あべこべにくっついてる
本のカバー、そのままにして読んでた、ズボラなぼく。
ぼくの手には蹼(みずかき)があった。
でも、読んだら、ちゃんと、なおしとくよ。
だから、テレフォン・セックスはやめてね。
だって、めんどくさいんだもん。
うつくしい音楽をありがとう。
ヤだったら、途中で降りたっていいんだろ。
なんだったら、頭でも殴ってやろうか。
こないだもらったゴムの木から
羽虫が一匹、飛び下りた。
ブチュって、本に挾んでやった。
開いて見つめる、その眼差しに
葉むらの影が、虎斑(とらふ)に落ちて揺れている。
ねえ、まだ?
ぼくんちのカメはかしこいよ。
そいで、そいつが教えてくれたんだけど。
一をほどくと、二になる。
二を結ぶと、〇になるって。
だから、一と〇は同じなんだね。
(二って、=(イコール)と、うりふたつ、そっくりだもんね)
ねっ、ねっ、催眠術の掛け合いっこしない?
こないだ、テレビでやってたよ。
ぼくも、さわろかな。
そうだ、いつか、言ってたよね。
ふたつにひとつ。ふたつはひとつ。
みんな大人になるって。
中国の人口って14億なんだってね。
世界中に散らばった人たちも入れると
三人に一人が中国人ってことになる。
でも、よかった。
きみとぼくとで、二人だもんね。
ねえ、おぼえてる? 言葉じゃないだろ! って、
好きだったら、抱けよ! って、
ぼくに背中を見せて、
きみが、ぼくに言った言葉。
付き合いはじめの頃だったよね。
ひと眼差しごとに、キッスしてたのは。
ぼくのこと、天使みたいだって言ってたよね。
昔は、やさしかったのにぃ。
ぼくが帰るとき、
いつも停留所ひとつ抜かして送ってくれた。
バスがくるまでベンチに腰掛けて。
ぼくの手を握る、きみの手のぬくもりを
いまでも、ぼくは、思い出すことができる。
付き合いはじめの頃だったけど。
ぼくたち、よく、近くの神社に行ったよね。
そいで、星が雲に隠れるよりはやく
ぼくたちは星から隠れたよね。
葉っぱという葉っぱ、
人差し指でつついてく。
手あたりしだい。
見境なし。
楽しい。
って、
あっ、いまイッタ?
違う?
じゃ、何て言ったの?
雨?
ほんとだ。
さっきまで、晴れてたのに。
そこにあった空が嘘ついてた。
兎に角、兎も角、
と
志賀直哉はよく書きつけた。
降れば土砂降り。
雨と降る雨。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140201_229_7271p
そうなんです
そうなんですよね
まったく
はい
中学生ですけれども
なにがいけないのかしら
未来もへったくれも
ありゃしない
はい
わたしがよくないのです
おっしゃるとおり
そのようだと
ぞんじあげたいな
そろそろ行きますから
ようござんすか
あらためまして
はい
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140203_271_7281p
もかもか星雲、ただいま軌道は……
上空1.6メートルで「いいね」を連発しております!!!
もかもか星雲、ただいま軌道は……
上空1.6メートルで「ふぁぼ」を連発しております!!!
もかもか星雲、ただいま軌道は……
上空0.0メートルで「つかれた」を連発しております!!!
もかもか星雲、ただいま軌道は……
上空0.5メートルで「しゅくだい」を連発しております!!!
もかもか星雲、ただいま軌道は……
上空0.5メートルで「またあした」を連発しております!!!
もかもか星雲、ただいま軌道は……
上空0.0メートルで「がんばろう」を連発しております!!!
もかもか星雲、ただいま軌道は……
上空0.9メートルで「あいしてる」を連発しております!!!
もかもか星雲、ただいま軌道は……
上空0.9メートルで「ほんとだよ」を連発しております!!!
もかもか星雲、ただいま軌道は……
上空0.9メートルで「きもちいい」を連発しております!!!
ザザ……ザザ……
ただいま私は……
上空∞メートルで「さようなら」を一つ伝えたいだけ
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140201_237_7274p
ちっともさびしくないって
きみは言うけれど
きみの表情が、きみを裏切っている。
壁にそむいた窓があるように
きみの気持ちにそむいた
きみの言葉がある。
きみの目には、いつも
きみの鼻の先が見えてるはずだけど
見えてる感じなんか、しないだろ。
そんな難しそうな顔をしちゃいけない。
まるで床一面いっぱいに敷き詰められた踏み絵みたいに。
突然、道に穴ぼこができて
人や車や犬が、すっと消えていくように
きみの顔にも穴ぼこができて
目や鼻や唇が
つぎつぎと消えていけばいいのに。
もしも、アブラハムの息子が、イサクひとりじゃなくて
百も、千もいたら、しかも、まったく同じ姿のイサクがいっぱいいたら、
ゼンゼンためらわずに犠牲にしてたかもしれない。
ノブユキは、生のままシメジを食べる。
ぼくが、台所でスキヤキの準備してたら
パクッ、だって。
アハッ。
かわいいよね。
すておじいちゃん。
拾ってきてはいけません。
捨ててきなさい。
ママは残酷なのだ。
バスに乗って
ぼくは、よくウロウロしてた。
もちろん、バスの中じゃなくて、繁華街ね。
キッズのころだけど。
そういえば、河原町に
茂吉ジジイってあだ名のコジキがいた。
林(はや)っちゃんがつけたあだ名だけど
ほんとに、斎藤茂吉にそっくりだった。
あっ、いま、コジキって言ったらダメなのかしら。
オコジキって丁寧語にしてもダメかしら。
貧しい男と貧しい女が恋をするように
醜い男と醜い女が恋をする。
ぼくはうれしい。
バスの中では、
どの人の座席の後ろにも
ユダが隠れてる。
ここにもひとり、そこにもひとり。
そうして、ユダに気をとられている間に
とうとう祈りの声は散じてしまった。
それは、むかし、ぼくが捨てた祈りの声だった。
蟻は、一度でも通った道のことは忘れない。
一瞬で生まれたものなのに、
どうして、すぐに死なないのだろう。
おひさ/ひさひさ/おひさ/ひさ。
で、はじまる、わたくしたちのけんたい。
ひとりでにみんなになる。
ああん、そんなにゆらさないでよ。
お水がこぼれちゃうよ。
と
カッパの子どもが
(子どものカッパでしょ?)
頭をささえて、ぼくを睨み返す。
ゆれもどしかしら。
もらった仔犬を死なせてしまった。
ぼくが、おもちゃにしたからだ。
きのう転生したばかりだったけれど、
でも、また、すぐに何かに生まれ変わるだろう。
さあ、ビデオに撮るから
そこに跪いて、ぼくにあやまれ。
そしたら、ぼくの気がすむかもしれない。
たぶん、一日に十回か、二十回、ビデオを見れば
ぼくの気がすむはずだ。
それでもだめなら、一日中見てやる。
そしたら、きみに、ぼくの悲劇をあげよう。
ぼくは、膝んところを痛めたことがない。
いつも股のところを痛める。
おしりが大きくて、太腿が太いから
股がすれて、ボロボロになってしまう。
これが、ぼくがズボンを買い替える理由だ。
やせてはいない。
標準体型でもない。
嘘つきでもなかったけれど、
母乳でもなかった。
母乳がなかったからではない。
友だちに言われて、3月に京大病院の精神科に行った。
精神に異常はないと言われた。
性格に問題があると言われた。
しぇんしぇい、精神と性格とじゃ、
そんなにちごとりまへんやんか。
どうでっか。そうでっか。さいですか。
二枚の嫌な手紙と一枚のうれしい葉書。
光は、百葉箱の中を訪れることができない。
留守番電話のぼくの声が、ぼくを不快にさせる。
そんなにいじめないでください。
サウナの階段に
入れ歯が落ちてたんだって。
それ、ほんとう?
ほんとうだよ。
百の入れ歯が並んでた
なんて言えば、嘘だけどね。
嘘だってついちゃうけどね。
だって、いくら嘘ついたって
ぼくの鼻、のびないんだも〜ん。
そのかわり、
オチンチンが大きくなるの。
こわいわ。
こわくなんかないわ。
こわいのはママよ。
小ごとを言うのに便利だからって
あたしの耳の中にすみだしたのよ。
家具や電化製品なんか、どんどん運び込んでくるのよ。
香典返しに、
たわしとロウソクをもらう方がこわいわ。
ヒヒと笑う
団地の子。
手術したい。
ヒヒと笑う
団地の子。
手術したい。
手術してあげたい。
いやんっ、ぼくって、ノイローゼかしら。
ぼくぼくぼく。
たくさんのぼく。
玄関を出ると
目の前の道を、きのうのぼくが
とぼとぼと歩いているのを見たが
それもまた、読むうちに忘れられていく言葉なのか。
百ひきの亀が、砂浜で日向ぼっこしてた。
おいらが、おおいと叫ぶと
百ひきの亀がいっせいに振り返った。
おいらは
百の亀の頭をつぎつぎと、つぎつぎと
ふんっ、ふんっ、ふんっと、踏んづけていった。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140203_261_7276p
名前を尋ねられたので
わたしは火葬場の薪と答えた
山の落ち窪んだ場所にある
コンクリートの壁のなかの
あの鉄扉
白手袋
手袋は二足歩行して
乾燥した骨を拾っている
くすんだ骨を嘗めたのは
いつかわたしが燃やす炎だ
尋ねたものはまばたきをして
蒼ざめながら握手を求めた
しらじらとした手のひらを
わたしは強く握りしめて
あかい痛みだけを残してやる
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140203_291_7285p
腹から声を出せばいいよと だから横隔膜を意識してとりあえず腹筋を絞ってみたけれど
違和感 既視感 空腹感 だけが残って
そうだ ハラミを食べに行こうよ
ほら吐く息の量は減らすんだ 喉を下げるようにしてさ
ちがうちがう 力を抜くように ふー って飛ばすんだ わかる?
ちがうちがう
ひと呼吸 ブレス Breath breθ きっとこのまま熟睡できる ね
眩暈 風呂あがりで倒れたときの浮遊感を思い出しながら
才能のなさを思い知った中庭のベンチ 深く腰かけて
小休憩 深呼吸 (v) 空気がおいしい ハラミは また今度
ひらかれた声帯の力強さ
残響で満たされた音楽ホールと無言の歓声
ため息に似たぬくもりで散乱する吐息
逃げ惑う静寂はどこか楽しげに
追いかけ回す係員の足どりは軽やかすぎて聴こえない
伸ばす右手 ずっと 仲良く追いかけっこをしよう
ミュージカルは好きじゃないけど 喜劇はわりと好きなんだ
ジェリーがいいって?
じゃあ僕は トムでいいよ
Foyer 誰もいないところなら ひそひそ声でも会話ができるね
はぐれないようについて来て この廊下をぬけたら そこはもう
疲れ果てて眠り 気づかぬうちに いつしか時間を忘れて 歌をわすれて 呼吸をわすれて のどをわすれて くちびるをわすれて かんかくを かろやかに こえが こえのしたほう したの したのおき場 置き場所が 舌の 舌が
あれ 声の出し方 ってどうやっていたっけ
ほら 耳を澄まして
カッコウの巣の上で奏でたアマリッリ
それは疲れた鳥たちのための音楽会
だから ほら
新世界からシンバルの音が優しく響いてくる
帰りたくない僕はレント 遊びたりない僕はトム
結び終えている靴紐を
いつまでも いつまでも
結び直す振りをしたあとに
ふいに思い出した 主旋律
顔をあげて
待ってくれよ って歌声が
きみのもとへ飛んでいく
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夢みる君 おかれた朝 にポン と捨てられたパンは いくところなくて 本当は 食べて ほしい乾燥肌に 同じしるしを感じた やがて 気まま わたしたち 背中から 骨が生えてた もう辛いから お互い 風通して ぬけていこう。するんとした ひろうはし つぅんとした びーだま おはじき しーる ふわふわたまご 上手な 手で 返す き み。の横 縁取られたゆびさきにみどりの 画用紙 はりつけて はやく ひとり になりたい と書かかれたメモの小ささに 自信とか やってはいけないこと ばかり申し訳なく 見えたり 隠れたり するフライパンの 汚れ なんて どんどん 無くなってしまえば。いい みると そう 君だって ずっと ずっと こうしてたかった こうして正しく すべきなの に ちゃんと 説明 できない。好き。ちゃんとした気持ちが 怒られた。 こんとこ くらい 汚れてもいいの。 巻きスカート たたもう きめた きゅうくつな やくそくは 宙返りして ウエディングドレスになる うん 同じしるし ばっちい。 あとから いつも しずむ ふね みえる あれには のらない。のらない。 だって わたしたち 恋してたじゃない ずっと はちみつ甘かったじゃない ずっと あそこに 腰を おろして パン 落ちても。 きょう み、た 君は綺麗だった。 つるつる みがかれた はたちに見える。 ぬけてくこきゅう ひろうはし あつあつの こいしを ぜんぶ 拾うことが できた顔は 教えるゆびより ひんやりしていた。 それなら きっと しんぱいは しなくていいよな花だよね
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ブルーの絵の具で辺り一面塗りたくって、何も見えないようにしてしまえばいいと君は言う。ぼくには返す言葉がない。きっと君の目の中まですっかり青くなっていそうだから。君の目は地球のように青く、世界を包み込んでいるだろう、辺り一面がブルーになってしまったときには。対話とは何か、と君が言う。そのときまでに考えておかなくてはならない、君が沈黙し続けた分の時間が、ブルーの色彩となって辺りを埋め尽くすその理由を。ぼくには返す言葉もない。これはさっきから繰り返していることだ。どうしても君の質問の意味がわからないからね。本当のことを言うなら、君が喋っているのかどうかさえわからないんだ。君のブルーの唇はその周りのブルーに溶け込んで、白い歯がちらちらと見えているけれども。ただそれだけで、ぼくには何も聞こえない。何も聞こえない状況におかれた人間の不安について君は語るだろうか? 語るより先にこの青々とした道を渡ってみせる方がずっとたやすい。もちろん青を背景に青い体の君の姿はよく見えないけれども。これは見せ物じゃないんだ。これこそが本当の対話なんだと君はぼくを説得しようとする。けれどもぼくにはやはり返す言葉がない。答えてしまったら説得されてしまったのと同じことになってしまうからね。ブルーと言えば昔、青色本というのがあったけど、ひょっとするとこの青々とした世界観は、その本から少しだけ色を借りてきているためなのかもしれない。そう思ったところで何も変わらない。語り得ないことについては沈黙しなければならない。でもそれでもこの青さについては語りうるような気がしている。いやもう十分語ってしまったからこれ以上語れないのだという気がする。なあもう少しだけ口にしてもいいんじゃないか? そう君は言う。そうだなこの哲学的な青さの中で、君は何を語り得るだろう……。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140113_898_7240p
つまりそれ
は、
現代詩にするなら
かいじゅうのあしあと
まちをはかい
したあと
道に迷い泣いた大雨
帰れない翼
バラバラと降る、その羽根
はれつして
赤が黒くなる時間。
手首にまく
つまりそれ
は、
時間のはなし
孤独なかいじゅうのはなし
切り取った地図が
水色で
陸がないから
おぼれた
泳げないかいじゅうのはなし
つまりここ
は、
未来。
生まれた家のまえ
縁側にすわり
おしゃべりした家の
まえ、
ひんやりした日陰、
風がはこぶ
しずかなうた、
灯りがひとつふたつ
消えて
ゆく。
かいじゅうは
現代詩くいちぎり
まちをはかい
したあと、
残った比喩
を
右から順に潰して
生まれた家に今日は帰れた。
翼のない
きれいな背中、その白さ
鋭い爪に
優しい言葉あげたい。
つまりさいご
は、
雨に負け
石畳は散文的な配列
みだし、
蛇みたく
やがて夜より大きな詩が生まれ
る。
つまりそれ
が、
詩人の夜食。
逆にそれ
を
甘くしたのが
かいじゅうのおやつ
中心部に迷信を植える作業
現代詩を海馬で送信する
やわらかな草原で
心臓の音
すこしずつ陸ができ
そだつ花。
つまりそれ
は、
現代詩にするなら
時計の針。
今、
時間を戻し
針をさす
ほら、
指から血が
まるい赤、
まるで花。
さらにそれ
を
撒き散らせば
夕暮れ。
つまりこれ
は、
日本にたどり
ついた
かいじゅうのはなし、
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140203_284_7283p
お釜のなかの
炊きたてのご飯をササッと切って
手首をうまく使って
ふっくらとなるように
混ぜるんだよね
僕、できるよ
ママがいなかったとき
僕、ずっとやってたもん
あの家では、僕、いつも
そうしてやらされたんだよ
ママ、
ご飯が炊けたら
混ぜないでほしい
ピザにみたいに切って
ケーキみたいにして
おちゃわんに
よそってほしい
お米がひと粒ひと粒
つまったままの
ぎゅっとつまったままの
ママでいいから
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140204_305_7288p
書いたって何にもならない。言葉が降ってくる。雪みたいに。ページが埋まっていく。溶けたら何にも残らないのに。空がそこにあった。色を変えていく。何色だった?何も残らないのに。忘れてしまった。確かにそこにあったのに。地球が回り続けるせいで。何もかもが軌道のなかに。冷たい熱となって。消えていくのか。
ピンクとジャンクが婚姻して、シャンパンとパンクは頭から液体が。次々と倒れていくだらしない体。ようやく玄関を開きながら飲み過ぎたワインを吐き出し、そのまま卒倒する君の。右の頬が赤いキリストの血に浸る。今日も水が透明だということに感謝しよう。真白い肌で、ヴァージンロードを歩むマリアの、鳴り止まない頭痛に祈りを捧げよう。パンとワインの、口から産まれた子どもたち。毛布と錠剤にくるまれて、愛は何色だったか?お前たちが産まれる前に。お前たちが産まれた後に。あの時何色の光に包まれていたか?駅前のドラッグストアで、煙草屋の跡地に、優しさはわかりやすく棚に並んでいるから、他人が並んだだけの僕たちは、並べ間違えてしあわせと口にした。
30歳まで生きるな。冗談みたいに笑う。笑うしかないみたいに笑う。お腹が筋肉痛になって、喉が潰れるくらいに、体を捩らせながら笑う。意味がわからなかった。わかるのが怖かった。笑い続けながら黙っていた。終わるのが怖かった。わかんねえー!わかんねえーわ!もう浩輔なんか隣で笑いながら怒っていた。叫んでいた。血が噴き出すみたいに。嗚咽した。何にもできなくなって背中を抱きかかえた。バカだった。聖書にだってこう書いてある。この本は燃えるゴミだ、海を越えて汝の土に埋めよ。ああ、今日って、何曜日だったっけ?
書いたって何にもならない。言葉が降ってくる。雪みたいに。頭のなかで。ひとつひとつが、落ちて溶ける瞬間の発光。小さな。言葉を燃やすための体。白いページ。君の頬。柔らかな。空がそこにあった。いつもそこにあった。いつもあったせいで忘れた。駅前の煙草屋はずいぶん昔になくなった。なんだか煙草が吸いたかった。君の指を思い出した。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140203_263_7277p
I温泉郷へ車で向かった。I温泉郷はF県北部に位置する伝統のある温泉郷である。I温泉郷へ向かう途中のトンネルを抜けてしばらく過ぎると、先ほど通過したのと同じ名前の蕎麦屋があった。おかしなこともあるものだと思いさらに道路を進んでいくと、いつの間にかもときた国道へと戻ってしまった。そこで私は気づいた。トンネルの出口を抜けるとトンネルの入り口から反対車線へ戻ってしまうのだと。トンネルの出口はそのまま逆方向に入り口に戻ってしまうのだ。だが、I温泉郷に行くにはそのトンネルを抜けるしか道はない。
I温泉郷へ車で向かった。I温泉郷はF県北部に位置する伝統のある温泉郷である。I温泉郷へ向かう途中のトンネルを抜けてしばらく過ぎると、交差点があり道路標識の板が見えた。右方に向かうと「未来」、左方へ向かうと「過去」、直進すると「現在」とのことだった。私は迷った。過去へ向かうと若返るのか、それとも一層歳をとるのか。現在へ向かうと時間の流れが停止してしまうのか、それとも現在は常々更新されていくのか。未来へ向かうと一気に数年分を跳ばしてしまうのか、それとも穏当に現在から連続する未来が続いていくのか。とりあえず「現在」に向かって直進した。すると山道を登っていく道になり、右折や左折を繰り返し山を下る段になると信号が赤になった。横断歩道を渡っていく男がいて、どこかで見たことがあると思ったら私自身だった。途端に私は横断歩道を渡っていて、左を見ると私が車に乗って停止していた。私はそのまま町内会の集まりに向かった。いつも通りの年寄りたちのメンバーで、酒を酌み交わしながら新しいゴミ捨て場について意見交換をした。私はそのままI温泉郷にある自宅に帰り、妻と共にテレビを見て、その後入浴し就寝した。
I温泉郷へ車で向かった。I温泉郷はF県北部に位置する伝統のある温泉郷である。I温泉郷へ向かう途中のトンネルを抜けてしばらく過ぎると、古びた小さな観光案内所があり、中には中年のおばさんがいた。初めてくる場所なのでどこに行ったらよいのか聞こうと思って、私は案内所の駐車場に停車し、案内所の扉を開けた。中に入ってみると、それは案内所どころではなく、I温泉郷のすべてだったのだ。内側は広大になっており、おばさんは沢山の入浴場を地図を使って紹介してくれた。私はI温泉郷マップを手に携えて、とりあえず価格の穏当なところを5か所くらい梯子した。タイル張りで狭いところ、檜風呂で広いところ、下に砂利が敷いてあったり、露天風呂だったり、案内所の中にはたくさんの温泉があり、沢山の入浴客でにぎわっていた。案内所のおばさんは毎回私と一緒に風呂に入り、温泉ごとに体つきと顔が若返っていった。私が案内所を去るころには、高校生くらいの若くて美しい姿で見送ってくれた。
I温泉郷へ車で向かった。I温泉郷はF県北部に位置する伝統のある温泉郷である。I温泉郷へ向かう途中のトンネルを抜けてしばらく過ぎると、急に人々の集団に道を阻まれた。私は危険なので停車し、様子をうかがった。押しかけてきた人々は、人種も性別も身なりもてんでバラバラであり、この人たちを結びつけているものはいったいなんなのだろうと思った。白人の老人が何かを叫んでいる。中国人の若者がガムをかんでこちらをにらんでいる。黒人の太った女性がどっしりと構えている。私は日本人らしい老婆を見出し、話しかけてみた。「ここに来る途中にあった進入禁止の標識を見なかったのかい。柵があって入れなくなっていたはずだがねえ。」老婆はそう言った。ところが標識も柵もなかったのだ。「ここに入った以上二度と戻れないよ。この村にはたくさん秘密があるんだ。」私は人々に連行されて、村の長の前に突き出された。「この村の存在をどうやって知ったんだ」長は私に問い詰めた。確かに、I温泉郷は実は私が秘密文書からその存在を推知した場所だった。現在の地図には載っていないし、政府によってごく自然に存在が抹消された場所だった。ここでは人間の品種改良が行われているらしいということを私は知った。「お前は何か特殊な能力をもっているか? でなければこの場で殺す。」長は私にそう告げた。幸い私は知能指数が200だったので、一命を取り留めた。そして、毎晩のように色んな女性と交わっている。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140203_267_7280p
>I温泉郷へ車で向かった。I温泉郷はF県北部に位置する伝統のある温泉郷である。
>そこで私は気づいた。
>私は迷った。
>すずらんさん
>便所男さん
>逢江さん
>印象派さん
なつかしいひとびとのなかで
わたしは
なまえをなくした
さがすことはしなかった
むしろほっとしていた
なつかしいひとびとのなかで
わたしは
誰ひとり会うことなく
隅のテーブルにつき
ちいさなポットで お茶をのんだ
なつかしいわたしのきずついた椅子が
まだよごされていない海に
浮かんでは 流されてゆく
――よごされていない海なんてまだあったのだろうか
それならば もうすこし泳げばよかった
あの椅子をしるべにして
わたしの座標はいつも、痛んだ光、汗、くずかご、帽子、わらわない赤んぼう、老人、
つるつるした廊下にうつる窓のでたらめ、綿、赤いくだもの、カーテン、音楽、せなか
座標のとなりにえいえんがいるのを
たしかめるように
なでつづけては 消してきた
なつかしいひとびとのなかで
わたしは消えている
誰かに 真摯に なでられた記憶などないのに
ひょっとして 座標たちをうしなったせいか
スカートのポケットをまさぐる
ガーゼのハンカチに
しるされていたなまえが
いちばん遠くにあって
かつてこのなまえをいちばんたくさんよんだひとの
そばにたたずんでいるのを
なつかしくおもいだした
消えたものはそこにいる
角のまるい肌色のテーブルのきずを見つめる
見つめつづける
あたらしいきずだった
わたしがつけたのかもしれない
わたしはお茶をのみほし
となりのえいえんに
とびうつるために
この椅子を海へ
わたしごと 投げいれる
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140127_117_7260p
>つるつるした廊下にうつる窓のでたらめ
>かつてこのなまえをいちばんたくさんよんだひとの
>浮かんでは 流されてゆく
>なでつづけては 消してきた
私は自宅のパソコン画面をぼんやりと見つめていた。なにかしら考えていた。椅子の上にあげた、右のかかとをずりずりと左の手の平で無意識にころがしながら、私宛てに送られてきた、その「語」を眺めていた。
どうしたものか…
わたしたちは、ネットで繋がっているコミュニティのうちのひとつである。
毎月2日に、その「語」が送られてくる。
3つの「語」。それらを使ってわたしたちは、なにかしら描く。
わたしたち、と言ってもわたしたちがどんなだか、わたしたちは知らない。何人いて、どんな風体で、何を好み、何を生きているのか。
つまり、わたしたちは「わたしたち」でしかなくて、その内容をよく知らない。
…知らぬまにざらついたかかとのあたりに溜まっていた視線を、再び画面にそそぐ。
送られてきた、その「語」を、緩慢な指でカタ、カタカタ、カタ、と反復する。
かかと
扇風機
麦茶
かかと、
扇風機、
麦茶、
この語を選ぶのはわたしたちだ。だけど、今回は私ではなかった。
マウスの奥においた汗をかいたグラス。そこに入っている麦茶を口の中でころがす。
とけ残りの小さな氷が、犬歯にあたって、カチっと音を遺して消える。
グラスの中には、まだある程度の大きさを持った氷がいくつか泳いでいた。
そいつを口に含んで、奥歯できゅうっと潰す。きゅうきゅう呻きながら、そいつは、小さく萎んでいく。
ガリッ
萎みきるまえに、そいつは割れてしまった。そして、かみくだくまえに、消えてしまった。
奥歯に優しい冷たさだけが遺される。この、冷たさも、すぐに消えてしまうのかな。
この奥歯にのこされた温度、この犬歯にのこされた音。この手の平にのこされた、かかとのざらつき。
わたしたちはわたしたちの感触を確かめ合う。
わたしたちが何者かは知らない。幾度となく繰り返される月に一回の文字を遺す作業。
消えていく、うもれていく3つの語。
わたしたちは確かめ合う。だれとも知れないわたしたち。
と、いきなりパソコンの電源が落ちた。背筋にあたる強めの風も勢いをなくし、カタ、カタカタ、と渇いた音を遺して止まった。
また、祖父が部屋でクーラーと扇風機2機をつけたまま、テレビを見、電気ケトルを使い、暑いキッチンで祖母が料理に精を出していたのだろう。ブレーカーが落ちたのだ。祖母の拗ねた顔が目に浮かぶ。祖父がブレーカーをなおしに席を立つ音がする。いつも通り、少し手こずるのだろう。
クーラーのない私の部屋は、風がないのは正直つらい。窓をあけに、パソコンから離れる。錆びてかたくなった鍵を手の平で叩きながらゆする。窓をあける。
網戸の隙間を通って、申し訳程度の風がささやかにカーテンを揺らす。
風はたえず吹きつづけていたのだ。
白い空に浮かび上がる、電線の黒い筋を目で追っていると、しばらくしてブゥン…と音をたてて、また強い風が吹きはじめた。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140204_335_7290p
>ukiさんへ
●ring
青い花が好きだった赤い少女が白い文法の群生する野原を駆けていく夢を見たんだ、と、洩らした傍らの友人は墨のように真っ黒でなぜか直視できない、明け方の浜辺、打ちあげられた魚たちが至るところで力なく跳ねている、その上空を猛禽たちが鋭い目つきで旋回している、その光景を黒い影たちがゆらゆらと円状に取り囲んで眺めている、(そして、遠くからそのさまを観察する何組もの私と友人、)なぜ死は静寂として齎されないのだろう、と、友人は言う、波が嘲るように声をあげる、いきものはひたむきに躰をくねらせるのにどこまでも静寂だ、静寂に色彩を宛がうように、ぐるぐると幾重に俯瞰の渦を巻き、浜辺に打ち上げられた青い少女が昨夜食べた赤い花は文法の白い野原に群生しているんだよ、と、影たちは口々に言う、彼らもまた文法なのか、
●kasou
日記を書く、私が大切に育ててきた庭のくちなしに火を放つという架空の内容の今日、(炎に浮かぶオオスカシバの幼虫は痙攣しながら溶けていきましたまるで焼け焦げて歪む写真の像のように、)やがて炎は私の家をも呑みこみ爆ぜるのだろう、ばちばちと音を立てて炎上する私の家で生活していた私も炎上する、なんの比喩もそこに介在できない、かつてここに私の家があったころたしかに私はここで生活していました、していたことがあります、と、語るための、熱、(黒い父や黒い母が炎の中に揺らめいているのが見えました、知らない人たちでした、)インクで汚れていく日記帳、文字が咲き乱れている、ね、(ふいに羽音が聴こえて顔を上げると煙る空にたくさんのオオスカシバが舞っていました、)火の粉、空から降り注ぐひかりの鱗粉、透明の翅、色褪せる水の深淵から数えきれないほどの羽音が溢れ、色濃い静寂が炎の喧騒する輪郭を舐める、白昼のさなか、
●eyes
外人の青い瞳の中に指を入れてかき混ぜるとします、赤い語彙が溢れますか、そしてそれをあなたは読解できますか、と、教授は私に問う、外人のことなんてなにもわかりませんなぜなら私が殺した人々はもはや外人ではないから、私の黒い瞳のしじまの中に指を入れる私たち、かき混ぜる、あるいは混ぜられる、赤く染まる視界、射精、吐き出された私の血溜まりにはたくさんの外人の瞳が転がっているから、青や、赤、色彩の花畑、文法を摘んでいく少女は傍らで干からびている私の死体には目もくれない、あなたが外人だから、と、教授は言う、私は答えない、答えられない、(外人だから、)
氷晶、幾数の四角形、あざやかな指が延びていく、枝、野原はやがて森になるのさ、
●yagate
かつて、から
たくさんの水は溢れて、
それを血溜まりと呼ぶ外人は歩き去り、
文法が手を広げる色彩の森の中で、
比喩されたいきものたちの、
かつて、に、
相当する言葉もないまま、
黒く透けた母や、父が、
何度も、芽吹いたり、
刈られたりする、
やがて、
しらないひとのくにから、
たくさんの羽音が聴こえるだろう、
俯瞰が群生する水際の、
明度、影が語彙をもつ白昼のさなか、
外人でありたかった私たちの黒い瞳がこぼれ、
外人である私たちの青い瞳がこぼれ、
森の血溜まりのなかに転がる、
転がった、瞳が、
一斉に割れ、
青い瞳から黒い外人が孵り、
黒い瞳から青い外人が孵り、
その上空で
夥しい数の父や母が、
騒がしい羽音を立てる、
(なぜ静寂として齎されないのだろう、)
今朝、
青い花が好きだった赤い少女が白い文法の群生する野原を駆けていく夢を見たんだ、
と、傍らの友人に告げる私の体は真っ黒でなぜか直視できない、
空から淡くひかる鱗粉が降ってくる、
なにひとつ比喩ではない浜辺で、
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140129_154_7262p
>外人の青い瞳の中に指を入れてかき混ぜるとします、赤い語彙が溢れますか、そしてそれをあなたは読解できますか
>日記を書く、私が大切に育ててきた庭のくちなしに火を放つという架空の内容
>(なぜ死は静寂として齎されないのだろう、と、私は、言う、)
>夥しい数の父や母が、
>なにひとつ比喩ではない浜辺で、
>ひとつの視点として、「文法」との「未知」との言語の出会いにより引き起こされた言語活動として読むこと。
>あるいは正常な言語活動はなぜ挫折しつつも、最後まで「私」をしばりつけるのであろうか、という視点から。
>>(なぜ死は静寂として齎されないのだろう、と、私は、言う、)
>報いる、では弱いです。
>「あなた達」を「滅ぼす」ぐらいにならなければ、書いている意味はありません
>私は作者の作品をほとんど知らないけれど、ここまで1つのaspectで書けるのなら複合的なaspectsで書くという方向に進んでもよいのではないかと思います。それにはという精神的苦痛を伴うけれど創作とはそういうものではないでしょうか。
>むしろ、視覚が強調されて言葉の軽重が混乱する感じ(音とか運動に回帰しようとする感じ)は、日本語っぽいと思った。花は桜木、みたいな。
>技巧が凝らされてるのは結構なことだけど、ちょっと窮屈かな。
>凄い作品だな、というのはわかる。わかる、けど、んー、どうだろ。わたしはうまく潜れないかなあ。列挙される色(青・赤・白・黒)にはじかれる。それをそのまま置いたら記号じゃねえかよ!というのを逆手にとった、所詮記号に過ぎないよね全部文法の結果だよね、みたいなんが、なんというか、そういうものに面白味を見いだせないというか。
>列挙される色(青・赤・白・黒)にはじかれる。
>煙、灰、火の粉からの降り注ぐ鱗粉のイメージまでは追いかけられたんだけど、最後の羽音だけが少し唐突だったかな。燃え盛る炎の音、それと対比的な炎の静寂さがすでに際立ってしまっているからなのかな。
>正直この聯は読んでいてたのしくない。
>すごく考えて作られてるし、読者へのくすぐりも工夫しているようにおもうんだけど、なんというか、カタイ。もっとトベるだとう、と。
>この書き方じゃ絶対に越えられないものがあってそれに気付いたらこういう作品にうんざりしちゃうかもね
>筆者は共同幻想の夢でもみたのだろうか?
>文法、語彙、、それにしても一目瞭然と提示された表記が少しみえすいてはいないか。読者に対して指示された表示がテクストとして圧迫感を強いられて読めてくる。外人なんて表記が客体的に使用されたのは、つまりテクストとしての枠を越えられなかったせいだろう。観念的にみれば、拡げられた幾つもの境界の線がひとつの狭められた輪郭の中に無理やり押し込まれた様子に読めてくる。
>作者自身が持つ強烈な憧れの対象を色っていう記号に置き換えて展開させてるのかなと感じた。意識的に混在させてるけど循環(円環)する死生観だったり、自分が持っていないものを持つ他者(外人)への羨望とか。俯瞰って言葉が出てきてはいるけれど視覚化しようとしてる場面では見上げてる視点が多いのはきっと、憧れからくる作者の無意識的な姿勢のあらわれかなと。
>黒は死のような避けて通れない運命のことと捉えたけど、作者には夥しい生と死は蓄積して(自分自身の死さえも)未来の礎になると考えてるところがあるようだから、作中では死というものを嫌でも想起させる羽音を「静寂として齎されない」もの、つまりは死が完全な無(静寂)ではなくて全てのものへ還っていくその時のためのきっかけとして、または読者に知覚させやすくするためのキーガジェットとして羽音を使ってるんだと思った。ただ羽音を騒がしいって書いてるから、自分が死んだらもう全部関係ないから静かに眠らせてくれよ、みたいな思いはあるかもしれないけどね。
>注文をつけるとしたらイメージの飛ばし方が予定調和だから羽虫の視点の如くもっと飛ばして欲しかった。うまく飛ばせたら繊細さと力強さを併せ持ったより良い作品になると思う。
>初書きの時の方が好き。
>これ告白?もうすぐバレンタインだなんて!
>昇華され過ぎて逆にくどくなったね
>各連が第1連、第2連のような形のほうが、見た目がうつくしいと思いました。
>「外人」は、いまは「外国人」と書くほうがよいようです。
>戀にも似た想いをあなたの詩に対していつも持ってしまうので無駄にあなたの作品を高評価してしまう傾向がわたしにはあります。しかし、それでもこの詩は良いです。読み終わったあと、溜め息が(もしくは呻き声 笑)がでました。
>初稿も拝読致しましたが、その際にわたしが疑問を抱いた部分があらかた払拭され、あらたな問題を(わたしへと)提起してくださいました。(でもそれはナイショです笑)
>個人的には語り過ぎな部分があるな、とも思うのですが、普通の読者に対しての配慮と考える事も出来ます。
手
私が生まれた時
抱いてくれた手
対面が遅れた私を
母や祖母は
優しく抱き締めた
旅立った兄のよう小さい私
無事でほっとしたという
両親にとってはやっと
無事に授かった
二人の子内の一人
祖父母にとっては
最後の孫
家系にとっては
50年来の女の子
沢山の人に喜ばれ
抱かれた私
殆どのかたは
もういない
しかし可愛がって
もらった記憶と顔は忘れない
私はその内
祖父二人を初め数人の
死に顔を拝ませて頂いた
一生懸命生きた
人生の先輩に敬意を払って
沢山学ばせてくれたから
戦争のこと戦友のこと
命の大切さ
今は当たり前じゃないと
私は何時でも
生死者関係なく手を繋いでいる
離すことはない
例えこの身が滅びても
私を覚えていてくれる
人がいる限り
そしてこれからも
様々な人と手を繋ぎ
生きていくだろう
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140206_384_7296p
おれのなかの メルギブソン
蘇りの野蛮人か
眠りの救世主か
十字架へし折るまでメルギブソン
一人きりの聖者か
偽りの暴君か
人喰らう阿Qの末裔かメルギブソン
シシフォスの体現者か
新たなるドグラマグラか
薔薇に滴る歴史に涙するかメルギブソン
哀れみの湖メルギブソン
ミューズを沈めて静かなるメルギブソン
その見開いた青き瞳にたたえ
警告をビームするかメルギブソン
回生をギークするかメルギブソン
憎悪を駆り立てるかメルギブソン
情愛を語りかけるかメルギブソン
草の悲しみを見るかメルギブソン
希望はあるというかメルギブソン
どうしようもなくDVなメルギブソン
まったく痛々しい限りのメルギブソン
地獄の釜へまっしぐらEXILEメルギブソン
血深泥道連れ情け知らずかEXITメルギブソン
結局古典的なモラリストにすぎないかメルギブソン
中世を夢想していたりするかメルギブソン
そんなちっぽけな話にメルギブソン
収まりはしないのかAMAZONメルギブソン
月の荊に貫かれBABYLONメルギブソン
今夜もおれはその名を
何度繰り返そうか
最低野郎 メルギブソン
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140201_221_7269p
>信心深いのに酒に溺れDVの噂もある。信心深いがゆえに頑迷で狂信的で差別的。
>Amazonとbabylonがよかったです。
新生
わずかにからだがゆれている
冷気さえ眠る夜に
自分がふれた蛍光灯のスイッチの紐が
ゆれているのを見て
からだがむしょうにふるえてくる
ずいぶんと経たが
もうなおらない気がする
テレビでは
蜃気楼に映るような
痩せた牛が足を引きずりながら
道路を横切っている
廃屋の庭にはセイタカアワダチソウが
群生している
それは
うまれたばかりの空だ
その汚れない青さには
きっと
これから名前がつけられるのだろう
あれは何時だったか
みずのにおいを消し去った
なにもない瓦礫の野で
ひとりの男がなにかを探している
その寂しいすがたに
わたしは 明治四十三年
若かった民俗学者が
少年のような眼を
輝かせて
さがし紡いだ
若い女の幽霊に栞をはさんだ
曲がった家族アルバム
透明なランドセル
光りを無くしたモネの偽絵画
卓上時計のなかに咲いたみずの花
そして
残ったみんなで大きな柵をつくり
動けなくなった人を
木箱のなかにならべてから
純白の布で 身体を覆った
純白の布の
いさぎよい色は
きっと
このときのためにあるのだろう
おぼえている
昔 父の葬儀のとき
抱えた白い骨壺はとても冷たかった
あの純白は
これから歩いていくものだけが
もてるのだ
アオサギが泣き
わたしの足が西にかたむくころ
低い稜線が
すこしずつ
海に没している
葬送
夕日からきこえる声
噛み砕けば
冷たい雪が
ひとつひとつ積もるだろう
棺の
かわいた脈動に
耳をあてれば
その意志を
残された友の祈りが
束ねている
あなたの
やわらかい眼光が
砂のように
西方の地平に沈んでいる
腕でみがき
足で踏み固めた
その汗に
あなたの父母は
よわい
姿勢をかたむける
刻まれた傷跡は
むきだしの
教訓なのか
あかるいときのなかで
昇華される
そのひかりの粒が
芽になり
若い
大地に塗されていく
美しい
ひとりが
充たされた棺に手を添える
かつて
心臓が高鳴り
のぼりつめた肩に
引き潮の花を捧げよう
饒舌な
しずかさが
その亡骸を
みずのような太陽の
帆先へ
さしだしている
紡がれた大地の
紡がれた土の
紡がれた草の
その草の名前を
その草の出自を
輝かせながら
追悼のうた
ことばのない土を
ことばのない空を
断崖が しずかに線を引く
その聳え立つもの
佇むわたしの踝は
夕凪を握りしめている
その夏の 無効をうきあげる
屈折を
ひかりの遍歴を
灰色の意識でみたす
対話を
きみたちの
もう見えない眼は 言葉の屍を
洪水のように流して
そうして
あらわした柵を
限りなき内部へ
沈めようとして
ならば
答えよう
杭をうたれた雨を
掬って
冷酷な底辺に
暗くおびを敷き
その否定された内部の
血潮を
高く
敬意をこめて
さらに高く
きみたちの
旗として掲げよう
慰霊のうた
(ぼそぼそと誰かが呟いている)
(
(
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140206_395_7297p
並走する針と卵白、
度数12%、
スプレー缶の引っ掻き傷、
鉄塔が、
逃げる。
整列した分子。
敷石を掘り返せ、
スタジオの、
階段を転げ落ちる、
つばめがまた啄みに降りてくる。
針。
御機嫌如何。
南9丁目の筋。
茶畑、
ランドリーの前に停まれのサイン、
*
昼からは自分をなくす、
空をなくす、
男女6人から
3キロメートル距離をとり、
名前を呼びながら倒れた地面には
耕耘機が捨てた土が
足跡を模して人差し指に連なる、
*
御機嫌如何。
ドバトはまた仕事の邪魔をする、
さながら旧友(悪友)のように
腰を掴む、
*
やめやめ。
針はまだ、閨のなか、
*
踵を痛めている、
金縛り、
遺伝因子上のなにか、
(レンズが割れたまま。)
半透明、の
そら
剥がした切手
卵白が あふれる、
そのあわいにいる、
*
薄まる緩衝液
御機嫌如何。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140205_369_7294p
>卵白が あふれる、
>そのあわいにいる、
>タイトルがださいですね
きみがあばれた部屋は
南方系モンゴロイドの匂いがする
こん棒を持った看護士らと
いなごの大群を操って乱闘し
見事、一人の肋骨をこなごなにしたきみは
さっそくそいつの鼻血で赤い壁画を描いていたから
わたしはこなごなの肋骨を掬って
ふー、ふー、ふーって
壁にかわいい夏の星座を飛ばした
“こぐま座”
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140203_277_7282p
蚊が川の上にいる
魚が鳥のように跳ね上がってる
ずっと暑い 七週間もの間
喋るのも暑すぎる今
君は聞こえたか? 俺がさっき何を聞いたかを
言おう、それはフィドルだったかも知れない
それとも そいつは風だっただろうか
だけど今 ひとつのビートになったように思える
俺は今 俺の足に感じることが出来る
聞け、また来るぞ!
「バンドがハイウェイの彼方に居るのよ
彼らは激しく町に入ってくるわ
彼らは虹の豊かな響き
それは花火
カリオペと
道化者たち」
みんなは踊っている
おいで 子供たち おいで 子供たち
おいで 君の手を叩け
太陽が はちみつの中に沈んだ
月が ワインの中に上がった
星が めまいがするほど きらきら回った
ほんとに! バンドが僕らを忙しくさせる
我々は「時間」というものを忘れてしまった
彼らは ことばでは言い表わせないバンドさ
エホバの お気に入りの聖歌隊のようだ
人々は手に手をとり参加する
音楽がバンドを演奏する間じゅう
主よ、彼らは我々を火にさせる
狂った おんどりが鳴く真夜中
電光のボールが転がりまわる
年老いた男たちが彼らの夢を歌う
女たちは笑い 子供たちは悲鳴をあげる
そしてバンドは演奏し続ける
「夜明けまで踊り続けましょうよ
朝の空気にあいさつするのよ 歌と一緒に
しかし 誰一人 通知されず
バンドのみんなは荷造りして行ってしまったわ
そもそも ここに少しも居なかったの?」
でも彼らは踊り続けている
来れ 子供たちよ 来れ 子供たちよ
来れ 汝の手を叩け
さて、涼しいそよ風が火曜日に来た
そして トウモロコシの大量の収穫
畑が一面 踊っている
いっぱい歌っているし いちゃついている
なぜなら 音楽は決して止まらなかったからだ
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140129_158_7263p
見えるかい?
ここにとんがったものがあるよ。
世界に並ぶ何物よりもとんがったものが。
そいつをもってして
君の胸を刺したって
首相 小僧 濃いめ 薄い目
ほののんと ほののんしてる
ひっかいて ひっぱって
聞こえるかい?
ここにとんがったものがあるよ。
世界に並ぶ何物よりもとんがったものが。
そいつをもってして
君の鼓膜を破ったって
青い体操服と 白い帽子 名前は黒いよ
ほののんと ほののんしてる
切り裂いて 切り裂いて
ぱ!
ねえ ほののんって なあに
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140205_371_7295p
>世界に並ぶ何物よりもとんがったものが。
ねえ、聞こえる? 聞いてるよ。何だい? なんでもない。ただなんとなく、気になってさ。何が? 聞いてるのかってこと。聞いてなかったらどうするの? 死ぬの? 死にやしないさ。でも気になるんだ。気にしてくれるのはうれしい。でもね、ただなんとなく死んでいくのかって思うとつらくってさ。つらいって、何が? ただなんとなく、死んでいくのが。同じことを何度も言わせるなよ。誰もがただなんとなく死んでいくだろう? この世界じゃあそういうことは日常茶飯事だ。嘘つけ。そんなはずはない。それはお前の思い込みにすぎない。誰もが必ず何かしらに生きがいを見出だしてそれに打ち込む。そうだろう? ねえ、聞こえる? 聞いてるのか? 聞くとはどういうことか? 教えてやろう。耳の穴の中に、言葉たちを引き連れて入っていけばいいのさ。何を? 言葉たち。ねえ、それだからもう一度言うよ、どうして聞こえるんだい? 君が聞いているのは何だい? 音楽かい? 声かい? ねえ、聞いてるの?
明日も冷めやらぬうちに
帰りなさいとあなたは言った
言ったところが傷になって
残った。残った、はっけよい
いいか? 耳の穴の中は、とても複雑な構造をしている。そこに波だけ連れていってもいけない。音を連れていくんでもいけない。言葉だ。言葉を連れていかなければならない。おっと、もう帰りの時間だ。明日の朝から夕にかけての日の光のことを君は忘れてはいけない。そうしなければ、ただ……なんとなく死んでいってしまうだろう。君を忘れない。最後まで。最期のときに君は何と言ったろう?
昨日のことが忘れられない
明日になってしまったら
ぼくはますます死にたくなるよ
傷だらけのポエマーになって
君は見たんだ、その姿を。傷だらけのポエマーの姿を。でもそのことを告げてはならない。ただこう言いなさい。私は見た。光を。こう言いなさい。それですべて終わる。終らせなければならぬ。ただなんとなく死んでいったものたちのために語り終えねばならぬ。そうだろう? なあ、そうだろう?
こうして言葉だけが残った。はっけよい
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20140201_233_7273p
>こうして言葉だけが残った。