いつもより、少しだけ早起きをした朝に
吐く息がまだ白い
金木犀が二つ並んで植えてあった曲がりかど
待ち合わせて歩く道端に、
気を付けてよく見ると
小さい緑のギザギザが
這いつくばってこれでもかって食らいついて、
なんだ、たんぽぽか。
黄色い花を付けているので、西洋タンポポ
ダンデリオン、って
ライオンの鬣(たてがみ)みたいな、そんな名前あるんだな
そういうことを、君に説明してあげると
真っ赤なランドセルを背負った君は
とても嬉しそうに、いちいちうなづいてくれるから
次は花言葉も調べておこう、って
こっそりとそう思うんだ
かつて此処は海になった、
見たこともないような大きく激しい波だった、
ぼくときみは高台までお母さんたちと一緒に逃げたけど
きみのお父さんの愛車のミラは、
後ろから、地鳴りみたいに迫った波に追い抜かされてしまったんだ。
信号も無視しておじさんはがんばった
いつも安全運転の標本みたいなおじさんが
見たこともないスピードで最大限までアクセルを吹かして
きつい坂道を登ったけれど、
海は許してくれなかった
おじさんの車は瞬く間に波に飲まれて逆さになった
それから海が自動車を食べるのを
ぼくたちは、高台から
何にもしないで、ただ見ているだけだった
言葉など、なかった、
信じられるものも、なかったんだ。
僕たちはお互いに震えていたし
海に捕まったのが、ぼくの父ちゃんじゃなくて
きみのお父さんだったと言うことが
僕らを隔てていた、
声も出なかった
*
「寒かろうが、亮ちゃん、」そう言って
近所の割烹着のおばちゃんが
こっち向いてみぃ、そういうと
腰を落としてぼくを抱きしめてくれた
糠みそのかすかな匂い、
そのとき僕の心臓が、はじめてトクン、と鳴った気がした
あれからもう一年が経つんだね、
僕たちの生活は変わってしまった、
世界は年々狭くなり、事件は毎日起きるから
僕らの事はどこかの世界で起こった決して小さくはないけれど
いつか昔の出来事になっていくんだろう
でも、あの日起こった出来事は、僕のなかでは
終わっていないし、
なにも解決なんかしていない、
たった一枚の写真も残っていない
思い出の箱の中身は誰かがひっかきまわしてくれるんだろう
それとも、もう二度と開けない方がいいのかな
今日も僕は、はなしを作る、
きみが現実に負けてしまわないように、
たんぽぽの鮮やかな黄色が、光を浴びて
「負けるなよ」って
話しかけてきた。
そうだな、って
黒いランドセルをもう一回よいしょ、としょいなおし、
ひとりで勝手に頷いてから
どっからだったっけ、と
君に笑って、
続きのはなしを、はじめたんだ。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20120310_963_5933p
>なるわけねえだろ ボケッ!
>いったいどうしてこういうスタイルの詩を書こうと思ったのでしょうか。
>まず断って置かないといけないと思いますが、俺はこの震災の直接の被災者ではありません。
>体験者が少なくなるにつれて風化しつつあります
>キミはトラウマということの中身がまったくわかってないな。トラウマというのは、凍てついたら不変なんだよ。
>ここでほんらい取りざたされるはずの「トラウマ」「記憶」という問題を
>僕らの事はどこかの世界で起こった決して小さくはないけれど
>いつか昔の出来事になっていくんだろう
>ほっぺがまあるくなるように
>りんごの頬に染まるように
>きつい坂道を登ったけれど、
>海は許してくれなかった
>楽しそうに笑って は、
>君に笑って、
>いったいどうしてこういうスタイルの詩を書こうと思ったのでしょうか。
>レスありがとうございます。こちらの詩へレス下さるということですね。是非ともよろしくお願い致します。
>ルール違反については、十分に自覚しているので、「文学極道」さんからの処分があれば、それを受け入れさせて従わせて頂く所存です。そういう趣旨のレスでした。('12/04/02 23:33:02 *1)
>、過去の経緯も含めて、泪さんが女性と言うことにも関係あるかもしれませんね。
>本当(というのは難しい言葉ではありますが)の被災者は、悲しい思い出を背負いながらも日常を取り戻そうとしている。そういう人はカメラの前でおいおい泣いたりしない。
>自分としては、ひかりで投稿したかったのですが、生憎週一回とこちらのサイトで決まっていました。
>評価に対しては、割と今のことろは考えていなくて、まず、ここで書かれている方とはスタイルが非常に違うし、詩の構築のしかたも違っているので、そういうものにならって書いたことはありません。そう言うわけで、自分の詩が評価を得ることについては考えていませんでした、
どうでもよいんだけど、払いのけ、捕らわれず、助詞の常識を切り崩したく、既存の認識ではまったく罷り通らぬ、日本語助詞を捨てるための実験。
***********
な、な、な、と、置いてきぼりをくったね、なぁだってこと。
な、な成しうる、なぁ的な、な助詞/区切りな抹消する(形容詞的な容態破棄)
で、で、成しうる、でぇで区切る助詞/抹消する(副詞的動態で破棄)
か、か、か成しうる、かぁか助詞/か抹消する(疑問区別かスタイルか破棄)
を、を、を成しうる、をぉを助詞/を抹消する(指示す自称を破棄)
も、も、も成しうる、もぉも文節/も抹消する(十把一絡げも癒着も破棄)
と、と、と成しうる、とぉと助詞/と抹消する(選別と並列と等価と破棄)
に、に、に成しうる、にぃに区切る助詞/抹消する(ベクトルに示す質に量に肯定に破棄)
でね、でね、でねって成しうる、でねぇって区切る助詞/抹消する(他者でね文章でね共感でね委ねるでね破棄)
って、って、って成しうる、ってぇって区切る助詞/抹消する(推し量りって取捨選択するって滑って並べることって破棄)
が、が、が成しうる、がぁが区切る助詞/抹消する
(が!が?っがあるのですが指さすがあるのですが破棄)
の、の、のの成しうる、のの区切る助詞/抹消する
(ののしののてのての箒で破棄)
***********
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20120319_209_5946p
>読みにくくて面白い
>読みにくい点で面白い。
>読みにくいせいで面白い。
>読みにくく、且つまた、面白い。
>読みにくいまま、面白い。
>読みにくかったが後で、面白く感じた。
>読みにくいくせに面白い。
>読みにくいままで面白い。
>読みにくいのに加えて面白い。
>読みにくいところが面白い。
>読みにくいのだが面白い。
>素質のある人だけを、 これはなんですか? 詩の英才教育ってことですか?よく分からないので説明を希望します。
>詩誌を蹂躙させるだけの理想 と
>こんなとこ、投稿しても全然張り合いがありません。
>素質のある人だけを
>張り合いがないと思われるなら…
>表者さん
朝焼けが青に埋め尽くされたら今日がはじまる。僕はベッドに横たわって、
東の空を眺めている。体は、まだ動かない。血のめぐりが悪い。
まばたきの隙間で時計の長針は一周していた。瞼のうらには、雨上がりの草
原が広がっていて、そこでは歩き続けなくては死んでしまうのだとなぜか知
っていた。僕は起き上がり、部屋を掃除して昨日読み終えた本を棄てた。生
乾きのかさぶたを剥がして、窓を開けた。それから、コーヒーを飲みながら
手紙を書いた。シャーペンの芯がなんども折れた。
精一杯の生活だった
窓の外から、誰かに指をさされている
甘えるな
罵倒され
つばを吐かれて髪を、むしり取られた
精一杯の生活だった、青い顔をして、僕、それでもまだ死んではいなかった
青空が燃えて、やって来る夜に、ときどき星が降る。僕はさす傘さえ持たず
にひとり、家から放り出され、星の雨に打たれる。体にはたくさんの痣がで
き、(それはいつだって青かった)、なんども転んでたくさんの血が流れた。
赤は嫌いだ。僕は上を向いた。
傘をください、もう少し夜は続きます。朝焼けがはじまって星達が赤に飲み
こまれ、蒸発するまでの間、僕は目をとじていなければならない。いつもの
草原が広がるはずだ。
甘えるな
声がきこえる
誰かに指をさされている
決して眠らないように
やさしくてつめたい、青をおもう
それから、雨上がりの草原を歩いていく僕の
しめった足音
踏みつぶされていく雑草
きみも、僕と同じだね
空が言う
草が言う
青が言う
もう何も
ききたくないのだけれど
かき消すだけの大声を出す勇気などない
理不尽な世界
だね
星の雨がやんで
今日がはじまってしまうと
雨上がりの草原も乾いて
僕は目をあける
するといつものベッドの上にいて、僕は
青痣だらけの体を引きずりながら、また這い上がっていくんだろう
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20120402_627_5981p
>ちょっとブラッシュすれば格段に良くなる作品だと思う。
パチンコに負けた腹いせに司法試験に合格した次の朝
私は嬉しさの余りボージャンゴーの森に火を放とうとしていた
大変だボージャンゴー
森が火事になってしまう
何故なら私が火を放とうとしているから
「ほうか…(放火)」
ボージャンゴーの極上のジョークを合図に放たれたマッチの炎は
一瞬の内にガソリンの臭い立ち込める森を包み込んだ
巨大な紅蓮の竜がのたうつ様をパチパチと鳴る焚き火を見る様な目のボージャンゴーであったが
突然ニヤリと笑い
思い出したかの様に口を開いた
「そうだ、焼き芋を焼こう」
その言葉に一瞬驚きはしたが
せめてもの贖罪をと私は一心不乱にジャガーを走らせ
駅前に在るスーパー「ホリイ」へと向かったのである
買い物を終えた私は彼の喜ぶ顔見たさに
来た道をまた一心不乱に引き返した
ボージャンゴーの森へ戻ると彼は待ちわびていたかの様に満面の笑みを浮かべていたが
私が胸に抱えていたスーパーマーケットの袋を覗き込むとその表情は一変した
「馬鹿野郎!」
ボージャンゴーの杖の先が私の額を割った
「これから芋を焼こうと言う時に焼いてある芋を買ってきてどうする!」
…あなたが「焼き芋」を焼こうと言ったから…
ボージャンゴーが怒りにまかせて私を突き飛ばしたその時
竜の尾が叩きつける様に一本の大木が倒れ込んで来た
燃え上がる大木の枝は寝転んだ私の膝をかすめ炎を躍り上がらせ
ボージャンゴーは一瞬の内に火の中に消えてしまった
紅蓮の竜は風向きと共に方向を変え今にも襲い掛からんとしている
後退りしながら立ち上がった私は無我夢中で森を後に走り出した
振り返って見ずとも竜の熱気は私のすぐ後ろにあり
ひとつ足がもつれただけで竜に食いつくされ灰に変わってしまう
恐怖におののいた私の脳にもそんな事は容易に想像出来た
だから走った
走って走り続けて竜の狂気から逃れるまでに
日は幾度となく昇り
村は二つ消えた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ボージャンゴーの森があるジャンゴー村に隣接するアントニオローズ
その村は以前ボージャンゴーの所有であった
ジャンゴーアントニオローズと呼ばれたその地帯は主にぶどう酒の製造で栄えた工業地帯で
町はいつも活気に溢れ人々はそこを地上の楽園と呼んだ
ボージャンゴーはかつて地上の楽園の長だった
しかし16年前の12月24日の夜
女たちで賑わうバー「おがわ」でのクリスマスパーティでのボージャンゴーの一言が村を二つに割った
「あれまあ、この村、美人揃いでムラムラムラ(村村村)」
気持ちが悪かった…
当時9歳だった私でもそう思ったのだから年頃の女たちにしてみれば身の毛もよだつ程であったたろう
噂はあっと言う間に広がり年頃の娘を持つ親たちは共謀してボージャンゴーの家の周りに冊を立てた
こうしてボージャンゴーと私二人だけのジャンゴー村が出来上がったのである
ボージャンゴーの支配から逃れたアントニオローズの民
しかしその栄華はほんの一時の間だった
わざわいの兆しは村一番の器量良し、リフニーの言語から現れた
リフニーはある日突然、「オゥ」、「ツィン」、「チィン」の発音しか出来なくなってしまったのである
それを咎めたリフニーの父親が今度は「ウン」、「クオ」の発言しか出来なくなってしまった
またそれを咎めたリフニーの母親がオゥツィンチィン…と言う具合に
村中の人間が「うんこ」か「おちんちん」としか発音出来なくなってしまったのである
この村の民は何故ここがボージャンゴーの村であったのか忘れていたのだ
彼らはボージャンゴーの周りに柵を立てて結界をつくり
自らの住居をボージャンゴーの力の及ばぬ処にしてしまった
その為かつてこの地を治めていた邪神、
ポウェムダ・プォエクオの呪いの封印が解かれてしまった事は言うまでもないだろう
そして限界を超えてしまった人々の、オチンチン、ウンコの大合唱は
ついに時空を統べる神、オーミャ国のヤトゥ・ルクの耳に届いてしまった
私たちの住む宇宙を内包する暫定空間ウォン・ダバーは
かつて絶対無イトゥ・シグルの超常的揺らぎより産まれた
光の神ポウェムダ・プォエクオが創り出した物だった
絶対無イトゥ・シグルより妖しく這い出でしポウェムダ・プォエクオ
乳白色の衣装の袖を翻しその美しい指がくるりと回すと
綻んだ無におびただしい亀裂が走り
絶対無イトゥ・シグルは一瞬の内に光の粒子が散りばめられた楽園ノブォルとなった
その様子を眺め髪をかきあげながら暫し物思いにふけるポウェムダであったが
その楽園に漂う巨大なウンクオ状の異物を見つけたので
「オゥツィンチィン、ウンクオ」
完璧主義者の光の神は自分の創り出した楽園に異物が在ってはならないと
異物転送の呪文を唱えたその時…!
「罪人よ今まさに我怒れり、汝オーミャの怒りに触れり」と地鳴りの様な声が聞こえた
光の神ポウェムダ・プォエクオの誤算であった
その巨大な異物はポウェムダの世界に紛れ込んだのでは無く
始めからそこにあったのである。絶対無イトゥ・シグルの中に…
「なんやねん…」ポウェムダの艶やかな吐息が楽園ノブォルに響いた
「お前が先に居ったかしれん…しかし何で俺がウンコに罪人扱いされなアカンねん」
美の化身ポウェムダが真珠の輝きを放つ唇を半開きに語ったその時
「サイトゥマーーー!!」
巨大なウンクオ状の異物がおぞましい呪文を唱えた
「グゥ!!!」
ポウェムダは苦しみながらも上品な叫び声をあげて膝をついた
巨大なウンクオは音も無くポウェムダに近づいてテレパシーでこう話した
「私はオーミャの王ヤトゥルク、ポウェムダよ…私はお前に呪いをかけた…二つの言葉しか話せなくなる…呪いを…」
「…オゥツィンチィン、ウンクオ…」
「グゥオォォォー!!!!!!!!!」
誤算である…
オーミャの王ヤトゥルクは、ポウェムダに許す二つの言葉をよりにもよって自分への攻撃呪文に限定してしまったのである…
「…オゥツィンチィン、ウンクオ…」
幾度も幾度もヤトゥルクに攻撃を仕掛けるポウェムダであったが
気絶しながら苦しむヤトゥルクを見続けている内、どういう訳か心境に変化が表れ始めた
「こんなん…ウチ、ホンマはイヤや…!…ウチ、少しずつヤトゥルクの事が好きになりかけとんねん…」
戦いの中で芽生えた友情なのだろう
「もうやめてーーー!!!!!」
しかしその悲痛な叫びも…
「オゥツィンチィン、ウンクオーー!!」
ヤトゥルクの呪いによってヤトゥルクを苦しめる呪文に変わってしまう
「たすけて…ホンマ…誰か、誰か…」
ポウェムダがその美しい瞳から大粒の宝石の涙を流したその時…!
ポウェムダの涙の中から一人の男が現れた
男は名を「ボージャンゴー」と名乗った
「光の神ポウェムダよ、あなたのあの男を傷付けたくないと言う想いが私を呼んだのです」
「さあ、あなたに掛けられた呪いを解いてごらんにいれましょう」
ボージャンゴーはそう言うとポウェムダの乳白色の衣装をはだけさせ
あらわになった美しいお椀型の乳房にちょこんとのった
可憐な桜色の乳首をコリコリし始めた
「堪忍やで…ヤトゥルクはん…でも、これもあんさんを傷付けたないからなんや…堪忍やで…」
ボージャンゴーによるコリコリは六百年続いた
「ポウェムダはん、頑張るんや、呪いが解けるまでもうすぐやでー」
「呪いが解けたらきっと叶うて…あんさんの夢…ヤトゥルクはんと、きっと一緒になれる、だから…頑張るんや!」
六百年一緒に居る内に、言葉を交わさずともすっかり関西弁が移ってしまったボージャンゴーの声に
ポウェムダは苦しみを堪えながら微笑み、小さくうなずいた
(もうすぐや、もうすぐウチの夢…叶うんや)
と、その時ポウェムダの二発目の攻撃からずっと気絶していたヤトゥルクが六百年振りに息を吹き返し…
鬼の形相で呪文を仕掛けてきた
「サイトゥマ・ケーンミン!!!!!!」
仕方の無いことだ
ずっと気絶していたヤトゥルクにその間の出来事を知るすべも無く
知っていたとしても受け入れられるとは限らないのだから…
ボージャンゴーは焦った
(マズい!最終呪文だ!)
(今ポウェムダが喰らったら暫定空間ウォン・ダバー中にオゥツィンチィン、ウンクオがばらまかれてしまう!!)
そして…
ボージャンゴーはヤトゥルクの呪文が届く前にポウェムダの呪いを封印する事に成功した
しかし、ポウェムダの肉体と精神はボージャンゴーの高速コリコリに耐える事が出来ず
ポウェムダは息絶えてしまった
ヤトゥルクへの想い遂げる事出来ずに
光の神ポウェムダの墓標
それがアントニオローズだったのである
そして光の神ポウェムダ・プォエクオはオーミャの王ヤトゥルクによって
後世に邪神として伝えられる事となった
これが邪神ポウェムダ・プォエクオ伝説の真相である
「オゥツィンチィン、ウンクオ」
アントニオローズの民がポウェムダの呪いの大合唱を続けて暫くすると
晴天だった空は暗転し街を包む巨大な雷雲が帯電しバチバチと凄まじい音を立てていた
次の瞬間、
雲を割って真っ黒い列車が急降下して来て
一瞬のうちにアントニオローズの民を乗せて
遠くの雲に消えた
アントニオローズの民はヤトゥルクの列車サイキョウトレインでサイトゥマに連れ去られてしまったのだ
ヤトゥルク自らが掛けた呪いと共に…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スーパーマーケットの袋の中から三つ目の焼き芋を取り出した時
火の中に消えたボージャンゴーを思い出し
私はハッとして青ざめた
そう言えば、ボージャンゴー…
ボージャンゴーは…
すっかり焼け野原となったアントニオローズの最南端バンデラスウッドの坂から
歩き出した私は涙が止まらなかった
もしかしたらボージャンゴーは、倒れ込んだ大木から私を守る為に私を突き飛ばしたのかも知れない…
いや、きっとそうに違いない…
それなのに私は焼き芋の入った袋だけを胸に大事に抱いて
ボージャンゴーを見捨てて独り逃げ出してしまったのだ
辺り一面の焼け野原
まだバチバチと音が鳴る草木を踏みしめながら
万に一つの可能性…
いや、ボージャンゴーは必ず生きていると信じて
棒の様になった両足を引きずりながら私はボージャンゴーの森を目指した
木々は炭に
草は灰に変わり
所々パチパチと音を立てる
残り火は何処かのどかで
想い出の森は消えた
彼の棲む小屋も消えた
疲れ果てしゃがみこむ気力も無くした私は
ただ胸に抱えた焼き芋の袋を落とさぬようにと
(^O^)
⊃⊂
ボージャンゴーはもう居ない
ボージャンゴーは死んだ
呆然と立ち尽くす私
幼少より育ったこの森を
幾多の想い出と共に葬り去ったのは
私
森を駆け回る私を
目を細めて眺めていた
ボージャンゴーのお気に入りの椅子
その切株さえも
私の悪意によって
叩けば脆く崩れる様な
大きな炭に変わってしまった
小鳥のさえずる枝は消え
綺麗な百合の花の咲いていたあの場所は
なにやら四角くギィッと開いて…
ギィッと開いて?
えぇ!?
「核シェルターじゃ」
何ともしたたかなジジイだと思った
コイツは有事の時には自分だけ生き延びようとしていたのだ
何故なら私は核シェルターの存在など聞かされて居なかったのだから
しかし、そんなボージャンゴーのしたたかさが
何故だか私の背中を支えて
そして、押した
「ボージャンゴー!!」
私は泣きながらボージャンゴーに駆け寄り左手に焼き芋を抱いたまま
右手でボージャンゴーの肩を強く抱きしめた
ボージャンゴーは右手で私をぐいっと押し退け
ニヤリと笑みを浮かべて私の左手の袋に手を伸ばした
その時だ…
「あッ!」
ボージャンゴーの手が偶然私の左乳首に触れたのだ
「アアアアア!!」
凄まじい痙攣が身体中を襲い立って居られなくなって座り込んだ先は
今まで見たこともない筈の宇宙空間…
私の散りばめたビーズが見える
私の遺した言葉が聞こえる
私の愛した…
そこで私は意識を取り戻し記憶の中で愛した男の名を呼んだ
「ヤトゥルク…はん…」
ボージャンゴーは目をまるくした
「思い出しはったんですかいな…」
甦った創成の記憶
私の遊戯の記憶
無から創り出した
私の世界はまた
彼の世界と重なり
私の光により現れた彼の姿が
彼の背後に無数の闇を創り
交わりし光と闇は
多くの子を産んだ
子達は我々のいさかいに巻かれ
オーミャで涙を流す
ヤトゥルクの宴にて
血の涙を流す
「救わねば…」
経緯の説明を省いて
私とボージャンゴーはアントニオローズの民を救うためサイトゥマへと向かった
アントニオローズの民が発する「オツィンチィン、ウンクオ」の呪文に
ヤトゥルクを苦しめる効力は無い
しかしヤトゥルクの精神を逆撫でさせるのには十分であった
檻のなかに押し込められたアントニオローズの民は
言葉を発せられぬ様に口の中に生の豚肉を詰められ 両手両足は蛇の干物を何本も結った縄で縛られ
芋虫の様に転がされていた
ただ一人を除いて
始めに呪いの言葉を発したリフニーだ
リフニーは口をずっと押さえて声を出さずにいた
リフニーはオーミャのあちこちに転がるウンクオを集めてじっと身を潜めて居た
そしてその小さな体でアントニオローズの民を救う期をずっとうかがっていた
そのリフニーの意識に天啓が走る
「アントニオローズの民、リフニーよ、案ずる事はない
汝の願いは汝が母ポウェムダがすでに聞いている
見よ、もうすでに彼処にその兆しが現れているではないか
此処にも、其処にも…!
ポウェムダ・プォエクオの爪痕が見えるではないか!」
リフニーは安堵の笑みを浮かべ、小さく頷いた
「さあ、叫ぶのだ、光の神に居場所を伝えるのだ
その言葉は呪いの言葉では無い
光の神ポウェムダ・プォエクオの祈りなのだ!」
リフニーは力の限り叫んだ
「オツィンチィン、ウンクオーー!!!!」
「オツィンチィン、ウンクオーー!!」
リフニーが力の限りそう叫ぶと雷鳴のような地鳴りがオーミャ全体を包み込んだ
そりて地鳴りのような雷鳴が天を打ち砕くと虹色の光を纏った美の化身が
そう、生きとし生ける者すべての美の象徴
光の神ポウェムダ・プォエクオがオーミャの地に舞い降りたのだ
「汝がリフニーか、よく頑張った
そなたの美しき心が私をここに呼び寄せたのだ
さあ、もう案ずる事はない
そなたの願い、しかと受け止めたぞ!」
ポウェムダは精一杯の標準語でリフニーをねぎらった
その時、ヤトゥルクは
ポウェムダの力を借りたリフニーの叫びの衝撃を受けて気を失った…
ヤトゥルクが気絶している間にボージャンゴーとポウェムダは
アントニオローズの民が押し込められた牢を開け
手足の蛇の縄を解き
口の中に押し込められた豚肉を取り去ると、
「菜食主義のアントニオローズの民になんと言う事を…」
そう呟いて、豚肉のかわりにそこら辺に生えていた雑草さんを
一人一人の口にやさしく詰め込んでいった
アントニオローズの民は涙を流して感謝した
その時だ!!
「おまいら、な〜にやってんだぁ?ハァ?」
気絶したヤトゥルクの後ろから暗黒のオーラを纏った相撲取りが現れ
イガイガの付いた棍棒で肩をぽんぽんと叩きながらこう語った
「俺はサイトゥマ、オガワ街の用心棒ユゥキ…おまいらだぁ〜れだ〜?」
ヤトゥルクは気絶していた
ぐーすかぷーすか
ぷーすか
「なぁ〜んだぁ?おまい、怖くて、口が聞けねえのかぁ〜??」
オガワ街の用心棒ユゥキはズシリとポウェムダににじりよると
ポウェムダの右の乳房を左手で下からえぐり込む様にむんずと掴んだ
「どうだぁ〜?感じてるんだろ〜?」
しかしポウェムダは微動だにしない
(何なの?その触り方は…不器用でもテクニシャンでも無い)
(そんな凡唐な触り方じゃ気持ち良くなれる筈がないわ)
(第一、アンタなんかに触られて、感じるワケ、無いじゃない!)
とでも言うような、まるで関東女の様に自信に満ち溢れた
ポウェムダの醒めた余裕の表情に激昂したユゥキは
右手に持っていた棍棒を投げ捨てて
ポウェムダの左の乳房をも鷲掴みにした
「うぅ…!!」
ピンチだった
光の神ポウェムダは左の乳房の方が少し感じやすいのだ…!
ポウェムダの性感帯である左の乳房を鷲掴みにしたユゥキ
状況はポウェムダの圧倒的不利に思われた
しかし、
事態はここで急展開を見せる…!
「ぐぬぅおぅぅ…!」
攻戦一方と思われていたユゥキが突然凄まじい全身の痙攣と共に
粗暴でありながら官能的な雄叫びを上げ
膝を閉じたまま両足首を広げ地面にへたりこんでしまった
…勘の鋭い読者ならお気付きであろう
その通り、
右手の中指の付け根こそが
ユゥキの最大の性感帯であったのだ!!
性感帯を刺激され、互いに怯んだポウェムダとユゥキ
ボージャンゴーはこの瞬間を見逃さなかった
ボージャンゴーは素早くユゥキの右手を捻りあげ
触れるか触れないかの様な微妙な触り方で
その右手の中指の付け根をゆっくりとなぞり出した
「ウ、ウゴォ…!」
ボージャンゴーの執拗な攻撃に紅潮するユゥキの顔
そして、ダメージから回復したポウェムダも加わってユゥキを攻め続けた
「グワァァァァ!!!」
ボージャンゴーとポウェムダの両手、その指合計40本の責めを受けたユゥキは
自分を責める老人と絶世の美女との背徳的コントラストも相まって
あっという間に絶頂を迎えた
ドゴォォォォォォーーン!!
爆発したユゥキは寒気となって一年の四分の一だけ降り注ぐ事となる
冬と言う季節の誕生であった
(寒い…寒いよ…)
テレパシーによって伝わった寒さを訴える声
ポウェムダが振り返ると
その声の主は…
ヤトゥルクであった
「ヤトゥルクはん…」
ポウェムダはずっと気絶したままのヤトゥルクに
ウンクオ繊維で編まれた毛布を優しく掛けると
ボージャンゴーに向かってこう話した
「ボージャンゴーはん…オーミャの脅威はもう去りましたわ」
「ここはウチに任せて、ボージャンゴーはんはジャンゴー・アントニオローズの再建に、力を注いでおくんなまし」
ボージャンゴーが静かに頷きオーミャの地を去ったあと
ポウェムダは永遠に気絶したままのヤトゥルクのチンクオなどを
優しく弄び続けた
新世界に向けて…
ーボージャンゴーの森ー
第一部・完
また、巡り会える日を楽しみにしています
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20120320_214_5948p
>は?なに意味わかんない事いってんの?ばかなの?
>>楽に稼げるアルバイトの件。情報載せておきますd(´∀`*)グッ◎ http://gffz.biz('12/03/21 15:56:36)
雲は胸のあたり
半身を出し
淡い色彩を歩く
春
体より芽吹いた
花咲けば
道端で眠る
命の鼻を擽る
夜はまた
波の上
吹く風に漂えば
過ぎし日の
ことさらに覚え無し
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20120403_713_5985p
バスの停車釦の光るのが外から見えるということ。
多分、位相だとか、そもそものところから違うのだろう。つ、と右にそれる脇道の先を眺めたわたしの目には、大きな車の走り去る残影がくっきりと刻まれた。星々の燐光を一瞬だけ覆い隠す街灯の下、わたしは薄められた夜を歩く。客が乗っているかどうかもわからなかったあのバスの、車内は、別の世界だった。
上っていかない煙が煙草にはある。
苦い、辛い、そして仄かな痛み。白い煙は正午に人目につくのを嫌う。雨が降っていれば細かく分かれて雨粒の影に隠れるし、晴れていたら昼日中の大きな陽の手に庇護して貰おうとする。気になって、逃げていく煙の後れ毛を摘んでみたことがあったが、そんな時決まってわたしの首がひどく痛む。後ろの首筋のもう少し上、わかりやすく言えば小脳のある高さが。日中はそんな風にしていると、非常な速度で、足早にわたしとすれ違う。三時間前に吸った煙草の、塵芥よりもさらに小さい粒子が、上着に付着していたとしても。
「明るい」と「暗い」とが交錯する印象。
急に、津波を押しとどめる術がないのと同じ具合で、抗いようもなく曇り空が見たくなる。今しがた、着地音を途切れさせないように神経質に降り注ぐ雨粒と、それを作り出す溶け始めの雨雲を見上げているが、わたしはこれを別物だと思った。別物。偽物。不要な物。わたしは、わたしの中の不要な物を削ぎ落とすために始終、幼子のような煙を吐く。
別の世界だと感じたあのバスの車内は、二度と現れない。
夜は突然生まれる。車通りの少ない閑静な道路の真ん中を歩いていると、いきなり青い闇が向こうからやってくるのを見たことがある。
短くなった煙草を落っことす。気付いていながら、踏み躙りもしない。
あと何回雨模様の天気の下を過ごすことが出来るのか、わたしの好きなぼんやりとした曇り空は何度見られるのか、少し冷たい直射日光が裏返るのはいつなのか。
午前二時を回る。わたしは家族を起こさないように、アンプラグでギターを引っ掻く。
永遠に鳴り響くAm、毒でしかない煙が沁みる、さっき頭髪に絡まった水滴が、ゆっくりと吸収されていった。
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>「明るい」と「暗い」とが交錯する印象。
>バスの停車釦の光るのが外から見えるということ。
>あと何回雨模様の天気の下を過ごすことが出来るのか、わたしの好きなぼんやりとした曇り空は何度見られるのか、少し冷たい直射日光が裏返るのはいつなのか。
>上っていかない煙が煙草にはある。
>苦い、辛い、そして仄かな痛み。
>白い煙は正午に人目につくのを嫌う。
蜜によってあらわされた
しんくうがそらのうえで割れて たおやかにふりおりてくるのを
みずでうけとめている
それが
じかんへのいりぐちだとささやかれたようなきがするのは
なぜだろうか
球体関節人形の少年になって
土手にむねまでうめられたまま向う岸の廃工場のうえに引かれた
ひこうきぐもを
みつめながら
考えている
(この
一秒と
百億年のちがい)わからない
蒼と
蒼とのあわいにあるみえないパラレルな世界)わからない
ひこうきぐもが
とうめいなまひるの月にからまってゆくのを
とめることはできなくて
草いきれが
きのうよりもすこし濃くなって土手の斜面をながれてゆく
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>しんくうがそらのうえで割れて たおやかにふりおりてくるのを
*
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> 新緑のある生活
> はいい
> 乳首のある暮らし
> はいい
>憶えててくれたかなあ?
>丸裸 切り開かれて 夜
>田中先生
>ひかり先生
二面鏡の隅に目がある
穴から出ると夜
森には残された息だけが息づいている
細切れの海岸
前日の帰路
煌々と
息もなく 帰宅
二面鏡の
繰り反しの音
隅から
暁に
離陸する偽り
嵐の六月
奇しき一つの石
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>煌々と
>息もなく
>嵐の六月
>奇しき一つの石
神の暗闇が部屋に満ちて、
異国の言葉は、
「もし、孤独が一つの連続体の、
総称として、私たちを、
海へ、ラプラスの海へ、
投げ込むとするなら」
「ええ、貴方は、そこで、火学、を、
言うのね。あの古い忘れ去られた
魔術と呼ばれるようなものを」
「失われた空間は、恐怖で満たされているのよ」
「そこに、火を、千切れた魂を燃やすようにして」
「そうね。そして、私は嘘をつくのよ」
「特異点として、私は偽りの、心を」
「今日、心から願う、か、あの彼、そして詩人であった、
彼が、詠ったように、」
「私は限りなく演算された一つの値ではないわ。」
「むしろ、固有値を持った無限」
「それはおかしいわ」
「いいえ決しておかしくない」
「私の不安は無限であると同時に、私の孤独は有限性の中で
値を振り切って、「止まっている」のだから」
「私は教科書ではないのよ。ましてや、方程式に満たされた
世界の終わりの向こう側で、肌を晒しているの」
「傷口は、論理を破綻させる。」
「そうね、知性は初めから傷つけられているのよ。」
「火の値を探して、貴方は、その傷を観測したわけだ」
「瞳は孵化する、こんな詩的である表現が「科学的」であるわけがない」
「貴方は、ラジウムの洗礼を、あの放射性物質の持つ洗礼を受けなければならない」
「それは、失われた神の恩寵とでもいうのか?」
「いいえ違うわ。神は失われた恩寵そのものであるのよ」
「じゃ、定義しよう。そこで言われる神とは?」
「火と魂の物語が終焉へ近づくに連れて、無限に閉じられていく有様」
「あまりにも詩的すぎるね」
「そうね。私は今、貴方を煙に巻こうとしているの。」
「煙に巻いたところで、その煙は一体何がくべられた火から?」
「ミモザよ。ミモザの語源は、パントマイムの語源であるミモスからきてるのよ」
「なるほど。では、貴方のそれは、行為は一体何なんだろう」
「火学、負荷が始めにこの魂には持たされているの。いや、魂が負荷そのもの、
私たちは、この魂の重力から逃れられない」
「孤独と恐怖にまつわる火の物語を、火学というのか?」
「それも違う。火に物語が、魂の負荷と同じように、初めから、
孤独と恐怖を内在しているの。だから燃えているのよ。
さぁやさしい数学の時間よ。方程式は永遠に閉じられて、私達の間では
何の意味ももたない。どうする?」
「個つまりatomismを越えようと?」
「違うわね。原子論ではなくて、原始論なのよこれは」
「くだらない冗談にようにきこえるけど。」
「起源は常に覆い隠されている。私たちの歴史は、歴史それ自体その起源を
記憶していないのよ。だから、終局から、本当の終わりから、燃え始めていて、
遠い未来から私たちに向かってすでに火が私たちを追いかけているのよ。」
「遠い未来から「追いかけてくる?」。よくわからないな。」
「だから、私たちはここで、孵化しなければならない。私たちと火が衝突する前に、
羽でも生やして、飛び立たなければならないのよ。」
「どうやって?」
「私の、そして貴方の、失われている起源、を、捨てて、私の起源は貴方、そして貴方の起源は私、
私たちの起源は私達、と言う風に、魂を分け与えるのよ。その時、火に焼かれるように、お互いの
魂が痛みを感じるだろうけど、そしてより深い孤独や恐怖に陥るだろうけど、それが、起源として
刻み込まれるはずよ」
「つまり、それは 始めに言葉が、あったように、すでに、その言葉には火が内在されていたと」
「そうで、私たちは、言葉を吐くたびに、この唇を、この口内を焼け焦がしながら、そして、向かいあった
相手すらも焼き尽くすようにあるのよ」
「まるで、それでは殺し合いじゃないか」
「そうよ。それは、すでに絶対的に決められている逃れることの出来ない「事」としてあるのよ」
「外は雨だね」
「雨の中で、私たちは火を噴く、まるで怪獣よ」
「小さな怪獣としてこの世界を火で包むと」
「それは私たちの魂が凍えてしまわないように、痛みは私たちを傷つけて破滅させるけど、燃え上がらすわ」
「じゃ、君と私は今から殺しあうわけだ」
「そもそも、私と君はこの会話では、同一性を保っていない。私そして貴方、いえ君、は誰と話しているのかしら」
「火とその物語の孵化のために」
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>「火と魂の物語が終焉へ近づくに連れて、無限に閉じられていく有様」
>SAS
>「傷口は論理を破綻させる/そうね、知性は始めから傷つけられているのよ」
>「今日、心から願う、か、あの彼、そして詩人であった、
>「私は教科書ではないのよ。ましてや、方程式に満たされた
>「火学、負荷が始めにこの魂には持たされているの。いや、魂が負荷そのもの、
>「つまり、それは 始めに言葉が、あったように、すでに、その言葉には火が内在されていたと」
>おバカさん、いや、恵みさんへ
枯れ葉が、自分のいた場所を見上げていた。
木馬は、ぼくか、ぼくは、頭でないところで考えた。
切なくって、さびしくって、
わたしたちは、傷つくことでしか
深くなれないのかもしれない。
あれは、いつの日だったかしら、
岡崎の動物園で、片角の鹿を見たのは。
蹄の間を、小川が流れていた、
ずいぶんと、むかしのことなんですね。
ぼくが、まだ手を引かれて歩いていた頃に
あなたが、建仁寺の境内で
祖母に連れられた、ぼくを待っていたのは。
その日、祖母のしわんだ細い指から
やわらかく、小さかったぼくの手のひらを
あなたは、どんな思いで手にしたのでしょう。
いつの日だったかしら、
樹が、葉っぱを振り落としたのは。
ぼくは、幼稚園には行かなかった。
保育園だったから。
ひとつづきの敷石は、ところどころ縁が欠け、
そばには、白い花を落とした垣根が立ち並び、
板石の端を踏んではつまずく、ぼくの姿は
腰折れた祖母より頭ふたつ小さかったと。
落ち葉が、枯れ葉に変わるとき、
樹が、振り落とした葉っぱの行方をさがしていた。
ひとに見つめられれば、笑顔を向けたあの頃に
ぼくは笑って、あなたの顔を見上げたでしょうか。
そのとき、あなたは、どんな顔をしてみせてくれたのでしょうか。
顔が笑っているときは、顔の骨も笑っているのかしら。
言いたいこと、いっぱい。痛いこと、いっぱい。
ああ、神さま、ぼくは悪い子でした。
メエルシュトレエム。
天国には、お祖母ちゃんがいる。
いつの日か、わたしたち、ふたたび、出会うでしょう。
溜め息ひとつ分、ぼくたちは遠くなってしまった。
近い将来、宇宙を言葉で説明できるかもしれない。
でも、宇宙は言葉でできているわけじゃない。
ぼくに似た本を探しているのですか。
どうして、ここで待っているのですか。
ホヘンブエヘリア・ペタロイデスくんというのが、ぼくのあだ名だった。
母方の先祖は、寺守だと言ってたけど、よく知らない。
樹が、葉っぱの落ちる音に耳を澄ましていた。
いつの日だったかしら、
わたしがここで死んだのは。
わたしのこころは、まだ、どこかにつながれたままだ。
こわいぐらい、静かな家だった。
中庭の池には、毀れた噴水があった。
落ち葉は、自分がいつ落とされたのか忘れてしまった。
缶詰の中でなら、ぼくは思いっ切り泣ける。
樹の洞は、むかし、ぼくが捨てた祈りの声を唱えていた。
いつの日だったかしら、
少女が、栞の代わりに枯れ葉を挾んでおいたのは。
枯れ葉もまた、自分が挾まれる音に耳を澄ましていた。
わたしを読むのをやめよ!
一頭の牛に似た娘がしゃべりつづける。
山羊座のぼくは、どこまでも倫理的だった。
つくしを摘んで帰ったことがある。
ハンカチに包んで、
四日間、眠り込んでしまった。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20120402_607_5977p
>ぼくは、幼稚園には行かなかった。
>保育園だったから。
>顔の骨も笑っているのかしら。
>ホヘンブエヘリア・ペタロイデスくん