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2007.06 雑感(蛍)

Posted By hotaru On 2007-07-21 (土) @ 20:42 In 月間選考 | Comments Disabled

6月の選考を終えての雑感、です。
選に漏れてしまって残念に思った作品はいくつかあるのですが、そのなかでも特に印象に残ったものをひとつだけ挙げるのなら、[1] yayaさんの「鳥の雑木林」でしょうか。

連ごとに現在と思い出が交互する構成は破綻なくうまく繋がれていたと私は思います。
寝そびれてしまったので、ベランダで夜が明けていくのを眺めながら、その風景にかさねて昔を思い出している。というだけの何でもない内容なのですけれど、語り手の静かな心持ちが伝わってくる作品でした。
表現や言い回しなどに、かなり推敲できそうな余地があるように思いますが、そのわりには読んでいて、もたつきのようなものをあまり感じませんでした。
それはリズムの良さによるものだと思います。
良いリズムは詩に美しい流れを作るものですから。

ここで私が言っている「リズム」とは、七五調であったり、擬音・記号を使ったりして意識的に作られたリズムのことではなくて、書き手の身体から自然に生まれ出るリズム、いわば体内リズムのことです。
いま文学極道でこの体内リズムの感覚が特に優れていると私が感じるのは、一条さん・軽谷祐子さん、あたりでしょうか。
yayaさんのこの「鳥の雑木林」にも良い流れがあります。
使う言葉や言い回しなどにもっと神経をつかって表現を研ぎ澄ましていかれれば、優れた作品になるのではないかと思いました。
今後、どんな作品が投稿されるのか、とても楽しみな書き手さんです。


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[1] yayaさんの「鳥の雑木林」: http://bungoku.jp/ebbs/20070607_915_2119p