文学極道 blog

文学極道の発起人・スタッフによるブログ

4月分次点佳作作品(がれきさん申し訳ありません)

2009-05-23 (土) 10:43 by 文学極道スタッフ

がれきさんの「左巻き」がスタッフのミスにより4月分次点佳作作品から抜けていました。
がれきさん、閲覧者各位、申し訳ありません。深謝。

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4月分優良作品・次点佳作発表

2009-05-22 (金) 19:46 by 文学極道スタッフ

2009年4月分優良作品・次点佳作発表になりました。

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2009年3月選考雑感

2009-05-02 (土) 16:12 by a-hirakawa

今月も勉強になりました。
ありがとうございました。

今月は、

3417 : マザー  宮下倉庫 ('09/03/23 21:39:07 *1)

3423 : 「一条さんがやってくるわよ」  一条 ('09/03/30 01:12:03 *2) 

3427 : 給水塔  黒沢 ('09/03/31 00:14:15 *5) 

3377 : RJ45、鈴木、  一条 ('09/03/06 18:10:07 *1)
 
3373 : 種グマのヘンドリック  ミドリ ('09/03/06 00:03:51)

3428 : 海想癖  苺蝶 梓 ('09/03/31 03:46:10 *1)

3384 : 平原II  田崎 ('09/03/12 00:17:39)

3396 : 東京オールナイトの夜  がれき ('09/03/16 21:14:06)

3390 : 「市ヶ谷物語」  吉井 ('09/03/14 01:49:48)

3395 : 駅  鈴屋 ('09/03/16 19:44:22)

3376 : アノレキシア  ゆえづ ('09/03/06 09:19:09)

3381 : 馬の死  木下 ('09/03/09 23:46:54)

以上、12作品が月間優良作品に選出されました。

3417 : マザー  宮下倉庫 ('09/03/23 21:39:07 *1)
これまでの作者の作品とはまた少し異なり、スタイリッシュでありながら実存的で、浮遊した言語様式とは対極にある手触りのある体感的情感が印象的だ、という意見がありました。きっちりと進化してきている、素晴らしい、敬意を。内面を捨てて表層を追うこと徹する作品が多い中で内面も組み込むことに成功した、今もっとも先端にある作品なのではないか、という意見もありました。

3427 : 給水塔  黒沢 ('09/03/31 00:14:15 *5) 
隙間が開き過ぎだが、力作である熱量は確かに押し込まれてくる、という意見がありました。この給水塔はもう少しまとまったのではないか、という疑問が熱量の奥からにじんで来もする、あまり上手過ぎるということがない文章それぞれが、振れ幅を大きくしていて、そこが魅力に感じられる、という意見もありました。

3377 : RJ45、鈴木、  一条 ('09/03/06 18:10:07 *1)
毎回、変えてくる手が一条様式を高めていて、読後の一文が轢いていく力の大きさが昇華を確かにしている、という意見がありました。
 
3373 : 種グマのヘンドリック  ミドリ ('09/03/06 00:03:51)
書き様によってはどうしようもない下品な話になるのだろうけれども、飄々とふざけている筆致の見事さを思わさせられた、という意見がありました。切り取り方が上手い、意識のずらし方がアッケラカンと凄絶だ、という意見もありました。

3428 : 海想癖  苺蝶 梓 ('09/03/31 03:46:10 *1)
突いてくる言葉の一つひとつが過剰でないのに吸い上げられている点が面白い、タイトルのハードルの低さも良い、身体性を重ねているところと関係性を織り込んでいることで巧い具合に客観的になっているように感じる、素晴らしい、という意見がありました。もう一歩を思わせながら伸びていく足跡の確かさは今月一番だったのではないか、という意見もありました。

3396 : 東京オールナイトの夜  がれき ('09/03/16 21:14:06)
技巧のむっつりスケベさが実に立っている、という意見がありました。作者の作品は、選考の際にかなり意見が割れています。圧倒的に推すか全く推さないか、中間がありません。それは良いことだと思います。ガンガン書かれて欲しいです。

3390 : 「市ヶ谷物語」  吉井 ('09/03/14 01:49:48)
この作者は下ネタの挟み方が芸術的で誰にも真似できない知性と下衆な本能の狭間をキッシュに描く不思議さがあります。最後も上手いですし、黄色が想起させてくることの刺激を存分にはみ出してきています。もう少し遊びがあっても良いのではないか、という意見もありました。

3395 : 駅  鈴屋 ('09/03/16 19:44:22)
進化と呼ぶべきか大いなる過渡期と呼ぶべきか躊躇われる作品だが、悪くない、という意見がありました。作者の作品としては決して良い位置にあるとは言えないが、これだけ面白いところのあるものを、完璧な物に完璧でないところがある、というのもおかしな話なのかもしれない、という意見もありました。監督ばんざいを最高傑作とする人もいれば、しない人もいます。その中間にある中間の中間の中間感覚を思わせたのも事実です。もっと感情を壊させても良いのでは、この作品はこの作品で良質なのだけれども、という意見もありました。

3376 : アノレキシア  ゆえづ ('09/03/06 09:19:09)
今ひとつ、作文として足りないのだけれども、巧稚を超えて伝わるものがある素材のこなし方だ、という意見がありました。言葉が作者なので、引きずり込まれもするけれども、最後は少し直情が過ぎ、それは寄り添いたくなる直情の書き方ではなく、言葉選びの粗を極端に出してしまっている筆致に思える、という意見もありました。優劣は別にして、作者は確かに詩を書いているので選考委員内での評価は非常に高いです。

3381 : 馬の死  木下 ('09/03/09 23:46:54)
粗いが見まごうことなき詩だ、という意見がありました。引っかかるものは確かだが、今はまだそんなに形になっていないかもしれない、という意見もありました。作者の奥からの魅力を感じさせる作品なので、何作品か続けて読んでいきたい、これからも作者の作品を読み続けたい、という意見が賑わいました。これからも是非、よろしくお願いいたします。

さて、次点佳作作品について触れていこうと思います。

3398 : 帰還  ぱぱぱ・ららら ('09/03/18 17:27:09)
目新しい言葉は帰還兵以外ないけれどもエッジの効いた良作だ、という意見がありました。優良へと推す声もありました。
 「帰還」

 還ってきた
 帰還兵の
の「還」を最初に重なり合わせていることで三連目が心もとなくなってしまったのではないか、受け取りやすい巧さがある作品だけに勿体ないのではないか、という意見もありました。

3406 : ケセランパサラン  はなび ('09/03/20 00:06:15 *1)
エロさが陰美な方向ではなく傾き通していて、軽さとリズムと勢いと読みやすさとの狭間が上手い、巧くないところがまたよい、という意見がありました。

3383 : (無題)  CGあゆみ ('09/03/11 18:18:11)
原石的な良さがある、できれば優良にしたい、という意見もありました。それぞれの言葉は特に印象的ではないけれども、魅せ方によっては良作になる可能性はなきにしもあらずな作品だ、この書き方というのはポエムポエムしていて、それはそれのよさがあるけれども、まとめすぎている部分や、この文章、綴りを見て欲しい、という部分があからさまな点などが、どうしても削いでしまうように思えた、という意見もありました。思いつきやすい比喩なので構成の妙など、または破壊的なものを吸い込んだら柔らかく良質な作品を書く方向へ作者は変貌するのかもしれない、という意見もありました。

3405 : 朝の風景  ミドリ ('09/03/19 21:33:19)
抜いた肩の力がよい方向に働いた印象を受けた、という意見がありました。今までのスカシッ屁具合や寸止めに感じられていたところから、登場する者の背後を窺わさせる断片に移行していて、その部分の切り抜き方が調度よくなってきた作品に思える、という意見もありました。

3418 : un murmure ささやき  はなび ('09/03/24 23:06:21)
こんなどうでも良い詩がどうしてきちんと読めてしまうのか、これは凄いことなのではないのか、という意見がありました。作者にしては素直すぎるが、その分、最終連の素朴さが純に届いている、という意見もありました。落選でも良い、という意見もありました。

3413 : アポロ計画、以後  こんぶ ('09/03/21 19:39:52)
は、ダサくてダサい男子のダサいままのポエム臭が非常にダサくて素敵だと思え、バカだ、と思わせる素晴らしさが人間的で良いと感じました。伝えられていて、その伝えていることはとてもくだらないことなのですが、そのくだらなさがくだらない書き方と伴って、非常にダサいよい味を出していると感じました。

3402 : 胸のあつさも  草野大悟 ('09/03/19 00:00:16)
最初二連があることで、近作の一つしか読み方がない作品とは少し異なり良い位置に行けているように思える作品だ、そして最終連が、とても良質だ、という意見がありました。最初の二連が、草野さんの近作の視点と少し異なっても良い、多様性がある点描と、最終連の単一でありながら暴とする穏やかな柔和の感触であり、近作とは違った味わいがあって、作品の純なる良さを醸し出している、という意見もありました。

3388 : なまえ  寒月 ('09/03/14 00:03:03)
悪くはないけれども中途半端な印象を受ける、それは、最後の方がおろそかになりすぎているからだと思う、
 さみしいはいつか
 かならず電話するといってひとりで帰り
 愛はおばさんと一緒に仕事をしている

 その日会う 女の人に 花を買う
 名前と誕生をそえて
 赤い薔薇を渡し
 見つけてください
 あなたを見つけたように ぼくを

 初めて 声に出し なまえを
 言う
この三連に地下鉄や掃除、赤い薔薇をだすよりも、女性に電話を掛けたりと、何か仕掛けて欲しい、作者のやり方は間違ってはいない、その上でもう一歩丁寧に仕上げて欲しい、と感じる、という意見がありました。もう一歩先にいけたのではないか、名詞、形容詞の擬人化は詩の手法としてはかなりありふれたものだ、そこを真っ向から描く作者に何かもう一歩の期待を抱いてしまったのかもしれない、抱いても良いような作品内の好感触はあった、という意見もありました。

3424 : 前夜  泉ムジ ('09/03/30 06:01:41)
悪くない、巧い、けれども「喝采」などで既に見せた側面を緩やかに見せてしまっているのでイマイチ感が漂ってしまっているのではないか、という意見がありました。カップリング作品としてはかなり良い出来になるかもしれない、スタイルは良いので、もっと期待してしまった、内実が少し低めているかもしれない、という意見もありました。作品にも鮮度がある場合がある、この作品は少し出す時期を間違えたのではないか、この作品は本当に前夜に感じてしまった、という意見もありました。作者への期待値が高いため、厳しい意見が出たのかもしれません。あまり気にせずガンガン投稿されて欲しいです。

3420 : 火曜日の水死体  フリーター ('09/03/28 02:19:45)
悪くない、改行していないと少し読み手がだれるかな、という思いはあったけれども、最後の普通に終わってくれないところも含めて、これまでの作者の中では一番良い、という意見がありました。単純なつくりなので、強めの単語が強いまま働いているんだと思う、という意見もありました。

3412 : 秋  右肩 ('09/03/21 19:36:41)
右肩さんは力作をいつも投稿されていますね。右肩さんは自己と詩への合致の中でも、既視感とトリックを重視しすぎて、ひょっとしたら、もったいない場所へと傾きすぎなのではないか、預けすぎなのではないか、と突いているような気がします。悪くない作品だ、合評部分も非常に勉強になった、しかし皆、この作品の場合は、これ、という意思を持っていて、それが故に合評が盛り上がったような気がする、つまり、過去にあったものをそのまま足さずに引かずにやっているような作品にも思えた、皆もそう思っているように感じた、という意見もありました。

3387 : せつな  右肩 ('09/03/13 01:31:03)
悪くない、最後にやっと、どういう情景なのかもわかる詩、そこまで引き連れていくだけのものがある、という意見がありました。個人的には、右肩さんの長ったらしい作為があり過ぎる作品よりも、詩的にみたてていて、やはり仕掛けがあって作為に気づかされるこっちの作品の方がよほど良いような気がしました。

3392 : 夜の深浅  凪葉 ('09/03/14 23:39:01)
悪くはないと思うけれども、作者はもっと先に行っても良いのではないか、一連からどんどんトーンダウンしているのはいただけなかった、四連目をもう少し効かすために書いておいた方がよい断片があるのではないか、六連は無難過ぎないか、悪くないけれども、もっと進める印象だ、という意見がありました。

3374 : 09/03/05 23:34  294 ('09/03/06 00:52:34)
一気に読める、舞城王太郎的というか楽しめたけれども、最後の希望があってまとまりすぎているところは、あまりに作為的なものを感じる、最後何かもう一発欲しかった、意味なんてなくてよいと思うから、という意見がありました。

惜しくも選からは漏れましたが、その他、以下に挙げる作品が注目されていました。

3368 : 黄色い自転車  カスタネットUSA ('09/03/03 01:34:17)
こういうラブポエムbno
純度をもっと高めても良かったかもしれない、句読点や改行が効果的に思えない、それよりも良い内実があったので、そこをもっとはっきりと浮き立たせるように書いても良いように思えた、よいう意見がありました。

3403 : スクラップ・ベイビー  ゆえづ ('09/03/19 01:18:50) 
 あたしたちは産廃なんだって
は印象的だったが、その前に、
 発狂した姉ちゃんは言った
を持ってくるのは強い言葉で打ち消し合っているようにも感じられる、テンションで作者の言葉を見せていくことには興味深いものがあるが、
 あたしはスクラップ・ベイビー
は少し括りに弱いかな、と感じてしまう、という意見がありました。女の子の言語化されていない内心を文章にできているところが非常に面白かったが、理詰めというか、きちんとしすぎているような気がする、少女らしい破綻があると一皮も二皮も剥けるのではないか、という意見もありました。

3416 : 想い砂  破片 ('09/03/23 14:07:10)
後半は悪くなかったけれども、前半と中盤、意識的なのかそうでないのか、全く使いこなせていない言葉が咀嚼できていないままに浮いて存在している、その部分では作品が止まってしまっている、という意見がありました。もう少し素直な破片さんの作品を読みたい、という意見もありました。

3370 : 猫  びんじょうかもめ ('09/03/04 01:00:26)
跳躍し続ける暗喩は面白いのかもしれませんが結実していない、僅かな線で結ばれているようなはみ出しているような、書きたいことを書きすぎているような気がする、という意見がありました。

3366 : 親友へ  丸山雅史 ('09/03/02 00:56:05 *3)
最終連もう少し欲しい、一連の彼女を出すとか、全く格好良くないよさというか人間味というか、妄想なら格好良い存在に背丈を合わせたりしがちだが、妄想と解りながらダサい背丈に合わせていっている視点、目線のあり方の面白さが、ある、ように感じる、という意見がありました。

3380 : マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン  丸山雅史 ('09/03/09 00:17:47)
途中までとても良いとは言えない所がとても良い、最終連は最高必須に感じる、という意見がありました。

3393 : 早春の歌  はるらん ('09/03/14 23:55:46 *3)
作者の物語にはどうしてこうも体臭がないのだろうか、この方向性でいき続けるのであればリアリティに澄ますということは必須課題のように感じる、という意見がありました。

3386 : record_090225_0030-32@jisitsu.  藻朱 ('09/03/13 01:13:10)
こういうのもありだとは思う、わけわからない作品なわけだからわけわからないということはわけがわからない評価としてわけがわからないままにわけがわからないわけのわからなさをわけもわからずにわけをわからなせていくことに優れさせていくことがいつか、わけわかるのかもしれない、という意見がありました。

3415 : 「市ヶ谷物語」  吉井 ('09/03/23 00:29:43 *2)

3365 : ゼンマイ美女と黄金狐  Anonymous ('09/03/02 00:39:52)

以上です。

・年間選考雑感しばしお待ちください。

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3月分優良作品・次点佳作発表

2009-04-21 (火) 21:13 by 文学極道スタッフ

2009年3月分優良作品・次点佳作発表になりました。

年間選評についてはもう少々お待ちください。

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2009年2月選考雑感

2009-03-28 (土) 11:17 by a-hirakawa

今月も勉強になりました。
ありがとうございます。

今月は、

3333 : マリエロの海  ミドリ ('09/02/10 20:15:04)

3330 : (無題)  一条 ('09/02/10 00:35:36 *1)

3319 : 我儘なスイートピー その翻り加減  はなび ('09/02/06 20:50:34)

3361 : 六月の景色  がれき ('09/02/26 23:14:48 *2)

3324 : 詩人  ぱぱぱ・ららら ('09/02/09 04:30:07)

3352 : 暁の、flims  DNA ('09/02/20 15:25:57)

3349 : 恋歌連祷 11(仮題)   鈴屋 ('09/02/19 01:51:16 *1)

3323 : だんぜつの雨  ひろかわ文緒 ('09/02/09 04:00:05 *1)

3313 : 月の見えない夜に羊は消える  ぱぱぱ・ららら ('09/02/05 0:58:52)

以上、九作品が月間優良作品に選出されました。

3333 : マリエロの海  ミドリ ('09/02/10 20:15:04)
別段描写しているわけでもないのに、背景の海や港町の様子が伝わる不思議な詩であり、実存大賞を取ったときの完璧な流麗さ鋭利さとは違う道を模索し続けている作者の久々の傑作なのでは、という意見がありました。ゆっくりと可燃されていく不幸せと続く生活を抽象と具象との五感をつなぐ、手繰り寄せる単語の選択を愛らしいものにすることにより読み手を掬いあげていく見事さがある、という意見もありました。

3330 : (無題)  一条 ('09/02/10 00:35:36 *1)
この類の作品は通常、大変な瞬発力とエネルギーが必要で長続きすることが非常に難しく、一作品内でも続かず最後まで読ませることすら困難な場合がある、この作品はそういった印象を微塵も感じさせない凄絶さがある、特に最後の綴りが強烈に残る部分は唸らずにはいられない、という意見がありました。イマジネーションの炸裂による、イメージの飛躍の連続性の保持、これは作者でなければできないことであり、100年後の人達も面白いと叫ぶ作品だと感じさせるものがある、という意見もありました。

3319 : 我儘なスイートピー その翻り加減  はなび ('09/02/06 20:50:34)
目の付け所の鮮度も、作文立て組みも充分であり、新人としての良質さを確固としている、という意見がありました。一方、テーマも素材も今までに出尽くしているものであり、書き方も突き抜けているわけではないので、その上での魅力をもう一歩加味しても良いのではないか、という意見もありました。

3361 : 六月の景色  がれき ('09/02/26 23:14:48 *2)
最先鋭に埋め尽くされている中で古い様式の部類に入る作品だけれども、それだからこその良さというものが在って、剥離がない、素晴らしい、という意見がありました。連鎖の中で僅かにずらしていったり先にあるまたは内側にある言葉で範囲をくるめていっている再構成や言語化の跳躍は目を見張るものがあった、という意見もありました。一方、硬質的言語が鮮度ある視点を引っ張っていて、全面に作品の良さを出し切れていないのではないか、という意見もありました。

3324 : 詩人  ぱぱぱ・ららら ('09/02/09 04:30:07)
この作品は傑作中の傑作なのではないかと思わせられるものがありました。形骸の奥にあるもの、比喩も擦りきったものを使うことで見えてくるもの、消費の中に潜んでいるもの、多くをわざとやって高めた新時代の作品のように感じました。言葉が綴りが届くだけではなく、今まで見つくしてきたと思っていた綴りの中にまだ潜む角度があるという発見を作品で証明してしまった。素晴らしい。コンセプトを持って書いたのかどうか解りませんが、この作品が読めたことは大きかったです。説論は特に面白い、彼女のことや豚殺しのことや文学論は十分楽しめる、難を挙げるなら最初の連だろうか、最初の連の粗雑さで読むのを止められてしまう危険性があるのではないだろうか、という意見もありました。海辺を僅かで良いので、描写しても良いのではないだろうか、という意見もありました。が、選考委員が全員唸った作品でした。

3352 : 暁の、flims  DNA ('09/02/20 15:25:57)
この作者は質がブレルことがない、読ませる、とにかく好き放題に書いて欲しい、という意見がありました。

3349 : 恋歌連祷 11(仮題)   鈴屋 ('09/02/19 01:51:16 *1)
前に進んでいく作者の貴重な過程であり、結果を出せた作品だ、という意見がありました。作者の覗けない裏と読み手を繋ぐ力のある眼からの情報ではない新たな感触は実在を再認識させる力が少し弱いかもしれないけれども、作品として非常に成就を新たにしている不可思議さを持っていて、鋭い、という意見もありました。過去の作品と比べた場合どうだろうか、もう少し面持ちを成功させても良いのではないか、という意見もありました。

3323 : だんぜつの雨  ひろかわ文緒 ('09/02/09 04:00:05 *1)
作者に対しての評価は非常に高いです。作品に関して、途中までの美意識を
 /きこえますか?
以降が割礼してしまい、位置を救済しすぎているのではないか、という意見と、
 /きこえますか?
以降がないと、それまでの冗漫な文章が読後に芽吹かなかったのではないか、という意見がありました。

3313 : 月の見えない夜に羊は消える  ぱぱぱ・ららら ('09/02/05 0:58:52)
あえて既製のポエジーを廃してぶっきらぼうな言葉しか使わず、少し荒んだ生を書いているのではないだろうか、悪くない、という意見がありました。今日読んで面白い詩作品ではなく、明日読んで面白い試作品なのかもしれません。全ての言葉が手垢にまみれ過ぎていて、普通は避ける言葉ばかりを敢えて選択しているやり方は、よほどの根性がないと出来ません。形骸化の面白さ、現代詩の先を提示しているのかもしれないな、と思いました。二次創作から大傑作を紡ぎだすような新たな発見があるような気がして、今月は少し熱くなりました。思い過ごしかもしれません。楽しい誤読かもしれません。その可能性を持ち合わせた興味深い作品なんだと思います。

さて、次点佳作作品について触れていこうと思います。

3302 : 愛と歩いて、町を行く  一条 ('09/02/02 00:26:15 *2)
罠というべき張られた仕掛けは、読めば読むほど深読み出来、付随してくる情感の薄さを一蹴する立ち方が、タイトルと一文一文のループが意味を持ちもしないこともないようにあり、消費の中に埋める作品の形は、視点の疑いを早めさせていく熱がある、という意見がありました。タイトルに負けてインパクトを小さくしているのではないか、という意見もありました。
 
3335 : 「 トカゲの日。 」  PULL. ('09/02/11 22:51:33)
文章のもつれは全くなく、空気感の醸し出し方も見事、ただし、どうしても最後にかけて想定内にある部位は削いでいて、先への余韻は突いていかないのではないか、もう一歩の盛り上がりを作っていうともっと引き込めたのではないか、という意見がありました。もう少し作品に遊びがあっても良いかもしれない、少し今回はまとまりすぎていて余波や別方向への働きかけが全くないかもしれない、それでも良いのかもしれないが、空気感の作り出しが見事なだけに先を期待してしまう、という意見もありました。

3347 : リリーフ  れつら ('09/02/17 17:16:33)
地味な作品であり、珍しくもないけれども、実はかなり高度な技術を駆使して軽妙な物にしている部分が印象的だった、説教されたように痛かったが読後感は良い、という意見がありました。

3353 : ヒヤシンス  丸山雅史 ('09/02/20 22:52:42 *8)
修正されて、かなり良くなったが、まだ伸びしろがあるのではないか、という意見がありました。感動できる作品なので、もっと時間をかけても良いのではないか、という意見もありました。

3318 : 街灯が途切れたさきには  犀樹西人 ('09/02/06 03:16:19)
特にいうことのないポエムだけれども、ちゃんと読ませうる方向へ仕上がっている、という意見がありました。改行した方が良質さが伸びた作品なのではないか、という意見もありました。全く新しさは無いですし、とある自由律俳句に詠われた感受そのままだったりもするのですが、小ささが作者の手の中にある燈芯へ共感を惹きつける重量を得ているようにも思えます。視覚を押し出していながら聴覚に記憶があり、時間の経過と感情の変化を数で遠のかせていく哀寂は、それなりのものがあって、それなりでそれなりのそれなりさがそれなりにそれなりを伸ばしていると思えます。ここから踏ん張って欲しいです。伸びやかに壊しても良いのかもしれません。

3358 : 枕返し  右肩 ('09/02/25 02:51:53)
乱れはないけれども、評を書く作者に感じられる魅力というものが作品になると影を潜めるのは何故だろう、頭で書きすぎなのではないか、という意見がありました。

3329 : 鶏頭  ゆえづ ('09/02/10 00:24:14)
指していることに対してタイトルが悪すぎるのではないか、という意見がありました。作者の綴りはいつも舞っています。鈍色に再構成していきながら感触の通じるものを絶対とするあり方は、汚物の中にも必ず救済と純白を入れるような白濁を醸しています。これからも楽しみです。

3337 : カセット(4:06+∞)  丸山雅史 ('09/02/12 03:43:59 *2)
悪くはなく、下手だけれども読んで損した気分にはならない、ただしそこに留まってしまう、という意見がありました。自嘲気味でありながらも自己への愛が切なく伝わり、文章のあまり巧くない部分がダサさを加味しているように感じ、作者にしか書けない独特な作品という意味ではとても貴重なもので寄り添いたくなるような感動さえ起こります。「サンデーモーニング」を読み返してみてください。一体誰があの詩にここまでの物語が付随していると気付いたでしょうか。
付随した作品の方が面白いような気がするのはどういうわけでしょうか。卑怯な気もしますが、嘘でも、この物語が詩作品的な感情を成り立たせる作者の迷い、その迷える揺らぎがそのまま伝わるので、真似できない変な作品になっているような気にさせられます。自分のことを書くリストカットとしての詩作品が多い中で、リストカットとしての作品投稿が多い中で、そういう場所にはない自分を見つめた自分の作品、これは貴重なものだと思えます。そんなに貴重でもないようにも思えます。どこへ行きたいのかよくわからないところがまた良いのかもしれません。

3307 : ままごと  古月 ('09/02/02 18:16:38)
遊びという有限に無為の枠だけがありどこまでも高みへ押し上げられていく中での僅かな感触は「飴玉」という無くなる物質で味という不確かさを記憶に残し包んでいくが、
 もしかしたら名前なんて 最初からなかったのかもしれない

  /そんな遊びです
最終二連はあまり必要に感じられない、もっと良い先があったかもしれない、という意見がありました。

惜しくも選からは漏れましたが、その他、以下に挙げる作品が注目されていました。

3357 : gloom3  5or6 ('09/02/25 01:05:15)
読み物としてまとまっているけれども、残らないことと後をひかないという欠点は大きすぎるのではないか、という意見がありました。

3343 : 人間恐怖  古月 ('09/02/16 15:46:02)
作りは純粋で良質な部位もあるが、過渡期を作品の中で魅力を削ぐ方向でやっているように感じられる、魅力の加味と塩梅をもう少し考えて欲しい、タイトルは最低の部類に感じる、という意見がありました。

3327 : 世界の涯  Anonymous ('09/02/09 22:23:51) 
 物語れる過去の一切を忘れてきてしまっていた。
 あたりまえだ。
 すべてをすっかり覚えたままだれが世界の涯、
 に辿り着けるというのか。
だけに焦点を当てて書いても面白かったのかもしれない、作者は説明的で輪郭を作って中身がありふれすぎている、掴めそうな良質は、しかし確かにある、という意見がありました。

3345 : 怠惰  菊西夕座 ('09/02/16 21:21:37 *2)
この怠惰感は貴重、もう少しコントラストを出しても良いとも思う、悪くはない、怠惰なわけだし、という意見がありました。もう少し肩の力を抜かれても良いのかもしれません。もっと怠惰でもよいのかもしれません。跳躍力というか暴走癖のある作者の良さがもっともっと伸びやかに魅せられる箇所は確かにあるはずです。

3310 : カンナ  結城 森 ('09/02/02 23:26:20 *1)
作者は上手くなっている、けれども構造と情感の足りなさが後半にかけてどうしても目立ってしまう、惜しい、という意見がありました。内容は悪くないのに文体の冗漫さで損をしている、全編に渡り、手直ししたくなる、という意見もありました。実際に選考の際に、こう書けばよかったのではないか、というリトライが為されたり、注目を集めはしていました。

3332 : 聖レイン  榊 一威 ('09/02/10 14:59:08 *1)
作者の作品はいつも、次点にしようか迷う、今回の作品はエンディングが寸足らずだったのではないか、という意見がありました。

3304 : 赤い実  桜井 ('09/02/02 02:16:59)
悪くない、表現の細部に気を配り、瑞々しさを心がけていくともっと良くなるのではないか、
 天の方では
 雲一つなく見ていたが
 小さな赤い実
 少しはそれに 気付いたろうか
この連で終えるのはあまりに勿体無いのではないだろうか、三連目まで適度な緊張感もあり写実的でありながら精神に刺さる棘を確かめていく作業が捉えられていてとても良い、だが四連目突如として視界は開け、自身の身から赤い実への思いへと転化しすぎていて、裾を広げるのではなく投げ捨てた印象すら殴っているように思える、という意見がありました。

3355 : 沈丁花  はるらん ('09/02/23 15:41:17)
 ひとつおき、咲かぬもの
 またその先の
 沈丁花は花ひらき

 同じ場所で
 同じ陽射しを
 浴びながら
 花ひらくもの
 咲けないもの

 どうして?と
 瞳で聞く私に
 振り向いたあなたは
 それには答えず
 みんな連れてゆく、と

 静かに笑ったのでした
良質なので、もっと絞って表出させ奥まで誘うことは可能に感じる、もっと素晴らしい位置に辿りつけたのではないだろうか、という意見がありました。

3336 :  八雲神社  吉井 ('09/02/12 01:45:18)

3348 : 崩れゆく輪の中で  京 ('09/02/18 09:03:28)

3356 : 青空は蝶の羽根のように  草野大悟 ('09/02/23 21:09:04)

以上です。

#年間各賞、ほぼ決定しています。現在微調整中ですので、もう少々お待ちください。

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