文学極道 blog

文学極道の発起人・スタッフによるブログ

2019年1月分月間優良作品・次点佳作発表

2019-02-28 (木) 01:24 by 文学極道スタッフ

2019年1月分月間優良作品・次点佳作発表になりました。

※「2018年・年間各賞」は4月中旬に発表予定です。

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●2018年12月分・月間選考雑感(Staff)

2019-02-04 (月) 16:39 by 文学極道スタッフ

10970 : 風の谷の崖の上の右の横の丘の下の変なおばさん  泥棒 ('18/12/31 18:21:45)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181231_669_10970p
(一)変わった方を誇張して書いている。寂しさを感じるエンタメ作品。
(一)鋭い人間観察とユーモラスだが毒のある筆致。リアルでもネットでも確かにこういう人っているなと思わせると同時に、自分もそうではないかと考えさせられる。ただ余白の使い方が大雑把に思える。ここまで空ける必要があるか疑問。

10975 : 小品 続き 15〜19  空丸ゆらぎ ('18/12/31 23:42:28)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181231_680_10975p
(一)始まり方が勿体ない。作品として良質なものと、そうではないものの差がある。

10971 : 冬にむかう 三篇  山人 ('18/12/31 20:49:47)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181231_672_10971p
(一)この作風として領域の高い場所にいると思う。非常に上手く巧みである。人間性を感じる。
(一)情景を描くことで自らの心情を表現しようとする手法は成功しているが、初連が少しくどく感じる。もう少し整えられるのではないだろうか。

10973 : ひとりであるく  いけだうし ('18/12/31 23:14:53)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181231_676_10973p
(一)最終連などが丁寧さに欠けている。ただし作者は、どんどん上手くなっている。

10972 : セロファンの月  ゼンメツ ('18/12/31 23:07:10)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181231_674_10972p
(一)一連目が非常に上質である。最終連が、もっと上向きになっていくと傑作になったと思う。
(一)非常に繊細な世界を、読むときに思わず息を止めてしまうような緊張感の中で描いている。セロファンの薄さで分解された情景は泥と月といった極端な存在によって、それぞれを互いに際立たせていると感じる。
(一)磨き抜かれたセンテンスがキラキラと輝いている。
平仮名と漢字のバランスのとり方が視覚的な美しさと柔らかさを生み出している。

10969 : 鳴動  トビラ ('18/12/31 17:20:00)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181231_668_10969p
(一)構成など上手くなっている。

10943 : 揺蕩う  氷魚 ('18/12/08 16:25:01)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181208_139_10943p
(一)言葉が凝集性を持っている。更なる飛躍がありそう。

10964 : 小品21(から14へ)  空丸ゆらぎ ('18/12/24 22:16:47 *2)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181224_573_10964p
(一)良い作品と、そうでもない作品の混交が目立つ。
(一)はっとするフレーズもいくつかあるのだが、全体を通してみるとムラが多すぎる。鋭い視点のものもある一方で、平板な表現に終わっているパートも少なくない。
(一)余白に詰め込むように言語が散らばっている。美しい作品。

10968 : アンタなんかしなない  ゼンメツ ('18/12/29 01:22:07)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181229_611_10968p
(一)平面さと薄さを活用した詩作品。現代性を編みながら、きちんと丁寧に作り上げている。
(一)四畳半フォークの世界を無理なく現代に置き換えたような印象。それが成立するのは、時代が変わっても愛し合うことで感じる孤独というものは変わらないからかも知れない。最後の自らを突き放したような一行が良い。
(一)現代口語体を主軸にすることは非常に危険な側面を持つと思うのだが、筆者の鮮やかな切り口が帰って爽やかさすら感じる。主張にも共感しか感じえない。
(一) 
今月の選考で一番時間がかかったのはこのゼンメツさんの作品でした。
最後の最後まで優良か佳作か迷って、最終的に佳作推挙にしたんですが。

この「アンタなんかしなない」はとてもよく出来た作品だと思う。何だったら、技術的には完備さんと同じくらいすごいことをやってのけてると思うし、今の文学極道でここまでロジックをコネコネして文章と真面目に対峙している人はいないと思う。というか、真面目すぎるぐらいだなと感じるくらい。そういうのってどうしてもバレるし、作品にところどころ登場する「チメー的」「トーゼン」みたいな人工的な天然っぽさは、書き手の真面目さをぼやかしたいためのカモフラージュ、いわば照れ隠しに見えてしまうのはわたしだけでしょうか。
 
 さて、作品の良いところから。
 
まず、番号を振ってあるのに物語性が薄いところ。これ、きっと番号ないほうが書きやすいですよね。こういう風に番号を振る(=場面転換をする、区切りをつける)という行為をすると、それぞれの連の繋がりがどうしても薄くなってしまう。そうなると、ある程度の反復性や物語性をもってそれぞれを繋げる必要がでてくるんですが、この作品はそのどちらもしないで、それぞれの連を繋いでる。それってかなり大変なことだと思うんですが、サラッとやってのけてしまってるあたり、筆力がないと無理ですよね。 

次に、記号の使い方がうまい。「」って普通はセリフとか、固有名詞が入るものだと思うのですが、
>今日も最愛のキミが、瞳や鼻の周りをぐじゅぐじゅにしながら「なにか」唸っている。
とかぼんやりした不明なものを囲ってみたり
>自分はこの「寒空の発生源」だ、とでも言わんばかりな、あかるい薄藍色のダッフルコートの、
とか色彩豊かな象徴的な何かを囲ってみたり
>僕はほんの少しだけ考えてから「エキチカ」とだけ名乗り
と最後の方はセリフとして「」を活用している。
こういうの、パズルみたいだなというか、手品を見てるみたいというか、こういうのやっちゃうんだ、すごいなあという素直な気持ち。言葉に対して器用なんですね。

 あと、あえて繰り返し言葉を使って、それでも読み手に読ませるところ。
>様々をぶっ倒してぶっ倒したやつらからぶっ倒した分だけ奪って、そいつを腕から惜しげもなくぶっ放しながらいつまでもどこまでも突っ走っていきたかった。
こんなことしたら、普通はもっと読めない文になって、面白くない文章になっちゃうから、凡人は絶対こんなことしないと思う。それでもあえてやってみて、なんかいい感じの文章に仕上げちゃうんだから、普通に悔しい。ここはかなり攻めましたよね。
 
最後に、ハッピーエンドに仕上げないところ。
読み手は結局、救われたいんですよね。明治安田生命のCMみたいな作品ばっかり書いてきたわたしにとって、こういうラストは正直、わたしの小さな力量では本当に無理で、なぜなら、みんな救われたいと思っているのを知っているから、みんなが言われたい言葉を言ってあげるのが一番楽だし愛されるじゃないですか。こういう、マイノリティ側で勝負してる人ってめちゃくちゃカッコいいと思うし、わたしにはできないなって思ってしまう。
 
ここまでベタ褒めしてきて、最後にダメ出しするのかよって、そういうはなしの展開の仕方ってどうなのかな、と思うんですが、こういう良いところを踏まえて、わたしはこの作品を優良ではなく佳作に推した理由をお伝えします。
 
上の通り、ゼンメツさんってめちゃくちゃ書ける人で、本当にすごい人で、今の文学極道の中でも最高にクールな書き手だっていうことが、この作品では分かりづらいんですよね。コメントでオオサカダニケさんが「3連目まででいいやろこれ」とおっしゃっていて、わたしも一読した時は同じような感想でした。でも、何回か読んでるうちに、これ、実はすごいことしてるんじゃない?という気持ちになってきて、その「すごいこと」の全貌がわたしにはきっと把握しきれてないと思うんだけれど、やっぱりそのすごさっていうのが分かりづらい。
例えば、安直に共感ばかりを求める人がゼンメツさんの作品を同じように好きかどうかとなると、自信を持って好きだとは言い切れない。詩をたくさん読む人なら好きかもしれないけど、世の中の読み手ってみんな時間がなくて、意外とみんな細かくなんて読んでくれない。ゼンメツさんは多分頭が良いから、読み手の賢さレベルを見誤ってるのかもしれない、とさえ思う。
ゼンメツさんに似たような書き手として思い浮かぶのは、いかいかさんや芦野くんなのだけれど、彼らは自分の技術を客観的に自覚していて、その力量を分かりやすく他人に見せるのがうまいと思う。わたしはこういう技術的なところで文章を魅了するということを全くしない人間だし、そういうのには興味がないけれど、もしゼンメツさんがそういう立ち位置にいるんだとしたら、分かりやすく自分のやってることを提示するというのはどうしてもやっていかなきゃいけないことなのかなと思う。
「別に、俺のすごさなんて別にわかってもらわなくてもいいし」みたいな感じだったら申し訳ないのだけれど、でもわたしとしてはみんなに、ゼンメツさんて本当にすごい人なんだよ、みんな読んで、絶対読んでって言いたいし、みんなにもゼンメツ作品を好きになってもらいたい。
 
というところで、わたしみたいなチープな書き手が、優良よりも佳作推挙にするという方が、今後のゼンメツさんにとって良い選択なのではないか、という気持ちがあって、そのような結果になりました。なんていうか、こんなチンチクリンに佳作にされたくねーわってきっと思っているんだろうなあ。すみません。
  
 最後にこれからの話として、ゼンメツさんとわたしに共通してるのは「自信のなさ」みたいなものがお互いのベースとしてあるなと勝手に思っていて、わたしたちはそういう「自信のなさ」を原動力にして、こうじゃない、とか、そうじゃない、とか、やっぱりこうかも、なんて言いながら「駅近のうろうろ」に成り果てて、作品の強度を高めていっているのかなとも思っていて。わたしはずっと自信をなくしたまま生きていきたいし、ゼンメツさんも自信を持たない(持てない、じゃなくてね)まま生きていくんだろうな、と思う。
でもそれってやっぱりちょっと辛いから、こうやってゼンメツさんが作品を文学極道に投稿するたびに、わたしは真摯に読み続けたいと思う。大した批評ができないのが本当に申し訳ないのだけれど、それがわたしにできる精一杯の応援のかたち、ということで。これに懲りずに、また作品、投稿してください。お待ちしてます。

10938 : 2:12 AM  アルフ・O ('18/12/05 23:06:02 *1)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181205_066_10938p
(一)短い詩作品としてエッジが効いている。巧い。
(一)作者の作品世界を試聴するのに最適だと考える。詩を書く人なら短詩の難しさは理解していると思うが、この詩はギリギリの部分まで削ぎ落とされた美しさがある。
(一)ア・フォーリズム。省き切った蛇足。核心中の核心。詩で個展をすることがあるなら、入り口に大きく飾りたくなるような詩のコピー。

10957 : 貸出カード  愛々 ('18/12/17 07:16:03)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181217_372_10957p
(一)全くもって悪くない。では取り分け優れているかというと替えが効くものがある気がする。
抒情的であり恋愛の表層的な部位が美しく書かれていると思う。

10922 : それは素粒子よりも細やかそれはあやとりそれは贈り物  つきみ ('18/12/01 00:03:11 *2)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181201_924_10922p
(一)「つきみ」という語が最後出てくるところが気になった。だけれども、それを引いても良いと思う。
(一)最終連を追加しなければ躊躇いなく優良に推していた。どうしてこれを追加したのか理解できない。これを言語化してしまうことで、それまでの圧倒的に豊かなイメージの洪水がまったく正反対のカルト宗教的な胡散臭さへと変貌してしまった。

10956 : 貧乳が添えられている  渡辺八畳@祝儀敷 ('18/12/17 02:23:44)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181217_365_10956p
(一)改行に関して、もう一歩進むことが出来た気もする。作品は惹きこまれた。
(一)一読して佐伯俊男のエロティックなイラスト(セーラー服の女子高生が舌の長い男の生首が入った箱を持ち帰るやつ)を連想したのだが、内容はそれぞれが欠けている男女の哀しく残酷な物語。これを何の喩えと解釈するかによって評価は大きく分かれるかも知れないが、自分のことのように受け取ってしまう人もいるのではないだろうか。 相変わらず読み手を挑発して語らせるのが上手い。

10959 : いちにのさんすう  白紙 ('18/12/18 06:02:07 *1)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181218_400_10959p
(一)数式と作品のサンドウィッチが興味深く伸びている。
(一)数字に弱い人でも入り混じる偶然と必然に思わずニヤリとしてしまうことだろう。特にジム・モリソンの誕生日とジョン・レノンの命日の部分は、良く気がついたと感心してしまった。単なる知識の披露に終わらず、詩としてもきちんと成立している。
(一)リズムよく組み込まれる数列が視覚を楽しませてくれる作品。

10952 : ドラキュラ  泥棒 ('18/12/15 09:01:05)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181215_272_10952p
(一)途中まで傑作だと思った。最終連が更なる飛躍を持てそう。

10947 : 酩酊  山人 ('18/12/13 18:37:32)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181213_240_10947p
(一)二連目が、もう少し進めたのではないか。
(一)タイトルの通り少しずつ酔いに支配されていく語り手の、人間観察の鋭さが読み手に生きていくことの厳しさを突き付けている。母親という立場の女性にとって、彼女に同情的な語り手は単なる不審者でしかない。その現実が哀しく、痛い。

10962 : わたしに咲く薔薇  帆場 蔵人 ('18/12/22 02:37:26)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181222_521_10962p
(一)題材への接近は素晴らしい。あと、もう一歩。
(一)モチーフが古いが近代詩の詩情を十分に編み込めていると思う。

10948 : Clockwork screaming kiss her kiss her  アルフ・O ('18/12/13 21:01:14 *3)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181213_241_10948p
(一)これまでと違った技法で描かれていることが分かる。新たな世界を創造していっている良作。
(一)タイトルや作中のフレーズなど、この作者の作品の中では元ネタがとてもわかりやすい。プリプリを知っていれば感動が5割増しくらいにはなるだろうが、知らなくても詩作品としていわゆる蔑称としての「ポエム」と一線を画している。

10961 : best , heart beat  白犬 ('18/12/19 20:52:55)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181219_448_10961p
(一)作品世界が、どんどんと前に進んで行きます。だんだんと自作品への色が結実していっています。
(一)あと一歩の感覚がぬぐえずにある。それは、しかし詩としての大切なものが確実にあるという証拠でもある。これからも読み続けていきたい。
(一)この作者も独特の世界を構築しているが、優良にするにはあと少しという状態が続いている。今回は「ぱた ぱた」や「うぅ」がマイナスポイントとなった。

10960 : 人形(ドール)  アラメルモ ('18/12/19 02:00:46)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181219_428_10960p
(一)せっかく「誰もいない。ここにはもう、誰もいないんだよ。」という素晴らしい最終行があるのだから、括弧を使うなどの凝った表現は不要ではないか。最初の3行における人形の描写ももたついているのが残念。
(一)古びた人形という沈黙のモチーフが、沈黙をもって語りだしたように感じられました。
男は語らされているのかもしれない。

10935 : 顔の良い白人女   イスラム国(Staff代理投稿) ('18/12/05 02:48:50)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181205_041_10935p
(一)表現において「差別用語」を使用することの是非について、敢えて挑発的な内容で意見を求められた気がした。そういう意図があるがゆえに「差別用語」を使わなければ成立しないという皮肉な結果になっているが、そうした実験作でなければ特に使う必要があるとは思えない。

10953 : or  完備 ('18/12/15 13:24:55 *1)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181215_278_10953p
(一)中途半端に仕上がっている。
(一)非の打ち所がない。生まれたままの姿で立つ人間の肉体を包み込む虚無をつかんでいるような作品。

10951 : 垂乳根の月、Milky Moon Christmas 二編  本田憲嵩 ('18/12/14 01:02:06)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181214_254_10951p
(一)「Milky Moon Christmas」が「垂乳根の月」のレベルの高さに達していないと思う。

10933 : 六年間  朝資 ('18/12/04 12:55:57)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181204_027_10933p
(一)言葉は上手い。詩として更なる成長が期待できそう。

10949 : 干し芋  松本義明 ('18/12/13 21:10:20)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181213_243_10949p
(一)幼少期の味覚などを交えながら編み上げていく。一段階上の作品となっている。

10932 : Soap bubble miss space.  つきみ ('18/12/04 12:04:46 *2)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181204_025_10932p
(一)荒々しい部分が光るが作品として成り立っている。もう少しだけ伸びていけそう。

10944 : 画の制作における言葉メモ  玄こう ('18/12/10 01:36:31 *1)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181210_181_10944p
(一)タイトルが、そのままなので勿体ない。中身は良い。

10940 : 花受と錫  鷹枕可 ('18/12/07 15:00:57)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181207_107_10940p
(一)美しい自然のヴィジョンが広がるが、少し人工的に整いすぎている感が否めない。 土を耕すことは、よいことです。

10939 : 僕にとっては流線形  松本義明 ('18/12/06 09:55:18)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181206_074_
(一)形態が美麗であり詩的構築が際立っている。

10934 : 今うつろに  は ('18/12/05 00:54:37)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181205_039_10934p
(一)詩の上質さは置いておいて、こういう作品はありだと思う。優良とか関係なく書いていって欲しい。

10926 : これで終わり  いかいか ('18/12/01 12:26:04)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181201_932_10926p
(一)圧倒的な筆力を持って描き切った傑作。
(一)こういった作品を読むと、「この方はやはり上手いんだよなあ」としみじみ感じる。 序盤はシンプルな情景だが、後半が語りすぎている感じが少し惜しいと感じた。
(一)
冒頭の部分は、以下の言葉たちで繋がれながら物語に引き込まれていく。

>嵐。
>水。
>そう。
>もしくは?

普通の人なら、嵐、水、と来たら同じような名詞で続けてしまいそうなところに感動詞をポンと入れ、最後は疑問で締めているところなんかは特に、読み手を飽きさせないというか、読んでいて単純に楽しい。
 
一番好きな一文はこれ。
>そして、言葉の後の母の横顔が春先に吹く、まだ冬の冷たさをまとった風の様で、これから訪れるであろう春の生命の躍動にも一切の興味がなくそれとは無関係に、吹き抜けていく清々しさを感じさせた事を、今でも憶えている。そして、母は遠くを見ていた。

この作品の世界観は、芝居のような生活、愛情という名の契約、そして製品のように作られた自分で構成されている。その上で、浮世離れした空間から読み手を離れさせないように、いくつかの常識的な疑問を父と母にぶつけたり、その異常さを気持ち悪がったりするのだけれど、それでもこの世界観が覆されることはない。そこに象徴的に出てくる「横顔」は、憎しみでもなく、悲しみでもなく、清々しささえも感じる美しさとして描かれる。感情的に語られることの多い家族というものに対して、その全ての結末を横顔という刹那的な側面に収斂させるその筆力はもう流石だなと思う。
またここの一文で横顔を描くことで視線のあり方も同時に描いているのだけれど、視線という目に見えないそれを効果的に文章に使いたいと思うことはあっても、ここまで印象的に美しく仕上げることは普通の人には難しいと思う。遠くを見ているというその視線の送り方で、自分に対する母の気持ちを語り、作品の詩情をここまで的確に表現してあると、読み終わったあとにスタンディングオベーションする勢いでした。文章全体の広がりや深さに完全に酔えたし、正直言うと、その世界観からしばらくの間、覚めたくなかった。もっと続きが読みたかったな、と素直に思う。また未来というものを、未知のものとして扱うのではなく、あらかじめ決まっていることとして扱っているところも、知的さを感じてとても良かった。
 

10929 : 陽の埋葬  田中宏輔 ('18/12/03 00:29:21)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181203_980_10929p
(一)このシリーズがどのような順番で構成されているのか不明なのだが、個人的には前作と共に起承転結の「転」のような印象を受けた。
(一)圧倒的な美を芸術として昇華している。
(一)あまりの美味しさに腰が砕ける思いである。

10930 : 落葉と人  黒髪 ('18/12/03 00:44:06 *1)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181203_981_10930p
(一)活字として読むより、朗読のテンポに非常にあっている。声に出して読むと非常に味わい深い。「生の強度」に対する「生の作法」という言葉が身じろぎできないような息苦しさに満ちている。

10927 : dotakyan  完備 ('18/12/01 20:59:54)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181201_934_10927p
(一)春と秋を持たない語り手は夢を見てから目を覚ますのだが、それは本当の目覚めだったのだろうか。最初から最後まですべてが明晰夢のようでもある。あるいは人生という現実感の喪失。
(一)漂う青臭さと甘え切っている情感が詩を立てている。

10923 : 陽の埋葬  田中宏輔 ('18/12/01 01:21:48 *1)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181201_928_10923p
(一)「リゲル星人」という言葉が出てきたが「電撃戦隊チェンジマン」のネタとも思えないので、これがSFやファンタジー系の物語なのかスピリチュアル系の産物なのかなどと考えた。作中に引用詩が登場するというメタな構成を含めてシリーズの中でも異色作と言えるだろう。
(一)もう一作品と比較して全く作風が異なり、差異を持ちつつ圧倒的な美を提示していることに震えてしまった。

10924 : 砂塵の母  本田憲嵩 ('18/12/01 01:42:44)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181201_929_10924p
(一)始まりの方から作品の出来が良い。最後の一行が果たして成功しているか、どうかだが新たな一歩として良いと思った。

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2018年12月分月間優良作品・次点佳作発表

2019-01-25 (金) 16:49 by 文学極道スタッフ

2018年12月分月間優良作品・次点佳作発表になりました。

※「2018年・年間各賞」は4月中旬に発表予定です。

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●2018年11月分選考雑感(Staff)

2018-12-28 (金) 00:50 by 文学極道スタッフ

10921 : 奉公記  南雲 安晴 ('18/11/30 23:54:20)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181130_923_10921p
(一)導入とそれが示唆するメッセージ性がある作品だが、少しばかり拍子抜けしてしまった。メッセージのさらなる強化が欲しい。
(一)分かりやすい内容。構成も上手いかもしれない。演説になってしまっていないかどうか。もう少し比喩化できるのではないか。

10920 : 感じ  イロキセイゴ ('18/11/30 21:20:04)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181130_919_10920p
(一)感覚を拡張を持った言語で表現できていると思う。

10917 : 嫌になるくらい陳腐な恋、でも僕が陳腐だから  いけだうし ('18/11/27 07:08:07 *4)  [URL]
URI: bungoku.jp/ebbs/20181127_870_10917p
(一)内容はともかくタイトルが出オチというか、あざとさを感じる。でも後半はけっこう良い。特に「AIみたいな愛情」というフレーズは個人的にツボ。
(一)2の方は無くても作品として立脚していると思った。

10916 : たったひとりで伸びていったクレーンへと捧げる詩  渡辺八畳@祝儀敷 ('18/11/27 04:49:58)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181127_867_10916p
(一)「青空へまっすぐ伸びるクレーンのアーム」というビジュアルが鮮やかに浮かび上がる。青空を殺し新たな神になるという、神殺しの物語。「白痴」という言葉を普通に使っているのも良い。ただ「あの子は全くの白痴なんです」の部分は別の表現の方が良いと感じた。ドラマチックかつスピード感があり、最後まで一気に読ませる技量がある。
(一)とても丁寧な比喩で描かれているし、映像的な美しさも強い。筆者のこれまでの作品の中では、奇をてらおうとした作品より素直に好感が持てる。

10912 : 騒ぐ言葉  atsuchan69 ('18/11/23 07:31:38)  [Mail] [URL]
URI: bungoku.jp/ebbs/20181123_798_10912p
(一)「部屋中を這い回る声」がミキサーのパンポットを調整して行われるパンニングのように、言語だけでリアルに表現されている。言葉の内容は英国調に統一した方が良かった気もするが、こういう俗っぽいものを混じらせるのもありかも知れない。とにかく作者の技術力を評価したい。
(一)滑らかな流れで構築されていく詩の豊穣な世界。
(一)非常に惜しいとしか言いようがない。文末処理がもう少し丁寧であれば優良に推していたと思う。

10915 : 情動  anko ('18/11/26 23:30:06)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181126_859_10915p
(一)「五月の嗚咽/六月の慟哭/七月の告別」という部分はがちょっとありきたりで残念だが、全体的に若々しい情熱を感じる。
(一)導入部分は非常に巧みだと感じたが、「狂う」「赤いドレス」などの安直な比喩がもったいないと感じた。

10918 : BLUE  青島空 ('18/11/27 09:44:54 *1)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181127_872_10918p
(一)初連が少しまとまりきらない印象。第2連のテンションで最後まで走りきってくれればと思う。
(一)二連目まで良い流れで詩が続いていく。最終連を更に広がりが持てるかもしれない。またタイトルが勿体ないと思った。単語選択は重要だと思う。作者は、すぐに傑作を書くと思う。

10913 : 氷塊をみがいて流す  トビラ ('18/11/23 16:01:28)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181123_800_10913p
(一)タイトルにもなっている語り手の執拗な行為が、読み手の心の奥にある不安のようなものを刺激する。この反復が催眠術のような力を持ち、こちらに迫ってくる。

10903 : Out of the Blue  氷魚 ('18/11/17 18:50:34 *1)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181117_651_10903p
(一)良くも悪くも安定している感。語り手、どれだけマゼンタ好きなんだよという感じ。それなのに強調されているのは青色系。小魚の群れのように目まぐるしく移動する言葉たち。最終行の抒情プラスおとぼけも良い。
(一)伸びやかな作品です。内面が柔らかに描かれている。粗さも含めて十分に気になった。
(一)配色センスを感じる。色言語がそれ以外の言葉からそれそのものの色を想起させる機能を持っている。

10914 : きみのやわらかな  白犬 ('18/11/24 23:51:18)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181124_818_10914p
(一)いつもの毒気が少し抜けている感じで、それが良い方向に作用している。あと、もう少しでスタイルが確立されそうな予感。
(一)筆者の「美」への希求が、現実とリンクされはじめたように感じる。これまでは現実と創作がどこか乖離したような印象を受けていたが、ここにきて耽美な言い回しが叙事的なリアリティを持ち始めたのではないだろうか。言葉が想像から抜き出たというか、これは筆者にしかできない試みであるように感じる。

10909 : Evil Holy Raspberry  アルフ・O ('18/11/19 21:39:22)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181119_723_10909p
(一)短いながらも淫靡さと神々しさが入り交じった高揚感が心地よい。セリフだけにしたことで、よりシャープな感じになっている。考えるな、感じろ系の傑作。
(一)会話の文を主体とするフォーマットとしている作品では一番、輝いている。更なる先が気になる。

10907 : footprints  完備 ('18/11/19 00:07:11)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181119_705_10907p
(一)あきれるほど無駄がなく、短いながらも大切なパーツはすべて収まっているという感じ。マイスリーという言葉が、かろうじて語り手を地上につなぎ止めているように思える。それが救いか絶望か、読み手によって見え方が違うかも知れない。
(一)短いセンテンスが効果的に働いている。
(一)>あなたのくれた比喩でない不等式を証明できないままカルバリの丘に立てる
これを読むに、やっぱり固有名詞を入れるタイミングのセンスが絶妙だと思う。別作品の「大阪湾」も絶妙なタイミングでぶっこんでたけど、この「カルバリの丘」の位置も最高だと思う。

10910 : 光滲/Blau syndrome/  kale ('18/11/21 22:36:04)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181121_771_10910p
(一)タイトルが的確かつ読み手に対して親切。光というものの表現と取り扱いに作者の技量を感じる。後半の構成が特に美しい。

10873 : 何も知らないけど  黒髪 ('18/11/05 09:23:49 *2)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181105_985_10873p
(一)基礎力は非常に高い作者だと思うが、自己の持つメッセージ(主張、思想、思い)をもう少し俯瞰的に提示してほしかった。

10908 : 耳鳴りの羽音  帆場 蔵人 ('18/11/19 06:24:13)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181119_712_10908p
(一)蜂を用いた描写は志賀直哉の「城の崎にて」を連想させる。淡々とした中に作者の死生観がはっきりと刻み込まれている。少し描写が冗長なのが惜しい。

10898 : 一)読んでいて不快な気持ちになりました。 書ける書けない以前の問題で、読んだ人がどういう気持ちになるかという配慮に欠けた文章は作品として絶対に認めたくありません。  いかいか ('18/11/13 23:16:58)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181113_526_10898p
(一)運営批判は上等ですが、「面白い作品」で覆してほしい。
我々が黙ってしまうような作品をお待ちしております。

10892 : 海水浴場から帰って  南雲 安晴 ('18/11/12 21:20:22)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181112_478_10892p
(一)丁寧で面白く読めた。気になる作品である。

10911 : 吸血蝶を呑む  鷹枕可 ('18/11/22 19:55:44)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181122_782_10911p
(一)印象的な造語も含め、作者が独特のスタイルと美学を手に入れたことを確信させる作品。個人の生死にとどまらず、模造された歴史の中での国家と戦争の記録ではないかという気がしてならない。
(一)更なるブラッシュアップが、かかった作者の最新の形式。圧倒的な美である。

10883 : Violet pumps, stompin' the floor  アルフ・O ('18/11/07 20:18:25)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181107_250_10883p
(一)安定飛行と思われるいつものスタイルなのだが、なぜか読んでいて説明できないもやもや感があった。作者自身を作品から完全に切り離せていないような、そんな感覚がつきまとう。
(一)詩的構造の中で女性言葉になる部位などが映えています。更なる発展を見せていきます。
(一)(……ド畜生、
(LEDで失明するくらいなら
(流砂に眼球ごとくれてやる。
非常に秀逸!

10888 : 8月31日  青島空 ('18/11/09 11:48:30)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181109_376_10888p
(一)書き始めの良さがある。内実にある光と不安が同居して輝いている。

10891 : かたぶく、かたむく(「古今和歌集」巻第8/離別歌より)  中田満帆 ('18/11/12 12:01:03 *3)  [Mail] [URL]
URI: bungoku.jp/ebbs/20181112_470_10891p
(一)筆者の失望と諦め、客観と主観、混然一体となっている『ある意味では』意欲作。本人は否定するだろうが、わずかにもなければ書けないし投稿できない。その点は高く評価したい。

10901 : Lapse  泥棒 ('18/11/15 19:18:31)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181115_613_10901p
(一)長い空白の溜めの後の「めっさ深くて」で笑ってしまった。その後に続く連が少し硬さを感じてしまったので惜しい。「めっさ」がポップな口語体だと感じたので、軽い言葉で静謐さを纏めてほしかった。

10865 : 戦艦パラダイス号  atsuchan69 ('18/11/03 08:58:24)  [Mail] [URL]
URI: bungoku.jp/ebbs/20181103_826_10865p
(一)物語として大変おもしろいのだが、詩作品としては詩情というか詩であることの必然性に欠ける気がする。

10906 : 月精(あるいは湿原精)  本田憲嵩 ('18/11/19 00:05:52)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181119_704_10906p
(一)潤沢な詩文が流麗に綴られている。作者の上手さが光る。

10896 : 落葉の色  松本義明 ('18/11/13 18:13:28)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181113_512_10896p
(一)流れと引っかかりが非常に綺麗。巧い作品。
(一)傑作。切れ味も鋭く、無駄な言葉が一つもない。そぎ落とされ、研磨された日本刀のような作品。

10905 : たとえ偽りに終わったとしても  三浦果実 ('18/11/17 23:48:11)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181117_658_10905p
(一)詩を愛しているのに詩に愛されていない人っていますよね。他人事ではない気がします。この作者も、なぜか詩に愛されていないと思えてしまいます。それは単に技術だけの問題なのか。ただ、この作品に関しては単なる哀しい自分史に終わらない、作者の決意のようなものが感じられます。

10900 : 不在を訪ね歩いて  空丸ゆらぎ ('18/11/14 22:56:03)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181114_582_10900p
(一)途中の感覚が、まさに不在。この立方は見事である。更なる実在を対比させていけたらと思った。

10897 : 正風亭  つきみ ('18/11/13 20:06:59 *84)  [Mail]
URI: bungoku.jp/ebbs/20181113_518_10897p
(一)基本的な技術があるのでこの長さでも何とか最後まで読みきれた。しかし、それでも長く感じる。物理的な長さだけでなく、作者自身はテクニックだと思っているであろう構成が無駄に長く感じさせている気がする。もう少し読みやすさを工夫してほしい。
(一)圧倒的な傑作である。
(一)文句なく上手い。長い文面を一気に読ませるよう、丁寧なオノマトペが組み込まれている。料理の描写も細かいが、レシピだろうかと思ってしまう。どうせなら次回はぜひ、クックパッドに載せるようなレシピ詩を読んでみたいと思う。

10868 : いつまでもあいさつをしてゆく「上段スマフォ版。下段パソコン版」  つきみ ('18/11/05 02:16:29 *683)  [URL]
URI: bungoku.jp/ebbs/20181105_956_10868p
(一)単なる実験作品に終わらず内容も含めて完成度が高い。端末による見え方の違いの問題が、いまだに解決されていないのが残念。そのことに対して誠実に対応している作者の姿勢も評価したい。
(一)抜群に上手い。うますぎて不気味なくらい上手い。視覚的なデザイン性の高さが、女性的な受動を縁取っている。
(一)もしかしたら世の中には色んな作品があるのかもしれないけど、これは既存のロックというジャンルという意味ではなくて、主流に対して起こるカウンターパンチ的な意味合いとしてのロック魂を感じた。この新しい文体がどうなっていくのか見るのが楽しみです。

10881 : あらかじめ、喪われた《角》へ。  なゆた創 ('18/11/07 08:28:31)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181107_192_10881p
(一)詩としての完成度は問題ないが、どうしてもスタイルに既視感がある。そのことは作者自身も自覚しているのではないだろうか。

10890 : ポエムでチクショー  イグサ太夫 ('18/11/10 07:10:39)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181110_427_10890p
(一)エンタメとして非常に酷くて楽しい作品だと思う。酷さが良い。

10870 : unconfessed  完備 ('18/11/05 07:20:08)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181105_969_10870p
(一)正直、ここまできっちり書かれると「大変よくできました」的なことしか言えない。本当に美味いものは「美味い!」しか言えない的な。決して選者の語彙力の問題ではない。そういうことにしておいてください。
(一)一連目が気になる。
(一)一番良かった箇所は、大阪湾という固有名詞をこのタイミングで入れた一連。
最初に、>踏み切りのむこう平凡な交差点に海を探している
と海を出しておいて、後になってそれが大阪湾だと読者に認識させることで、読み手は一気に抽象的な概念から現実的な場所に意識が飛びます。ここの読み手に対する意識の動かし方は上手いなあと思いました。

10879 : 死物  鷹枕可 ('18/11/06 11:36:35)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181106_115_10879p
(一)この作品は存在の死の鏡であるように思える。

10878 : 夢魔  氷魚 ('18/11/06 00:38:19 *1)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181106_086_10878p
(一)一連目からの流れが美しい。最後を引き上げている。

10882 : 隔離病棟/見世物小屋  いかいか ('18/11/07 12:41:39)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181107_207_10882p
(一)「しね」という言葉はネットにおいて使用頻度の多い言葉だからなのか、どうにも薄っぺらいのにとても棘のあるので、個人的に使うのが苦手としている言葉のひとつ。それをさらっと「死ね」じゃなくてひらがなの「しね」を文中に組み込んできていて、文章全体から漂うぼんやりと霞ががかっている世界観を壊さずに、読み手の現実世界を壊す一言としてきちんと機能していて、正しい「しね」の使い方を垣間見たような気がしました。

10877 : ケルンのよかマンボウ。あるいは 神は 徘徊する 金魚の群れ。  田中宏輔 ('18/11/05 19:45:36 *1)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181105_038_10877p
(一)この作者の膨大な読書量の成果の1つと言える作品。まるで尽きることのない泉のように言葉が湧き出してきて、詩という器を観たし溢れ出している。たぶん見当違いだろうが、タイトルがデヴィッド・ボウイの「屈折する星くずの上昇と下降、そして火星から来た蜘蛛の群」を連想させる。
(一)こんなにも独自の世界を構築し展開していく磁場が凄い。惹きこまれて読み進められた。
(一)相変わらず長い。長すぎるくらいに長い。だがそれが癖になる。「読んでやったぞ」という爽快な読後感がある。

10875 : 義母  北 ('18/11/05 17:33:10)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181105_022_10875p
(一)義母という存在に対する語り手の複雑な感情は、おそらく本人にも咀嚼しきれていないのではないかと思われる。イメージは豊富だが、少し散らばりすぎてしまったのが残念。
(一)包み込むような父母の情と悲哀が漂っている。とても人間的だと思う。

10884 : 灰  紅茶猫 ('18/11/08 09:40:33 *21)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181108_306_10884p
(一)詩の中で詩を出されると身構えてしまう。が、この作品は、そのハードルを越えていっていると思います。

10863 : 月精  本田憲嵩 ('18/11/02 12:23:31 *2)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181102_733_10863p
(一)近代詩の良さを得ている作品。空白が作為的に見えすぎてしまうところが惜しいと思った。

10856 : 寛解  北 ('18/11/01 00:31:14)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181101_533_10856p
(一)文章の濃密さが非常に素晴らしい。後半が、もう一展開あっても良かったのかもしれない。

10872 : スカースデイルあるいは世界の終わり  オオサカダニケ ('18/11/05 09:08:55)  [Mail]
URI: bungoku.jp/ebbs/20181105_981_10872p
(一)テクスト本文は力がある。タイトルは本当に、これで良いのだろうか。

10855 : Mr. Bojangles。  田中宏輔 ('18/11/01 00:01:31)
URI: bungoku.jp/ebbs/20181101_529_10855p
(一)これまで本の宇宙を旅してきた作者による、書物や読書という行為に対する解釈がユニーク。本を読み続けることによって、語り手は言語的進化を遂げたのだろうか。ラストの蜜に対する説明は、実に上手いまとめ方だと思う。

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2018年11月分月間優良作品・次点佳作発表

2018-12-23 (日) 01:33 by 文学極道スタッフ

2018年11月分月間優良作品・次点佳作発表になりました。

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