ぼくたちに共有できる敗北があるならば、それは肉体の疲労しかない。
太陽が憂鬱な傾斜でなだれ沈み、こっそり逃がされた空気の湿りがぼくの頬を紅潮させる。ぼくたちは、性交のきわめて重要な考察から自由になった充実を楽しんだ。ぼくたちを支配する性的欲求は、興奮の最高潮で白けた表情を下に向ける悪魔のようだ。目は激烈に彷徨い、鼻梁になでられた空気の流れは、荒んだ皮膚の隙間に忍び込む。現実世界が外側との出口を完全に遮断した自然法に翻弄される様は、密接した関係の共有ゲームに迷い込んだ彼女とのいくつかの感情の内に最も激しく臭いを放つその感覚に近い。性交の興奮を忘れることの作用がぼくたちの視神経とそれに類するほかの神経を惑わせる。
(彼女はいつもと同じかすかな寝息をたて、しかしその眠りは深いようだった。瞬間、ぼくは無性に彼女と性交をしたくなった。小刻みに震える彼女の肌、無数の微小な毛穴からこぼれる彼女の呼吸、唇は昼間の刺々しさをやさしく剥がし、うつくしく重ねられている。ぼくは彼女の無防備な唇に指を強く押し当て、その柔らかな感触を何度も確かめた。指にまとわりつく優雅な彼女の湿気に、ぼくは卒倒しそうになった。彼女の寝息のリズムと同期するぼくの心臓の鼓動が、脂肪と肉片の間に潜り込み、それは覚醒のサンプルとなる。薄闇を溶かす空が、ぼくたちの影をも残酷に踏み潰し、その覚醒のサンプルまで奪おうとする。ぼくは、何度も同じやり方で世界の終わりのドラマに意識を集中しようとした。)
大仰な、あまりにも大仰なぼくの嘆息が契機となり、ぼくたちは世界のはるか上方に急激に伸びてゆく。彼女の笑顔は無垢な少年のようだ。彼女を強く抱きしめながら、ぼくたちはずっと上方に伸ばされていった。ぼくたちがどこまでも伸ばされていくようだった。
ぼくは、朝になると完全に覚醒し、生きていることの潔白に意味もなく勃起した。
>脂肪と肉片の間に潜り込み、
>白けた表情を下に向ける悪魔のよう
>指にまとわりつく優雅な彼女の湿気に、ぼくは卒倒しそうになった。
ちょっと聞いてください
悪夢といえば悪夢と答える喇叭の日々に
蟷螂はつめを研ぎ研ぎ考えにふけり込む
それらしき断片のエクスタシーにより
サブカルチャーにおける思考です
それでもいつか終わりといえばなおよかったのに
土から生えてくるものといえば
大根ばかり
大根ばかり
首斬り財閥なるものもあればあれ、なければなけれで
暑いですね
お正月過ごせましたか?
金持ちに貼られるシールの多さが
すっかり我々を衰退に老い込んでいます
状態の多産さが感情の弊害と毒電波となることには閉口です
愛情の離反と感情の幻滅は相似したものです
そしてくねくねと相変わらずやってくる左官屋に苦しめられています
家の中は崩壊未満です
苦しみばかり滲み寄ってくる
その苦しみが何なのか
説明の説明の説明の月をしようと思いましたが
それでもなるほどという答えが
それか、海賊をご存知
そうそこらへんにいる海賊
あそこにもここにもいる
災害ばかりで環状線に載っている
・・・・それともも何か?
時間を食ったことがあるとでも
大根は鞍上にのみ眠れる!
大根は鞍上にのみ眠れる!
ほら、
時間ですね
時間は左官屋の日を呼びます
左官屋とは何なるものか
それと謎であるのか
それは私の関与するところじゃない
それとも何か?
それとも何か?
それとも何か?
それとも何か?
それとも何か?
それとも何か?
それとも何か?
それとも何か?
(一)
窓の外には隣のアパートの
野ざらしの階段です。
寝静まる闇の囁くような轟音の
出所は隣の地下のライヴハウスです。
この街のちょっと有名な場所だと知ったのは
引っ越してきて数ヶ月の過ぎる頃でした。
半年に一度くらいは両親が訪れます。
休みの取れないわたしはほとんど相手をせず
両親は平安神宮やら北野天満宮やら
散策に出掛けては
さくらんぼ(左近の桜から落ちた)やら
梅の枝(道真公の梅園に落ちていた)やら
拾い集めては得意げに示します。
それらは国道四十一号線沿いの名もない里に運ばれ
うららかな風で呼吸するうちに
ひょっこり若い芽を吹いたりするのです。
おまえも、みどりがないのは寂しいに違いない。
そういって両親が持ち込んだのは
ポトスの鉢植えです。
両親が手塩にかけたものでなく
そこらのホームセンターの安売り品だったので
わたしは安心しました。
冗談じゃない、やっとみどりから逃れられたのに。
(二)
小学生の頃、クラスでめだかを飼っていました。
理科の授業の一環でしたので、水槽の掃除係は特に決まっておらず
そのうちものぐさなこども達によって放置されました。
ある日、ガラスに粘液にくるまれた卵がへばりついていました。
わたし達はそれらがめだかの卵であると信じてスケッチをしましたが
本当はめだかをさしおいて繁殖したタニシの卵でした。
それに気付いたわたし達は、水槽の掃除をしました。
そしてタニシをひとつひとつつまみあげ、
全部ベランダに叩き潰したのでした。
こまかい藍藻類の増殖も観察されました。
いわば水槽の雑草と言えますが、
それらは水中の酸素を奪うことで
水槽の動物の生存を脅かすのだそうです。
タニシを殺した空は雲ひとつありません。
地上は水の底であるべきなのかも知れません。
藍藻類の萌える。
(三)
こころは階段を踏み外し
ボタンを掛け違え。
段差に潜むくろぐろとした穴は
日に日に膨らみます。
ラピュタが来るのを待つため
空を見上げます。
北向きの窓の外には先ず水田
国道四十一号線のノイズ
以外の音をほとんど奪われて
隣の屋根とふたつ隣の民家
を越えたら山が連なって
まるで水槽の淵のように見えます。
切り取られ水面となって揺れる
青さに足許を掬われるのですが
実際のところ満足に
飛ぶことも出来ません。
ラピュタが来ないのなら
水槽の淵で死にたい。
蔦に絡まれ苔に侵され
土に埋もれたい。
最終的にきれいな空気になれれば
風も呼べましょう。
(四)
窓の外の薄っぺらい鉄製階段を
蟻ん子のように行ったり来たり
せわしない足音が続きます。
向かいのアパートの住人が
引越しをするようです。
遮光カーテンの外はどうやら
うららかな日曜日。
光合成に勤しみたいところですが
この部屋の住人は
私に水もくれずほっぽり出したまま
朝も早よから仕事に出たきりです。
ペパーミントの亡骸が
やはり放置状態で
私の隣にあります。
彼女の父親が性懲りもなく
また鉢植えを持ち込んだのですが
私のような虐待に強い植物でなければ
この部屋に棲息するのは難しいでしょう。
彼女は自分の部屋を満足に掃除する
余裕もありません。
私のみどり色は
彼女のささくれ立った神経を
逆撫でするようです。
ああ おまえはまだ いきているのだね。
或いは
ああ おまえはまだ いきていてくれるのか。
彼女は帰宅してもこころの休め方を知らず
張り詰めたまま暫く放心し
突然折れるように眠りに就くのです。
ああ きょうも みずをやらなかったね。
ざんこくな わたしなど しんでしまえばよい。
或いは
ああ きょうも みずなどやるものか。
そのまま いつまで いきていられるか。
アパートの窓の外が空に通じないのは
彼女にとっては幸いなことでした。
たとえ住人が引越してしまっても
ただの空き家でも
そこがみどりでなければ良いのです。
取り敢えず今日は生きてみようかと
思えるらしいのです。
>タニシを殺した空は雲ひとつありません。
>地上は水の底であるべきなのかも知れません。
>藍藻類の萌える。
>こころは階段を踏み外し
>ボタンを掛け違え。
>段差に潜むくろぐろとした穴は
>日に日に膨らみます。
>ああ おまえはまだ いきているのだね。
>水槽の淵のように見えます
>広田修様
>d様
>それではこの作品の余白は余白として成功しているのか?
>窓の外には隣のアパートの
>エピソードや情景の積み重ねや摩擦によって詩情を引き出し
>広田修様
>3G様
水平線から屹立する歪んだ石棺の中で、僕は世界を描いている。つねに覚醒する神々の息吹に合わせて、僕は一日を造形する。鳥たちは朝と昨日とを見つけ、太陽は残酷に衣装を剥ぎ取る。選ばれているのだ。だが、奪われてもいる。暗い内水の高まりゆく刹那、「彼方」は諧調の狭間へと四気を滑り込ませる。校庭の音楽、沈黙の味わい、闇の手触り、海の匂いを。僕には「描く」ことしか許されていないのだ。
光を失った珠璧から雫が落ちる。幸福でさえ僕を正しくは満たさない。
かつて世界は繊細だった。運命の質量に星々は静かに耐えていた。かつて僕は「彼方」に在ったのだ。小さな家や大気や蝶番を奇蹟とも思わずに。森の中で意志なく木肌に触れるとき、今でも呼び声が聞こえる。僅かな冷気とざわめきとが手のひらに集まると、「彼方」は僕をとらえ、その磁力で僕の内皮に烙印を押す。郷愁の調べがさざ波のように揮発する。そして僕は反転する風景の中で、やさしさの意味と出自を思う。
描くことは無に開かれた義務であり、僕を熱する。そうやって、薄片の地球を保つ。
事務員の子宮に胎児を描いていると、光が潜行した。僕は、精神病棟へと向かう僕を、描く。流動する建材は冷え冷えと影を射止め、階梯はおもむろに高度を呑み込む。かたくなな距離を得て、遠近のない闇へと浮かぶ。浮かばせる。顔のない精神科医は幻覚を見る少女を招いた。少女は闇を背負い、奇異な仕草のしるしを残像に刻んだ。だが僕は描かなかった!精神科医を活け花に転生させる。彼女の描く情感のうねりにより、彼女が「彼方」からの来迎者であることを知った。僕は植物のように、大地から温かいものを吸い上げ、四方に放射した。
雪の蔵する光たち。「彼方」は薄光に照らされて。そして、光は血となり滾りゆく。
喜びが溢出し、浮力が僕を支える。衣服から転がり落ちる幻滅を丹念に拾い集める。けれど少女は泣いていた。安息の地は奪われて。流れる風は棘を持ち、みなぎる水鏡を傷つける。少女を冷徹に見やると、僕は唐突に、夜の王冠を失ったことに気づいた。
−−−−−−
気になったところに少し手を加えたのだけれど、これでもまだ硬いかな?
>水平線から屹立する歪んだ石棺の中で、僕は世界を描いている。
>校庭の音楽
>事務員の子宮に
>榊蔡さん
>少し、組まれた感じが残ってますね。
>校庭の音楽
>事務員の子宮に
五月の草原は
見えざるものたちの管弦楽団
風の指揮にそって 浅い夜を音楽にひたす
草むらに埋葬された僕を 星の視点から僕が見ている
なんて滑稽な図式 しかしうつくしい夜想曲
滑稽な美しさに 視界が曖昧にされる
ぼやける もしくは とじていく
まぶたのうらで
水底は深く澄んでいた
川を 葬列が渡る 散った波状は音もなく
むこうがわへとかれらを渡す
波状は立ち消え 水面はまた流れだす 音もなく
僕の葬列は行ってしまった
ここで飛ぶ
鉄塔群 逆光 遠い八月
複製された空を 飛ぶ 街を抜ける
まなざしの先の運命を まばたきの裏の恒久を
うつむきの奥に流れるだろう見知らぬけもの その血で
残滅する 瓦解させる 崩落の声 どこかできいた
鉄塔群に棲む冬猿 潔白のために殺した
裂いて 薄い肩の平穏を 待って
目をふせた星たちがおとす きらめく影の中で
五月になった 季節が呼んだ 五月になれと 季節が云った
ざわめきつづける鳥たちは声をうばわれて
海は静謐な凪に犯されている
そっと夜になり 押し寄せた闇がまぶしい
世界は管弦楽にただよったまま
すべてを放棄した
少女 と呼ばれるたびに
壊れていく地平がある そこでは
雷が蜘蛛の巣のように増殖していく すこし薄まった空気
思い出してもでてこない 少女の名前
また どこかで地平が崩れる
たぶんそう きっと つけたのだろう名前を
僕は 告げたのだろう名前を あのとき
思い出すのではなく創造すること そうして
波状を描いて 交差する世界の静脈
また戻して
葬列が跳ねていった川の水
黒く澄んだその浸食を風がなぞる
たゆたうように回る惑星のだれもしらないかたすみで
音楽は鳴らされて 幾つかの夜に溶けていく
解体された牡牛のそばでじっと動かない僕は
やはり 埋葬されているのだろう
管弦楽に耳をかたむける聴衆
露草を滑ったちいさな色彩は透きとおって
星の流したなみだは
ひどくきらめいて消えた
>ここで飛ぶ
>また戻して
>鉄塔群 逆光 遠い八月
>イメージの流出に語感が追いついている
>で心を打つフレーズをいまとりあげようとしたんだけれど、
>半分以上挙げちゃいそうなんでやめときます。
ウミツバメが旋回
する
潮のさしてくる時刻、その時刻が
きみに
言葉をかける。
記憶するように、数えるよう
に、
数え入れるように、多くのもの─(そこには
数え得ないものも
含まれるだろう、たぶん)─を。
それらは教える
数えるように、
追想する、
わたしのものでない
還ってくるものがある、わたしに
戻りながら
わたしのものにならないもの、
戻ってこない
もの。
今日(この時は
わたしのものになる
だろうか)─、
記念する、そして
記念される
もの
が、
訪れつづける
それらは数える
教えるように、
数えるものについて、ウミツバメが
旋回する、その時刻。
旋回する
ウミツバメの
数は、
数々。
カラスが喫茶店で冷めた珈琲を飲みながら
わたしたちの心配をしている
セントラル・ヒーティングはいいよね
斜頸で生まれても
少し愛嬌があっていいよね
テポドンはゴミだけど
いくらかスパイスが効いていて美味しいよね
まだ家族があっていいよね
カラスの眼に表情がないように見えたのは
わたしたちにまだ家があったころ
礎はハンガーで
爪に火を灯して犬を焼き
幸せの電線に怯え暮らし
わたしたちは否が応でも家族です
夢のなかで
カラスは直立歩行をして
鬼の首でも取ったみたいな顔をして
帝国主義を展開する
土台はスリランカ
紅茶の湯気のなか
やおら立ち上がって
ちゃぶ台を蹴り倒し
揺らいだ世界を食い尽くす
夢のなかで
わたしたちはカラスになり
身を刺す寒さを必死に羽根で払いのけ
彼方の夾雑物を目指すのです
エレクトしないDVD
平和への四十八手を諭す教授のヅラ
教授に教えを受けたニートの使用済みナイフ
どれも犬も食わぬ代物です
食べ物はどれも
骨のそばにこびりついた肉が一番美味しいので
骨のあるヒトを選んで
狙います
しかし
一年中が冬でしかない今となっては
ヒトも必死です
朴葉の朴葉焼きは3日に1度ですし
ヒトの着込んでいるコートは
とても分厚くて
心がどこにあるのか
見当もつかないのです
上の嘴と下の嘴をスパニッシュギターに合わせて
カタカタカタンとぶつけてみても
ヒトは怯みません
脅威はありふれ過ぎて
ヒトは慣れるのが上手ですから
食べ物はどうしても
手に入らず
末の子は簡単に鬼籍に入りました
やはり
カラスはどこか1本抜けたところのある鳥ですから
ふわり
ふわり
不安はよぎり
譜割も未完に詠われない
ティンノートに書き溜めた
並べたてた 煙たい詩言
「自由でありたい」
ポカンと吹き上げた
悪戯の中空に夢を見る
子宮ヶ原からやってきて
老人ホーム行きを拒んで外れてゆく
気の向くままに 森の中を抜けてゆく
ランブルでランダムな野良犬
「なりてぇもんだ」
*
見上げれば
色無く燃える向日葵落ちる
オレンジと黎明の蒼に
空は混ざる
にじむランプを瞬かせ
水のレールは彩られ
キップよろしく待つ寝台車
闇から生まれた白い影
吸い込み走る
天国行きの「粒線系555」
「乗らなくてはなぁ」
*
煌く星座と視界を覆う 黒い枝々
根を張り出して影は襲う
茨の鎖に握られた 潰されそうな心臓は
闇と 森と 一本の木と
小さく笑う夜鳥のか細い声に怯える
畏れながらも
遠く遠のく意識の果てで
クチパク呟く名も無き詩
「天上の低くなったこの世界から
夜空に押し潰されないように
産まれ還る 生まれ変わる」
そう決めたバース・デイ頃
きりきりと鎖が締まる 棘が痛む
*
終点遠く残し散乱し 弾けて消えた「555」
往復切符の泡礫を浴びながら
一番星より眩しい輝きを見つけたら
「そろそろ潮時だ」
全てが零れ落ちないように
眼と 耳と 口と そして心を固く閉ざして
古くなったイレモノから飛び出して
中座の為に 今一度
天へと昇ろう
あめ あめ
あめ あめ
ざーざーぶりの雨の中
やぁひさしぶりなんていいながら
ずぶ濡れのだれかさんがやってくる あめ
かさはきいろ色でれいんこーともきいろ色だ
れもんの香りがすこしだけするよ
むかしからなにもなかわってないね
ときどきどもるのもかわってないよ
そのどもりの奥には20年前の生まれたばかりの
きみがいるって知ってるよ
ここはどこだろう?
だいじょうぶ不安にならなくていいよ
足はしっかり地面についている
ほら音もする パンパン(手を叩く)
ぱんぱんぱんぱん
そうか三年前に耳が聞こえなくなったんだってね
それでもだいじょうぶだよ
手をにぎりあえば
きりんかシマウマにあえるから
ほら今日もチーターが勢いよく走ってるよ
どこにいくんだろうね?
"9回の裏 ホームランが出ればサヨナラ!"
アナウンスが響き渡るそして喚声が
あしあとはのこしてきたの?
ここにきたことがばれると
またおこられるよ
でも雨ですべてながされて
気の知れたいぬもついてこれないよ
あめ
あめ
あめ
ざー ざー
わーわー
今日も家に上あがらず
げんかんで夜があけるのを
いっしょにたのしもう
あたたかいれもねーどをいれてくるから
"伸びる伸びる!場外フォームラン!打ちましたサヨナラです!解説の.....”
>"伸びる伸びる!場外フォームラン!打ちましたサヨナラです!解説の.....”
>むかしからなにもなかわってないね
>手をにぎりあえば
>きりんかシマウマにあえるから
>ほら今日もチーターが勢いよく走ってるよ
指、夜のうすい被膜を
ひっ掻いて、ひっ掻いて、
わずかな肉と貧しい血のぬくもり
銀色の、穴のなかの森へ
捨てに行くのを誰かに見られた?
うすらあおい雪の層に
まだ熱い、恥辱と凶器を埋めた?
よく冷えた父の骨灰を寝床に撒いて
眠りたくない、ふっと気がつけば
丘の上で洗濯している母
どうしても背中しか思いだせない妹
あっ、ああっ
逃げだした拍子に金屏風をふみ破っちゃった
階段から落っこちちゃった
台所の床は水浸しで、銀色の
穴のなかの森から
ヤマオニユリの大群生つながって
壁のやぶれから花火のように
突入してくる、のたうって、ぐちゃぐちゃに
気をつけろ、離れるな、お箸を忘れずにね
みんなの声が交叉して
みんなの影が大きくなったり縮んだり
ゆらゆら
ゆらゆら
電灯の下の、食卓の上の
紙の家
>その隣で狂いかけた妹をあやしている
>母の、こわれた肩を
>たたいて、たたいて
何もしたくない こんな夜は
行きたくもない約束しちまった
何もしたくない こんな夜は
聴きたくもないレコード買っちまった
本棚の本は崩れ落ち 鏡が割れる
テレビの音やかましく 何もしたくない夜
窓の向こう
初春の風
花、緑、そして虫たちが
ざわざわ ざわざわ
わたくしへ流れてくる
あなたは
わたくしの蕎麦の枕で
音もなく
眠っている
あなたの素朴な肉体は
いつも
ひんやりとして
その引締まった肉体は
陽光の陰に照らされ
すこしずつ
固まってゆく
阿呆なわたくしと結ばれたばかりに
つましい暮らしは
あなたの肌に爪を立て
そっと触れたい
あなたのふくよかな肉体は
遠く
どこか 遠く
わたくしから見えないところへ帰り着いた
窓の向こう
初春の風
花、緑、そして虫たちが
ざわざわ ざわざわ
わたくしへ流れてくる
わたくしの無骨な掌から
この世の中で
一等うつくしい
砂流が
はらはらと
はらはらと降り積もってゆく
たとえば
あなたが
わたくしの母
あるいは 敵になったとしても
あなたが生きて
此処にいる
ただ
それだけで
わたくしは大地をぐっと踏みしめる
ぐっと踏みしめる
ああ
なれども
春は塩辛く
あなたは
わたくしの蕎麦の枕で
音もなく
眠っている
あなたの許しは
わたくしをちりぢりに
ちりぢりにとかしてしまいそうで
笑っていたい
その僅かなこころの傾きだけが
なにものか
高鳴るものへと
わたくしを向かわせてゆく
>わたくしの母
>あるいは 敵になったとしても
(事象の地平線・・・ここでは光さえも脱出できず、時間の伸び率は無限大∞となり、知覚できるいかなる事象も行き止まりとなってしまうという・・・)
君の顔が歪んで見える
その肉声は
君とボクとの
わずかな距離の間で失速し
空中で静止している
そもそも
君からは
ボクが見えているのかい?
存在の不確定性に対する
圧倒的な証拠を
君はボクに向けて
発射したか?
或いはボクが?
君に反射した光が
ボクの瞳孔に飛び込むまでの
永遠の時間の中
たった一編の詩が紡がれる・・・
そして
ボクは君を待ち続ける
この事象の地平線の彼方で
>その肉声は
>君とボクとの
>わずかな距離の間で失速し
>空中で静止している
>たった一編の詩が紡がれる・・・
>広田氏
>言語の曖昧性と受け手の解釈の多様性という、いわば「物理的な限界」を詩作という芸術表現によって乗り越え己の存在を他者に認識させる
>結局は己の存在に対する証拠は、発する者の表現の圧倒的な力と、それを享受する者の認識能力にかかっていることを表現しようとしたものです
>ボクは君を待ち続ける
>この事象の地平線の彼方で
>広田氏
>詩は哲学ではないのだから、思想を余すことなく表現する必要はないと思うからです。
>その肉声は
>君とボクとの
>わずかな距離の間で失速し
>空中で静止している
>榊蔡氏
「転がらないビー玉」
ビー玉は 動かない
ビー玉は じっとしている
その完全無欠な 丸さは
美徳だろうか
その姿で じっとしているのは
徒労ではないだろうか
長すぎる月日が 経って
まだ そこに在る 孤高は
いくぶん 埃を 被っているよ
指先であそぶ旋律がピアノの鍵盤の上を流れて
部屋に溢れるやさしい音階のすきまに
天球図は青くひろがってゆく
東のかなたの
さそりの心臓は自ら発火し
そのきらめきは引き出しの奥で眠るルビー
観測されるこまかな粒子は
透過する光の空間に
不安定に浮遊しながら
おもいおもいに遊んでいる
そして
薄明の大気のような
静謐とした調和にしたがい
かたちづくられてゆくその
さそりの心臓は
しずかに燃焼しつづける
目にうつる光がルビーのこまかな粒子を透過し
空間に溢れるやさしい単色光のすきまに
天球図は青くひろがってゆく
北の破軍星は極点を中心にめぐり
さそりの心臓を貫くと
ルビーははじけて
天球体の頂点から
輝きながらふりそそぎ
大気圏で燃え尽きてゆく
夜空いちめんの流星雨
七曜の星のひしゃくにわずかに残った
すきとおる一滴の水が
部屋も空間もすみやかに満たし
あらたにかたちづくられるさそりの心臓は
天球図の東のかなたで
しずかに燃焼しつづける
>溢れるやさしい
>しずかに燃焼しつづける
>天球図は青くひろがってゆく
>指先であそぶ旋律がピアノの鍵盤の上を流れて
>部屋に溢れるやさしい音階のすきまに
>部屋に溢れるやさしい音階のすきまに
>天球図は青くひろがってゆく
>でも映像だけでいっている詩だと思うので、映像での説得力が欲しいです。
「黒い眼窩」
君が 機関銃のように しゃべるから、
僕は 無抵抗になる。
穴だらけの 案山子になって、
君を 見つめているよ。
この裏切り者!
貴様のような下種野郎は
<<童貞>>
の風上にも置けん。
金で金を買い、金を金で売った銭ゲバは、未来永劫存在を金鑢にかけられる責め苦を、この広い世界たった一人で味わうが良い。
西川口で一万六千円を支払って貴様が買ったモノは何か?
一時間四十分の安物の音楽は垢で栓をした貴様の耳には快いのか?
ふざけるな!!!
生身の女性にインサート行為を行ったからといって、えばるなこのマンカス。
素人童貞は、童貞。
何故なら、異性とコミュニケートする能力がないから。
金が無いおまえの足から
ダイオキシン
どうせなら、金を払うのではなく、貰ってやろうぜ!
>裏切り者っていっておきながら、>
>なんか内ゲバみたいなアジテートがオモロイ。
>素人童貞は、童貞。
>何故なら、異性とコミュニケートする能力がないから。
>金が無いおまえの足から
>ダイオキシン
>どうせなら、金を払うのではなく、貰ってやろうぜ!
>金を貰って行為に至るなんて夢のまた夢のような話でね、不可能。わらぃ。
せがまれて
出窓の傍のカーテンを外した夜
カナブンが空でよろけている
その羽の風圧で
タバコの灰が巻き上げられ
当たらないビンゴマシーン
みたいだ
カーテンを外してから見える
小さな夜の様子
月があくびする頃
80m先の一戸建ての壁に
4分の3拍子の明滅
40m先のマンションの屋上に
アメーバのような光
どちらが呼びかけ
どちらが手を伸ばし
どちらが目を閉じ
どちらが繋がりを絶つのか
月があくびする頃
わたしから40cm離れた
あなたがあくびする
出窓に座ったステレオは
ヘッドフォンを差し込まれ
70年代を懐古した
40cm離れた場所で
ロックにされたグサーノ・ロホが
ベネチアングラスに水滴を点けながら
30年分の氷を溶かそうと
もがいている
ステレオはそのもがきを見て
月は助けを借りるには
クール過ぎるんだ
そう頷いた 久しぶりに
クールな月を見上げ
70年代の月を思い出した
同じようにもがいていた月を
カーテンを外してから見えた
小さな夜の表情
再びカーテンを取り付けようと
ガチャガチャとレールを揺するたび
ガタガタと庇が不安そうに揺れる
出窓は狭く
バランスを崩したわたしは
床について死んでいるあなた
の上に転げ落ちる
出窓の外のベランダで
短い夜を終えたカナブンが
ひっそりと一生を終えている
大いなる朝の始末
>カナブンが空でよろけている
>その羽の風圧で
>タバコの灰が巻き上げられ
>当たらないビンゴマシーン
>みたいだ
>久しぶりに
>クールな月を見上げ
>70年代の月を思い出した
>同じようにもがいていた月を
>カーテンを外してから見えた
>小さな夜の表情
>ここですべてが解決されて、新たに定義されなくちゃならないはず。
>久しぶりに
>クールな月を見上げ
>70年代の月を思い出した
>同じようにもがいていた月を
>カーテンを外してから見えた
>小さな夜の表情
幾億の精子の遊泳、に似た
蛾の飛翔
おびただしい
蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
微かな月に光に
誘われて
昇ってゆく
旋毛のそよぎ
選ばれたる
一匹の蛾が
、が
月面に着床し
受精する
臨月には
新しい詩がうまれる
> 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
> 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
> 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
> 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
> 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
> 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
> 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
> 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
> 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
> 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾 蛾
> 、が
> おびただしい
>石畑様
>三連目の蛾蛾蛾蛾・・・が、説明的、及び異質になっている。
>おびただしい
>2連目と3連目の2行の空白はレイアウト上のバランス?
>そら様
わたしがすかすか
レースのカーテンで
あなたが窓辺に置かれた
500mlビール缶だから
あなたはわたしを濡らすだろう
わたしの隙間で膜を張るしずく
ぽたぽたぽたり落ちてゆき
わたしは窓辺を濡らすだろう
窓辺の海があなたを取り囲み
ぽたりぽたぽた汗をかき
あなたはわたしを濡らすだろう
あなたは倒れそう
わたしは揺れている
あなたはへべれけで
わたしはがらんどう
あなたが倒れて空っぽになっても
わたしには関係がない
あなたはここにいるはず
ではなかったのだから
わたしは夜風に吹き上げられて
ひらへらひらへら
夜空に近づいて
別れをおもって揺れながら
実に見事にすかすかだ
わたしには女の声が聞こえる。誰にも似ていない声。でもひとには話さない。話す相手もいない。流木の散らばる砂浜。わたしはひとりで波間を眺める。ジーパンの後ろポケットに突っ込んだ神話の文庫本。もう何度も読んだ。あの日、海で溺れかけてから何年も経った。わたしはバイト先を転々としながら、生活を続けている。流木は裂けて白くなっている。砂浜にはひとはいない。あっただろうだれかの足跡は波で消えている。みんなどこかへ行ってしまった。わたしだけがここにいる。
風が強い。波が荒れている。今日も流木が一本流れ着いた。砂浜に打ちよせられる。ひとの腕くらいの大きさ。わたしは近より、手をつかむように引き上げる。女の腕くらいの重さだ。シューズの中に海水が流れ込む。乾いた砂浜まで持っていく。気に入ったので空き地までその流木を運ぶ。抱えて坂道を上る。ときどき思うことがある。バイトの倉庫の作業中、頬杖をつく送迎バスの中、文庫本を開いて電車待ちをしているホーム、眠れないアパートの部屋の中。思うことがある。思ってみても仕方ない。
そして空き地。丘の上、海を見下ろせる場所。少し離れたところに森があり、その入り口近くの崖に、昔の防空壕がある。この空き地にはひとがいた形跡がある。中身の入ったコンビニの袋が捨てられている。わたしは新しい流木を置いた。まだ黒く濡れている。以前あったスクールバスのカフェはなくなった。失われた黄色い車体。すみに別の白の乗用車が乗り捨てられている。タイヤが外されている。前より空き地のスペースが広くなり、その分、わたしの流木が増えた。空白を埋める腕に囲まれる。いくら集めても何にもならない。そんなことはわかっている。でもわたしは集める。流木の林。
天気雨。風が強い。わたしは空き地の中心にタイヤを置いて座る。チューニングをするように、指で宙を探る。しばらくすると、女の声が聞こえてくる。女は意味のとれないことをしゃべりつづける。わたしは黙って聴いている。わたしが話しかけても、木霊のように同じ言葉しか返さないから。女は笑う。雨が降り注ぐ。シャツが濡れる。ポケットの文庫本は大丈夫だろうか。空は青い。わたしも笑う。女の声を聴きながらもひとりでいるのが、楽しいから。
>以前あったスクールバスのカフェ
>思うことがある。思ってみても仕方ない。
>この空き地にはひとがいた形跡がある。
>話す相手もいない。
>みんなどこかへ行ってしまった。わたしだけがここにいる。
>思うことがある。思ってみても仕方ない。
>いくら集めても何にもならない。そんなことはわかっている。
●はじめに●
はじめに
大きなぬいぐるみを抱いた
可愛いコアセルベートに人生の苦味を少々
タブラ・ラサ
タブラの遠雷のリズム
クレシェンド クレシェンド
地平線を つっと引いて
近づいてくる拍動の朝に
視界には うす汚れた茶色い階段が
ぎいぎいと暗く鳴いてるのしか見えないけど
湿った三畳間の下宿で
布団にもぐりこんだ君しか見えないけど
●しあわせについて●
むかしむかし
ぬいぐるみをいとおしく抱いたよろこび
ぬいぐるみに布団をかけてあげたしあわせ
記憶する手のぬくもり 君は寝ぼけまなこで
洗面器に水を汲んできて
櫛に水をひたして
長い髪を梳いている
窓の隙間から湿った冷気が忍び込んでまぶしい
同じ水で顔を洗う
軽く体も拭く
タブラのリズムは目と鼻の先で
早くもシタールとギターが空から降りてくる
引き出しから古い手鏡を取り出して
にい と笑顔の練習をする
少し濁った洗面器の水を
ひとさし指でかき回して
歯は
歯を磨きに
君は洗面所へ降りていく
●あこがれについて●
(ロマンスに憧れることはあるけど
ヒロインも経験してみたいとは思うけど
ミニスカではしゃぐ高校生は少し羨ましいけど
いつも同じジーンズを履いて
悠久のリズムに身を浸しているうちに
なんだか気持ちよくなってしまった
友達とよく屋根には登った
膝を抱えて生きていられるほど
人に囲まれてはいないから)
パンの耳に砂糖をまぶして
それでもコーヒーはきちんといれた
朝ごはん
●不安について●
先だって汚してしまったジーンズが
まだ乾かない 二本しかないのに
空は今日も曇っていて君は短いため息をつく
ため息はスタッカートで
小気味よいギターに変わる
大きな不格好な黒い傘 くすんだトートバッグ
やさしいシタールのピチカート
自転車の鍵を持って
●子守唄●
シャッターの降りた早朝のアーケイドで君は自転車を停めた
どこか遠くで三線(さんしん)が聴こえて
君はそっと涙した
●MAKING EPIC●
ぎいぎいと鳴く茶色い階段を昇ると
湿った三畳間の下宿のドアには
「外出しています」の札
カーテンが降りて
部屋はいっそう暗く
誰もいない
人々の優しいことばは君のもの
絡んでくる酔っぱらいは君のもの
うねるタブラのリズムは君のもの
輝くシタールも君のもの
ひさしぶりに見た夕焼けは君のもの
カップに残ったコーヒーの苦み
河原でホタルを見た
頬をたたく風
あるいは強い雨
ちょっとお腹がすいて
友達の笑顔
青い空
虹
みんな君のもの
>コアセルベートとは、アミノ酸や糖を多量に含んだ原始の海に漂う生体高分子の融合で、地球上に生命が誕生する元になったものだと言われています。
扉は後ろ手に閉めてしまった
人々はさざめく 枯れ色の通りに
東の端は夕暮れの
どこかに忘れた黒い傘
(コウモリたちはおうちに帰れない)
北の空は朝曇
なくした地図帳はどこに
(少年は息をつくとまた探索をはじめる)
東の丘の水蒸気
フレーズが思い出せない
(懐かしき歌はくるくると舞う)
南には海が少し見える
埋めてしまいたいものは山となって
(そして崩れて)
(そして崩れて)
崩壊に向かうも時効となり
凍結されたこの町は
A.D.2000を
永久にカウントダウンしつづけている
もう疲れたの、と言えば、それなら終わりにすれば良いのに、と、膿んで生まれた声がする。
私は、終わり?、と尋ねると、何のてらいもなく頭から、手近な石に、跳ねて飛び込む。
撲死かな?、撲死だよ。
小石が、囁く。
死体は、置き去りにされ、狂う狂う。
そしていつの日にか、美味しそうに発酵する。
有機化合物分解後、の、それは、多分愉し気に、町を駆け抜けていくのだろう。
るんたった。るんたった。
明日も、同じ時間、列車がここを走り去る頃。
待っているよ。
待っているよ。
>Canopusさん
>Nizzzyさん
*空を撃て五・七・五
冬木立
剣となりて
天を刺す
星を射ろ
月を落とせと
叫ぶ夜
*恋三昧五・七・五・七・七
かりかりと
ドライ・フルーツ
音立てて
壊れた愛から
つまんでしまおう
恋の花
ポトリと落ちた
音を聞く
泥つきて哀し
二度と抱かれん
ゆくがいい
放たれてなほ
動けずに
君に向かひて
騒はぐ髪を止め
*委ねる二行詩
あふれる夜は
ゆっくり 流れる 流れる
気が引ける僕の手をひっぱって
闇の中に浮かぶ大きな四角い白は
両腕を箱と椅子に変え
僕の心をドルビーサウンドで
鳥肌のひとつひとつをひっぱってみたり
背筋の真ん中を
折れた様な針の先でツウリとなで上げたり
するのだ
激しいカーレースの後に
パイプを分け合う兵士たちの手元が
確かに握りしめたカクテルを
フレアバーテンダーは華麗に
アイシャドウを黒くまたたかせ
ミュージカルの舞台は広がる
ロキシーの唇といったら
まるで マリリンモンロなのだ
そして僕は現在に戻ってきて
息をつく
>そして僕は現在に戻ってきて
>息をつく
>そして僕は現在に戻ってきて
>息をつく
妻が出産に備え里帰りした
いつもは少し窮屈な我が家だが
妻の不在が幾分の余裕を与えている
居間に面した小ぶりの庭に咲く、種類のわからない花たちが
花弁を寂しげにぼくに向けている
そんな何気ない場景に心がうごくのは
ここに生まれた新しい空白のせいかもしれない
朝、目覚めるとぼくの妻は隣にない
仕事からの帰途、
同じ外観の家が密集する住宅地に、一軒灯りの点らないぼくの家がある
ぼくの家から灯りが消失することで
ぼくは自身の消失に頓着せずにいられるのかもしれない
(いや、それは正しくない
ぼくは妻の不在に関係なく、いつも消失していたのだ!)
電話越しの妻の声は
実家で暮らす安堵感に出産間近の興奮が混ざりこみ
いつもとはどこか調子が異なっていた
「ちゃんとごはんは食べているの」
「庭の花に忘れず水をあげてね」
ぼくたちには、いくつか事前の決め事を確認するだけの少ない時間しかなく
出産の日が近くなるにつれて
妻との関係は、ますます希薄になっていくような気がした
妻のない休日、庭先に置いた木製の古い座椅子にぼんやりと腰掛けていると
一匹の猫が迷い込んできた
首輪も見当たらず
どこかで飼われている猫ではないようだが
親しげにぼくになついてきた
あいにく与える餌を持っていなかったので
何度もやさしく撫でてやったのだが
やがて気が付くと
彼女の姿はどこにもなく
どうやらぼくはまたここに
ひとり取り残されてしまったようだ
ある日の深夜、妻が無事出産したとの連絡が妻の母からあった
「みんなで待っているから早く見に来て頂戴ね」
たったひとつの小さな生命の誕生が
これまでの家族のうねりを倍加させ
ぼくを飲み込もうとする
ぼくはたまらず電話を切って
とにかく眠ろうとした
だけども
明日の朝早く(みんなで)
電車に乗って(待っているから)
どこへ行けばいいのだろう(早く見に来て頂戴ね)
頭の中におぼろに浮かぶ二つの地点がどんなに苦心してもつながらない
ぼくは
今、どこにいるのだろう
(その時、猫の鳴き声がひとつ、ニャンと
外から聞こえてきた)
>ぼくの家から灯りが消失することで
>ぼくは自身の消失に頓着せずにいられるのかもしれない
>空白感
街はゆうぐれ、息はつめたく
ふれあうものみな悲しいけれど
かなしいけれども
こころ引きよせるほのかな明るみに
女は
黒髪にその若さをしめらせ
いくたばの淡い詩集をたずさえながら
じっと
ありたけの想いはしずかに
病をひめた都会びとへ
おしみなく
生をささげる、真白なおまえの手のひら
その手のひらに
ただ
風はたわむれ、息もつめたく
ふれあうものみな切ないけれど
せつないけれども
なにものか想い高鳴るかすかな願いに
ひとびとは
ちらとむくいる刹那もしのんで
沈黙の背なをわすれがたみに
影、遠く
日々の暮らしへゆきすぎるのみ。
ああ冬の詩人よ
そのこまかにふるえる桃のくちびるは
あまりにたよりなく、そして
はかなげで
なげきの胸にゆらゆらと咲く
うすむらさきの花。
今宵、この街に雪は降るのだろう
あの手のひらに雪は降るのだろう
しんしんと しんしんと
>黒髪にその若さをしめらせ
>ちらとむくいる刹那
>ああ冬の詩人よ
>そのこまかにふるえる桃のくちびるは
>あまりにたよりなく、そして
>はかなげで
>なげきの胸にゆらゆらと咲く
>うすむらさきの花。
>×日々の暮らしへゆきすぎるのみ。
>○日々の暮らしへゆきすぎるのだ。
>病をひめた都会びとへ
>生をささげる
>今宵、この街に雪は降るのだろう。
>あの手のひらに雪は降るのだろう。
>しんしんと。しんしんと。
あいつが土産にくれたのは
オランダ製の飛行機雲
俺にはきれいすぎるけど
それを使ってあいつはどこにでもいける
いままで生きてきた時間の中の
水色の部分だけをかき集めて
とことん薄くなりながら
そうやってあいつはまた新しくなる
その夜雨が降ってきて
あいつはどこかへいなくなる
あいつの持ってるたくさんの水色が
雨に溶けてなにもかもになる
朝になって
曇った窓の向こうにあるのは
オランダ製の飛行機雲
写真の中の素敵な景色
窓を開けたら見えなくなるけど
それは確かにそこにある
>あいつが土産にくれたのは
>オランダ製の飛行機雲
あ たしかにある
青空に君臨するもの
めくるめく失禁
その
まなざしへの
投身の誘惑
ぼくは
いつだって あんばらんすで
ただ夢のなかの
画布にうかぶ 愛の
いいえ 死の
鏡のために
くるくる
風を まわして
目 まわして
ふみはずしそう
ふらふら 突端
あのさ 最後まで
怖れずに立っていたいんだ
ついにそこに何もなくても
>あ たしかにある
>めくるめく失禁
>恐れずに立っていたいんだ
はしら時計が正午を打つころ
仏壇の扉をあけて
父さんが帰ってくる
それが正しい日課だから
母さんは、大洪水のさなかにも、また
この世の終わったあとも欠かさずに
蕎麦、茹であげ待っている
「消化によいからね」
赤い塗料の、ところどころ剥げおちた
まるいテーブルの上の、醤油瓶のかげから
這い出てくる妹の声
オッカナクテサ、地上の円周をたどれない
針金細工の、出発の塔の上のひとはけの雲
「おにいちゃん、いないよ」
「おにいちゃんはね」
「銀蝿にさらわれたの」
無数の曖昧な供述が淘汰されて
とおい食卓のへりにあらわれる、まだ
誰も知らない絵を、夢みているような
はてしなく何かを、はぐらかしているような
魚を焼くけむり、線香のけむり
大きな穴のなかへ
しんみりと消えていくさざめき
Tさんが来ると云うので、水炊きでもしようと
新聞紙にくるんだ土鍋を出して
それから
改札口まで迎えに行った
私が、台所に立っている間、
Tさんはすることもなく
テレビもレコードも、荷解き前の
しん、と静かな午後に
水をひたひた、春菊、
じゃくん、じゃくん、と刻む音だけ響いて
鍋を囲めばなおさら、口数少なく
湯気をかきわけ
ただ、宮崎地鶏をつつくほかなし
私が、お皿を洗っている間、
Tさんは
洗濯機のホースのゆるみを直し
サッシに油を点し
それから、なおも口数少なく
縁側に並んで
麩饅頭をいただきながら
あまく薫る、静岡茶を飲んだ
夕方になって、
Tさんがそろそろ帰ると云うので
今度はアパートから駅まで、先刻来た道を
Tさんは
切符と一緒に
改札口に、吸い込まれていく
一度、振り返って、もう一度振り返って手を、ひらひら
三度目は、もう振り返らない
ホームの柱と、夕陽の陰になって
もう見えない
次の約束もせず
私たちは二度と一緒に住むことはないのだと
胃の上の辺り
ぎゅうう、と
初めて逢った時みたい
に、なって
痛い、
塩っからい、
苦い、
熱い、
何かが、ぽたん、
と手の甲に落ちて、ああ、
「おかえりなさい」、て云いたい
自分から手、離したくせに、今更
どうかしている、と
電車はTさんを乗せて
がった、ごっと、しゅう ごーう
小さくなって、
消えた
>dサマ
>光冨郁也サマ、榊蔡サマ、らんだサマ、丘光平サマ
>光冨郁也サマ、榊蔡サマ、らんだサマ、丘光平サマ、
>一条サマ、Canopus(かの寿星)サマ
>光冨郁也サマ
>榊蔡サマ
>らんだサマ
>丘光平サマ
>一条サマ
>Canopus(かの寿星)サマ
>最後にあらためて、皆様へ