものは連鎖する。目はすべてを吸収した。冷却に向かった宇宙を、地球を。目は一つの地球となって、世界を見渡した。ここで言われているのは新たな宇宙の軸だ。さあ、ここからはじまるのだ。ぼくたちの永遠の歴史が。そう言われると君はぽかーんとする。よろしい、世界はぽかーんとした状態からはじまったのだ。およそ宇宙の生成という観念じたい矛盾を含むものであったのだ、ということが発見された。学者たちはここでまたぽかーんとした。ええい、ぽかーんとしてしまえ、すべてよ、ええいぽかーんええいぽかーんえぽかーえぽけーエポケー、こうしてすべてはエポケー(判断停止)に陥った。学者たちはまた目の捜索をはじめた。また、と言ったのは、これは以前にもあったことだからだ。以前にもあったことが永劫回帰してまた起こるのだ。こうしてすべてはもう一度捜索され、目が、肉眼が発見された、しかしこの肉眼においては何一つ見る能力がなかった。すべては現れであってそれ以上とはならなかったのだ。ここで少し休憩しよう、読み手の理解が追い付かない。いいや、正確には書き手ですら何を喋っているのかわからないのだ。

朝日立ち上る頃に
ぼくらの理解は限界に達する
(ここで「理解」を「理性」に置き換えても構わない)
ぐらぐら、沸点に達したぼくたちの理解は
蒸発する、
朝日の現れとともに!



・そしてまた、祝祭

頼りなさげな肩を
叩くぼくの心の扉は
開きっぱなしで
ひっきりなしに目が覚めて

/一つ、二つ、三つ、星を数えるうちに、いつの間にか宇宙の歴史について考えていた、宇宙はぼくから何一つ意図的なものを取り去る、何一つとして意図的なものをぼくに残さない、

//ケープタウンについたとき、ぼくは一挺の銃をもっていた。今ではそれがどこだったのかもはっきりと思い出せないが、確かにケープタウンは存在した、

(ケープタウン? どこだ、どこだ、そうだググって見よう、のっそり、No Sorry)

///悲しみは宇宙へと消え去った、今やぼくは世界を見渡せることを楽しんでいる、おお、グーグル、Google、星を数えよ、すべての運動体の波動を監視するため、

////のっそり、ぼくは出現する、湿地帯から、カスケード、ガスケー土、ぼくは永遠のガラパゴスケータイ族、

/////ウヒョヒョヒョヒョ、アッハッハッハ、ハッピーバースデー、ハッピー、ニューイヤー、さあすべてのものよ終われよ、追われよ、裂けよ、星屑となれ、輝け、届け、その終わりなき美しさよ、届け、そして消え去れ、祝祭日だ、今日は、鳥は空を飛ぶ、そのことでさえ奇跡、

/そして/そして/それでも
 鳥は空を飛ぶ、
       飛ぶ、
   飛ぶ、
        飛ぶ、
 飛ぶ、
         飛ぶ、
飛ぶ!

下るな、下がるな、魔性の月よ、日蝕を起こすな、魔性の太陽であれ、

/海が、川が、陸地が、山が、さらばを告げる、サラバガニ、タラバガニ、宇宙の収縮、Goodbye!!

//サルモネラ菌の繁殖を抑えられない、猿も寝りゃ、猿も、寝りゃ、いいんだ/そんなことはわかっていたさ、わかっていたさ、わかさ、若さ、美、若さは活力だ、

月よ/太陽を食らえ、食らいつくせ/暗い、尽くせ、暗い尽くせ/闇の中で駆けずり回る俺たち、闇から抜け出るために駆けずり回る俺たち、ビブラートの意味を知らない俺たち、祝祭の意味を知らない俺たち、死者として立ち上がる俺たち、///沢山の俺たちを抑えきれない俺たち、俺、たち、オーレ、チーター、速い、稲妻よりも速く、神の目玉よりも速く回転する、



・最後に、太陽

じゃ。またね。種まき。種が手からこぼれ落ちていく。これはさよならの合図だ。Goodbye。Dogbye。犬。白い犬。Oは飛んで、消えてしまった。

 おはよう。おー、早よう。Oh。早よう。酔う。太陽。ビフラット。種まきを宮武語で言うと、そうなる。種まき。太陽。ビフラット。

  おやすみ。親は隅の方へ行きました。眠りました。夢を見ました。体が動かなくなる夢でした。縛られて身動きが取れなくて、大変でした。そのままどこかへと運ばれていくのです。Oh。どこへ行ったんだ? Oよ。Oもどこかへと運ばれていきます。

   Oはどこへ行くのでしょう。Oに聞いてみます。もしもし、あなたどこへ行くか知ってる? 知らない。太陽とビフラットの境界線に沿った並行的な道のりを行くんです。その先には死が待っています。でも怖くはありません。自殺しようとしてがんじがらめに縛られるよりマシです。あれは本当に怖かった。これは自殺ではないんです。深い安息の道のりなんです。

    Oよ、Oよどこへ、ここだよ。ここ。

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7559 : 過ち  野良人 '14/07/23 16:46:30

信じられなかった
そう言って去った筈なのに
会えば彼に裏切られたと涙声

其れ見た事かと腹が立ったけど
やり直そうと試す心で言っていた
お互い上手く行く気はしなかったが

力なく首を横に振るのは未練だろう
裏切られても眼は簡単には褪めやしない
心は彼一辺倒
其れが妬まれた

単なる部外者は居た堪れなかった
気が向いたら電話をして呉と
何とか体面を繕うのが精一杯だった


角で振り向くと未だ立っていた
元気良く別れようと手を振ったけど
ピクリとも動かなかった

最後位格好を付けたかったが
泣いて居る様にも見えた
今戻れば本物に成れるかも知れない
そう思ったけれど振り切って歩いた

馬鹿な思いはもうさせないと
心に泣いて詫びながら


あの時引き返せば良かった
未だに何所かで電話を待っている

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7562 : (無題)  ズー '14/07/25 22:39:32



おはよう
おはようといえば
あさなのですけど
たとえあさになっても
あなたはまるで
ゆきぐもか
みつろうのままで
ここまでおいでとか
あっちにいけよとか
あれよあれよと
ひぐれるものだから
わたし
きょうだって
たたたらったっらったでした

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7565 : あなたは夏に  破片 '14/07/28 08:31:09


もう、あらゆる文脈を
失ってしまったあなたに
伝えることができるなら

時間なんて無かったんだと思う
ぼくの中にある体言を
一つずつ吐き出して
その全てを失ってから
はじめて時間は動き出す
底のないまどろみに
身を横たえている
崩れ滅びてしまった
ぼくの眠る街を
繰り返し建て直している
あなたは目覚める

あなたが溜息をつく
生温かい感触だけが
どこにもない
ぼくは機械のように
完全に同じ動作で生きているあなたを
作り上げることでしか

あなたはぼくに向かって
口癖のように「若い」と
言い表した
口癖のように
毎日が幸せだと
言っていた

人の表情から
意思を読むみたいに
閉口してしまうほどの
茹だるような暑さから
背筋を凍りつかせる
怪談を聞くことも
あるのかもしれない
その夏の日は、あるいは
人を作り上げることができる
優しい温度を宿していた

あなたは図太くなった
あなたは無神経になった
あなたは大きな鼾をかいて
あなたは身じろぎさえしない
あなたは目を開かずに
あなたは空っぽに近い、
あなたは
空っぽに近い極点の手前で

いまだ何もかもを失うことのできないあなた。
挨拶は時々でいいです。
ぼくがわからなくても構いません。
だからどうか許してほしい。
あなたはぼくと知り合ってから生まれたのだと、
ぼくだけ、そう信じ続けていることを。
ぼくの知らない時間に、
ぼくの知らないあなたはいない。
ぼくが硝子の街を立て直すのを、
たまには失敗していたとしても。

ヒマワリが座りの悪い首をめぐらせる。
午間にしか鳴かないクマゼミが次々に落ちる。
誰かが何度も世界を立て直す。
眠っている間だけ時間は動く。
誰も眠らない日がついに二度と来ないまま、
繰り返し修復され続けて朽ち果ててしまった、
一つの文脈が揺らめいて倒れようとしている。

待ってくれ
止まったままで
うねり続ける陽炎の
向こう側には
さよなら、や
ありがとう、や
そういうのじゃない。
きっと、
まだ会っていたい
と、あなたが
ぜんぶ、失ってしまった
としても、
きっと。
終わらない夏。

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7568 : 欠損(再度)  にねこ '14/07/29 12:42:53

裂き、はしられる
との、文言がゆるやかに伝達されていく、それを私は読むのだろう、1時間後、或いは一週間後、とき、ほぐされていくのは、許されたなにか。
 犬の声がしたと思って、振り返る。そこには何も居ない、水たまりに油が薄く広がり、虹色が縁を離れた。
  流木を刻む音が、太ももを滑り
 虹色が縁を離れた、円形であろうとする弱さを、私達は球体にもなれない背骨に抱えている、ほんとうの姿は、分裂すらも起こりえなかったその時、二人がまだ出会わなかった時、夕陽が落ちたのにも気づかない、雲の細さ、
  仕込みの朝は早く、ことの終わりを
                  告げる光こそ、にくければ
 送られるべき手紙、透けて見えたその向こう、或いは付着した香りの静寂、問いかけられるべきは金木犀のある風景だろう。そこに私はたしかにいた。ふるい瓦葺き、いく世代もの雪を凌いできたその欠けた場所に嵌る答えを探していく、ひらひらと咲け、
 見失いがちに潤っていく、季節の花よ、
心音、永遠と付き合い続けなければならない汚れていく音と、隙間を探すように流れ続ける川の滔々とした行く末を接着する、繰り返す
 塗布、膿んだ患部が、痛む
  、さざなみ
つま先を濡らしていく、誰もしらない時間には、そこにわたしは居なかった、伸びすぎた影が爪の先の白さを割る、ぎざと赤い筋をつけていくために 
 しらず、私達の影が、薄く傷つけたのは手のひらの中で祈りを転がすあなた達ではないはずだ、
棘蛾の繭が固い、そこに穴を開け笛にする ((吃音に紛らわせた、影法師
父もまた、行っていただろう、その裂け
声に出して、私はよむ、声に出して、声に 
戻っては来ない 切手ははらない 。

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7569 : 乾いた少女達  山人 '14/07/29 18:11:17



少女達は駅の回りでたむろしていた
少女達は皆乾いていた 
全てのものが無機質な情景の中で
既に前からそこに居たように乾いていた

見えない虫の魂がボウと浮かび上がり
それはまるでカゲロウのように切ない

時代が怪物のようにゆっくりと動き出していた
全てが病み 
あらゆるものがあらゆる事柄に飽きていた

私も同じように乾いていた
まるで湿り気を帯びていない骨や肉を
軋ませながら動いているにすぎなかった
私が乾いているから少女達も乾いて見えたのだろう
そう思いたかった

少女達はモノクロームのチラシのように
あちらこちらに散乱し引き千切られている
時代の老廃物とともに外に弾き出され
皆乾き切ってしまっていた
回りの情景は少女達と同化し
皆それぞれただ時を止め
やはり乾いていた

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7540 : 創作アレルギー  お化け '14/07/14 16:50:06  [Mail]

https://www.evernote.com/shard/s409/sh/a7b6559c-2524-47db-b4e2-84ba24d56eb0/4119db4323cb4d96b788caac18075e15

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7567 : 実在  陽向 '14/07/28 18:54:02






男と女は、真逆の位置で一緒だ
それ以上を探ろうとすると、空回りする
男と女は真逆の位置で一緒だ









明日に今日の記憶はない
でも今日は実在するし、明日は明日、実在する

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7571 : レモン葬  ひろしげの雲影 '14/07/30 10:01:20

レモンの青い葉の
そよそよささやくななめしたにある木陰が
独りの影に重なりつらなり
古い灰色の木製の椅子に座り
宙を見つめている無限に
くりかえされる喪失は
だれにも知られることはなく
青黒い小石のように
遠く沈黙して空ろだ

風色の映るガラスの風鈴の鳴る真夏
なんの気配もしない小道から小道へ
天秤棒をかついだ金魚売りが
つやのある波うつ声をはりあげながらしだいに消える。
電柱の視線のすみにあるコンクリートの空き地で
異次元への入口のような
陽炎はゆらぎ
小首をかしげる

おわかれですね

独り言をつぶやいた袋小路
ブロック塀で閉ざされた
正午を回ったほの暗い空間の地面に
引力で結ばれた無数の気泡を宿らせて
青緑色に透けている
ビー玉が忘れ去られ
ほんのすこし光っている。
塀のむこうがわにレモンの青い葉が見える

いずれ雲は
自然へ帰る
亡骸の
火葬された煙をふくみふくらみつづけ
肌をたたくおおつぶの雨となり
雨水は雲影におおわれた庭の土にしみこむ
その時独りの影も
庭で椅子に座ったままさびしげに目をふせてぬれた

宿無しの風はふりむかずに灰色の椅子と
それに座っている肌をなぜていき
風鈴の音がひびくなか雨が上がる
空にのこった雲はゆったりとつぎつぎに流れてゆき
洗われて 清んだ空は笑みを零す
零された光は雲間にみちあふれて
失われつづけた いのりは重くよみがえる

秋も深まるころ
独りの影といっしょに
時を見つめる静かなものは
やわらかな日があたる縁側に座り
庭の まだ青い葉をながめてから果物ナイフで
青いレモンの果実を厚めの輪切りにしていくと
そよぎ光るレモンの香りがあたりに広がるのを見届けた

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7556 : 彩雲  草野大悟 '14/07/22 22:18:44

まるで
三十分で
いっきに大人になったみたいだったよ

疑問符の顔で檸檬が言った

突然
目の焦点を断ち切られたように
視界が曖昧になった

いびつな夜明け

青空の穴から
希望がこぼれてくる

エイヤパ・オパピ  働くなかれ  思うなかれ
思考するなかれ  議論するなかれ
洗濯船の俺たちよ
働くなかれ

野蛮人の意味を調べて
海は空を見上げた
彩雲がしあわせを嘘のように約束していた

俺たちの弦月は
まだ
生きている

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7578 : 雪駄解禁  ヌンチャク '14/08/01 00:18:05

なまあったかい春の夕暮れ
ジャージに雪駄をつっかけて

みいとさっくん引き連れて
お散歩がてらコンビニでお買いもの

パパはビール(パパおさけのみすぎ!)(ノミスギ!)
みいはメロンソーダさっくんはジャガビー

チキンを5つ買って(パパ2つやで)(ずるっ!)
ママの待つおうちまで競争(ヨーイドン!)

雪駄ペタペタ(パパはやくー!)(パパハヤクー!)
みいとさっくんはやいはやい

知らないおばあちゃんにコンニチハして
散歩中のワンワンにバイバイして

葉桜みたいに眩しい後ろ姿の
伸びてく影を踏んでみる(次さっくん鬼ー)

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7580 : アディオスの意味  てんがねこ '14/08/01 12:49:28

例えば、夜だ。
触れること、雲のさき、
並んで笑った昨日のこと?

迷子の猫さ、今の私は。
はらはら崩れるアルバム背負って
泣き腫らした「愛」で書き連ね。

「もういっそ臥せってしまおうか」
簡単に言えるさ、心の外なら。

答え、見えて、
それでもきっと。
強く、強く、抱えた世界。
放した先には何もないんだ。
下を向いているの?

どうせの言葉、
掻き消したいのに
引っ掛かるのは自分の手でさ。
壊せやしないな。

唇に乗せて。

残した「のろい」を
振り払うまでに
両手も足りないな、
きっと埋もれて。
それじゃあ、またね。
会えなくなるな。
それこそが本当のことなんだ。

アディオス

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7579 : 便所  本田憲嵩 '14/08/01 02:56:50

便所がある
靄のような温とさで
黄色い匂いを発する無数の小便器
唾棄された灰色のコンクリートの床 潰れたタバコの無数の吸い殻
罵詈雑言と 猥せつな落書きだらけのうす汚れた壁がある
ひとつの個室の扉(ドア)越しから
何の恥じらいもなく 力づよく息む声
やがて そのままに放(ひ)り出された黄色い糞尿が
その白い便器に へばり付いたまま
永遠に残され続けるだろう
べつの個室の扉(ドア)越しからは
苦悩の悶ぜつの末に 嘔吐された発酵乳(ヨーグルト)状の吐瀉物
何時までも その強烈な臭いを放ち続ける
不意に響きわたる
扉(ドア)の向こう側の 火焔(ほむら)のように愛し合う人たちの
劣情の喘ぎ声
それをネタに猿のように只すらに自慰に耽る人
そのあふれる屑籠には
黄ばんだ精液をつつむ便所紙(トイレットペーパー) そして鼻紙
すでに用済みとなった 頁と頁とがひっ付いた猥褻(エロ)本
投げやりに 冷たい床にうち捨てられた
幾つものコンドームの護謨の花
(もし そこが男用でなければ おそらくは
捨てられた臭いナプキンと 飛散した経血のあかい花)
そんな所で このんで一服する人や ひとりで便所飯をする寂しい人
それら皆すべて 紛れもない心の声 心の真実
――無数の落書きのなか 光の祝福を浴びる 祈りのような言葉たち

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7534 : 『穏やかさ』  心にも無い言葉は言えない '14/07/11 00:26:57 *3

「○○○久しぶり」

玄関ドアにもたれかかる私より小さな体

背中の肩甲骨まで髪伸ばしたんだね

「久しぶり、○○○」

お互い笑みを深くした


軽くまぶたを開けて閉じた
カーテンから漏れる牛乳の皮膜のような光
まぶたに届く光は淡すぎて届かない、で。
オネガイ、カミサマ。

(まだ、もうすこし
こうしていたい
それはひさかたぶりだから)

目覚まし時計はまだなっていない


(だれもわたしをよんではいない
いまはだれもわたしのそばにいない
となりでねむるこきゅうがきこえても)







繭の中に居たのに、ね。
境目で膨大な言葉がまとまっていく
もう、とめられないというの?




(このいっしゅんのために
わたしはきみをりようした
きみはそんなことしりもしない)


幸せを生み出す為に私は久しぶりに泣いた
涙が乾くころ
そこは繭の中だった
夢にまで見た繭の中だった


電話が鳴る前に私はスマフォの電源を落とした


(きみのぱじゃまがすこしだけ
おおきくみえたのは
やせてしまったからだらう)


軽くまぶたを開けて閉じた
カーテンから漏れる光で羽が暖まり飛べるまで。
オネガイ、カミサマ。


(まだ、もうすこし
こうしていたい
ゆめのあとちで)

何が待っていても
私だけは覚えておこうと思うの
何時かのために
それは私が課した約束の一つ。

寝息がすやすやきこえる。
君は何も知らなくていい。
だから今だけはゆっくりおやすみ。

開かれたドアの先で
夜の闇を吹き飛ばすほどの笑顔だけ残して
振り返らずに出て行った

「いってらっしゃい」

言えなかった言葉を今も噛み締めている。

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7554 : 夏至の水  右肩 '14/07/21 18:58:43 *2

 夏至の日、仕事帰りに辿り着いた
 夜の下腹
 陰毛の密生するあたりへ
 ずるずる
 落ち込む重い河
 その河を河原から見る
 今日、鱗を生やした初老の女性を馘首した
 水に
 滞留する、我ら生ける者の恐怖が
 すぐそこで暗く反射する
 無音のにおいと
 燃え尽きた記憶の小枝から
 言葉の亀裂をなぞり
 石灰色の樹形図がひた走る
 ひたひた走る

 健祐君と
 28人のクラスメート
 古い友だちが一人残らず
 俯せに浮いている
 29枚の
 錆びたネームプレートを夜風が洗う
 
 人の背に紫色の目玉
 瞼の裏に爛れる甘い潰瘍
 皺くちゃな皮膚を指で広げると
 皺の谷間で虫が卵を産んでいる
 夥しく排出される卵
 燦然と密集する卵
 半透明の粘液にくるまれ
 生まれない幼虫に生えない牙がある

 舟が数艘
 河口の緩い悦楽をさまよっている
 股を開いて棚板に坐し
 眠い白目で呼びかける
 (何はともあれおめでとう
  よろしければ寿ぎなさい
  歌いなさい
  寿ぎなさい歌いなさい)

 もしここに歌が流れてくるのなら
 舟歌の、その旋律で
 櫂も回るというものを



* * *  変更以前 * * *

 夏至の日、仕事帰りに辿り着いた
 夜の下腹
 陰毛の密生するあたりへ
 ずるずると落ち込む重い河
 その河を河原から見る
 今日、鱗を生やした初老の女性を馘首した
 水に
 滞留する、我ら生ける者の恐怖が
 すぐそこで暗く反射し
 無音のにおいと
 燃え尽きた記憶の小枝から
 言葉の亀裂をなぞり
 石灰色の樹形図がひた走る

 健祐君と三千子さん
 耕太くんも由岐さんも
 それから、それから
 古い友だちが俯せに浮いている
 挙げた名前を夜風が洗う
 
 人の背に紫色の目玉
 瞼の裏に爛れる甘い潰瘍
 皺くちゃな時間を広げると
 皺の谷間で虫が卵を産んでいる
 夥しく排出される卵
 燦然と密集する卵
 半透明の粘液にくるまれ
 生まれない幼虫に生えない牙がある

 舟が数艘
 河口の緩い悦楽をさまよっている
 股を開いて棚板に坐し
 自慰する者が呼びかける
 (皆さんおめでとう
  よろしければ歌いなさい)
 もしここに歌が流れてくるのなら
 舟歌の、その旋律で
 櫂も回るというものを

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7583 : 『私にとってはやがて来る未来は怖いものでしかなくてそれでも』  心にも無い言葉は言えない '14/08/02 07:58:52

この細い糸を断ち切る事はとても簡単で
ほら、また、すぐに切れてしまう
なのに音だけは確かに拾えているの

まるで巻貝から聞こえる
偽者でも構わないその音が
確かに証だけを残していく
面影すら無くなるまで
無力さだけを抱きしめながら眠るの

病気の進行によって失う記憶
みんな、みんなわすれちゃう。
怖い事だよ。
ひとりきり、ひとりきりで。
ごめんね。
上手な消え方なんて
未だにわかんないんだ。

だからこそいいたかった言葉
全部抱きしめてる

ぷつりぷつり
途切れながらも伝わって
伝わっていけば
それで良かったのに

今はもう皆健やかであればいいという
誰かの言っていた欠片を拾い集めている

もう少し歩けそうだよ。
もう少し抱きしめれるんだ。

私今でも産んでくれて
ありがとうなんて
心から言えないんだ

お願いします神様
私のお願い聞かなくていいから
だから、切実な皆のお願い
聞いて叶えてあげてよ

私の出来る事は自分でするから。

自分の為だけに泣かない。
自分の為だけの苦しんでる姿隠すようになった。
本当の意味で私の病気を周りは
知らないに等しい

もしも私が抗っていないというものがいたら
もしも私が病気に甘えていると
もしも私が不幸に酔っ払っているというのなら
私は全身を使っていうだろう

お前の目は節穴だと。

言葉をいつまで紡げるのだろうか
思いは何時まで生き続けるのでしょうか
ねえ、聞いてる?

まぁ、いいけどさ。
どうとでもなるの
私が居なくても

世界は平等に回る

それでも、それども。

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7573 : 水色のお弁当箱  はなび '14/07/31 21:50:37



 砂時計がさらさらさらさら流れているゆるやかな曲面を呈する硝子の容器の中に立ち マリのひとびとがするようにわたしも魚模様のおおきな布を折りたたんであたまに巻いたのだけれど足元がどんどんしぼんでいった
 そうしてわたしもつま先のほうからどんどん細くなってするりとしぼんでゆく先に吸い込まれていった

 わたしは折りたたんだ魚模様の布のことをかんがえていた 折角きれいに折りたたんだものがこんな風にしぼんでしまったら またやり直ししなければならない 憂鬱というよりことばの通じないしつこい宿屋の勧誘やら物売りやらにつきまとわれ歩き疲れてそのうえ空腹で爆発しそうな怒りが今日もあちこちに転がっているのだとすれば

 似た様でいてまったくしゅるいの異なるもの たとえばそれは間違いだったりさもなければ過ちだったり とにかくまったくしゅるいを異にしていることに鈍感になるということがゆるされる日常のなかで ひとりとは言わず なんにんものおとこのこのやおんなのこ あかんぼうたちが爆発して今日もあちこちに転がっているのだとすれば

 おはよう 水色のお弁当箱がシンクの洗い物かごの中で朝日を浴びて光っている 冷たい水をコップにそそぐわたしの指先から渇いた砂のような匂いがして電気炊飯器からあさごはんの蒸気がしろくのぼる 干涸びた魚を冷蔵庫からとりだして 死んだものの瞳の奥に沈んで張りついてこびりついた牛乳みたいな濁った白をみつめる

 わたしはとおくに住むあなたのことをすこしだけ思い出す わたしの中ではすっかり断片的になって パーツにもならないような些細な欠片が とてもちがう どこにでもいるようでいてそこにしかいないたくさんのひとたち 飛行機がおちて 恋人たちが死んで たくさんの供花が今日もあちこちに転がっているのだとすれば

 吸い込まれた先はまた砂時計がさらさらさらさら流れている ゆるやかな曲面を呈する硝子の容器の中 さかさまになったのだと気づく また吸い込まれる時も 頭からではなくつま先から細くなってゆくのだろう

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7574 : 白玉  イロキセイゴ '14/07/31 23:54:15

だろーとじろーが犬ぞりでやって来ると
ダカールラリーが始まる
だちから貰った昇降器で俺は
「白玉」と言う季語でレースを勝ってやる

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7572 : メランコリーは絶滅危惧いぬ種です。  阿ト理恵 '14/07/30 21:11:23



しとしとしろんのあめがふるいきどおりをひるまずはしりさったほうにおかど(き)ちがいなメランコリーがいました。


かかわりたくなかったのですが、かま(わ)れてしまいまして、詩人のみょうちきりんの(あ)くび、ますますながくなってゆき、メランコリーはさもありなんさもありなんのこれしきにちぢんで消えようとしてるとこと。

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