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●「2019年10月分選考雑感」(Staff)

Posted By 文学極道スタッフ On 2019-12-16 (月) @ 14:57 In 月間選考 | Comments Disabled

11489 : 掠れ声  つぐみや ('19/10/04 21:44:13)
URI: [1] bungoku.jp/ebbs/20191004_358_11489p
(一)空行と最後の凡庸さが気になる。しかし、凝縮された世界は目を瞠る可能性がある。
(一)わかりやすく、楽な方へ流れて行ってしまう人間の性質を含んだ、自分自身への厳しい目というか、冷めた目線のようなものが表されています。テーマとしても深く切り込まれていて、表現としても強いです。

11530 : pray,wish,hope,invoke…なんでもいいよもう  HN ('19/10/30 00:00:16 *3)
URI: [2] bungoku.jp/ebbs/20191030_662_11530p
(一)この長さの文章を読ませるだけの工夫が足りない。コメント欄での指摘に作者はもっと謙虚に身を傾けた方が良い。それからダーザイン氏のコラムも参考になると思う。
(一)熱を帯びて「私」が感じた個人的な事象と「詩」に関して書かれてある。思ったことを皮肉や、そのまま書いていくのではなく実践してみて感じさせることや学ばさせられる方面でいくと可能性が出て来るように思えた。
(一)読者を突き放すのか、そこで注目してみると、タイトルと文章のバランスで、なんでもよくはないことは非常に良く伝わってきますが、中盤と終わり以外の部分でその主張に釘付けになるように展開できているかというと、現実や現状を見つめろという強くて真っ直ぐなメッセージに敢えてバイアスの掛かる言い方や存在の仕方を選ぶ文章ではあると感じます。

11531 : 天むす  イロキセイゴ ('19/10/31 23:36:38)
URI: [3] bungoku.jp/ebbs/20191031_683_11531p
(一)言葉の跳躍が面白いが、もう一個の核があった方が良いと思う。
(一)出てくる単語が魅力的で興味を惹くものがありますので、これをもっと調理して、インパクトと同程度の感銘に持って行って欲しいです。

11523 : 自我  イロキセイゴ ('19/10/26 01:03:59)
URI: [4] bungoku.jp/ebbs/20191026_590_11523p
(一)読んでいて萩尾望都の「城」を連想した。第4連は必要だったろうか。あきらかに浮いているし単語の選び方が雑になっている印象。第3連で終わっていたら文句なく優良だった。
(一)単語の跳躍と比喩化は成立しているけれども、肝心の自我が言葉としてありきたりである。自我を比喩化できる単語を探すことが必要に思える。
(一)整ってきているのではないでしょうか。ジョバンニというちょっと魅力的な固有名詞だけが効いているのではなく、文章として単語の連なりにイメージが繋がる箇所が生まれており、脆さを抱えつつしっかりしている、逆の順番でも言い表せる自分というものを見つめている様子が表現されています。

11528 : 欠勤  本田憲嵩 ('19/10/29 02:31:39)
URI: [5] bungoku.jp/ebbs/20191029_649_11528p
(一)全体的に上手くまとまっているのだが「創造性の海」がこの作者の過去作品を考えるとあまりにも平凡。「砂浜で靴と靴下を脱ぎ捨てて素足になるように欠勤する。」という出だしのフレーズの軽やかさを最後まで維持してもらいたかった。
(一)自己自身のことを上手く詩とする類まれなる才能を持った作者である。また作風が変化してきており、柔和と実存が上手く同居している。
(一)結論付けようとすることで、上質に紡がれた文章の流れを自分で止めてしまっている部分があると思います。最終練の強目の言い切りが想像を封じる方向に作用しているようです。

11517 : The night  鴉 ('19/10/22 11:00:43)
URI: [6] bungoku.jp/ebbs/20191022_542_11517p
(一)ものすごく乱暴な言い方になってしまうが、この詩は最終連だけで良かったのではないか。それくらい他の連との間に完成度の差がありすぎると感じた。
(一)言語を断片化させ力動を具体化させている。技法に忠実でありながら、自分自身を探究している。
(一)冒頭からひそやかでかつ高熱に浮かされるような真の絶望の最後に残された、人を生かすのにとても重要な「希望」が凄い筆圧で描かれておりました。大切にしていただきたいと思います。

11479 : Here Comes the Morningstar  アルフ・O ('19/10/01 00:00:02)
URI: [7] bungoku.jp/ebbs/20191001_281_11479p
(一)この作者の作品は現代のアニメ、マンガ、ゲーム、ボカロ等の知識があるとないとで極端に評価が分かれるだろう。もちろん詩人としての基本テクはきちんと持っているのだが、実際に前述の要素に親しんでいる者でないと最終連を省略せず敢えてああいう形にする意味とかも不明ではないだろうか。そう思いつつも、作者には今後もこのスタイルでより高い完成度を目指してほしいと考える。
(一)読んでいて気色悪さと不快感しか与えられなかった怪作である。ここまで特化させた感情を与えられることには力を感じる。最後はリフレイン以上の何かが必要な作品にも思えた。
(一)リフレインまでにそれよりも大切なことが丁寧に描かれている箇所がいくつもあります。受け入れることによって、傷を負うことについての覚悟を自他に求める気持ちがきちんと読むと切実に伝わってきます。中弛みしない文章の整え方、昇華の仕方にはまだ伸びる余地があると思います。

11529 : 屋上  いまり ('19/10/29 18:22:35)  [URL]
URI: [8] bungoku.jp/ebbs/20191029_654_11529p
(一)昇天していくような感覚が切なく心地よい。最終連にもう少し工夫があるとさらに良くなるはず。もっと心に残る余韻がほしい。
(一)ライトな筆致が印象的である。最後に世界から、逸脱していくものがあっても良いかもしれない。
(一)華やかさ、恋が世界を一色に塗り替えるようなテンションの高さで語って良い様な形式の詩だと思います。その片鱗を感じます。

11526 : 雨  山人 ('19/10/28 06:13:24 *1)
URI: [9] bungoku.jp/ebbs/20191028_638_11526p
(一)雨の日の独特な雰囲気を上手く表現している。ただ、この作品も「雨」を使いすぎている。「何一つ語ることなく、地面に降り注ぎ」「私を按じていた/私が私を痛めつけることを見ていた」「私の心も濡らし/あらゆる臓腑にまで降り注いだ」「雨とカエルは同化していた/湿度を感じたカエルは鳴き」「濡れた半開きの目をしたカエル」等々、「雨」を8割くらい削るとさらに良くなると思う。
(一)生活の中を見つめ続け、比喩化していく手腕は見事である。ただし「雨の点滴」などやカエルの凡庸さは、再考しても良いように思える。
(一)雨のやさしさとカエルの煌めくような描写によって語り手の洗われたばかりのような美しい心が、悲しみと孤独を存分に見つめたからこそ輝く様な気持ちが適切に綴られており、言い過ぎるわけでもなく足りないわけでもなく、それによって最大限に魅力的な詩になるバランスでした。

11518 : 背後 には/雪  夢うつつ ('19/10/22 20:54:54)
URI: [10] bungoku.jp/ebbs/20191022_543_11518p
(一)雪の表現が秀逸。無音の情景だけでなく温度まで伝わってくる。「愛する誰かを失った人たちの」は「愛する」が無くても良い気がするが、この点を差し引いても優良だと判断した。
(一)空白の在り方が詩情を獲得できているかどうか。
(一)季節感と共に、孤独感と人の温もりを表現しようと努力されていると感じます。大切なところで良く見るようなフレーズが使われてしまうので、このあたりでもっと腑に落ちる言葉を探してみたり、掘り下げて考えてみると良いのではないか。

11516 : デジタルネーチャー反  まひる ('19/10/22 03:52:21 *1)
URI: [11] bungoku.jp/ebbs/20191022_540_11516p
(一)基本的な技量に不安はないが、テーマの選び方や表現方法があまりにも安易で稚拙。特に「防護服」「汚染」「海に流せばいい」等、原発事故を連想させる言葉を羅列した挙げ句に「最近鼻血が止まらない」などという手垢のついたデマをいまだに使う態度は無神経すぎるし看過できない。
(一)パンクロックバンドの日本語訳のような雰囲気があり、とても魅力のあるスタイルなので、もっとウィットに富んでいたり、読者を驚かせるような表現が筆者自身の中から生まれたり掘り出されたりすると、洗練されて衝撃も強くなるのではないかと思います。

11527 : 地球の静けさ  陽向 ('19/10/28 10:13:05)
URI: [12] bungoku.jp/ebbs/20191028_639_11527p
(一)メッセージが強いため、冷静にメッセージの一つ一つに目を向けて、一つ一つのメッセージを伝えたいときにどんなことをしているか、どんな想像が働いているか、どんな景色が広がっているかを示せると説得力が増すのではないかと思いました。

11521 : 焚火  田中恭平 ('19/10/24 10:39:36)
URI: [13] bungoku.jp/ebbs/20191024_559_11521p
(一)作為をもっと取り払えれば正直で切実な書き手の心が真っ直ぐ表れていますので、もっと太く強くストレートに胸に刺さってくるものになると思います。

11513 : 夢見る  ネン ('19/10/18 23:23:38)
URI: [14] bungoku.jp/ebbs/20191018_515_11513p
(一)作中内容は非常に良いと思う。題材を変えると上質さが独自性を獲得するのではないか。
(一)そのまま書いている思考の部分の言葉を凝らして行くと、描写や感覚や比喩は成立していますので、読み手の想像や理解も深くなると思います。

11524 : (無題)  黒羽 黎斗 ('19/10/26 11:42:28)  [URL]
URI: [15] bungoku.jp/ebbs/20191026_601_11524p
(一)「涼宮ハルヒシリーズ」のキョンみたいな文体はなかなか魅力的だが、やや読みにくさを感じた。行分けしない連続した文章は読ませるための工夫が必要になる。オチも予想の範囲内。しかし、この方向性は間違っていないと思う。
(一)不条理を作為的にではあるが、上手く現出させている。説明の部分を取り払っていっても十分、伝わるので読み手をもっと信じても良いと思った。
(一)念を入れて二回以上読むと、二回目以降の方が文章の内容が頭に入ってくるようでした。サービス精神を省いたのかもしれません。文体の選択によってかなりこの着眼点や心象を肉体に起こる現象のように言い表す筆者の魅力が拡がりそうです。

11522 : (無題)  area ('19/10/24 19:28:40)
URI: [16] bungoku.jp/ebbs/20191024_565_11522p
(一)書き続けていくと具現化していくものは持っていると思う。独自の視点を持つことを意識して欲しい。
(一)魂が悲しみと共に空へ還って行くイメージがくっきり映し出されるように描けています。後半が詩や表現というものから離れてしまっているため、最後まで結論を言いたい誘惑に負けずに自分の世界で描き切って欲しいと思います。

11511 : mother of all scale  アンダンテ ('19/10/17 20:09:33)
URI: [17] bungoku.jp/ebbs/20191017_505_11511p
(一)視覚的に上質な世界を構築している。

11508 : 山道へ  山人 ('19/10/15 05:51:46 *2)
URI: [18] bungoku.jp/ebbs/20191015_477_11508p
(一)最初の2行で「体中」「体内」「体内」と続いた時点で首をかしげてしまった。これは一例だが「明けない朝、雨音が体中にしみこみ、落とし込まれる/ピカリピカリと衛星が動いている」のように削れるのではないか。その後の流れがとても良いので実に残念。もう少し推敲に力を入れると本来の輝きを得られる気がする。
(一)丁寧に綴られており実力を感じる。印象として残る強度を、意識的に書きこんでいく必要があるのかもしれない。
(一)筆者の作品にはプロレタリア文学のようなスタイルがあることに今更気が付いたのですが、この方針のスタイルのときは、過酷さを如実に表現するために、抽象的な部分を写実的にしてみてはどうだろうかなど、考えるものがありました。身につまされる表現に昇華できる余地はあると思います。

11515 : て  空丸 ('19/10/21 21:09:02)
URI: [19] bungoku.jp/ebbs/20191021_535_11515p
(一)最後の「(略)」は効果的に思えない。
(一)タイトルを「て」にせずとも、一連のところから何を言っているのか読者に想像させることができています。それが示せたところで止まった、という印象がありますので、押し進めてみて欲しいと思います。

11519 : 月の民  北 ('19/10/23 06:31:56 *1)
URI: [20] bungoku.jp/ebbs/20191023_546_11519p
(一)作者はコメントの指摘によって「フラメンコの天使」を「メランコリックな天使」に変えてしまったが、個人的には前者の方が分かりやすかったのではないかと考える。私を含めてジプシーの歴史や生活などを良く知らない者は安易に異国情緒を楽しむだけで終わりそうになるが、この詩に流れているのはもっと深い情念に満ちた歌声なのかも知れない。
(一)作品として上手さが光る。ただし言葉の選択が、もう一歩進めそうである。
(一)陶酔感があり、好きなものについて語るときのテンションの高さが心地良く響いています。世界に没頭する美しさを伝えてくれる詩です。

11503 : 鳥籠。  田中宏輔 ('19/10/10 10:20:44)
URI: [21] bungoku.jp/ebbs/20191010_436_11503p
(一)同じタイトルの別作品と同じく、こちらも残酷な出来事をカラッとした明るさで描いている。最後のとぼけた一行が痛快。
(一)小作品だけれども濃い。生と死、そして宗教観念、それらを包括しながらコミカルに総合化されていく上手さが光る。
(一)途中まで極端にしている印象が出るのですが、落ちがきちんとあることによって、それまでの文章ももう一度見直して改めて全体がスタイリッシュに面白く纏まっていることが分かるという、お勉強になる文章です。

11512 : 安らかな背中の下にあるものとしての尻  ゆうみ ('19/10/18 17:35:29)
URI: [22] bungoku.jp/ebbs/20191018_511_11512p
(一)一見思考をそのまま書いただけと思われる部分があるかもしれませんが、自虐の効いた冷静さが後半に広がっていて、この世界観が面白さに繋がっています。 一昔前に凄くおしゃれだと感じた文章のような雰囲気があります。イメージを促すカットの連続が特にそんなテイストを醸し出すのに効いていて、これが更なる強さを持つスタイルに発展することにも期待します。

11514 : (無題)  gokigenhonpo ('19/10/19 20:05:46)
URI: [23] bungoku.jp/ebbs/20191019_521_11514p
(一)一見思考をそのまま書いただけと思われる部分があるかもしれませんが、自虐の効いた冷静さが後半に広がっていて、この世界観が面白さに繋がっています。

11490 : 堕天使  gokigenhonpo ('19/10/05 07:10:37)
URI: [24] bungoku.jp/ebbs/20191005_359_11490p
(一)「堕天使」はダメになった人間を美しく表すためによく使われる単語ですが、そのままの使い方をしていることによって詩が短絡的になっている印象は否めません。強い印象のある単語ではあるので、それを最大限に活用するか、別のものに変えてみるなどの工夫をすると、より気持ち良く心の中が外に出たような詩が出てくるのではないか。

11485 : 幕間  ネン ('19/10/02 15:23:35)
URI: [25] bungoku.jp/ebbs/20191002_320_11485p
(一)詩としてのフォルムは非常に美しいが、作品への構築は足りていない。
(一)三連目など、主張の格好良さの伝わる詩です。全体の言い表していることは、ここを乗り越えて更に表現を広げたり強くしたりして欲しいと感じます。

11504 : でたらめニ  よんじゅう ('19/10/11 20:06:26)
URI: [26] bungoku.jp/ebbs/20191011_449_11504p
(一)でたらめに思える文章によって、詩的情景を巧みに描き出している。「大腸をひきずりだしたような夕暮れ」というフレーズを特に評価したい。
(一)小作品として、よくまとまっている。タイトルが低い位置にある。
(一)「でたらめ」という言葉がタイトルに入っていることによって、筆者が書いていることを読者が真面目に受け取ることを拒否しているような印象が若干あり、本文の巧さが際立たなくなる効果があります。

11510 : 死刑囚  鷹枕可 ('19/10/16 11:05:13)
URI: [27] bungoku.jp/ebbs/20191016_493_11510p
(一)構成が面白いだけでなく、タイトルと単語の意味が美しい反乱を起こした内容に圧倒された。
(一)非常に面白い。新たな作品を創出している。ページと共に迫ってくる作品である。
(一)強いメッセージが目を惹き、わかり辛さを誘ってもそれがシュールに決まるところに入っています。熱量の迸るバランスが丁度良く、読者に目一杯に伝わる状態になっている詩だと思いました。

11505 : mother of all scale  アンダンテ ('19/10/12 04:01:34)
URI: [28] bungoku.jp/ebbs/20191012_454_11505p
(一)囁くようなエロティックさが印象的な冒頭部から、引用を含めて実験的な言葉の小旅行を楽しめた。最後の「井戸替え」で西脇順三郎の引用部を補完しているのも面白い。
(一)数学における詩情を実現できているのかもしれない。
(一)数学的単語を使用しつつ意味そのものを解釈しなくても心に差し込んでくるような核心に迫るような文章で、且つスタイリッシュに纏められていて、表現として上質だと思います。

11500 : 不実の詩  霜田明 ('19/10/09 23:41:25 *1)
URI: [29] bungoku.jp/ebbs/20191009_426_11500p
(一)ハードボイルドを感じる。しかし短さが上質さを削っているようにも思える。
(一)メッセージや言い回しに素敵なものがありますが、これだけでは足りない!という気持ちも働きました。

11509 : 足の裏に凍りつく春の痛み  夢うつつ ('19/10/15 23:55:02)
URI: [30] bungoku.jp/ebbs/20191015_485_11509p
(一)読んでいて目を惹かれる部分もいくつかあるのだが、記号を含めて「そこにそれを配置する必然性」が感じられなかった。スタイルから入るのも1つの方法ではあるが、何のためにそういう描写をするのかをもう少し考えてみると良いのではないだろうか。
(一)視覚的な工夫も随所に凝らされていて、音も美しい。上質な作品である。
(一)冒頭、核心を突くとても深いことが語られていますが、形作ろうとするあまりに詩の形が全体で作為的な印象になっているきらいがあります。もっとこの核心を表すような文章に似合う形が見つかるはずだと感じます。

11507 : 林  湯煙 ('19/10/15 01:58:46 *1)
URI: [31] bungoku.jp/ebbs/20191015_476_11507p
(一)緑を連想すればすごく頭に広がってくる景色があります。写真などによってイメージを補強できるくらいの喚起力なので、これはこれで完成していると思うのですが。何かが足りないような気もします。

11506 : まあちゃん  朝顔 ('19/10/14 07:52:54)
URI: [32] bungoku.jp/ebbs/20191014_472_11506p
(一)つばめグリルの、おそらくはトマトのファルシーサラダを頬張る「まあちゃん」の様子が見えるようだ。おそらくは筆者の理想像であろう彼女の人形を作るという行為に、男性に依存していた過去と決別する詩人の覚悟を感じた。何気ない、また極めて個人的な内容を詩作品へと昇華する力量はさすがである。
(一)実際にあったであろう出来事が詩として成立する筆力と人間力に、情感の深さを思った。「まあちゃん」の存在と自己との存在を見つめる考察力が、新鮮な発見をもたらしていく。
(一)家庭の中にいること、一人で生きていること、一人で生きていることをこの時点では選んだという女性の視点だと思います。何か辛そうに前を向いている印象が伝わってきます。全体のイメージはぼんやりとしているので、明確に状況も心情も掴める文章が入っていると強くなるのではないかと思います。

11493 : 梅雨  朝顔 ('19/10/07 13:55:27)
URI: [33] bungoku.jp/ebbs/20191007_383_11493p
(一)最後の二行が透徹に、人生というものの本質と悲しさを突いている。そこに到るまでの連も、書きすぎずに情感を発せている。
(一)先月読ませていただいた作品と、形式がとても似ているので更なる発展を期待します。同じパターンから抜け出すという選択肢だけでなく、落ちに持っていくまでの文章の磨かれ具合によって同じパターンでも魅力的にできるという選択肢もあると思いました。

11501 : 戦争が終わるまで  鈴木歯車 ('19/10/10 00:18:57)
URI: [34] bungoku.jp/ebbs/20191010_427_11501p
(一)視覚的イメージが眩しい作品だが、初連の前半部分に物足りなさを感じた。思い切って「さよなら、」の部分からスタートしても良かったのではないだろうか。
(一)薄い言葉で普遍性を獲得していく不可思議な作品。フォルムも美しい。
(一)上手で、基本的に見た感じもスタイリッシュな文章を紡がれる力は備わっています。この詩では全体的にリアリティを引き離す話し方がされていますが、本当にこれだけがこの中で効果的であったかどうかを考えて読みました。整えてあるために勢いが削がれているところもあると思います。

11494 : 白昼夢  まひる ('19/10/07 19:06:50 *1)
URI: [35] bungoku.jp/ebbs/20191007_384_11494p
(一)構成は真新しいものではなく、使われているフレーズもオチの部分もありきたり。基本的な書く力はすでに持っている方なので、まずは他人ではなく自分を驚かせるような言葉を探してみてはどうだろうか。
(一)タイトルの連続のようになっていて、イメージが繋がりにくくなっています。完全にバラバラか、連想ゲームのようになるか、まだ何か方法がある気がします。

11499 : ドナドナを聴きながら。  帆場蔵人 ('19/10/09 02:34:40)
URI: [36] bungoku.jp/ebbs/20191009_413_11499p
(一)始まりからの不穏な在り方が、最後まで芯を通している。通奏する良質さがある。

11495 : Show Me Your Fact.exe  アルフ・O ('19/10/07 19:25:21 *1)
URI: [37] bungoku.jp/ebbs/20191007_387_11495p
(一)この作者の作品は基本アクが強いので、この作品だけだと少し物足りなさを感じる。対になっている作品と合体させた方が良かったのではないだろうか。これまでのレベルを考えると佳作にせざるを得ない。
(一)メッセージの多さが際立つ作品。そのメッセージ的部位を鋭角に立てている。感情的というよりも情熱的に思える。

11497 : 眩まない  黒羽 黎斗 ('19/10/08 19:44:10)  [URL]
URI: [38] bungoku.jp/ebbs/20191008_407_11497p
(一)第2連だけ突出してレベルが高く、他の連とのバランスが悪すぎると感じた。第2連の勢いとセンスを全編に渡って維持できていれば、文句なく優良作品であった。これからの成長に期待したい。
(一)一連目の出来が一番よく、二連以降パワーダウンしている印象を受けざるを得ない。二連目から始めて、最後に一連目を持ってくると解消されるように思った。

11492 : 古代のパラドックス  st ('19/10/07 03:51:55)
URI: [39] bungoku.jp/ebbs/20191007_377_11492p
(一)アキレスと亀のエピソードを用いていて期待したのだが、特にオチもなく終わってしまったのが残念。
(一)面白いと思った。その上で、ユーモア以上のものを創造していくことが可能にも思える。

11498 : にせものの、  鷹枕可 ('19/10/08 19:56:58)
URI: [40] bungoku.jp/ebbs/20191008_409_11498p
(一)作者の作品としては分かりやすい部類に入るだろう。それでもまだ難解で硬筆な文体が、SF的叙情詩とも言える美しく哀しい世界を描き出す。この方向の作品をもっと読んでみたい。
(一)独自の世界観が確立している。タイトルの転がし方に今回は工夫が見られる。

11488 : 予兆  帆場蔵人 ('19/10/04 16:53:57)
URI: [41] bungoku.jp/ebbs/20191004_355_11488p
(一)台風を羽化する小鳥に例えた発想が面白い。また、そのイメージを表現する筆力もある。ただ物語が序章で終わってしまっている感じがあり惜しいと感じた。もう少し先まで描いても蛇足ではないと思う。
(一)上手くまとまっており視覚的にも綺麗である。本当に「予兆」で留まっていないか気になる。

11487 : まぬけの発露  田中恭平 ('19/10/03 10:14:44 *1)
URI: [42] bungoku.jp/ebbs/20191003_345_11487p
(一)詩人の愚痴話をそのまま作品にしたようなスタイルが面白い。読んでいて共感する部分も多く、最後まで読み飽きない。これからも、この方向で突き詰めていってほしい。
(一)三点リーダーが効果的でなく、薄めていっている。

11484 : start line(ユリイカなく、青い夜  いけだうし。 ('19/10/02 15:00:08 *11)  [Mail]
URI: [43] bungoku.jp/ebbs/20191002_319_11484p
(一)決して上手とは言えないが、それでも熱が伝わってくる。青さが情感を生んでいる。
(一)試行錯誤する筆者の思考と内面が発露するように、面白い日記のように、記されています。これが記録として続くのも面白いのではないかと感じました。

11486 : 格子  霜田明 ('19/10/02 23:46:31 *1)
URI: [44] bungoku.jp/ebbs/20191002_335_11486p
(一)二部構成が、効いている。言葉の比重と作品の在り方が、詩情の重なりを更なる昇華へと向かわせている。

11483 : anthem  湯煙 ('19/10/02 04:29:48 *1)
URI: [45] bungoku.jp/ebbs/20191002_309_11483p
(一)古語的な口調で紡がれている。二連の対比が、もっと活かせたのではないかという感覚がある。

11481 : 鳥籠。  田中宏輔 ('19/10/01 00:03:47)
URI: [46] bungoku.jp/ebbs/20191001_283_11481p
(一)「頭部が鳥籠」というヒエロニムス・ボスの絵画のように怪奇なイメージをユーモラスに料理している。最近では鳥籠頭をモチーフにしたイラストをSNSなどで見かけることもあるが、まどマギの「鳥かごの魔女」など身体の一部が鳥籠になる、あるいは鳥籠に入っているという表現は色々な解釈ができて面白い。この詩も読む進めるほどに妄想が膨らむし、最後もあっさりしているようでそのまま深い思考を継続させられてしまう終わり方だ。
(一)分かりやすい比喩を用いながら、形が整っており非常に上質な作品として編みあがっている。引き出しの広さを思わせられる作品である。

11482 : 七色の空間  st ('19/10/01 06:38:15)
URI: [47] bungoku.jp/ebbs/20191001_289_11482p
(一)フォルムが美しい。その上で言葉が一方向に偏り過ぎに思える。破いていく一語を置くと、もっと広がりが見えてくるように思えた。


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