◇ No.204 , '10/02/13 21:44:56 作成

4108 : ワイルドの部屋  びんじょうかもめ '10/01/23 16:45:24



サリーはワイルド先生の部屋に入った

彼の部屋は知らないものばかりだった


内容のわからない古書
わからない何か
何かわからない

そういうものがたくさんあったが
それが本当は未来に関係があるとは
サリーは考えなかった


ワイルドはサリーが提出したテキストを褒めた

サリーのテキストはワイルドに褒められていたが
サリーは
サリーが褒められているとは考えなかった

ワイルドが「きみは素晴らしい」と言ったとき
遠く花瓶の割れる音がして
花は地面にうまく帰った

そして彼はこう付け加えた

「例えばここの表現、海はとても青かった。
 とてもシンプルだ。
 でもシンプルすぎる。
 こんなのはどうだろう?
 海はまるで瞳のように青かった。
 ね?どうだろう」


サリーは遠く床の水を拭く音を聞こうとする
それが叶わないと分かると感じようとした

なぜなら彼女は黒髪で 瞳も黒かったから


彼女はワイルドの瞳のような青い海から
メッセージボトルを拾い上げ
その中に何もないことを確認すると捨てた

そしてここはまったく現実のように現実的だと思う


この部屋に入ってからワイルドは一度も
サリーの目を見ていないことも含めて

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4026 : Time is moneyまたは放蕩息子の歌える  んなこたーない '09/12/17 17:00:02 *1

*朝の歌

Time is money
と知りながら、
I'd spend my whole life sleeping
ねむりつづけた。
夢の中では、
鍵穴越しに稲妻が垂直に走るのが見えた。
盗んできたレズビアンの人魚を犯そうとした。
彼女は抵抗せずに、ただ何かを叫んだが、
その声は雷鳴にかき消され、目覚めたあとになってから、
彼女が唖であることに、突然思い当たるのだった。

9:00 a.m.
寝過した朝は、いつもきまって
底抜けに晴れあがっている。はなだ色。たいらかな空。
どんなにつまらない夢もけっして安価な買い物ではないよ。
Time is moneyである以上、
無償で手にしたものなどひとつもないのだ。
しかし、たとえ一期が夢だとしても、
狂うかわりにまじめくさって、
いまは駅の構内を走り抜けるぜ、
乗り逃がした通勤快速は夢なんかじゃないんだからね。

走れ、走れ、度重なる遅刻が減給対象であろうとなかろうと、
TimeをMoneyに兌換するため、
I've been working like a dog
ステットソン! 犬は人類の忠実な友だよ、
放蕩息子もときには吠えるぜ。
こんにちは、すばらしきパイプカットの広告塔!
吠えないときには、放蕩息子も
利殖のHow to本を手にとるよ、
離職した同僚たちに電話をするよ。
「御機嫌よう! 生きているにしても倒れているにしても――、
 それでも、億万長者になって金の使い道に困るような時があったら、
 いつでも遠慮なく連絡してくれ」
むろん誰からも連絡は来ない。
個人から大企業まで、暇の押し売りなら事欠かないが、
TakeとはGiveするためのいわば消極的な承認にすぎない、
と言ったのは誰か。
誰に言われたわけでもないが、
I spent my whole life guessing
Time is moneyである以上、
人づきあいにも貸し借りは極力避けてきたのだ。
あらかじめ別れは済んでいる……
その原則を律儀に守り通してきたのだ。
おかげでひどく印象の薄い男になったが、
放蕩息子は幽霊のようなものだから、
こうして満員電車で足を踏まれる恐れはないのである。
長生きするさ、人類が幽霊を抹殺するまで。
こんにちは、瑕疵ある新婚生活の貸借表!

*夜の歌

凍てついたケヤキの木が、
十二月の鈍い電飾にさらされている。
まばらになった葉のざわめきは、きらめく結晶となって
氷雨のように地面を濡らしている。
みんな、ここに詩人がいるよ!
それというのも、いまだ書かれていないもの、
それはみずからを不可能にするものであり、
かれはそれを書くことによって、おのずと破滅者の、預言者の、
相貌を帯びてこざるをえないのだ。
ああ、ここには批評家さえいる!
疲れたこころとからだは、あらゆる文学に敵意を燃やす、
暖をとるために。書記形式のモナド、モナド、モナド。
残業明けの感傷的な時刻をやり過ごし、
放蕩息子は家路を急ぐぜ、
I'll spend my whole life sleeping
犯しそこねたレズビアンの人魚に、
まだ別れは済んでいないんだからね。

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4122 : 平原  糞と尿瓶 '10/01/29 11:57:34

美しく遠い私の生まれた町に
名前も知らない花が咲き
子供が一人立っている
山に囲まれ心を病んで
子供が一人立っている

沃野 仰ぎ見る 枯れ山 彼方へ延びる送電線
生まれたまんまで死ぬ風と月明かりは緩やかに故郷の山並みを流れ降り
細く縮れた黄金のすじが 海の方へと消えていく
目にうつるのは一面の銀世界
姿形も流れて消えた静かな夜の三千世界の雪景色
ひっくり返して洗ってしまいたい頭の中を 風は冷たく吹いていく
人は微塵に砕け 遮るもののない空間が広がっていく
どこへも飛んでいけない 悲しい平原が広がっていく

ここにはなにもない なにも残ってはいない
今はもう夢しかないのか飛行機よ
世界がひっくり返ったら 俺もどこかへ飛んでいけるのに
ここにはなにもない なにも残ってはいない

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4111 : une fille une feuille  はなび '10/01/25 16:15:33


ひとりのむすめ
いちまいの紙
ボールペンで綴られる
つらなる螺旋のような文字群で
それらは毛糸のように
セーターを形成せず
ほつれたまま
ひつじへと
逆行している

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4104 : 雪夜  凪葉 '10/01/22 00:30:11

 
 
覗き込むようにして道路を照らす、外灯の明かり。吐き出す息が夜の漆黒に際立ち、空からは絶えることなく雪が、ぽつぽつと明かりの縁から生まれるように落ちてくる。振り返ると、今歩いてきたわたしの足跡さえもうどこにも見当たらず、仄明るく続く、誰も居ない国道が真っすぐに伸びている。わたしは、その道に沿って歩いている。どれくらい歩いたのか。雪に埋もれていく道路。ざくざくと、歩く音だけが響いては沈む。降り積む雪は、わたしの温度で融け続け、首筋が、酷くつめたい。傘を持たないわたしは、このままこの国道のように熱を失い埋もれていくのだろうか。そんなことを幾度となく思う、思いは、またひとつ雪の軽さを纏っては、わたしの中に沈み、消えていった。
 
 
 
工事途中の交差点付近。あるはずの喧騒、が、遠のいていく電車の音に連れられて行く。左へと曲がる道が塞がれている。右へと曲がる道にはロードローラーが凍え、丸い足を横に向け寝転がっている。この先は、どこへ繋がっているのだろう。ちかちかと、赤く点滅する誘導棒をだらしなくぶらさげた人形が、雪をヘルメットにこちらを見つめている。片側交互通行。そう書かれた看板の骨格は不思議な角度で曲がり、身体ごと夜に傾いている。足元を見る。ひとり分の足跡が、これから向かう道の先へと続いている。それらは既にうっすらと真新しい雪に埋もれ消えかかっていた。(視界の端で赤い光が瞬いている。)もう一度、人形に目を向けてみる。変わらず、人形はまっすぐな瞳でわたしが歩いてきた方向をじっと見つめていた。平らな瞳。その先には、影を落としたような薄闇が遠くなる程濃くどこまでも伸び、おぼろげな輪郭線に目を奪われたまま、わたしの視界が、僅かに歪んだ気がした。


  
風が吹く。辺りの雪が粉のように舞い上がる。いつの間にか首筋は感覚を失い、今わたしはどのくらい埋もれているのだろう。また風が吹く。ポケットに突っ込んでいた両手を出し、頬に当ててみる。つめたい。手が氷のように、つめたかった。わたしはいつの間にか、温かさをうまく思い出せないでいる。屈みこみ、道に積もる雪を握りしめる。雪は思っていた以上に冷たく、手を開くと、その途中できしりと痛んだ。立ち上がる。等間隔に並ぶ外灯。斜め後ろから射す明かりで、わたしの影が白い道路に黒く滲んでいくような気がした。先へと続く足跡は、変わらず、薄っすらと真新しい雪に埋もれ、続いている。わたしはどこへ、どこまでいくのだろう。幾度となく振り返る。今、歩いてきたわたしの足跡はやはり無く、遠くの方ではちいさく、赤い光が明滅している。誰もいない交差点。音一つなく、顔のない後姿がすべてを黙殺している。わたしは、確かにあの時、触れようとしていたのか。温かさはやはりまだ、うまく思いだせないでいる。風が捻じれ、身体をえぐるように雪は視界を覆う。上を見れば、吸い込まれそうな夜がすぐそこまで落ちてきていた。目をつむり、遠くの方で明滅する光をぼんやりと思う。わたしが、わたしを呼ぶ声。思いは、雪の軽さに寄りかかり、そのまま深く、ふかく見えないところへと、沈んでいった。


 

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4125 : われ目  草野大悟 '10/01/30 23:23:53

ある日

ということにしておこう

ほんとは
ほぼ
毎日だけど


とてもとても とてもとても
哀しそうに悲しそうに
しくしく しくしく
泣いているのに




快晴

吸い込まれそうな 空
真っ青な海が光っている


どうしたの

尋ねると
われ目は

すこうしばかり顔を赤らめ
ぼくを見たけれど
また
とてもとても
かなしそうに
声もなく泣きつづけるので
尋ねたぼくも
ついつい涙し どうしたの
引き込まれるように尋ねたら

ひろびろと蒼い
あの空を
産んだことが
かなしい

ぽつりつぶやいて



雨に・・・・・・・

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4102 :   リリィ '10/01/21 22:38:47

ころころと青い梅の実
明け方の静寂になだめられ
きゅうっと一声
氷砂糖の腹に生る

おいしくなあれ

女が腹をさすり
あたたかくあたたかく
臍から溢れる羊水は
ほのかに甘く、舌先で確かめると
頭をごろり
山吹のあおさ

みみずが障子戸に張り付く
陽炎の日を過ぎると
どうしようもなく匂う
薄い腹を押さえ
ふやけた実を
男が一つ食んでゆく
すっぺえなぁ、すっぺえなぁ
また一つ、また一つ

ひとしきりの蝉時雨に
酒の香がなびき
ようやく静まると
水脹れが手の甲に並んでいた

頬の汗を拭う
転んだ一つを食むと
トロトロと流れる
紅い種が割れ
オギャアと一声
腹の音が鳴る

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4112 : 消える  WHM '10/01/26 00:30:24 *1

君の涙はプラスチックのスペードでできていたし
僕らは54枚のトランプのようでもあった
手のひらにすっぽり収まるそれを
広げたり畳んだりするゲーム
そのうちに
皮膚はしわくちゃ
脳みそもくちゃくちゃ
鼻の穴も重力でねじ曲がり
裏返しのトランプが
ケースへと戻っていく
その順番で
ポケットに
消える

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4119 : 帰り道  如月 '10/01/28 11:24:59 *4

夕方
もうすぐ保育所が終わる時間なので
僕は支度を始める

テレビでは
低周波シグナルで腹筋が鍛えられるという
いかがわしいダイエットマシーンのCMが
いかがわしく流され続けて
どこかのアスリートが
素晴らしい腹をさらし続けていて

どこの家の犬かは知らないが
いつも鳴いている犬がいて
保育所の駐車場は
お迎えの車と家族でいっぱいだ
誰のお母さんかは知らないが
いつもすれ違う
黒髪がしなやかになびく
綺麗なお母さんの事だけは覚えている

さようなら
さようなら

息子のいる小さな部屋
(いや、子供らにとっては広いのかもしれない)
に迎えにいくと
いつも息子はおもちゃに夢中で遊んでいるのだけど
僕を見つけるにつけ
泣き叫びながら走ってきて
抱き付かれると
やはり嬉しいのだけれど

いつも手を繋いで帰る
帰り道には
サビついた鉄塔と
給水塔があってそれらが
夕焼けに照らされて
いっそう美しくサビついて見えるのは
どこか僕らに似ていて
息子が何故いつも泣き叫ぶのか
という事について考えている
僕のとなりで息子は
覚えたてのアンパンマンマーチを
懸命に唄い続けている

もうすぐ
不妊症、のはずだった妻が
素晴らしい腹を抱えて
産婦人科から帰ってくるというので
僕らは一斉にあらゆる支度を始めて
息子はいつも新しい
覚えたての唄を懸命に唄い続けて
廃品回収の声が鳴る道を
僕ら
手を繋いで歩いている
 
 
 

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4120 : I Need It Now.  ヒダリテ '10/01/29 00:25:57 *1

さて、昨夜から首相官邸でじっくりことこと煮込まれる見通しであったとされる一見カレーに見えるとされたカレー状のカレーに含まれる見込みであったとされるある具材について包括的内容を盛り込むかについて、じっくりとした話し合いがもたれる見込みであったとされるある会合において、決定的に不足しているとされたある種のタマネギの一部が便宜的に不条理な井の頭公園内のゴミ箱で見つかった事件で、第一発見者の男性は我々の取材に対し、自分はゲイであると告白し賛否両論を巻き起こしています。
「一部の農家で行き遅れた娘たちの失踪騒ぎに便乗した悪質なファンの嫌がらせではないでしょうか。私はゲイです。」
通報をうけて真っ先に駆けつけた無関係な外国人はダイナミックに卒倒し、泥の中で美しく悶絶しながら、このように話しています。
「幼い頃テレビで見た美しい景色のヨーロッパを、いつか私も見に行きたいと思っていました。私もゲイです。」
事件で警察は調べを進める一方、この農家からさほど遠くないところで元気よく吠える犬の肛門に新鮮なタマネギがねじ込まれるという奇怪な事件が連続して起きており、これらの事件との関連性についても調べを進める一方、この犬に対する任意での事情聴取の際に、興奮して吠え続ける犬の尻の穴から飛び出してきた天津甘栗状の物体を誤って飲み込んだ捜査員の救命活動が行われる最中、犬の態度に腹を立てた近所の住民が無差別にチーズフォンデュを振る舞う騒ぎを起こし、直ちに別の捜査員に取り押さえられましたが、一命を取り留めた捜査員は、犬の尻の穴から飛び出してきた天津甘栗状の物体を指さし、このように語ったということです。
「気をつけろ、そいつは天津甘栗なんかじゃない。」

また神奈川県内を中心に架空の男性器を持ちかけ架空の顧客を募り、大量の架空の男性器を売りつけようとしたペルー人の二人組が昨夜めでたく結ばれました。普段からフルチンでいることが多かったというこの二人の男は、二年前謎の飛行物体に乗って空から飛来し、瞬く間に相撲界を席巻し、にんじんとジャガイモを使った卑猥な一発ギャグで一世を風靡した、と自画自賛気味に話していますが、近所ではたびたび異臭騒ぎを起こすなど、決して評判は良いものではなかったようです。趣味は金属バットの素振りと話す彼らは、深夜に庭先で金属バットをフルスイングしたり、近所の犬の肛門にタマネギをねじ込むなど、そのほほえましい姿がたびたび近所の住人に目撃されていますが、昨年、「だって牛が可愛そう」をスローガンに肉用牛の解放を訴えていた牛解放運動のリーダーが変死体で見つかった際も、二人そろって刃物と牛肉を持ってカメラの前に現れ、フルチンでインタビューを受けるなど、端から見れば本当に仲の良い双子のようだった、と語る近所の住民は、来年は孫が一年生になります、と、うれしそうに話しながら、顔をほころばせていた、ということです。

さて、その後行方不明となっていた例の犬が衆議院本会議場に闖入し、国会議員を巻き込んでの上へ下への大騒ぎとなり一斉にマスコミによって「晩秋の珍事、国会に犬乱入!」などと報じられた事は、よく知られていますが、今回の犬騒動で著しくその名誉を傷つけられたとして政府に対し多額の損害賠償を求める訴えを起こしていた杉並区に住むある主婦が事件当夜カレーを調理する際に使ったとされる刃渡り二十五センチの文化包丁によって切り取られたとされる被害者の一部が便宜的に不条理な井の頭公園内のゴミ箱で見つかったタマネギの一部と酷似していることなどから警察はこの主婦の元夫で現在はペットとしてこの家に住む男性の男性器に任意で事情を聞いたところ、この男性の男性器が裏筋で容疑を認める発言をしたことなどから警察はこの男性の男性器を逮捕し身柄を拘束したとの発表がなされました。以前からこの男性については、その男性器の所有権を巡って近所の住民との間でトラブルになるなど、男性は自身の男性器について深刻な悩みを抱えているようだったと言い、「いつもコレが自分のものではないような気がしていた」「時々俺に黙って居なくなることがある」「コレが誰の物かわからない」などと話すなど、自身が自身の陰茎とは無関係であると主張する発言を繰り返しているということですが、しかしその一方、他人の男性器については並々ならぬ関心を示しているとも言われ、護送中、捜査員の「(陰茎が)すぐにいるか?」との問いかけに対し「すぐにいる(陰茎が)」と即答するなど、積極的に取り調べに応じる姿勢を見せているということです。また取調室でも猥談に応じるなど次第にリラックスした様子を見せていると言い、ある捜査員の鼻について延々とその形状などについて独自の見解を述べるなど饒舌な一面も見せていますが、別の捜査員が容疑者に対し、一粒の豆を見せたとたん逆上し飛びかかってくるという凶暴な面も見せていると言われ、また、めがねをかけた捜査員に対して「日本に最初にめがねを伝えたのは、宣教師フランシスコ・ザビエルだ」などと知的な面を披露している最中にも、再び捜査員が豆を見せると、逆上し飛びかかってくる事などから、この男性の豆に対する異常な警戒心が、あのような凶行につながったのではないか? と見て、警察は何らかの形で何らかの豆がこの事件の背景にあるとして植物学的な見地や犯罪心理学の観点からも、性犯罪と豆との関係性を明らかにすることを急ぐ方針だ、ということです。

さて、一方これら一連の警察側の捜査に一部の「動物愛護団体」「性感染症予防団体」「全国剣道連盟」などが激しくこれに反発し、これが男性器の「人権侵害」に当たるとして、この男性の男性器の返還を要求するなど、事件は泥沼化の様相を見せていますが、中でも「全国剣道連盟」の反発は強く、彼らは警察による一連の捜査が「剣道的に正しくない」「剣道的に美しくない」「胴も小手もあったもんじゃない」などと、怒りをあらわにする一方、その発言の根拠には事件との明確な関連性がなく、下火になりつつある剣道人気に危機感を募らせた一部急進的な構成員による売名行為だとする意見も多く寄せられるなか、そもそもこの男性の男性器による単独犯行とする警察側の主張は一貫性を欠いたものであるという一部アダルトビデオ関係者などの証言もあり、さらにこの男性の男性器の責任能力にはなんら問題がないとする警察側の責任能力にそもそも問題があるのではないかという小学六年の男児からの投書が寄せられるに至り、警察署員全員の精神鑑定を求める動きも起こり今も内部捜査が続けられていますが、このように、この男性とこの男性の男性器には共犯関係はないとする見方が次第に強まるなか、さらにこの男性とこの男性の男性器のDNAが一致しない点など、不自然な点はあまりにも多く、これが警察による誤認逮捕という事態に至る可能性は極めて強く、そうなると、またしても「全国剣道連盟」の横やりが入るであろう事は必至であり、これら度重なる警察の不祥事に業を煮やした大臣は昨夜会見を開き、得意のパントマイムで「抜本的対策に乗り出す構え」を存分に見せつけた後、やがて「暗礁に乗り上げる」など次々に斬新なパントマイムを繰り出し取材陣を爆笑の渦に巻き込んだものの、二人組のペルー人男性との不適切な関係に追求が及ぶと、大臣は記者団の前で自らの玉袋のしわを丁寧に伸ばしながら、「遺憾の意を表明」する、という珍妙なパフォーマンスで記者たちの追及をかわすと、ひからびたタマネギの一部を残し会見場を後にしました。さて、いよいよ、この男性とこの男性の男性器が別人である可能性が濃厚になる中、今も首相官邸でじっくりことこと煮込まれているとされるカレーに含まれるとされる具材について、政府関係者は堅く口を閉ざしていますが、今やテロ組織化した「全国剣道連盟」は……。

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4101 :   はかいし '10/01/21 07:32:30  [Mail]

月に帰りたい、
またそんなことを言い出した、
わたしはため息で、
月ではないお前の表面を、
くぐりぬけていく、

夜、というのは、
マンホールの中に、
よく映る、そして、
息ばかりが、
おぼろげに揺れていた、

帰りたい場所は、
お前が一番知っているだろう、
つめたい鏡面が、
目にゆるく入ってきて、
わたしはただ、
ただ、そこにいる、

さあ、蓋を閉じよう、
この水脈がゆるく、
遠くへ流れていって、
お前は、
静かにぬめる底にきえていく、

やがて、遠くで海が割れ、
つるてかのお前が空に上がり、
人々は、死んだ、という、
わたしはまたマンホールを降りていく、

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4117 : つーつーつー  イモコ '10/01/27 17:33:38

小指、受信する、電波
恥ずかしい、染める頬
血の色は、ピンク
かわいいは、正義

なのに

存在しない、天使
神様は何がしたかったの
蹴飛ばす、青いバケツ
(あっ、ごめん…)
台風のように、コロガル
くるくる、かたかた
電柱に、ぶっかる
(ほんと、ごめん)
電柱が折れて倒れる
電線がきゅぅっとのびてのびきって、ぷちん
あんな細い糸じゃ繋ぎきれなかった
塞がれた、道路
二次災害、ですね
届けられない、電波

幼い小指は受信をやめない
なにも届きやしないのに

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4126 : 喪失感  白い黒髪 '10/02/01 00:08:01

糞尿をすする
味噌ラーメンだ
糞尿を味わえるところまではまだ
あの子の尿なら

道に迷って現在地が分からない
記憶が途切れている
500kmの家までの道のりを太陽を目印に帰路に着いた
激しい混乱に憔悴が眠りの世界という処方を出す

ここはどこだ
目が覚めたのに分からない
糞尿を腹に詰め込んで
切り裂いて排便する

わたしのなかのあなた
いとおしいあなた
にくらしいあなた
かすんでいくあなた

どこまで汚れてもかまわないのに
脳髄に刺さった幻の杭を現実としてつかむことを祈っているのだからさ

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4116 : 微熱 秒読み タートルネック  永島大輔 '10/01/27 15:29:39  [URL]

顔と手のひらはんぶんこ
タートルネックで かくしたまんま

ぼくらは 手のうちだってはんぶんこ

それでも おんなじ風邪ひいている
それは 慎ましさとは無縁の産物
昼と夜のとりかえっこ

こんなこと いつまでも続けられるわけもない

秒読みしながら
それでも まだ会っている

誕生日にもらったシフォンケーキは きみの優しさそのままで

秒読みをはやくするばかり
さしこんでくる夕陽は 勲章の微熱
首に飾ったら またおなじことの繰り返し

月がでたら 町へでよう
町へでたら さよならしよう

また おなじことの繰り返しになるかもしれないけれど

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4113 : 警察に通報します  snowworks '10/01/26 01:47:31  [URL]

警察に通報します
我慢し続けた30年間は何だったのでしょう
天井に住む蛇
何度殺してやりたいと思ったことか
すべて奪われました
作りかけのバタークッキー
手編みのマフラー
ボーイフレンドとの大切な時間
もう耐えられなくって
ハシゴかけて
出刃包丁持って
天井扉をあけました


警察に通報します
蛇は暗闇に絡みついて11匹はいました
とっさのことでした
光る包丁を振り回して血液が飛び散って
だけど
誰の血液かなんてどうでもよかったのです
これまでどれだけの時間を失ったんだろう
どれだけの私を失ったんだろう
そんな疑問符が宙を横切っていました


警察に通報します
ハシゴの下に卵が割れていました
蛇の子供たちです
我に返ってハシゴを降りました
黄色い亡骸にしゃがみこんで殻を片付けました
彼らの未来をも破壊してしまった
時間は私たちに意地悪ですね
凍えた水道で両手を洗い
ダイアルを回しました
天井にまだ気配を感じながら

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20100126_101_4113p


4123 : 骨の王  右肩 '10/01/30 19:19:57 *2

 少年が黒いTシャツの上から羽織っているレモン色のパーカー。陽差し除けに母が着せたのだった。信号待ちをするタクシーの後部座席に並んで坐っている。
「お母さん。」と彼は呟くように言った。
「あそこ。犬かな。轢かれて内臓が飛び出している。」
本当は、それは毛布だった。
表がベージュ、裏の赤い毛布が路上に落ちて、捻れたまま通りすぎる車に轢かれているのだった。暗く汚れていた。

タクシーは動き出す。

彼にはもうその実体を検証する方法はない、永遠に。
そして現実に世界の何処かで、今も多くの犬が路上に骸をさらしている。
少年の殺意はレモン色のパーカーに包まれ、まったく見えないままだ。

 母親は彼の肩に手を回すようにして身体を引き寄せた。細く柔らかい髪の毛と頭皮をとおして、その子の頭蓋骨の形、それを掌の中に抱え込んでしまう。
シャンプーの甘い匂いがする。匂いが網の目のように母の意識を覆っていく。
好き。性の愉楽が身体を舐めに、記憶の底から舌を伸ばしてくる。あの夜のこと。この子を受胎した夜、列車のコンパーメントでの情事。

(もしこの子が病気から生き延びることができたら。
 生き延びて成長したら、父を殺し、わたしと交わるのかもしれない。
 いい。それでもいい。わたしも他の人もみんな苦しんで死んでいく。)

「犬のことは考えなくていいわ。犬は犬の天国に行った。今ごろはボールとじゃれてるの。」
だが、轢き潰され埃にまみれているあれは、犬ではなく毛布だ。

母も子もそのことを知らない。

 この子の父親は三年前に失踪した。
 二年前、元気ですと手紙が着いた。
 二年前は元気であった。
 三カ月前に死んだ。

母も子もそのことを知らない。

将来も知ることがない。知る方法がない。
子が知らないまま、父殺しは既に成就していた。
十歳のこの子が母を娶るのはいつか。
心臓が破れ、そうなる前に死ぬのか。

 ガラスの向こうに、初夏の危険な光が氾濫している。遠くの山上でショッピングセンターの廃墟が歪む。そこへ続く雑木の暗い緑。見えるところ、見えないところ、あちこちに絡んだ山藤の蔓から、枯れた花房が下がっている。いくつも。人生は隅々までくまなく恐ろしい。

 ルームミラーから後部座席を見ると、少年が黒目がちで大きな目を開き、こちらを見ていた。母親は目を閉じ、頭を傾けている。
あどけない。眠ってしまったのかも知れない。子どもを置いて親が眠ってはいけないのに。
運転手は自分が誰で何処へ行こうとしているのか、既に忘れようとしていた。
母親は眠り、子どものギザギザの縁の想像力は、浸食領域を広げつつある。

(死んでしまったものすべての上に、生きて君臨したい。ぼくは骨の王になる。骨の王は、大腿骨にチェーンを通し、いつも首から吊している人だ。)

 夢の坂を下り、夢の坂を上る。
 夢の交差点を右折し、夢の架橋をくぐる。
 夢の車輪は四つとも燃えている。
 夢の匂いが焦げ、夢の電話線が走り、夢の木造建築が三棟、地上から浮き上がり夢の炎を纏っている。
 夢の窓に覗く夢のひと影を確かめる間もなく、夢のタクシーは夢のような速度で首をもたげ、夢の天頂でああと鳴く。
 夢の鴉になる。

 母は目を開けながら、傾いていた頭を持ち上げる。子は背筋を伸ばして坐り、真っ直ぐ前を向いていた。運転手の目がミラーに映り、こちらを覗いていた。その目はこの子の父親に似ている。
だが、父親ではない。母の官能は冷め、斜めに揃える両脚の奥、性器は清潔に乾いていた。
「次の信号を左へ曲がって下さい。曲がったらすぐ次の信号のない交差点を左です。そこから五十メートルくらい行った先です。」
運転手は頷いた。終わりが近づいていることがわかった。

 終わりの先のことまではわからない。

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