0
プリズム
プラズマ
スコープの内側
気を失いそうなくらいに
星空だけがキレイだった
1
キラキラと一本に光をうける溝のなかをビー玉が転がっていく
2
--ここも行き止まり?
--ああ。すっかり壊死を起こしてしまってる。
--あんなにまっすぐできれいな道だったのにね。
--ごらん。あの道も粥状残渣でいっぱいだ。
--この大荷物どうしよっか?
--どうするもないさ。道端に置いて引き返すとしよう。
--…終りかもしれないね。ここはもう。
--ああ。終りなんだろうな。
--逃げちゃおっか。
--ハハハ。逃げちゃおっか。…でもどこへ?
3
ぼくが犬の記憶を失くしてしまって
犬は存在しなくなった
花が消え 学校が消え 大聖堂が消えた
歌声 写真 夕焼け 父 友
ぼくは誰の記憶で生きていたのか
4
ビー玉 あ ビー玉 あ ビー玉
レギュラーパルス レギュラー レギュラー レギュラー
イレギュラー
レギュラー レギュラー
手ぇて てぇて やすんで てぇて
やすんで
やすんで
ころころころころころころころころころころころころころころころころ
5
波止場は避難する人々で、すでに足の踏み場もなかった。
「星が2、3回、大きくまたたいたかと思うと、王子さまはその光を浴びて、
まるでスローモーションのように、ゆっくりと倒れていきました。」
ひとつの時代が終わろうとしていた。形勢は傾いていた。
囲碁本因坊戦、大盤解説、梶原九段は飄々と終局近しを告げたっけ。
「ああ、この一手で、この碁はオワですね。」
このことばを待ってた全国の囲碁オヤジは手を叩いて喜んだっけ。
終末を声高に叫ぶひょろ長い救世主を、少女が道端に落としてしまった
人形を、先へ急ぐ人々の足が次から次へと踏みつけていく。
6
薄明のなか 混沌の時代からずっと
運命の糸を紡ぎつづけていた三姉妹が
とうとうキレちゃった
「けけけけ」と奇声を発しながら
ぼくんちの5階の窓から侵入してきて
大バサミでありとあらゆるものをブッた切って
長い髪と薄手のスカートをなびかせて
美しく踊り狂って
去っていった
ブッた切られた
スキマだらけの世界でぼくはへたりこんで
ああ これも運命なんだろな
うすぼんやり思った
今ヴェガ星へ飛び立つ為の、小さな宇宙船を用意しています。
シャワーを浴びているとき、ムクムクと股間が競りあがってくる感じで。頭の中にある、創造的アイディアを、電子レンジでチンすること約3分間。ガンマ線が大脳新皮質をキャッチした瞬間の値が2000デシベル。
人が電波から逃れられなくなってから刻んだ生活の歴史が、問題なくヴェガ星への道程を示しています。
時々マンションから10分のところにあるコンビニへ、わざわざジョージアを買いに行き、そこで一日に必要な本数分だけ、マルボロのメンソールを買い足し、後で必要になるだろうローリエと単三のアルカリ電池と、それから0.3ミリのシャープペンシルを買います。
同義的な選択肢から、宇宙船はエンパイア・ステートビルの屋上で待機しています。
そこから見下ろせばユダヤ教とキリスト教が、良いチームメイトとしてベースランニングの良い走者のように、市場経済というグラウンドを走り回っています。
ところでこの宇宙船にはまだ、リチャード・ニクソンのようなヴェトナムを指示する、タフなやり手が乗り込んでいません。
無人のコックピットを待避させる宇宙船は今、彼と二人きりになれる瞬間を、まるでヴェガのような輝く目で、待ちわびているのです。
複雑に組み重なった、紙芝居のような、
生まれる羽根の、あなた
わたしは言葉で、それに答えなければならない
____「あなたは角笛だった」と、
望むことなく青かった、空
わたしのいない土地で、
地上の樹には靴が掛かっていた
そしてそれは、異邦人の戦略だった
わたしを睨みつける。向こうから、
ノコギリ引きの、空がやってきた
僕らから輪郭を千切りとった、鈍角の
胴体を奪われた、白鳥の群れ
どの空にでも舞う、あなたに届くことのない、起点
僕らはそれを、待っていたはずだった
こうやって、言葉にするまでは
「私の中の双子が歩き出す。雨の中を、寄り添いあって。」
ようやく抜け落ちた、その音素
器の中で混ぜ合わされた、新しい星座
それは結び付けられる。痕跡に添って、
その無尽蔵な、あなたの、
延長されていく、黒い滑走路
異邦人の目指す終着地
樹の下には、あなたが埋まっている
だがそこは田園なのだ、喜ぶべきことに
あの頃。角笛の中で話しあった、裸足のままの、
望むことなくあった、星空、
ようやく抜け落ちた、その言葉、
樹の下で重なり合った、全て
二人して、白鳥のように
(男声コーラス)
どんどど どどどど どんどど どどどど
わおう! わおう! わおう!!
どんどど どどどど どんどど どどどど
わおう! わおう! わおう!!
(黒ビキニのマッチョが百人 思い思いの決めポーズで
地底より勢り上がる。)
マッスル日本!マッスルニッポーン!
チャチャチャ チャチャチャ 午後のお茶は起き抜けに!!
涙を流してマァァァーッスル!!
(テノールマッチョのソロ うやうやしいお辞儀の後に)
男が夢を語る時 どうして遠い目をするのだろう ララララ
男がペニスを語る時 どうして鼻の穴が膨らむのだろう ララララ
ねえ 噴水の向こうで微笑む インドのトラ刈りお嬢さん
男は やましくなんかない ただ魅せたいだけなんだ
(マッチョのコーラス)
脳も筋肉!ペニスも筋肉!ああ 沸き上がる湯気の彼方!!
(再びテノールマッチョのソロ 瞳をうるませて)
割ってごらんよ ぼくの頭を 覗いてごらんよ ぼくのペニスを
ぶらさがってごらん ぼくの肉体に もっと見つめて 口に包んで
ああ めくるめく世界 虹を越えて全ての答えを探しにいこう
お願いだから お嬢さん
「あらきれい、カマキリが共食いしてるわ」
なんて そりゃねーぜ!!
(男声コーラス)
どんどど どどどど どんどど どどどど
わおう! わおう! わおう!!
(マッチョ退場。続いてお相撲さんの群れ
地平線の彼方より摺り足でやってくる。汗で光り輝く太鼓腹と共に)
どすこい どどどど 土星人!
ちちちち ちち 乳 地球人!
金星人は マタンキ マル金 キンボシさ
ああ うるわしのられられしき まァァァある禁!!
(バリトンお相撲さん 少々はにかみながら)
皆さん 忘れていませんか?省エネ 戸締まり 乳毛の手入れ
まわしラインも大切だけど 恍惚の! コーコツの!!
乳毛がおろそかじゃ ハダカの付き合いは出来ねえ!!
ハニー まだ終わっちゃいねえ 何も終わっちゃいねえんだ
すべては これから始まるのさ 夢を見ちゃあダメなんだ
そうさワシらは ドリームそのもの!!
(前をつつっと通り過ぎる呼び出し。
いきなりの爆音 朝青龍が背中のブースターで 空から舞い降りる。
雲龍型のポーズをキメたまま 周囲を睥睨して)
「殺すぞ。」
(お相撲さんコーラス)
イエェェェーイ!!
見てくれ 感じてくれ この軽やかなコーラス・ライン
そうさワシらは 空を飛ぶ!!
(お相撲さんは何を思ったか ひとり残らずまわしを脱ぐ。
なんと まわしと思ったのは 新体操のリボンで
ひらひら ひらひら あやなすリボンの波の中 お相撲さん退場。)
(男声コーラス)
どんどど どどどど どんどど どどどど
わおう! わおう! わおう!!
(いきなり波止場に空母が横付けされて 整然と行進してきたのは
身の丈2メートルを超える海兵隊員たち。
前をはだけた短いセーラーの上着に
下半身は フンドシだったり バレエのチュチュだったり
網タイツ ペニスケース 貝殻 天狗のお面 etc. etc.…)
おいらの都はハンバーガー そうさレタスが寝床
うっかり触るとピクルスさ ミンチになっちゃう!
(HA HA HA! HA HA HA!)
そうさ そうさ そうさ 何でも最後はケチャップ!!
(志村けんも真っ青の 白鳥のチュチュをつけた黒人隊員
見事なボーイソプラノで)
ひとかけらの優しさ そんなもので女が口説けるかい?
ひとかけらのダンディズム そんなもので敵が殺せるかい?
この世は食うか食われるか! 鞭で打つか打たれるか!
ぼくちんは打てば響くの打たれりゃ疼くの けなげな働きアリさ
ああ女王様 ぼくちんに翼をおくれ 翼をおくれったら!!
(そして全員の踊り。歓声をあげてマッチョと力士が乱入。
ローションの雨の中 くんずほぐれつの技の掛け合い 飛び散る下手投げ。
満面の笑みを浮かべて躍動する。
ストップモーション。)
どんどど どどどど どんどど どどどど
わおう! わおう! わおう!!
どんどど きんにく どんどど どすこい
どんどど ピクルス どんどど どどいつ
わおう! わおう! わおう!!
どんどど どどどど どんどど どどどど
わおう! わおう! わおう!!
(フェードアウト)
幕。
建設中の海に 組み上げられた空に
大工さんが一人 雲間に腰を掛けていて
黙々と作業を続ける
まるで図書館の本の
背表紙のラベルの番号みたいな
黙々とした列
新しい街に引っ越すと
僕は雲間の大工さんを見つけては
司書のようにその充実した本棚を見つめる
白いペンキを塗った
その木造二階建てのモルタル造りの空は
太陽から歩いて二分の場所にあり
穏やかな風を
クロールで抜けていく 人々のシューズや
そのキックする音たちを聞いている
例えばヘルメットを被り
その抑制の効いた 五線譜のような電線に
駆け上がる安全帯とロープの
関西電力のおじさんは
敦賀湾から届いた電力を
ギュッとチューブのように指先で押し出し
山田君ちの2チャンネルの
看板アナを映しだし
時々 中国新華社通信の
味気ないおっさんの
味気ない顔と人生を
まるで郷愁ただようかのように 映しだし
まてよ美浜原発の 3号機の核が
テポドンの弾頭に流失し始めている
キム・ジョンイルがカツラを外すとき
小泉首相の官邸で
どっと哄笑が起き
それは「さんまのからくりTV」で
浅田美代子のラケットが
あからさまな空を切った 瞬間でもあるのだ
いま空に組み上げられた海は
梅雨空の雨を
ギュッと溜めこんでいる
きっとなにかを置き忘れた気がして
まだそこにあるかもしれないと
砂浜へ
砂浜に
白日の私がいくつも焼きついている
焼きついたままのそれらを踏み越え
探して諦めてまた探して
紺青の岩陰はるか
ぼんやりと赤らむ時と空の境界
あちら側の砂浜で
だれかの気配が目を細めている
そのひとの背なは鮮やかに透け
その透けた背なの向こうへ
私の知らない海が広がってゆき
ふと
一握りの砂をつかみ指し示すと
夕映えと砂音の間にそのひとは消え
低温な潮騒とともに
もう二度と聞くことのない息遣いが
すこし遅れて私を通り抜け
影と風の間で私は
ただ 頷くよりなかった
この街は真っ白な壁に覆われている
街からの出口は北と南に一つずつ そこから人々は影踏みして去っていく
残るのは長い兵役に疲れた彼らと
ざらつく味のスープに慣れた僕らだけ
今日も爺ちゃんはチェスをする 僕のナイトはルークに阻まれる
「もうじき春が来る」彼は僕が生まれた時からそう言っていた
時々爺ちゃんは不思議な喋りかたをする
揺れるような音 伸びたり縮んだりする しわがれた唇
真っ白な壁は日に日に近づいてくる
年寄りはみんなポケットにピストルを入れている
それはずっと撫でられていて 角が綺麗になくなって
砂浜に流れ着いた硝子の欠片みたいに見える
「あそこはここよりずっと寒かった。私はね、塩ジャケが倉庫にあると聞いて…」
この話は何度目か 僕は七つの時にそれを数えることを止めた
「ジャガイモはな。幾ら腹が減っていても塩が無いと食えないんだよ…どうしてもね」
僕はナイトを進める それを見つめるまっ白い象みたいな眼差し
爺ちゃん 僕は言う
「もうじき春が来る」爺ちゃんは答える
そして爺ちゃんの口からは不思議な言葉が漏れる
伸びたり 縮んだり 上がったり 下がったり
爺ちゃんはピストルを撫でる
つるつるして 真っ黒で 柔らかく光るピストル
それは長い間に角がすっかり落ちて もうピストルとはあんまり呼びたくない
みんなのポケットにある不思議な重さ
「キンキンに冷えたピストルは指にくっつくんだ。剥がすと肉まで取れちまうんだよ…」
爺ちゃんはそうやって僕に指先を見せる 分厚い古樹の皮みたいな指先
「手袋だけは大事にするんだよ 私が教えてやれるのはそれだけだ」
爺ちゃんは眼鏡を外して 少しだけ目を細めた
だから 爺ちゃんが死んだ時 年寄りたちはみんな空にピストルを掲げて
僕は降りしきる雪の中 手袋をつけた手を空に掲げてた
街からはその日もたくさんの人々が去っていった
そして僕の口からも不思議な言葉が流れ出す
「もうじき春が来る」
誰かが言った その声は伸びたり 縮んだり 大きくなったり 小さくなったり
人々は何も言わずに 振り返らず街から去っていく
振る舞いの茹でたじゃがいも 年寄りたちは塩をつけて齧った
不思議な声はこだまし続けた
いつか ピストルはポケットの中で消えて行くんだろう
ざらつくスープと甘みの無い街
不思議な声はずっと消えなかった そして壁はいつか僕らを消してしまうんだろう
もうじき春が来る
夜が、明るいじゃアないカ
灰銀色
一体
ドうした
地下鉄の階段
上ってサ、
おろしタてスニーカー、の
足
止まる
空、
閃ク、
ストロボフラッシュ、
花火と見マごうばかり
ケド
通り、人の気配ナく
稲光
頗る
静か
急キ立てる
感情、
シビレに近い
感情
指先、引きツる
肩震えル
見上ゲる
で、
不意に
気ヅく
「東京には、
イや、
この町には、
膨大に電線が張り巡ラせてアったのダ、普段は見えなかったダケ」
空、閃ク、
の中、
黒々
と
浮かび上ガる、
沈み込む
死にカケた生き物みたク
「ひしめきアう古い住宅のすき間とイうすき間中をうねうねと、入り組み
手を結びアう路地裏の端から端まデ 電柱の数以上に張り巡ラせてアったのダ」
瞬雷、落雷、電線ちギレる、焦げた煙吐く魂のナい身体クねらせる、
蛇みたく ク、巻きツく、焼ケ死なス
妄執ジみたビジョン、降りてキて
さア、
もイちど
指先、
引きツる
空、
が、
閃ク、
無意識に
足
速メる
帰っタら、
アなたがいたらいいナ、
アノ鍵、使ってたらいいナ
でも、
でも、
ソれも
妄執
空気
繰り返シ動いテよどみ
アスファルト、湿っタ匂い
さらに足
速メる
速メる
速メる
アあ、
音もナく、
もうジき雨が降り出しそうダ
>アあ、
>音もナく、
>もうジき雨が降り出しそうダ
>dサマ、榊蔡サマ、ケムリサマ、燐サマ、光冨郁也サマ、
手袋が ひとつ
落ちて いた
指先は 雄弁な 意思 を
語り
秘めやかな 官能 を
宿して いる
から
その昔の 敗者の
首と 右手の ない 死体 の
生首は どくろ盃
と なり
右手は 皮を 剥がされて 爪 を
つけたまま 手袋になった と
いう話 を
「狐憑」で 読む 前
から
手袋は 得体の知れない 哀しい指先 を
曲げて いる
から
今夜 月明かりの 下 で
望み を
どうしても果たしたい手袋が
動きだすのを見てしまう から
私は 手袋が拾えない
手袋 を
>今夜 月明かりの 下 で
>望み を
>どうしても果たしたい手袋が
> どくろ杯、ではなく、どくろ盃でした。
オフィス通りの半ば
南町のバス停留所で
カーキ色のミリタリー・パンツをくるぶしに下げ
乳首を剥きだした若い男が
いっしんふらんに握りしめて
しごいている
時刻表の右側に立っているので
蛍光灯の光はかれを
おびやかさない
暗がりに沈んだ肌のりんかくが
あたりの風景を切り離し続ける
わたしはかれを見ているがかれはわたしを見ない
その連続の運動に没頭する
なめらかな手
こぼれた精液をぎゅっと
踏みしめわたしはうっかり
避妊しそこねてはらんだ気分になる
夜はまだ更けない
靴をぬいで自転車のペダルを
踏みこんで
いく
>性への執着も、生への執着もないくせ、
>精液で、井坂洋子の『制服』を思い出して、読み返しました。
>「あっ、見ちゃった的なボーダー感がある」
>この詩も初読の時は擬音語があったような気がするのだけれど、気のせいかな。
>わたしはかれを見ているがかれはわたしを見ない
>こぼれた精液をぎゅっと
>踏みしめわたしはうっかり
>避妊しそこねてはらんだ気分になる
処女の腕は長さというものを持たない
丸く小さな肩から指先へと連なってゆく
面であるとも線であるともいえない
流れがあるだけだ
処女の腕に影が落ちることはない
どんな光も追いつかない速さで
新しい皮膚が奥の方から浮かび上がる
からだがひとつ揺れるたびに
軒先に積まれた薪は古い女たちの腕
伸ばされた肘の外側には
亡くした枝の名残の年輪が見える
木漏れ日の下で踊るうつくしい両生類
ひかり散る清浄な体液を僕らは吸い込み眼を瞑る
赤いまぶたの裏 この夢はいつまで?
点滴を打たれながら、病室の窓から海を眺めていた。看護師が言うには、わたしは雪の降り積もる中、マーメイド海岸でひとり倒れていたらしい。音もなく波が白くよせている。意識が戻って二日たった。熱が下がらない。
(わたしはどうしてここにいるのだろう)
頭が痛い。片手をつかい、ティッシュで鼻をかむ。丸めたティッシュをゴミ箱に捨てたら、外れた。視線を落とすと、床が水で濡れていた。二人部屋の隣のベッドは空いている。その隣のベッドの下まで水がきている。どうして。点滴は半分になっている。そばの台の、TVの横に装置がついていて、カードを差し込むようになっている。残り時間の少ないカード。することがなく、TVをつける。イヤホンをつける。
ワイドショーのニュースが放送されている。ずっと眺める。評論家が何かコメントしている途中でCMにはいった。
紺色の海。空は曇っている。ひとりの青年が海岸を歩いている。マーメイドが姿を現わす。〈マーメイド海岸〉の文字と音声。
TVのカードの残り時間が切れた。電源の切れた暗い画面に、自分と背後の窓が映る。たわむ色のない世界。物音しない病室。点滴はもう液がなくなりかけている。そろそろ看護師が来るころだろう。二の腕にさしている点滴のチューブを見つめる。透明な液がわたしに流れている。
何かの気配があったような気がした。イヤホンを外す。TVとは反対の窓のほうを見る。
女がベッドのわきにいた。動きがとれない。女は長い爪でシーツをつかんでいる。女は手をのばし、わたしの自由のほうの二の腕をなでる。女の手は濡れて冷たい。女は顔を近づける。緑色の瞳がわたしをとらえる。しばらく見つめ合った。キレイだ。海の底、深く透明な色をしている。女は、
ノックとともにドアが開く。看護師が点滴を片づけに来た。熱をはかるよう体温計をわたされた。体温計を受け取り、脇にはさむ。時間に追われる看護師が退室する。白衣の後ろ姿、閉まるドア。TVの暗い画面に映る、わたしと女。女のほうに首を曲げる。女の肩口から、大きな尾びれがゆっくりと上がる。床に海水が満ちてきて、波打っている。ベッドの周りは海だ。紺色の海。電子体温計が鳴る。空気が冷えてくる。室内に小雪が降り始めた。寒い。女は、体温を求めるように、指をからめてきた。女の髪がわたしの頬にかかる。緑色の瞳。被さる女。唇がふさがれる。震える。静かに、電子体温計が海に落ちた。
海の上のベッド。もうすぐわたしは、女に海の底へとひきずりこまれる。海の中は思ったよりあたたかい。
若者に青い衝動があるのなら成熟した女に丸い欲望があってもいい、などと考えながらアルファを走らせていたら前のアウディがスピードを上げたのですかさず後ろにぴったりつける。夕方はどうもいけない。行き場を失った焦操感が空腹の隙間に黒い雲を形作って抑えがきかない。赤く変わった信号を目の端にとらえると同時にアクセルを踏みこみ、バックミラーでバトカーがいないかチェックする。小心者め、順序が逆だ。獲物は対抗車のないゆるいカーブを40キロオーバーで海岸通りへと曲がっていった。窓をあけると通りすぎようとする夏のむっとする熱をふくんだ湿った風が充填してきた。いつのまにか行き止まりの岸壁に来ていた。夕焼けを通り越してゆっくりとたそがれてゆく透明に青い空と海の溶け合う線の中から黄色く丸く光る月がするすると昇っていく。引力を伴って潮をあやつる満月。そして私の丸い欲望。それは昼間の顔と夜の顔の合間に一瞬姿をみせるだけだ。この月と同じように。帰り道信号待ちしていたプジョー406の黄色いボディがやけにぴかぴか光っていた。
美しく、君の面(おも)が我が眼に漂う限り、
便りのない今も私は君を愛す。
うつろいやすい君の心が二人の日々を過ぎた今も、
頼りとするのは君を愛す我が心。
日々の追憶は君のもとを離れ、私に身を預け、
木の葉散り、夕暮れはいよいよ想いを隠す。
響き渡る君の声はしじまとなり、便りなくとも、
この一行の詩よ、行け。
「いつまでも。」
> この一行の詩よ、行け。
>
> 「いつまでも。」
鼓膜を針が貫いた 部屋の隅っこは膨張していく
矯正器具つきの歯で笑う君が好き
ヘッドフォンは外さないから ハリネズミは今日も転がってく
そんなことはみんなわかってるよ 女の子が見せ付ける心の傷みたいに
あんなに待ち望んだ消えない虹がかかったのに
立ちすくんだままチューインガム噛んでた
歩道橋の淵から女の子は泳いで行った
ヘッドフォンチャイルド テレビの液晶を歩くよ
迷子の影が焼きついていく
喫煙所で孤独が層を成していく
なんで飛ばないの? 不思議な言葉は金属質の匂い
ヘッドフォンチャイルド マイナーコードの隙間で膝を抱いてる
蝶番が落っこちたから 最初の森へ帰りたがってる
七つ足の古代の生き物みたいに
明日にはきっと高潮が来て みんな同じシャツを着たまま
窓を開けたら瞼が溶ける夜 ハリネズミは膨張を続ける
鋼鉄の雨が降る海でもがいてた 原初の繋がりを求めて
両手を広げたら 小さな心臓が軋む音がした
そしてみんな息をする 脳を貫いた針の痛みを知って
ヘッドフォンチャイルド 並木道は空へ続いてく
みんな路上に張り付いたまま
ヘッドホンを耳に当てて 手首の傷で繋がろうとしてた
世界が終わる間際にしか生まれない子どもがきっといるんだ
ヘッドフォンチャイルド 泣きながら歩くよ
天井から落っこちてくる爆弾の空想
青空にへばりついたトカゲみたいに
喫煙所の無言は手を繋ぐ僕らの暗号
ヘッドフォンチャイルド 循環コードから落っこちていく
>窓を開けたら瞼が溶ける夜 ハリネズミは膨張を続ける
>鋼鉄の雨が降る海でもがいてた 原初の繋がりを求めて
>世界が終わる間際にしか生まれない子どもがきっといるんだ
>ヘッドフォンチャイルド 泣きながら歩くよ
渋滞を編む車窓から
光を集束する夕日レンズ
いつか嗅ぎ合ったアルコールランプ
散り散り燃える雲の匂い
鉄橋で泣いていた少年は
手にこびりついたサビをなめた
収穫を終えた田園で
今日を締めくくる狼煙が上がった
夢
こんな虚しさ
ただの夢なのかもしれない
鋭い月を受け入れて
天空で揺れる銀色シンク
満杯になっていた星霜は
そろそろ順にこぼれていく
当然のように
急速に冷えていく手すりを握る
秋の温度を思い出す
コンクリートの中で 葬られた言葉が
僕らの未来予行を演習している
戦争をはじめる為に
僕らは新聞の国際政治欄をひらくわけではなく
自衛隊の友人が「老子」を読んでいるか
「我が闘争」の愛読者か
はたまたクリスチャンであるかも問題ではなく
肩ロース 1ブロック ○○円の
「広告の品!」の衝動にかられた妻が
閉店間際の人間性を奪い去る
セールという名のゲットーに飛び込む
消費行動への解放を呼びかけるためでも
ましてやない
「ハイル=ヒットラー」のかわりに
「広告の品!」を叫ぶ妻を
たとえ値打ちがなくとも
その晩 抱かなければならない夫は
まるでおしなべて ベーコンを踏むようにサニーに乗り
スクランブルエッグのような 眠たげな目をこすり
飽食したこの物質主義のこの時代から
もっとも遠いであろう家庭へと帰って行く
長男は野球部で
その才能を「理解」されず ベンチでくさっているというし
現に部活から帰っても マネージャーの優子ちゃんと
今日は何回 目が逢ったという話題しかない
そのほのかな慕情の目で
遠く白球を見つめよ
という夫の 青春に対する恋慕も
夜の11時半にあっては 人生に対する逡巡ですらない
その晩 愛用のシャンプーハットにメリットを泡立て
都心の内部で乾ききってしまった心に 何かを灯すため
いつもより一回転半 多めに蛇口をひらくも
「でない!」
どんなたとえ話も
自分に当てはめて考えることができるものだ
12時前に 受刑者のごとく布団に入った夫は
あの野蛮な中世でさえ
メッタに味わわなくてすんだ恐怖の理由を
このように説明付けてみる
人はみなもっともらしく
善良そうな顔をしているが
ひとたびこの生を受けた瞬間から
未決勾留者である
会社と妻は 私に内緒で内部で結託し
出張禁止令をしいた
会社と家庭というベンツのエンジンのような
ピストン運動に私の生を投企し
うつくしい文化と富のはんえいをこの国にもたらす
珠のごとき子ら教育と 月々のローン完済を貫徹
ケータイのベルにメールが着信する
「おやすみなさい」 byア・ケ・ミ
参集する夫たちの思い思いの夜は
妻子への郷愁と妄執の幾億万回の夜に
立ちくらみ国情を固めながら
今日も更けていくのである
ゆうらんせん に
ぼろぼろ つめあわされた
ちの かたまった
けあな が すっているのは
どすぐろい よだれ
くんしょう に にぎわう
きれいな まちに
ぺたり ぺたり と
つぶされた めが むかう
うつくしいだろう
そうかい
そして
どぼどぼ となぞってくる あらい いきは
マストを からだに
さしこんでいく
ないぞうは
くわない
>そして
>どぼどぼ となぞってくる あらい いきは
>マストを からだに
>さしこんでいく
>うつくしいかい
>そうかい
>くんしょう に にぎわう
>きれいな まちに
>マストを からだに
何年たったのだろう。
そんなことはもうどうでもいい。玄関の鍵をあけ無言のままリビングへとすすむ。
「ただいま」…そこには誰もいない。かぜも吹き込まぬ蒸し暑い熱気には、
混沌としたカオスが渦巻いていた。
床に散らばったポルノ雑誌、喰いちらされた後のゴミが腐乱し、
退廃に打ち付けた日常の壁に刻む薄こげたような印象があふれていた。
コンビニに出掛けた男は、所謂、異常性癖者というもので、一般的世間でいうストレンジャーの類である。アパートから角を4つ曲ったところに立派な屋敷があり、その庭には大きなゴールデンレトリバーがつながれていた。男は何時間でもそれを眺めてはアパートにかえり、欲情のまま一心不乱にシゴいた。
「優美で誇り高きケダモノめ…」
射精を終えると、からだをフローリングに放り投げ煙草に火をつける。
世界が遠すぎる狭い部屋にどうしようもなく蓄積されたカタルシス。
気付かずも月の夜に牡犬は鳴く。
退廃が闇を支配しはじめた。
あくる日、習慣からか男はコンビニに朝食を買いに出かけた。
いつもの角を3つ曲がったところで、小さな声がする 「あの…」
虚妄なのかリアルなのか、そんなことはどうでもいいだろう。
振り返るとそこには、制服をきちんと着た女学生がこちらを見てにっこり笑っていた。
「はい?」男は怪訝そうに答えると、少女はすこし髪を気にしながら控えめに瞳を覗き込んだ。
「わたしを飼育してください…」 乾いた熱風の炎天下、通りには人影もうつさない。
すぐさま男は言い放った「ざけんな…」 無視して歩きだそうとした瞬間、
信じられないことがおこった。少女はナイフで自分の喉を切ったのだ。
唐突に訪れた日々からの永い逃走劇。
原色の赤が無機質なアスファルトに異世界をはじき、紛れもなくそこには誰もいなかった。
七月の太陽に浸透し始めた冷たい月、それいがいは…
救急車が彼女をつれていく。サイレンと親切でけたたましい群衆のグレー。
男は不思議な感覚におそわれていた。まるで自分の体の一部が削ぎとられ持って行かれるようだ。
そんな気持ちのまま立ち尽くし、サイレンのドップラー効果が現実と虚構を行ったり来たりしている。
少女はもういない。
男はもう一つの角を曲がることなく、そのままアパートへと引きかえした。
玄関の鍵をあけ無言のままリビングへとすすみ、フローリングに寝そべると、
あの少女が枕をあててくれた。
きっとすべては冷たい月が魅せたゆめ
ついさっき出会ったばかりの少女がえいえんになった。
さようなら
呪文のように囁いた
君の頬をつたうのは
雨か、涙か
二人の間をガラスのように
たくさんの雫が遮っていく
思い出さえも
流して、消してしまうのか
そんな単純なことさえ
私にはわからない
もう私には分からない
もうそろそろ終わらせても良いかい
君もここまでよく頑張ったよ
時には 緑を増やし
時には 大気を正常に戻そうとした
でもね けど始まりが余りにも遅すぎたんだ
始めた時には 既に後半戦に差しかかってたんだ
ねぇ だからもう終わらせても良いかい
共にあなたの生命さえ
奪ってしまう事になるだろうけど
>でもね けど始まり・・・
18の誕生日AVを借りたんだ
同い年童顔の女の子
淫乱な女子高生腰振ってあえぐ
マスかきながら僕は泣いていたんだ
なんだか切なすぎるわ
あぁ高校三年生
あぁ笑いたきゃ笑えよ
童貞17歳
死ぬ気にもなれないし
生きてく気にもなれない
なんもしたくない身体中がインポ
モテる人モテない人
ヤリチン・ギャル男・B-BOY
根暗な僕等カラっきしモテねぇよ
誰か助けておくれ
あぁ夢なんてもう見たくねぇ
あぁ今だけ楽しもうぜ
青春17歳
生まれ変われたら猫になりたい
誰かにずっと甘えていたい
コタツん中でふぬけてたい
言葉なんてとうに忘れた
ニャー
あぁ高校三年生
あぁ笑いたきゃ笑えよ
童貞17歳
あぁ夢なんてもう見たくねぇ
あぁ今だけ楽しもうぜ
童貞17歳
青春17歳
今年でもう18歳
童貞17歳
追筆…初めてです。ごめんなさい。批評してください。
文才がない自分にはこんなのしか書けません。
真夜中24時
蒸し暑さで目を覚ます僕の頭には
哀しみばかりが詰まっている
今日は誰が怒られたとか
今日もあの国では戦の開始を告げる
蝉の鳴き声が響いているとか
数えたら キリが無い
暗闇を一人で彷徨っているよう
でも光には 眩しすぎて 目を閉じてしまう
今日一番最初に見る太陽が昇る前に
世界中の嬉しさでこぼした涙集めて
言葉を届けよう 優しい歌声で
「もう、大丈夫。」
木の葉が集まって 大きな影をつくる
その中に入れば 哀しみで熱せられた僕の頭も涼しくなる
幸せの在り処を示す地図があるのなら
皆を誘って 出かけに行こう
眩しいけれど 光を頼りに
明日へ向かう夜が訪れるその前に
さようならを告げる赤い太陽へ祈ろう
いつもおだやかな風が吹きますように
あの人へ
> 幸せの在り処を示す地図があるのなら
> 皆を誘って 出かけに行こう
> 眩しいけれど 光を頼りに
> 明日へ向かう夜が訪れるその前に
> さようならを告げる赤い太陽へ祈ろう
> いつもおだやかな風が吹きますように
> あの人へ
それ
とった
ほしいから
白い花
綺麗で
ほしいから
だって
花泣かない
考えないから
いたくないから
花泣かない
それ
とった
だって
ほしいから
隣に咲いていた
小さな赤い花が
白い彼女のために泣いた
人は
それに気付かなかった
お昼の町の
ある公園で
赤い花は
悲しげに葉を落とした
水色が事実水を着色するように
この世は 比喩 擬態 矛盾
コマ送りに足跡を示して行進するより
早送りに倍速をかけて流れを愛する
デジタル化を嫌ったら
そこには力がなかった
最終電車に飛び乗って
排ガスを罵る
僕は豪奢な夢追い人
真実が博識なことも
千切りに腕が要ることも 忘れたよ
僕は風雅な股旅人
ヴィオロンがあれば良いと
世界は儚く美しいと うそぶくよ
修正液の下は必ず誤謬であるように
周囲は 汚れ 悪辣 不穏
猪より豚の嗜好は「今」なのに
懐古主義を通して笑う
魔法に焦がれたら
ライフルで手に入れる
曖昧を結構として
Xを定かに求めた
僕は空虚な幸い人
疫病の伝染力も
背後の確かな嘲笑も 知らないと
僕は偉大な空言人
削げた頬さえ
引き攣るしわさえ 賛美する
今夜の月は近かった
宇宙の膨張は止まらない
千夜一夜の寝物語
ぼかした絵のが綺麗に見える
隣で老けるは醜悪な彼奴ら
目前天使に変えることすら
然程の力も要らないはず
「鰯の頭も信心からと言うだろう?」
僕は豪奢な夢追い人
真実が博識なことも
千切りに腕が要ることも 忘れたよ
僕は異端の天上人
人一倍の旨味を欲して
ミルクのみ人形と変わらないとは 認めない
僕は露骨な愛追い人
赤子の時に受けていた
アノ眼は何処と 旅をする
旅をする
猫の瞳が
大きく瞳孔を開いた
蝉の声が死んだ時間
私はまるで
夢を食らう獏ででもあるかのように
今夜もまた子供達のベッドに潜り込む
ムシャムシャムシャ
口の周りの血は
きっと夢の涙
心を奪われた子供達は
翌朝別の人間として
親にも気付かれず
生き続ける
「月が綺麗だ。」
隣の猫が呟く
繰り返される脱皮に
記憶をなくしつつも
傾けた猫の言葉だけは理解できる
まだ、人並みの知性は残っているようだ
ムシャムシャムシャ
「月が綺麗だ。」
ムシャムシャムシャ
ムシャムシャムシャ
「とても綺麗だ。」
繰り返される記憶
耳元で聞える
夢を食らう音
とうとうその時がきたのか
いやだいぶ前からなのかもしれない
この世界に自分と同じ人間など五万といるのだから
>「月が綺麗だ。」
>隣の猫が呟く
>繰り返される脱皮に
>記憶をなくしつつも
>傾けた猫の言葉だけは理解できる
>まだ、人並みの知性は残っているようだ
隠れ家から見える
あの日君と見つけた美しい地平線
昔の秘密語り合おうよ
瓶に詰めた手紙まだ残っているの
夏の雨、水滴が光る蜘蛛の巣や風と夕暮れ
僕が町で作る銀翼はただ綺麗なだけで
あの日の緑のように輝いてはくれないよ
旅立つ夢で終わればいいのに夜明けが確実に近付いてくる
ありもしない町で、あなたはタクシーを降りる
花嫁だというのにあなたを迎える人はいない
あなたは、ありもしないわたしの郷里で
ありもしないわたしの家をさがす
タクシーは色あせた舗装路を駆け去ってゆく
日傘の薄い影の下であなたは
後部座席のカバーの白さを思い出すことだろう
もうあなたはそこに座ることは無い
めざとくあなたを見つけたのは
ありもしないわたしの家の
ありもしない斜向かいの
ありもしない魚屋の親父で
濃い血の色に光るカツオのはらわたを
際限も無くあふれでるはらわたと臭気を
包丁でかきだしながら見るものだから
あなたのブラウスはもうだいなしだ
あなたは泣きたい気持ちになっている
しかしありもしないわたしの家を
探しまわらなければならない
隣人の、傷口にさえ舌をあてがう人々の
同じ顔をした(ああ、まったくわたしと同じ顔の!)人々の
あいだをあなたは歩き回り、たずね回り
好奇と、警戒と、嘲笑にさらされてやがて、
陽が牛の吠え声のようなサイレンの音に
溶けてゆくのを目にするだろう
婚礼の場も、宴席もここにはないのだ
あなたは花嫁だというのに
しかしわたしは見ているその一部始終を
町外れの丘の、ありもしない先祖の墓にもたれて
あなたを欺いたわたしの頭を
墓石にうちつけながら
つまらないことを見つけるたびに
この空を 文字で埋めつくしていくんだ
小さな鳥の声は
背を向けただけで聞こえなくなった
迷い込んだ風は
窓と窓のあいだで不満げに渦巻いた
その気がないなら
新聞に隠れていてもいい
誰だったろうか
小馬鹿にしたような忠告
銃口は常に僕の首を狙っていると脅す
この神経質な世界に向けて
あなた誰かここはどこか
問うことが無意味なら
泣いて絶望するのもいいね
本当に知りたいことは何だと思う
少なくとも
僕は寝ぼけてなんかいないし
本気じゃないということは証明できる
風に追いすがるなんてまっぴらさ
粒ぞろいの涙は美しいけれど
この手は
剣を握るために
静けさの音が響く
無音の空間に 私一人
閉じ込められているような
闇の中に 私だけが
存在を許されているような
どこかで猫が鳴く
暗闇が 静寂が
一瞬で支配され
余韻を残しながら
大気に溶けるように開放される
凛とした空気が
絡みつくような
包み込むような夜
この静かな世界のどこかで
微かに輝く星の下で
あなたも
この静寂を感じているのでしょうか
今はただ
そう想い、願うだけ
そしてあなたの夢を見る
紫色と熱波が混ざり狂う朝に少女は僕を措いて
地平線の向こうへ生贄を探しに行きました
過ぎ去りの偶像と化した僕は
ヒトラーの振りをして
白昼夢に満ちた街を彷徨う自動人形たちを
脳内世界の奥底で見下してやりたい気分です
思えば彼女と嘘塗れな出会いを果たして幾星霜
永遠氷雪が作り上げた支配者の墓の上で
人口境界にまつわる議論を交わし続けた果ての果て
彼女は己を静かな吐息という名の盾で護り
僕はそれを空の情熱という名の矛で貫いた
そして別れは聖域を封じる虚無が崩れる頃
決して消えることはないと信じた筈の
権天使の翼を破り捨て
彼女は視界を支配していた檻籠から出て行きました
残ったものは彼女が流した涙の欠片
僕はそれを左眼に突き刺して
二度と望む世界を作り出すまいと誓ったのです
漆黒だけを脳神経に焼き付ける天蓋の中
僕はこの部屋に巣くう魔人の目覚めを感じています
もう二度とこの夜を支配する掟に背くことは出来ないでしょう
だから今はただ
傍らにある御使いの抜け殻にだけ価値を求めています…
初投稿です。どうぞお手柔らかに…。
桜は散り 我も散る
そこに残るモノは何だろか
生み落とされし幼き命 未来の犠牲(いけにえ)よ
今生きし命 現在の犠牲(いけにえ)よ
今生きし古き命 過去の犠牲(いけにえ)よ
決して逃れられぬ 定められし掟(しきたり)
そなたは「自由」だという 我は「愚かだ」という
さてどちらが正しいのか 答えられるか
空は青く海も碧い 誰もが認めること
全ては『決まっている』檻の中
温かくもなく冷たくもない 曖昧な生活
そなたらも我らも飛ばぬ鳥
今はそれでも良い よいが
我は思う
「外を見たい 逃げたい」
ではどうするか 狂えばいい
見放されるほど狂ってしまえば逃げられる
でもこうも思う
「それでも逃げられぬ ココである限り」
『決まっている』でも『決められている』でも
すでにそこに『アル』ことには変わりはない
さて答えられるか 誰が決めたのか
今在りし命 過去の副産物
未来を託されし命 現在の主産物
決して逃れられぬ 確固たる掟(しきたり)
桜は散り そなたも散る
そこに残ったモノは何だろか
黒く塗りつぶした痕
ペン先は潰れ 滲む インク
強がって粋がってばかりのわたし
必死に妄想 ばかりくりかえして
一人強くなったと 信じ込んで 嗤う
一人ぼっちには耐えられないの
孤独と生きるなら死ねばいい
あなたと一緒に死にたいと思うけど
結局そんな心は何処にもない
殴り倒して 殺されても
だから今生きてる
水に沈んだとしても
タイタニックのような感動は
得られないけど
余りの恐怖に
泣き叫んでも
その恥ずかしさに一人 憤怒してる
自分が望んだ地に立てても
空へと舞い上がりたくなる
殴り倒して 殺されても
だから今生きてる
水に沈んだとしても
タイタニックのような感動は
得られないけど
思い描く夢じゃなく
未来はもっとちっぽけだった。
死にそびれた人の吐く息
白く黒く濁って消えた。
貰いそびれた年金に
老人達はしかめっ面。
子供と言う言葉は
自由と同じ位
忘れ去られていた。
思い描く僕じゃなく
自分はもっとちっぽけだった。
くたびれた人の声
見て見ぬふりしかできない自分。
何も言えなかった老人
それはきっと僕の将来。
年金貰いそびれて
しかめっ面するんだろうね。
死にそびれた人の吐く息
未来は確実に霞み始めている。
行き先不明の赤い船
未来は緋色にたたずんでいる。
>年金貰いそびれて
>しかめっ面するんだろうね。
>死にそびれた人の吐く息
>未来は確実に霞み始めている。
>シーンを描くというスタンス
>情景で伝えてもらいたい。
>印象的な情景を描くということを心がけてほしいです。
くだらない
全てが
何もかもが
くだらない
少しの安定剤
少しのアルコール
それで簡単に
この世界から
サヨナラできる
相対性理論
あっちとこっち
夏休み盆暮れ
こっちとあっち
此岸と彼岸が限りなく近づいていく
一歩のジャンプ
ほんの瞬間空を飛ぶ
還れない世界へ
ローソンで僕らは
ポケットの中のつり銭を握りあう
地下鉄のトンネルの
心のスキマを煮詰める対流から
溢れだした 泡のようなティーンエージャーたちの
コンビニ前のたむろ
都議選のラウンドスピーカーは
彼らの胸をつく高さになく
エビアンの
凍結するような一気飲みが
サボテンたちの
言葉だ
知り合いをもたない顔の
街たちが少しずつ似ているせいか
携帯の中の
「愛している」たちが
一組ずつ空中でイク
ガンガン激しく 空が破けるほど腰をふり
いまシテイルけれどまたシタイ
一組ずつ輪になって空でイク
トーキョーでリビドーが
ガンガン岩盤を突き上げる
シブヤでシマネ出身のロッカーが
摩天楼を6弦の指にまわし
イスラエル出身のマチルダが 六本木で
黒人のベンに9秒台の大陸間弾道弾を打ち込まれ
日本人の僕らは
すしバーでサイダーと中トロからはじめる
中指を世界の中心で垂直に立て
サンクスに寝巻きのまま買出しに行き
賞味期限切れの焼きそばパンの前で
サンブン的な行列をしよう
アキハバラの電子記号の中に
ネイションのキセキを聴こう
カブキチョウの片隅で
メソメソしている華僑をみつけたら
肩に手をまわし
円の皺をていねいに引き伸ばし
シュウマイのようにくるんで差し出そう
トーキョーからマンハッタンへ
ロンドンからソウルへ
デリーからマラケシュへ
行列の先頭は
いまセブンイレブンの焼きそばパンの前にいる
明日の君かもしれない
彼にはまだ「時間」はあるが
私にはもう「時間」がないのだ
それは別に私や彼の年齢のことじゃなくて
それは別に急ぎせかしているわけでもなくて
無理をさせすぎた地球が断末魔をあげているのが聞こえるから
気にし過ぎと周囲はいうが
ならこれらの異常な大気は何を意味する
残された「時間」がもうないと気付いているから
政府は災害時に備えて準備をする
まず自分たちが助かりたいから
自分たちだけでも生き延びたいから
弱者は恐らく生き残れない
私もきっと死に絶えるだろう
----
以前に「伝えたいことがいまいち伝わってこない」と、大変為になる批判をされたのですが、もしかしたらまたもや「自己中心的」な詩を書いてしまい、訴えていることも解り難くなっているかも知れません。ご了承下さい。
君が人形になってしまった
僕は勉強をした黒い教室の青い
バケツの中で結果、頭の肥大
忘れていた底なしの教室は喧騒
オドロオドロしい消しゴムの同級生
紙、飛行機、尾翼の、青くえぐり取られた
飛ぶ
むしろ弄ぶ暇を技術的に劣る方が多い
柔らかい部分を何度も何度も撥ね付けた
僕は、今、どこで、何を、している
かりかりかりかりかりかりかりかり
かりかりかりかりかりかりかりかり
かりかりかりかりかりかりかりかり
かりかりかりかりかりかりかりかり
流れる牛乳にあらまし夢は転ぶ
後ろから回されるプリント類
瞳は視ず
ロリコンじみている間接を曲げて視る
色彩の肌を皮膚に埋め込む光沢は言葉を自書する
みどろむ
君は人間になってしまった
そのうちプラスティック
現在進行形
>僕は勉強をした黒い教室の青いバケツの中で結果
>色彩の肌を皮膚に埋め込む光沢は言葉を自書する
>僕は勉強をした黒い教室の青いバケツの中で結果
>色彩の肌を皮膚に埋め込む光沢は言葉を自書する
>一文がこうも長いと整理したくなりませんか?
>一行に主語と述語が幾つも出てくるというのは文章として良い印象を与えないです。
朝
風は白いハンカチのようにゆれ
ワタシの空は
さよならといった
張りさける悲鳴とともに
熱と波の
おおきな花火は
かなしみを生むかなしみの花火は
降りくだった
そこから先をああワタシは覚えていない
覚えているのは
母たちは手を振っていたこと
男たちは汗をながしていたこと
こどもたちは
目をこすりながら
手のひらを帰りを待つはずだったこと
ごらん
陽は
昇ることも落ちることもやめ
ひとはひとであることを失い
おんなじ色の形の影絵になってしまったよ
ごらん
涙を血をいのちを流すことさえゆるされず一瞬に焼かれた
いくつもの
いくつもの影絵に浮かぶ
蛍を
蛍たちの声なき灯火は紅の川になり
川は川のなかに沈んでいったよ
ワタシはそれらが
昨日のようであり何十年も前のような気がする
変わらないのは
いまもなお
母たちは手を振っていること
男たちは汗をながしていること
こどもたちは
目をこすりながら
手のひらを帰りを待っていること
>いくつもの影絵に浮かぶ
>蛍を
>まーろっく氏
>この程度では戦争を体験した人に失礼です。 ('05/07/16 02:03:01)
>詩の表面を濃くすることはいくらでも出来るでしょう。
>しかし私は作者に対して、それ以上を求めたくなったんですよ。
もう一度ひとみをひらいた
ぼんやり ひかりの様子など
きにしながら虚空に憩うなら
はくせつの霊峰からりんごをおとした
いつかの風がかえる
美しい絵画のような木洩れ日
花通りで泣きながら 掌をかざすなら
たちまち走馬灯の追憶はめぐる
媒介者の重い白日
あかるい窓に青い鳥はうたい
うなだれながら死を考えた世界の隣人
きづかせない真綿のフェザー
内在のシンフォニーを散らす泡沫
なつがあつさをうしなった
あのラムゼスの丘で
死ぬと独りできめたよる
あなたに熱がもうとどかない
それならば
凍らせてほしいと願った
ハッカの溜め息を憂愁にふきかけ
いつかの白いワンピースに
シトラス かすか香る
ひとみを覗きこみ
天使のステップはるらるらと
湖畔の奥へ奥へともぐる
泣きながら縋りついた ひみつの蒼い燐光
微熱は共鳴し
つないだ指と指のあいだから
凄まじい閃光がほとばしる
スローモーション 少女は微笑んだ
“きっと約束だね”
そっと指がほどけ
永遠の
えいえんのおわかれ
暑いなつのまぼろしさ
寝そべりながらなんとなく
きみのなをよぶ
.......クレア
気がつけば
私より身長が高くなっていて
気がつけば
一人でしっかり歩いていて
振り向くと貴方は
一人の“大人”になっていました
そんな貴方を見ると
少し胸が痛みます
もう私は必要ないのね
一人で歩いてゆけるのね
いつまでも手を引っ張られている
子供ではないのね
でもね
あと、少しだけ
少しの間だけ
手を引かせてください
貴方が自分の力で
飛び立つその時まで
死んで楽になれるてか
生きてるうちにわからんよ
あんたら僕らまだ若い
良い人ぶって疲れたよ
酸欠でぶっ倒れそーな
白と黒だけの世界だ
二日酔いで目が回る
光合成で息を吸え
五体満足で不満足
根っ子が邪魔で動けない
夢も希望もボンヤリで
ど〜にかなるかでハッピーだ
羽が生えたらどこ行こう
とりあえず都会へ行ってみよう
花も咲きそうにない街で
ヒッピーみたいに生きていたい
ノーミソえぐって良い気持ち
右も左もわからない
ノーミソえぐって良い気持ち
脊髄だけで生きんべや
昨日も明日もいらないからさ
とりあえずお水をくださいな
>とりあえずお水をくださいな
夜の正しいシステムに則り
この静かなおはじきの上で
男と女は、カーテンで包装された篭の虫になり
幸せそうに彷徨っている
晩餐の途中
胸のボタンが外れてしまった
おそらく そろそろ解れかけていたのだろう
―ボタンは円独特の転がり方で 平らに回る
どちらかのボタンかは すぐ分かるように
どちらかが印をつけていた
ボタンは暫し 浮遊するように舞う
それを凝視していたら
もう包れることなどないと女は 知る
離陸した夜
女は背中に乗っていたが
昨日の汗と共に
降りろと、言わんばかりに 男が
手をじたばたさせる
もうお前を落とせなくなったのだ と
汗の中に 沈んでいき
そのあとデカイ水風船みたく
泣いて破裂したので
女は その場を下りた
歩道橋から見える景色
ネオンが上下に流れながら どこかへつながっていく
先のことなどは、このように見えるものだ
手混ぜる先には 黒い服のボタン
足取りも顔の表情筋も
いつもと変わらない
女は何も見ずに 男の元へ急ぐ
何もかもを生け捕りたい一心で
点滅しているものを にわかに吐き出せば
楽になると知っている
どっちが先に染まるかを 期待して
そして絶望するのも知っている
ひとつになった振りをした後
それから晩餐は始まった
落ちたボタンは 早速
二人に秒読みを強いた
さあ 早く 拾って くれ と
何も変わらないまま二人の脈は穏やかに打ち続ける
夜のシステム通り、誤りは一つもない
>夜の正しいシステムに則り